社内報はいらない?従業員が読みたくなる社内報運用のポイントを解説

社内報は企業内のコミュニケーションを活性化し、情報共有を促進するための重要なツールです。しかし、その価値を十分に引き出すためには、従業員が「読みたい」と感じるような内容と形式が必要です。

本記事では、「社内報は要らない」と感じてしまう理由から、従業員が読む社内報を作るポイント、成功事例まで、社内報の可能性を最大限に引き出すためのヒントをお伝えします。どうすれば社内報が従業員の心をつかみ、組織全体をより強くつなげるのか、一緒に考えてみましょう。

社内報がいらないと言われる理由

まず、本章では社内報がいらないと言われる理由について3点紹介していきます。

作成に時間と費用がかかる

社内報の作成は、通常の業務と並行して行わなければならず、社員の業務負荷が増えます。また、印刷や配布にかかるコストも無視できません。

例えば、社員が記事を書くために想定以上の時間を割くと、その分通常の業務が遅れる可能性があります。また、印刷コストが毎月数万円かかる場合、年間で見れば大きな負担となります。

これらの理由から、社内報は作成に時間と費用がかかるため、必要ないと考えられることがあるのです。

マンネリ化してしまっている

デザインやフォント、企画内容に変化がないと、読み手が飽きてしまい、読む機会が減ってしまいます。これにより、社員の社内報を読むことへのモチベーションが低下し、社内報を全く読まなくなることもあります。

例えば、毎月同じようなレイアウトや内容では、社員は興味を失い、社内報を開くことすらしなくなります。また、作り手も同じ作業の繰り返しに疲れてしまい、社内報作成のモチベーションを失うことがあります。

その結果、社内報は読まれず、作る側もやる気を失い、マンネリ化が進むと無駄な業務化してしまうのです。

読むメリットがない

社内報の目的が社内でうまく共有されていないと、社員は重要な情報が載っていることを知らず、自分に関係のない内容と感じてしまいます。

例えば、他の部署の情報ばかりが載っていると、自分の業務に直接関係ないため読む意欲が湧かなくなります。これにより、社内報が重要な情報源として認識されなくなります。

このような状況では、社員が社内報を読むメリットを感じず、結果として読むことをやめてしまうのです。

社内報で情報を発信するメリット

それでは、どのようにすれば社内報の発信が組織全体にとって有益になるのかについて、詳しく見ていきましょう。

大人数に一斉に情報共有ができる

社内報は一度に全社員に同じ情報を伝えることができるため、情報の伝達が迅速で一貫性があります。これにより、全員が最新の情報を同時に把握でき、情報の行き違いや誤解を防ぐことができるでしょう。

例えば、新しい会社方針や重要なイベントの情報を全社員に同時に知らせることができます。その結果、個別にメールや会議を行う手間を省けます。全社員が同じ情報を持つことで、組織全体の連携がスムーズになり、業務効率が向上するのです。

社内のコミュニケーションが活発になる

社内報は全社員に最新の情報やイベント、成功事例などを共有することで、共通の話題を提供し、コミュニケーションのきっかけを作ります。これにより、部署を超えた交流や情報交換が促進されます。

例えば、社内報で他部署のプロジェクト成功例が紹介されると、それを見た社員が意見交換やアドバイスを求めることが増えます。これにより、社内の連携が強化されます。その結果、社員同士の交流が増え、情報の共有や協力が進むことで、組織全体の活力が向上するのです。

従業員の団体意識や帰属意識が向上

社内報を通じて会社のビジョンやミッション、成功事例などを共有することで、従業員は自分が組織の一部であることを実感します。

例えば、社内報で全社員の成果を称賛し合うことで、社員は自分の貢献が会社に認められていると感じ、会社への忠誠心が強くなります。結果として、従業員の団体意識や帰属意識が高まり、組織全体のモチベーションと一体感が高まるのです。

社内報を導入する判断基準

こちらでは、社内報を導入する判断基準について解説してきます。これらの基準を理解することで、社内で社内報を導入するのか否かの判断に役立つでしょう。

経営者を含め、社内報のニーズがあるか

社内報は情報共有やコミュニケーション促進の手段ですが、その効果を引き出すためには、経営者や従業員がその必要性を感じていることが前提です。

例えば、会社のビジョンや目標を全社員に浸透させたい、従業員間のコミュニケーションを活性化させたいといった具体的なニーズがある場合、社内報は有効なツールとなります。

しかし、経営者や社員がその必要性を感じていない場合、導入にかかるコストや労力に見合う効果は得られません。導入前にニーズを確認し、全員が価値を理解していることが重要です。

社内報が自社や従業員の成長につながるか

社内報の大きな目的は、企業全体の成長を促進することです。これには、企業のビジョンや目標を社員全員に共有し、統一された方向性を持たせることが含まれます。また、成功事例や役立つ情報を共有することで、従業員のスキル向上やモチベーションアップにつながります。

例えば、他部署の取り組みや成功事例を紹介することで、従業員が新たなアイデアを得たり、自分の業務に役立てたりすることが可能です。このように、社内報が企業や従業員の成長をサポートする役割を果たす場合、導入の価値が高いと言えます。

社内報を作成する予算や時間を確保できるか

社内報の作成には費用や人材が必要です。これに対して予算が確保できない場合、他の業務に支障が出る可能性があります。また、従業員が少なく、対面でのコミュニケーションが円滑に行われている場合は、社内報の必要性が低いかもしれません。

さらに、既に情報共有が活発に行われているツールがある場合、社内報は追加の負担となる可能性があります。例えば、社内チャットや定期的なミーティングで情報共有が十分に行われている場合、社内報を導入するメリットは薄れます。以上の点を踏まえ、社内報以外の組織改善の取り組みも合わせて検討し、社内報の導入が実際に有効かどうかを慎重に判断することが必要です。

従業員に読まれる社内報にするためのポイント

ここからは従業員が積極的に社内報を読むための具体的なポイントについて詳しく解説します。これらのポイントを意識し、実践することで、社内報が従業員の間で注目を集め、効果的なコミュニケーションツールとなるでしょう。

社内報の目的を明確にする

社内報の大きな目的は、企業全体の目標やビジョンを共有し、従業員の一体感を高めることです。また、具体的な小さい目標も設定しましょう。例えば、新プロジェクトの進捗報告や従業員の成功事例を紹介するなどです。

目的を明確にすることで、社内報がただの情報提供ツールではなく、従業員にとって価値のある読み物になります。これにより、従業員は社内報を通じて自分の役割や会社の方向性を理解しやすくなり、積極的に読むようになります。明確な目的設定は、社内報の効果を最大限に引き出す鍵です。

ターゲットを絞る

具体的な読者層を設定することで、内容をそのターゲットに合わせたものにでき、読者の関心を引きやすくなります。

例えば、女性従業員向けの特集や、新入社員向けの情報を含むセクションを設けることで、それぞれのグループにとって有益な情報を提供できます。このようにターゲットを明確にすることで、読者が自分に関係する情報を見つけやすくなり、社内報を読む意欲が高まります。

結果として、ターゲットを絞ることで、社内報の利用価値が上がり、読む読者が増えるのです。このアプローチは、社内報をより効果的なコミュニケーションツールにするための基本です。

読みたくなる企画を考える

通常の業務連絡やお知らせとは一線を画す内容を提供することで、従業員の関心を引き、読む意欲を高めることができます。

例えば、従業員の成功事例やインタビュー、部署間のコラボレーション事例、健康や趣味に関する特集など、興味を引くテーマを取り上げると効果的です。また、写真やイラストを多用し、視覚的にも楽しめるように工夫することで、読者の注目を集めやすくなります。

このように、業務連絡とは異なるエンターテイメント性や情報価値を持つ企画を取り入れることで、社内報は単なる情報提供のツールではなく、従業員にとって楽しみながら情報を得られる読み物となり、読む意欲が高まります。

発行媒体を検討する

紙媒体とデジタル媒体(ウェブやアプリ)のどちらを選ぶか、またはその割合をどうするかがポイントです。

紙媒体

メリット

  • 気軽に手に取りやすく、誰でも読むことができる
  • 共有スペースに置けば、自然と目に留まる

デメリット

  • 読む場所が限られる
  • 保管場所を必要とする
  • 印刷と配布にコストがかかる

デジタル媒体

メリット

  • どこでも読むことができる
  • 情報を即時に共有できる
  • コメント機能などで、従業員同士のコミュニケーションも促進できる

デメリット

  • アクセスする手間がある
  • 興味のある部分しか見られない可能性がある

これらのメリットとデメリットを踏まえ、自社の従業員のニーズや環境に最適な媒体を選ぶことで、より多くの従業員に読まれる社内報を作成することができます。

社内報を活用している事例

本章では、従業員が関心を持ち、継続的に読まれる社内報を作成・活用している企業をいくつか紹介します。

社内報でインナーブランディングを強化

フェイラージャパン株式会社は、「FEILER」「LOVERARY BY FEILER」などを展開し、ハンカチやバッグをはじめとしたシュニール織のファッション雑貨を製造・販売している企業です。

100店舗・360名の従業員を抱える同社では、「社内コミュニケーション活性化」を目的に社内イントラやサンクスカードを導入していましたが、店舗スタッフはPCからしかアクセスができず、ツールが従業員に使われなかったそうです。

TUNAGでは

  1. スキルアップ:多店舗の接客ナレッジを紹介する
  2. 称賛:お客様からもらった嬉しい声を投稿する、サンクスカード
  3. インナーブランディング:初めて買ったフェイラーの商品や、ブランドバリューにまつわるエピソードを投稿する

の3つのステップに分けてコミュニケーション施策を運用しています。

社内のコミュニケーションを施策を3種類に分けて実施したことで、店舗を超えた従業員同士のコミュニケーションや、本部と店舗のコミュニケーションが活発になりました。また、日常的にブランドバリューに触れることで会社全体のブランド力の強化にもつながったといいます。

導入事例記事はこちら>>>全国の百貨店に展開する「FEILER」店舗の壁を超えたコミュニケーションでブランド力向上を目指す

「ブランドを超えた社内広報」を実現

株式会社WDI JAPANは「カプリチョーザ」や「ハードロックカフェ」など25以上のブランドを展開し、日本国内外で160店舗以上を運営する企業です。

同社は、ブランド間で情報が共有されず、従業員が自店舗や自ブランドのことしか分からないという課題に直面していました。また、本社からの情報が店舗スタッフに伝わりにくいというコミュニケーションの問題も抱えていました。

これらの課題を解決するために、社内SNS「TUNAG」を導入し、ブランドを超えた情報共有を実現しました。これにより、ブランド間の距離が縮まり、全社的な動きを把握しやすくなりました。さらに、店舗スタッフの定着率が向上し、従業員の帰属意識も高まりました。

結果として、本社と店舗のコミュニケーションも円滑になり、会社全体の連携が強化されました。

導入事例記事はこちら>>>「ブランドを超えた社内広報」を実現。カプリチョーザなどを展開するWDI JAPANの社内コミュニケーション事例

全社の7割以上が経営陣の発信を閲覧

ディップ株式会社は、求人広告事業や人材紹介事業を展開し、約2,000名の従業員を抱える企業です。同社は急成長に伴い、全国に拠点が広がる中でコミュニケーションが難しくなり、会社の考えや他部門の活動が見えづらくなる課題に直面していました。

この問題を解決するために、社内SNS「TUNAG」を導入し、経営陣の考えを伝える「TOP ANSWER TALK!」や各部門からの情報発信を通じて、組織全体のエンゲージメントを高める取り組みを行いました。

その結果、経営陣の発信が全社の7割以上に閲覧され、社員のエンゲージメントが向上し、コミュニケーションの活性化に成功しました。

導入事例記事はこちら>>>事実だけでなく“想い”を込めた発信にこだわるディップの社内施策。「全員に栄養が届けば、もっといい会社にできる」

まとめ|従業員から読まれる社内報にするためには

社内報は、組織のコミュニケーションを活性化し、情報共有を促進する重要なツールです。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、従業員が読みたくなる内容を提供し、目的や読者のニーズに合わせた形式を選ぶことが鍵となります。

社内報を成功させるためには、組織全体のコミットメントと、各従業員の関与が必要です。今日から社内報改革を始めましょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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