2025年問題と2040年問題は、どちらも少子高齢化と人口構造の変化に伴う課題ですが、焦点となる世代と社会への影響が異なります。2025年問題では団塊の世代が75歳以上となり、医療・介護需要や社会保障負担の増加が表面化しました。一方、2040年問題では団塊ジュニア世代が高齢期に入り、現役世代の減少による担い手不足がより大きな課題になります。
このような人口構造の変化から、企業では採用難や人材不足がさらに深刻化するほか、介護と仕事の両立を必要とする従業員の増加も想定されます。
本記事では、2025年問題と2040年問題の違いを整理しながら、それぞれの問題が企業に与える影響を解説します。両問題の違いや関連性を正しく捉えることで、自社にどのような影響が表れやすいかを確認し、2040年に向けて優先する対策を判断できるでしょう。
【この記事のポイントまとめ】
2025年問題と2040年問題は、どちらも少子高齢化による人口構造の変化から生じますが、課題が強く表れる段階が異なります。2025年は団塊の世代がすべて75歳以上となり、医療・介護を必要とする人の増加が注目された節目です。2040年には団塊ジュニア世代が65歳以上となる一方、現役世代が急速に減少し、社会や企業を支える人材の確保がさらに難しくなると見込まれています。
2025年問題と2040年問題は、別々に発生する問題ではありません。2025年に表面化した医療・介護需要や社会保障負担の増加に、現役世代の減少が重なることで、2040年に向けて担い手不足がより深刻になる関係です。
2025年問題は、医療や介護を必要とする人の増加に焦点が当たりやすいのに対し、2040年問題では、サービスや企業活動を支える人の減少が大きな課題になります。厚生労働省も、2040年には高齢者人口の伸びが落ち着く一方、現役世代が急減するとしています。
自社への影響を考える際は、年だけを見るのではなく、従業員の年齢構成、介護との両立状況、退職予定者、特定の人に集中している業務を確認することが出発点です。
比較項目 | 2025年問題 | 2040年問題 |
|---|---|---|
焦点となる世代 | 団塊の世代がすべて75歳以上になる | 団塊ジュニア世代が65歳以上になる |
人口構造の変化 | 75歳以上の人口が増え、医療・介護を必要とする人が多くなる | 高齢者の増加が続く一方、働き手となる現役世代が大きく減る |
中心となる課題 | 医療・介護需要の増加と社会保障を支える負担 | 医療・介護、企業、自治体など幅広い分野での担い手不足 |
企業への主な影響 | 従業員の介護負担、介護離職、人材不足への対応 | 採用難の長期化、技能継承、業務の属人化、事業を担う人材の不足 |
企業が備える期間 | 高齢化による影響がすでに表れている段階 | 2040年までの変化を見据えて体制を整える段階 |
2025年問題とは、団塊の世代がすべて75歳以上になったことで、医療・介護の需要増加や社会保障を支える負担、人材不足などが表面化する問題の総称です。特定の制度や一つの出来事を指すのではなく、高齢化と現役世代の減少が同時に進むことで生じる複数の課題を含みます。企業にとっても、介護を担う従業員の増加や、経営者・ベテラン社員の高齢化を考える節目となります。
団塊の世代とは、主に1947年から1949年の第1次ベビーブーム期に生まれた世代です。2025年には、この世代がすべて75歳以上になりました。内閣府の推計では、2025年の65歳以上人口は3,653万人に達すると見込まれています。
2025年問題の出発点は、人口の多い世代が一斉に75歳以上となり、医療や介護を必要とする人が増えることです。
ただし、75歳になった人が一律に医療や介護を必要とするわけではありません。高齢者の健康状態や就業状況には個人差があり、65歳以上で働く人も増えています。年齢だけで高齢者を同じ状態として捉えるのではなく、人口全体の変化によってサービスの需要や支える側の負担がどう変わるかを見る必要があります。
75歳以上の人口が増えると、医療機関への受診や介護サービスを必要とする人も増えると見込まれます。厚生労働省は、2025年以降も介護ニーズの高い85歳以上人口が2035年頃まで増え、入院患者数や在宅患者数のピークはさらに後になると示しています。
需要が増える一方で、医療・介護の現場では人材の確保が課題になります。保険料や税を負担する現役世代も減少しているため、医療・介護サービスの提供体制だけでなく、制度を継続できるかという観点も欠かせません。
2025年問題は、サービスを利用する人が増えるだけでなく、そのサービスを誰が提供し、誰が費用を支えるのかという問題でもあります。
影響の大きさは地域によって異なります。高齢者人口が増え続ける都市部と、人口減少が先に進む地域では、必要な医療・介護の量や不足する人材が同じではありません。全国の傾向だけでなく、各地域の人口構成に合わせて提供体制を考える必要があります。
少子高齢化による影響は、医療・介護分野に限られません。企業でも働き手の確保が難しくなり、経営者やベテラン社員の高齢化によって、事業や技能を次の世代へ引き継げない問題が表れます。
中小企業では、後継者が決まらないまま経営者が引退時期を迎えると、事業を継続できない可能性があります。従業員の退職によって特定の技術や顧客情報が失われる場合もあるため、人員数だけでなく、誰がどの業務を担っているかを確認しなければなりません。
2025年問題を企業の視点で捉える際は、欠員の補充だけでなく、事業や技能を誰へ引き継ぐかまで確認します。
採用難や技能継承が社内でどのように表れるかは、後の「2025年問題・2040年問題が企業に与える影響」で詳しく整理します。
2040年問題とは、団塊ジュニア世代が65歳以上となる時期に、高齢者を支える現役世代が大きく減少することで生じる社会課題です。医療・介護を必要とする人が増える一方、サービスを提供する人材や制度を支える担い手の確保が難しくなります。企業にとっては、採用難や従業員の介護負担だけでなく、限られた人員で事業を続ける体制づくりが問われる節目となります。
団塊ジュニア世代とは、主に1971年から1974年の第2次ベビーブーム期に生まれた世代です。2040年にはこの世代がすべて65歳以上となり、65歳以上の人口は総人口の約35%に達すると推計されています。高齢者人口の規模だけでなく、年齢構成の変化にも目を向ける必要があります。2040年頃に向けては、医療と介護の両方を必要とする可能性が高い85歳以上の人口が増え、介護サービスに求められる内容も多様になると見込まれています。
2040年問題では、高齢者の人数だけでなく、より手厚い支援を必要とする人が増える点も課題になります。
ただし、65歳以上の人が一律に支援を受ける側になるわけではありません。高齢になっても働く人や地域活動を担う人もいるため、年齢だけで役割を決めず、働く意欲や健康状態に応じて力を発揮できる環境を考える視点も欠かせません。
2040年に向けた人口構造の変化で特に大きいのは、働き手や社会保障を支える現役世代の減少です。厚生労働省は、高齢者人口の伸びが落ち着く一方で、現役世代に当たる担い手が急減すると示しています。
高齢者の割合が上昇しても、医療・介護、企業、自治体などのサービスを担う人が同じ割合で増えるわけではありません。利用する人と支える人の人数差が広がることで、一人あたりの負担や、必要なサービスを維持する難しさが増す可能性があります。
2040年問題の中心は、高齢者が増えることだけでなく、社会や企業を支える人が減ることにあります。
企業で起こり得る採用難、業務負担の集中、技能継承への影響は、後の章で自社の兆候とあわせて確認します。
現役世代が減少すると、社会保障制度を費用面で支える人だけでなく、医療・介護や地域の生活サービスを担う人も少なくなります。需要が増える中で人材を確保できなければ、必要なサービスを現在と同じ方法で提供し続けることが難しくなります。
人口減少が進む地域では、公共交通、医療機関、商店などの生活に必要なサービスを維持しにくくなる可能性もあります。国土交通省は、人口減少や都市部への人口集中を背景に、地方を中心として生活必需サービスや公共交通の維持が難しくなるおそれを示しています。
2040年問題は、社会保障費の負担だけでなく、地域で暮らし、働き、事業を続けるための基盤を誰が支えるかという問題です。
企業への影響は、拠点を置く地域や業種によって異なります。公共交通の縮小によって従業員が通勤しにくくなる、取引先や顧客が減少する、設備の維持を担う技術者を確保できないなど、自社だけでは解決しにくい課題もあります。そのため、社内の人員計画に加え、事業を続ける地域の人口動態や生活サービスの変化も確認する必要があります。
2025年問題と2040年問題による影響は、医療・介護分野だけに限られません。働き手となる世代が減少する中、企業では人材の採用や定着、介護と仕事の両立、技能の引き継ぎが難しくなる可能性があります。どの課題が先に表れるかは業種や従業員構成によって異なるため、自社で起きている変化を確認しながら備える必要があります。
生産年齢人口の減少が続くと、欠員が出るたびに同じ経験を持つ人材を採用する方法では、必要な人数を確保しにくくなります。2025年版中小企業白書でも、構造的な人手不足が中小企業・小規模事業者の経営課題として示されています。
社内では、求人を出しても応募が集まらない、採用までの期間が延びる、既存の従業員へ残業や兼務が集中するといった形で影響が表れます。特に、専門資格が必要な職種や、仕事を覚えるまでに時間がかかる職種では、採用後すぐに欠員を補えるとは限りません。
採用人数だけを増やすのではなく、現在働いている人が離職しにくい環境と、採用できなくても業務を続けられる方法をあわせて考える必要があります。
ただし、人材不足の状況は地域や職種によって異なります。全社一律の採用目標だけを見るのではなく、採用に時間がかかっている部署、離職が続いている職種、特定の従業員へ業務が偏っている場所を確認すると、優先して対応する領域を絞れます。
高齢の家族を介護しながら働くビジネスケアラーが増えると、従業員が離職しなくても、急な休暇や勤務時間の短縮、集中力の低下などが生じる場合があります。経済産業省は、ビジネスケアラーが2030年に約318万人となり、介護離職や仕事の能率低下などによる経済損失が約9兆円に上ると試算しています。
企業が介護の状況を把握できるのは、従業員から相談があった後になることも少なくありません。管理職が制度を知らない、介護休業を取得すると働き続けにくくなると思われている、相談相手が決まっていないといった状態では、従業員が問題を一人で抱えやすくなります。
介護離職を防ぐには、休業制度を設けるだけでなく、従業員が早い段階で相談し、仕事の続け方を調整できる体制が欠かせません。
介護の負担や必要な支援は家庭ごとに異なります。企業が介護方法を決めるのではなく、制度や相談窓口を周知したうえで、本人の希望と業務上の条件を確認し、勤務時間や担当業務を調整します。
ベテラン社員や経営者の高齢化が進むと、長年蓄積された技術、顧客との関係、判断方法を次の世代へ引き継げないまま、退職や廃業を迎えるおそれがあります。中小企業庁は、経営者の高齢化と後継者不在による廃業によって、雇用や技術が失われる可能性を示しています。
技能継承の遅れは、退職者が出た時点で初めて判明するとは限りません。特定の担当者だけが設備を調整できる、顧客対応の経緯が個人の記憶にしか残っていない、管理職候補が責任ある業務を経験していないといった状態も、引き継ぎが進んでいない兆候です。
後任者の名前を決めるだけでなく、何を、いつまでに、どの業務を通じて引き継ぐかを具体化することが求められます。
すべての知識を文書だけで伝えられるわけではありません。作業手順は記録し、判断が必要な業務は後任者が実際に担当しながら経験を積むなど、内容に応じて引き継ぎ方を分けます。経営者の交代を伴う場合は、技能だけでなく、取引先や従業員との関係も含めて準備する必要があります。
働き手が減少する中では、必要な人数を採用できることを前提とした業務の進め方を見直す必要があります。厚生労働省も、2040年に向けて現役世代が急減する中、「より少ない人手でも回る」医療・福祉の現場づくりを課題として示しています。企業においても、同様に人員を補充し続けるだけでは対応が難しくなる可能性があります。
社内で確認したいのは、手作業で繰り返している業務、複数の部署で重複している作業、承認者が不在になると止まる手続きです。人が足りない状態で従来の業務をそのまま続けると、従業員の負担が増え、さらに離職を招くおそれがあります。
限られた人員で事業を続けるには、業務の目的を確認し、やめる作業・簡素にする作業・機械やシステムに任せる作業を分ける必要があります。
DXや業務の自動化は、そのための選択肢の一つです。ただし、システムを導入するだけでは、不要な手順や複雑な承認経路が残る場合があります。先に現在の業務を整理し、どこで時間がかかっているか、誰に負担が集中しているかを確認したうえで、必要な仕組みを選ぶことが大切です。
2040年問題へ備えるには、採用人数を増やすだけでなく、現在働いている従業員が力を発揮し続けられる環境と、少ない人数でも業務を継続できる体制を整える必要があります。優先する対策は、業種や従業員の年齢構成、介護を担う人の状況、業務の属人化によって異なります。まずは自社で表れている兆候を確認し、影響の大きい課題から取り組みましょう。
企業への主な影響と対策の対応関係は、次のとおりです。
企業への影響 | 社内で確認する兆候 | 対策例 |
|---|---|---|
採用難・人材不足 | 求人への応募が少ない、欠員補充に時間がかかる | 高齢者や子育て中の人などが働きやすい制度を整える |
離職・人材の定着難 | 特定の部署や職種で退職が続く | 業務量、働き方、上司の支援を見直す |
介護と仕事の両立 | 急な休暇が増える、制度の相談先が知られていない | 制度の周知、相談窓口、勤務方法の調整を行う |
業務負担の集中 | 手作業や重複作業が多い、承認者の不在で業務が止まる | 不要な作業を減らし、自動化できる業務を選ぶ |
技能・知識の喪失 | 特定の人しか担当できない業務がある | 手順の記録、後任の育成、計画的な引き継ぎを進める |
働き手が減少する中では、年齢や家庭の事情を理由に、働く意思と能力がある人を採用・雇用の対象から外さないことが大切です。勤務日数や勤務時間、担当業務を一律に決めず、業務上必要な条件と本人が働ける条件を照らし合わせます。
例えば、フルタイム勤務が難しい人には短時間勤務を用意し、体力的な負担が大きい業務は分担方法を見直します。経験のある高齢者を継続雇用する場合は、以前と同じ業務をそのまま任せるのではなく、技能指導や顧客対応など、経験を生かせる役割を検討できます。
高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用確保措置が事業主に義務づけられ、70歳までの就業機会を確保する措置は努力義務とされています。70歳までの定年引き上げが一律に義務づけられているわけではないため、自社の業務と本人の希望を踏まえて制度を設計します。
多様な人材を受け入れる際は、採用対象を広げるだけでなく、それぞれが担当できる業務と必要な支援を具体的に決めることが欠かせません。
人材を確保しにくい状況では、新たに採用する取り組みと同時に、現在の従業員が退職する原因を減らす必要があります。給与や福利厚生だけでなく、業務量の偏り、上司との関係、勤務時間、将来のキャリアなど、離職につながり得る状況を部署や職種ごとに確認します。
全社平均の離職率だけでは、一部の部署で起きている問題を見落とす場合があります。退職が続く部署、入社後早い時期の退職が多い職種、残業や休職が増えているチームを分けて確認すると、改善すべき業務や支援を絞りやすくなります。
面談やアンケートを行っても、集めた意見に対応しなければ従業員の不信感につながります。すべての要望を反映できない場合も、何を変更するのか、すぐには変更できない理由は何かを伝え、対応状況を共有します。
人材定着を進めるには、退職者の人数だけでなく、従業員が働き続けにくくなっている具体的な状況を見つけて改善します。
家族の介護は突然始まる場合があり、従業員本人も必要な期間や負担の大きさを予測できるとは限りません。介護休業制度を用意するだけでは、従業員が制度の存在や相談先を知らず、利用しないまま退職を選ぶ可能性があります。
2025年4月から、介護離職を防ぐための雇用環境整備、介護に直面した従業員への制度の個別周知と意向確認、40歳前後の従業員への早期の情報提供が事業主に義務づけられています。介護を申し出た従業員には、利用できる制度、申出先、介護休業給付金などを案内する必要があります。
相談を受けた際は、介護の内容を詳しく聞き出すことを目的にせず、勤務時間や出勤方法、担当業務について本人が困っている点を確認します。短時間勤務や残業の制限、休暇などの選択肢を示し、一定期間ごとに状況を確認する方法が考えられます。
介護との両立支援では、従業員が離職を決める前に相談でき、仕事を続ける方法を一緒に検討できる状態を整えます。
人材不足を補うためにシステムを導入しても、不要な作業や複雑な承認手順を残したままでは、十分な負担軽減につながらない場合があります。まずは、日常業務を確認し、やめられる作業、手順を減らせる作業、人が判断する必要のない作業を分けます。
例えば、同じ情報を複数の台帳へ転記している場合は、入力先を一つにまとめられないか検討します。定期的な集計や通知は、条件が決まっていればシステムへ任せられる可能性があります。一方、顧客ごとの事情を踏まえた判断や、従業員への個別対応まで一律に自動化するのは適切とは限りません。
中小企業向けにも、IoTやロボットなどの導入を通じて、人手不足への対応や生産性向上を支援する制度が用意されています。ただし、補助金の利用や製品の導入を目的にせず、削減したい作業時間や解消したい負担を先に決めることが前提です。
DXで省人化する際は、システムを入れる業務ではなく、人が担当し続ける必要のない業務を先に見つけます。
なお、「2025年の崖」は、老朽化・複雑化したITシステムが企業の競争力を低下させるリスクを示す言葉です。人口構造の変化を指す2025年問題とは異なるため、分けて捉える必要があります。
参考:中小企業省力化投資補助金
退職予定のベテラン社員がいる場合、引き継ぎを退職直前に始めても、判断の基準や例外への対応まで伝え切れないことがあります。技能継承では、引き継ぐ知識を洗い出し、文書や動画で残せる手順と、実務を通じて身につける判断を分けます。
後任者を一人だけに決めると、その人の異動や退職によって継承が止まる可能性があります。複数の従業員が担当業務を経験できるようにし、誰がどの技能を習得しているかを確認できる状態を整えます。
一方、リスキリングでは、従業員へ一律に研修を受けさせるのではなく、今後社内で必要になる業務と結びつけます。新しい設備を扱う技能、データを用いて業務を見直す力、別の職種へ移るための知識など、配置や担当業務を想定して学ぶ内容を決めます。
2025年版ものづくり白書でも、技能継承のための教育訓練や、若手・中堅層への技能・ノウハウの伝承が取り組みとして示されています。技能継承と人材育成を別々に進めず、実務の中で経験を渡す設計が求められます。
技能継承とリスキリングは、失われる知識を残すだけでなく、今後必要になる業務を担える人材を社内で育てる取り組みです。
自社で何から始めるか迷う場合は、次の項目を確認してください。
複数の項目に当てはまる場合も、すべての対策へ同時に着手する必要はありません。事業が止まる可能性が高い業務や、退職予定が近い従業員の技能など、影響が大きく期限の近い課題から対応します。
2025年問題では医療・介護需要や社会保障負担の増加が表面化し、2040年に向けては現役世代の減少による担い手不足がさらに大きな課題になります。企業には、必要な人材を採用し続けることだけを前提にせず、現在の従業員が働き続けられる環境と、業務や技能を引き継げる体制を整える視点が求められます。
介護との両立支援、離職につながる業務負担の見直し、技能継承、定型業務の自動化を早く始めれば、欠員が出た後に対応を急ぐ状態を避けやすくなります。人材の確保が難しくなっても事業を続けられる状態をつくることが、2040年問題へ備える企業の目標です。
まずは、従業員の年齢構成と退職予定者を確認し、特定の人が抜けると止まる業務を一つ洗い出してください。その業務について、引き継ぐ相手、記録する内容、見直せる手順を決めるところから始めましょう。