自分用の仕事マニュアルの作り方は?おすすめの書き方を紹介
自分用仕事マニュアルは、業務を効率化するための重要なツールです。
上司の指示ではなく、自分から率先して業務内容や改善点を記録することで、作業理解が深まり、仕事の質が向上します。
本記事では、自分用仕事マニュアルのメリットやデメリット、効果的な作成方法を解説します。日々の業務に役立つ「自分だけのマニュアル」を作りましょう。
自分用仕事マニュアルとは
自分用仕事マニュアルとは、会社に強制されるのではなく、自分自身で、業務工程や業務に使う道具、資料のメモをとり、自分が仕事を効率的に行うために作るノートです。本記事は、そんな自分用マニュアルノートの作り方のコツをわかりやすく記載しています。
自分用仕事マニュアルを作るメリット
では、自分用仕事マニュアルを作るメリットとは何があるのでしょうか。4つほどご紹介させていただきます。
備忘録になる
自分用仕事マニュアル作成は、業務における一連の流れを自分の言葉で置き換えて記せるノートです。そのため、マニュアルに記入したことは自分の頭の中に入ってきやすく、より業務の工程をを自分なりに汲み取って覚えることができます。また、マニュアルノート作成は、精神的にも安心できることから、生産性の向上も見込めます。
相手への信頼感へつながる
マニュアルノートを作るには、必ずメモを取る必要があります。先輩、上司、取引先の方からはその姿勢は好感がよく、信頼感に繋がります。また、メモをさらに自分なりにブラッシュアップし、マニュアル化することで、業務の質を担保することができ、相手からの信頼感を増すことが可能です。
ポイントとしては、取引先の担当の方の性格や雑談などをメモしておけば世間話の際の会話に話題を提示することができ、「そんな小さなことまで覚えていてくれたのか」と信頼をあげやすくすることができます!
思わぬ発見につながる
自身でマニュアルノートを作り続ければ、知識やノウハウが更新され続け、思わぬ発見や意図していなかった組み合わせで新しいビジネスのアイデアが浮かび上がることがあります。また、全く経験のない業務を任せられたとしても、マニュアルノートを作り続けた場合は、アナロジー思考を発揮することができるため、速いスピード感で順応し仕事に集中することができます。
会社にとって財産になる
自身のマニュアルノートとはいえ、それは仕事のノウハウや一連の過程を記してあるものです。新卒社員や、部署移動でやってきた社員からは喉から手が出るほど欲しいノートといえます。引き継ぎの財産にもなる素晴らしいツールになるため、日頃から自分用マニュアルノートを作り続ける癖を付けることを推奨します。
自分用仕事マニュアルを作るデメリット
しかし、自分用マニュアルノートを作るデメリットも3点ほど存在します。そのデメリットについても解説します。
作成には時間がかかる
自分用マニュアルノート作成には、果てしない時間がかかります。理由としては、どれほど簡単な「単純型」の業務内容だとしても、自分なりの言葉に変換して記していく必要があるためです。また、一回目で完璧なマニュアルを作ることは難しく、繰り返しの業務を通じてマニュアルノートもブラッシュアップしていく必要があります。図や表なども用いると、より時間がかかります。これらが原因で業務時間外の作業というのも少なくありません。自分がつまずく業務や、わからないことだけに絞ってマニュアルノートを作成していく必要があります。
マニュアル以上のことができなくなってしまう可能性
マニュアルノートを作り、実際の業務を成功でき、上司や取引先から認められ強度の高い新たな仕事や作業を求められた際に、応用が効かない可能性があります。その強度の高いことに関してまたマニュアルノートを作るという発想になるかもしれませんが、ビジネスというシビアな世界においてそれが許されるかどうかは社内状況などによって変動します。
感覚型の成長がしずらい
「感覚型」である動画制作やスライド作成といったクリエイティブ要素が含まれる業務は、マニュアルノート化がしづらいです。マニュアルノートをつくる人は、事務などの誰でもできるような作業に特化した人材にはなりやすいですが、専門性のある市場価値の高い人材になる可能性は少なくなってしまいます。
自分用仕事マニュアルの作り方
それでは、自分用マニュアルノートの作り方について順序ごとに解説します。
ToDoを書き出す
一番最初にすることは、「しなくてはいけないこと」をToDoにまとめることが必要です。タスクが発生した瞬間や、自分にとって苦戦しそうなこと、苦手なことを殴り書きでもいいのでメモをしておくことで失念漏れを防ぐことができます。また、ポイントとして、ToDoを書き出す際に、その業務にどれぐらいの時間がかかるのか自分なりの目安を記入することを推奨します。理由としては、実際に業務を行った際に比較が可能で、自身の業務効率の改善を促す考察ができるためです。
時間軸を決める
ToDoを書く際は、業務をただ書くだけではなく、「〇時に△△を実行する」というように記入することを推奨します。自身の業務を円滑にするだけでなく、時間内に終わらせようという意識付け、終わらなかったとしても、どの業務で帳尻が合わせられるのかという対応力も磨くことができます。また、時間軸は1日単位、1週間単位、1ヶ月単位を選んで記載しましょう。重要度と緊急度のタスクを振り分けられるようにするためです。
必要なことを明確にする
自分用マニュアルノートは業務を行う前に見返します。その際に、内容がわかりにくければあまり意味がわかりません。知りたい情報に辿り着くのに時間がかかってしまえば本末転倒で、情報が多ければケアレスミスにも繋がります。必要な情報だけを選定して、記載するようにしてください。自分用のマニュアルノートです。自分がわからなくなること、忘れてしまうことだけを記載することを意識してください。
優先順位を明確にする
必要な情報を厳選すると、必要な情報だけが記載される状態になり、優先順位がわからなくなることがあります。優先順位を視覚的に明確にするには、色分けが有効です。自分用マニュアルノートのため、自分の直感で色分けすることが大前提ですが、特にこだわりのない場合は、「カラーユニバーサルデザイン」を参考にすることを推奨します。カラーユニバーサルデザインとは、”多様な色覚に配慮して、情報がなるべくすべての人に正確に伝わるように、利用者の視点に立ってデザインすること”で東京都福祉局も採用し推奨しているカラー配置になります。
色には、 対象物を認識させやすくする心理的影響、神経などに作用する生理的影響、感情や気分を誘導する感情的影響など様々あります。赤色は「興奮・危険・刺激的」という要素を持っているので、緊急度の高いタスクを赤色で記入する。青色は「鎮静効果」があり、集中力を高める効果があるため次に優先すべきことなどを青色で記入する。といった工夫ができます。
ただし、色を使い過ぎてしまうと上記の様々な影響が起こるため集中力が分散し、かえって分かりづらいマニュアルになってしまいます。色の使いすぎには注意してください。
時間をかけて内省する
日々の日報の提出は、いい加減にできてしまうものですが、その時間にこそしっかりと時間をかけて内省してください。自分の業務の進め方は適切であったのか、時間通り行えたか、アウトプットの質は担保できたのか、内省することで自分用マニュアルの改善は大きく飛躍することができます。
情報を更新する
内省した内容を元に、自分用マニュアルノートを更新してください。自身がなぜできたのか、できなかったのかを言語化することで、マニュアルノートの完成度とあなたの業務の質は改善されます。その積み重ねが信頼感を獲得し、あなた自身の市場価値を高めることにつながります。また、内省点以外でも、マニュアルノートを更新する必要があります。理由としては、仕事の手順や環境はテクノロジーの進化によって大きく変わることがあるためです。定期的に見直して、更新することを心がけてください。
自分用仕事マニュアルの紙&デジタルの作成方法
紙でのマニュアルノート作成
手を動かして書くことで記憶に定着しやすいです。また、視覚的にも俯瞰してページ全体を見れるため、情報の流れや関係性を一目で理解しやすい利点があります。さらに、付箋やマーカー等を活用することで、視認性を上げることも可能です。しかし、メモや筆記用具を常に持ち歩くことで荷物が増えることや、リライトの際に工数がかかることはデメリットといえるでしょう。
活用例:
1.手書きで業務のフローチャートを作成する。
2.業務手順を箇条書きにして、チェックリスト形式にまとめる。
3.手描きのイラストや図を活用して、複雑な手順や作業をわかりやすく表現する
デジタルでのマニュアルノート作成
最大のメリットは、いつでもどこでもマニュアルを確認できるということでしょう。また、視認性や、送付ファイルの付与、共有・リライトの工数までも、片手間でできることもメリットにあげられます。しかし、紙と違って手を直接的に動かすわけではないことや、端末のバッテリーや容量に依存することは、デメリットといえます。
有用なツールを3つほど紹介いたします。
- Googleドキュメント: 段落スタイルやリスト形式で業務手順を記録し、リアルタイムで更新可能。他のメンバーと共同編集ができ、ノウハウの共有に役立ちます。
参考:Googleドキュメント
- Notion: ボード形式やデータベースでタスク管理やマニュアルを一元化。タグやカテゴリ分けにより、情報の整理や検索が簡単です。
参考:Notion
- Evernote: 画像やPDFを含めた情報を保存し、業務ごとにノートブックで分類。手書きメモもデジタル化でき、紙の記録との併用も便利です。
参考:Evernote
活用例
1.業務ごとのテンプレートを作成し、常に最新の内容に更新する。
2.業務の写真やスクリーンショットを添付し、視覚的なガイドとして利用する。
3.業務関連のURLや参考資料をリンク形式でまとめ、参照しやすくする。
どちらも異なるメリットがあり、用途や業務内容に合わせて使い分けることが求められます。自分の適性を見て、パターンに応じて紙とデジタルを組み合わせることを考えましょう。
自分用仕事マニュアルの作成に向いている業務と向いていない業務
自分用マニュアルノート作成には向いている業務・向いていない業務があります。
向いている業務(単純型、選択型)
自分用マニュアルノート作成に向いている業務として「単純型」「選択型」の2つがあげられます。ここでいう、「単純型」「選択型」とはそれぞれどんな内容かというと、まず「単純型」とは、誰が行っても等しい成果を求められる業務のことです。代表例としては、備品の在庫管理や、データ入力、ファイルの整理、電話対応、会議室の予約管理など多岐に渡ります。基本的な業務ではありますが、これを疎かにするとメインの業務の質に影響を及ぼします。自分なりにマニュアルに落とし込み、効率化と成果を徹底的に担保することを推奨します。
次に、「選択型」とは、状況に応じて限られた選択肢の中から選び、行動する業務のことです。代表例としては、クレーム対応、採用面接、在庫発注の決定、プロジェクトの進行管理、プレゼンテーション、イベントの企画運営など、これもまた多岐に渡りますが、作業にはいくつかのパターンがあり、選択基準と優先順位をしっかり定義付け、その定義に沿った行動パターンを記していくことで、成果のバラ付きを抑えることができ、ある程度の業務の質を単肥することが可能です。
向いていない業務(感覚型)
自分用マニュアルノート作成に向いていない業務として「感覚型」の業務があげられます。この「感覚型」の業務とは一体何か上記のように解説すると、「感覚型」とは臨機応変に行動することが求められる業務のことで、代表例として、ウェブサイトやパッケージのデザイン業務、マーケティング戦略の立案、コピーライティングなどのクリエイティブな業務が該当します。局所的に意思決定を変えていく必要があるため、マニュアル化は難しくなります。しかしながら、「感覚型」の業務の一部は「単純型」「選択型」に置き換えられることもあるので、しっかり見極めてからマニュアルノートを作成する必要があります。
まとめ
自分用仕事マニュアルを作るには膨大な時間と根気が必要です。しかし、効率よく業務を回すためには、そういった下積みの時間が必要でもあります。時間を費やしてもその後のメリットの方が大きいため、小規模なことからでも自分用のマニュアルノートを作ってみてください。