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〜まず、今回のようにビルとそこで働く人をつなげるコミュニティ「TUNAG(ツナグ) for Hankyu Hanshin workers」を立ち上げるに至った背景を伺えますか?〜
阪急阪神ビルマネジメント株式会社 津谷様(以下敬称略):今、ワークプレイス(働く場所)が多様化していますよね。働き方改革、生産性向上というワードが出始め、そこから「働く場所も大事では」という声がでてきました。
欧米の考え方が日本に流れてきたと思うのですが、欧米では、働く場所はコミュニティの場所であって、そこからコラボレーション、イノベーションにつながる……という流れができています。ただ、日本における生産性向上と、ワークプレイスの関係が、自分としてはあまり一致していないと感じていました。
〜欧米の考え方がうまく輸入できていない、ということでしょうか?〜
津谷:欧米だと、基本的には成果主義で一人ひとりが成果を上げるために仲間とコミュニケーションをとって、新しい価値創造を起こそう……という流れでワークプレイスが成り立っているのに対して、日本はとりあえずハードとしての「場所」を用意して、人事制度などはそのままになっていると思うんです。
〜そのような中、2015年に、今の「TUNAG(ツナグ) for Hankyu Hanshin workers」にもつながるワーカーズ向けのサービス「阪急阪神ワーカーズウェブ(※1)」を立ち上げられていますが、この頃から課題意識があったのでしょうか。〜
※1…梅田阪急ビル、ハービスOSAKA、ハービスENT等のオフィスワーカー約1万8,000人を対象に、優待特典・イベント情報などの提供を行うWEBサイト
津谷:そうですね、私は2012年頃からオフィスの運営管理の業務を担当しているのですが、当時はリーマンショック後に続く不景気で空室率が高く、関西圏は供給が過剰だったんです。賃料は下がる、テナント様は抜けていく……という良くない状況でした。
そもそも、オフィスが選ばれる理由は、「立地」「スペック」「コスト」の3点という固定概念がありましたが、この時、この3つだけに頼らないオフィスの強みが無いだろうかと考え、コミュニティ運営のパイオニアであるフォーシーカンパニーの中澤社長と2013年頃から企画を始めました。
〜そこから、「コミュニティ」という考え方に移ったきっかけは何だったのでしょうか?〜
株式会社フォーシーカンパニー 代表取締役 中澤様(以下敬称略):対象となるビルで働く方にアンケートをとって聞きました。みなさんが求めているのはベネフィットなのか。一度聞いてみようと。そうすると、「社外の人とコミュニケーションをとりたい」「オフィス近くで学びを得る機会がほしい」という声が多くありました。
もちろん、阪急阪神のビルですので、クーポンなどのベネフィットも期待されていましたが、それよりもコミュニティに対する要望が強かったんです。そこで「コミュニティの提供」を価値として打ち出すことにしましたね。ただ、普通のやり方ではなく、阪急阪神だからこそできるコミュニティのあり方、強みを持ったものにしようと思っていました。
津谷:2015年の春、シリコンバレーの企業に視察に行った時に、欧米型の働き方を目の当たりにして、ここで改めて「コミュニティ」の重要性を感じたのが大きいです。自分の価値を高めるために、能動的にコミュニティに参加し、学びを得ている姿ですね。ヒエラルキー型で指示待ち体質な日本企業は、このままでは本当に世界からおいていかれるのではないかと強く思いました。
〜「コミュニティ」を提供するというコンセプトが決まった中、一番始めに何から取り組んでいったのでしょうか?〜
中澤:はじめに「阪急阪神ワーカーズウェブ」を立ち上げました。まずは、「コミュニティ」という形の無いものに大きな投資をするという形ではなく、WEBサイトという目に見えるものとして、ビルの情報が見れて、阪急阪神が持つベネフィットを提供していくものとしてスタートしました。
津谷:ビジネスなので、投資するには、具体的にそのビジネスの可能性を提示しなければなりません。WEBサイトの立ち上げは、ビル情報の提供をテナント様にデジタルで発信でき、サービス向上に繋がります。
また、ベネフィットの点で、阪急阪神が持つ経営資源、グループ力をこれまで以上に効果的に提供していくには梅田に毎日足を運んでいるワーカー様とグループ資源をWEBでマッチングできればより展開が広がるだろうと考え、まず情報サイトからスタートしました。
※TUNAG(ツナグ) for workers について
〜ワーカー様向けには魅力的なサービスに見えますが、対企業向け、入居企業の経営者の方の印象はどうでしょうか?ネガティブに捉えられたりしませんか?〜
津谷:ネガティブに捉えられることは一切なく、むしろ逆だと思っています。今、働き方改革が進む中で、長時間労働が見直されていますよね。社員の働く時間を短くしていこうとする動きが出ています。
でも、人事や経営層は、「帰ってテレビ見てていいよ」って思っているわけではないと思うんです。空いた時間で社員に生産性が高まるような自己研鑽や、他の人とのコミュニケーションを通じて「自己成長して欲しい」と思っていると思うんですよ。
それが、自分たちの働くビルで提供されていて、阪急阪神のビルに入居している他の企業の人と交流できて、かつ、会社が強制せずに社員が“自分の選択”で個人として申し込んで能動的に動いてくれている。これは「会社にとってありがたいことだ」という声を頂いているくらいです。
〜テナント企業様が「リスク」だと思いがちな部分が、逆にメリットになっているんですね〜
中澤:私も経営者なので、同じように思いますね。経営者としては、社員の教育の機会を設けたいんですよ。ただ、教育研修の計画時に、さまざまな職位、職種により優先順位があり、すべてにいきわたらないこともありますよね。
そこを、入居しているビルからサービスを提供してもらって、社員が自ら学び、能動的に活動してくれる。「このビルに入ったら、ビル側から代行してやってくれるよ」という捉え方をすると、すごいメリットですよね。経営者が会社として行う教育と、このようなコラボレーションの場での教育って、学ぶことが違いますし。新しい側面の教育を無料で受けさせてもらえて、従業員が能動的に受けてくれるって、メリットしかないですよ。
※TUNAG(ツナグ) for Hankyu Hanshin workers の画面です。イベントや講座の案内だけでなく、ワーカー同士がつながれるサークルへの入部申請もできます。
津谷:TUNAG(ツナグ)を入れた理由の一つでもあるんですが、私達が提供するサービスに参加する社員の方って、「半分私人」というような形で参加しているんですよね。我々のビルに入っている会社の方なので、「会社として」受けているサービスですが、参加するのは「個人」の意思です。
これって面白いですよね。完全に私人として参加すると、どうしてもLINEとかFacebookとかでやりとりすることになるのですが、最初から自分を全部さらけ出せる人って少ないじゃないですか。このように半分オフィシャルな形でコミュニティに入ってみて、親しくなったら個人をオープンにする。その「入り口となるSNS」というところで、TUNAG(ツナグ)を活用できるのが良かったなと思う点ですね。
中澤:TUNAG(ツナグ)だと半分私人という立場で参加できるので、我々が行いたいコミュニティにマッチしていると思います。アンケートでも、「自分の個人をさらけだしたくない」という声はたくさんいただいていて、みなさん、プライベートのアカウントを開示するのは勇気がいるんですよ。
我々がコミュニティを提供するのであれば、「会社の社員としての自分」でまず参加できるものを用意しないといけないと思いましたね。
津谷:日本人は「組織に属している」という意識が強いのかもしれませんね。ですので、この取り組みを通して、「自分で能動的に申し込む」という行動が増えれば、社員の学びにつながり、生産性向上につながって、会社も成長する。そんな循環を起こせるのではないかと思います。
中澤:コミュニティに参加するために、ちょっと背中を押してあげられるといいですよね。TUNAG(ツナグ)はその仕組みを持っていると思います。自ら手をあげるのは難しいけど、手を差し伸べると参加してくれる……。この仕組みは、今回のようなワーカー様向けコミュニティだけでなく、企業としてもちゃんと投資していくことが求められると思いますね。
津谷:最初に話した、ハードだけ変えて、運用モデルが無いっていうことに戻りますよね。フリーアドレスやABWを入れました……、その結果、「連帯感」が失われているという声も事例としてよく聞く話です。島型で今まで顔を合わせて会話をしながら仕事をしていたのに、「どこで仕事してもいいですよ」と言われてしまうと、組織に属している人たちが自分の意識をどこに持っていけばいいのか分からなくなってしまう。
ちゃんと運用モデルや人事制度とも合わせていかないといけません。ただ、オフィスを提供するデベロッパーとしては、テナント企業様の人事制度まで変えられないじゃないですか。ですので、ワーカー様たちの学びを促すような仕組みを作って運用しています。きちんと「事務局」を設けていますしね。
〜最初のお話にも「ワーカー様の生産性を上げる」という言葉が出てきていますが、この取組から最終的にどんなことを目指していますか?〜
津谷:やはり私達はオフィスを提供するデベロッパーに属していますので、一番は、経営者の方にも、従業員の方にも、”このビルしかないよね”と言ってもらうことですね。最初にお話した、「立地」「スペック」「コスト」これだけでビルを選ぶのではなく、ソフト面や阪急阪神というブランドも踏まえてビルを選んでいただけること。これが一番目指しているところです。
そのためには、コミュニティによって、ただ「お友達ができた」というところで終わらず、経営者から見ても、このビルでコラボレーションが生まれ、仕事がつながり、社員の意識が変わった。という変化を生み出したいんです。
例えば、「同世代で、同じビルに入っているあの子が頑張っているから、自分も努力しよう」とか、「あのビルのあの子がすごい挑戦をしているから、私もやりたいです」という声が出てくる。それを経営者が実感する。そんな循環ができることが理想ですね。そうすると、ビル自体の価値も上がっていきます。
中澤:この取り組みから、日本人の生産性向上につながるコミュニティやワークプレイスのあり方を確立したいですね。
〜津谷様、中澤様、お話いただきありがとうございました!〜
(インタビュー:株式会社スタメン TUNAG(ツナグ)事業部 カスタマーサクセスチーム)
▼『TUNAG(ツナグ)』について 『TUNAG(ツナグ)』では、会社として伝えたい理念やメッセージを、「社内制度」という型として表現し、伝えていくことができます。会社様ごとにカスタマイズでき、課題に合ったアクションを継続的に実行できるところに強みがあります。「施策が長続きしない」「定着しない」というお悩みがございましたら、「現在のお取り組み」のご相談を無料で行っておりますので、お問い合わせください。