毎年予算を割いて階層別研修を実施しているものの、その効果を十分に説明できずにお困りではないでしょうか。受講後のアンケート結果で高い満足度が得られても、現場での行動変容まで実感できず、経営層への報告で難航する人事担当者は少なくありません。本記事では、研修転移の基礎知識をはじめ、現場で成果が出ない主な要因や、成果創出に向けた具体的な設計ステップをわかりやすく解説します。
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▼研修ラインナップの一例
・階層型研修
・コンプライアンス研修、ハラスメント研修
・AI研修やDX人材育成
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研修は好評だったのに、実際に現場に成果が反映されていないという状況はありがちです。この課題を考える上で鍵となるのが、研修転移という考え方です。まずは言葉の意味と、学習転移との違い、重視される背景を押さえましょう。
研修転移とは、研修で学んだ知識やスキルが職場で活用され、その状態が続くことです。英語では「Transfer of Training」と呼ばれます。
ポイントは「使われる」だけでなく「続く」ことです。研修直後に一度試しただけでは、転移したとはいえません。
研修転移研究の起点とされるのが、BaldwinとFordが1988年に示したモデルです。このモデルでは、転移を次の二つの要素で捉えています。
つまり、行動が習慣として定着して初めて、研修転移が起きたといえるのです。
研修転移と似た言葉に「学習転移」があります。学習転移とは、ある場面で学んだことが別の場面でも生かされることです。教育心理学で使われてきた、より広い概念です。
例えば、数学で身につけた論理的思考が、企画書の作成に役立つケースです。学ぶ場面は学校でも日常生活でも構いません。
一方、研修転移は企業研修に焦点を当てた言葉です。学習転移のうち、研修から職場への転移を指すと理解するとよいでしょう。両者の違いを表にまとめました。
項目 | 学習転移 | 研修転移 |
|---|---|---|
対象範囲 | あらゆる学習場面 | 企業研修 |
転移先 | 別の場面・課題全般 | 職場の実務 |
主な分野 | 教育心理学 | 人材開発・人事 |
重視する点 | 学びの応用 | 行動変容と成果の持続 |
人事担当者が向き合うべきは、研修転移の方です。研修の成果を問われたときに備え、この視点で整理しておきましょう。
研修転移が注目される背景には、研修の投資対効果を問う声の高まりがあります。2023年3月期から、上場企業などは有価証券報告書で人的資本情報の開示が求められるようになりました。人材育成方針や、その指標・目標の記載が必要です。
加えて研修も「実施した」だけでは評価されにくくなっています。育成投資がどんな成果を生んだのかを、説明する責任が高まっているのです。
また、研修の多くが職場で生かされていないという指摘もあります。研修転移は、研修を経営成果につなげるための共通言語になりつつあるのです。
研修の内容が優れていても、転移が起こらないことはよくあります。その原因の多くは研修そのものではなく、研修の外にある職場環境です。代表的な三つの原因を見ていきましょう。
最も大きな原因は、学んだことを実践する機会がないことです。人は知識を得ても、使わなければすぐに忘れてしまいます。
若手社員が提案書作成の研修を受けたとします。しかし配属先で提案業務を任されなければ、学びを試す場がありません。数カ月後には、内容をほとんど忘れてしまうでしょう。
研修のテーマと現場の業務がずれているケースもあります。全社一律の研修は、部署ごとの業務に合わないことも少なくありません。いつ、どの業務で使うのかが見えない研修は、転移しにくいのです。
二つ目の原因は、上司の支援が不足していることです。研修転移の研究では、上司の関わりが特に大きな影響を持つとされています。
受講者が現場に戻った際、たまった業務の対応を迫られ、上司が目先の仕事を優先するような状況では、せっかくの学びも後回しになってしまいがちです。新しいやり方を試して失敗すると、責められる職場もあります。
こうした環境では、受講者は元のやり方に戻ってしまいます。そもそも上司が研修内容を知らないことも少なくありません。部下が何を学んできたか知らなければ、声をかけることもできないのです。
三つ目の原因は、研修の目的が関係者に共有されていないことです。受講者が「なぜこの研修を受けるのか」を理解していないと、学ぶ姿勢が受け身になります。
よくあるのが「毎年の恒例だから」と参加しているような状態です。これでは、研修が終わった時点で役目を果たしたと感じてしまい、現場で実践しようという意識が生まれません。
人事部門において、研修の具体的なゴール設定や明文化が不十分な場合も少なくありません。受講者が研修修了後に目指すべき期待行動や、それが実務のどの場面で成果に繋がるのかが不明確なままでは、研修の効果測定も困難になります。
研修転移を高めるには、研修前・研修中・研修後を一続きの流れとして設計することが欠かせません。ここでは、明日から取り組める四つの方法を紹介します。
研修転移を高める上で効果が大きいのが、研修前の準備です。
研修前に人事と上司が行うべきことを、以下にまとめました。
担当 | 研修前にやるべきこと |
|---|---|
人事 | 研修のゴールと期待する行動を明文化する |
人事 | 研修の狙いを上司に説明する |
上司 | 受講者と面談し、研修の目的を伝える |
上司 | 研修後に任せる業務を決めておく |
特に上司と受講者の事前面談は、明日からでも始められます。「この研修で何を持ち帰ってほしいか」を伝えるだけでも十分です。受講者は目的を意識して研修に臨めるようになるでしょう。
研修の最後には、学びを行動計画に落とし込む時間を設けましょう。「学んだことを生かす」という抽象的な決意だけでは、行動は変わりません。
行動計画には、次の五つの要素を盛り込むのが効果的です。
これらを明確にすることで、研修後すぐに動き出せます。
例えば、「部下の話をよく聞く」では曖昧です。「週1回の1on1で、最初の10分は部下の話を遮らずに聞く」とすれば、実行も振り返りもしやすくなります。作成した行動計画は、上司とも共有しておきましょう。
研修転移を進めるには、人事と現場が連携する体制が欠かせません。受講者本人の努力だけでは、行動は定着しにくいからです。
現場で実践を支えるには、次のような取り組みが有効です。
これらの取り組みにより、学びを試しやすい職場になります。
上司向けに、研修内容の要約を配布するのもよいでしょう。上司が研修の中身を知っていれば、的確な声かけができます。人事は研修を「届ける側」から「現場とつなぐ側」へ役割を広げることが大切です。
行動を定着させるには、振り返りを一度で終わらせないことが大切です。実践と振り返りを繰り返すことで、行動が習慣になります。
振り返りは、次の3ステップで進めるとよいでしょう。
このサイクルを回すことで、行動変容が定着していきます。
振り返りの時期は、研修の1週間後、1カ月後、3カ月後などに設定します。上司との1on1やフォローアップ研修を活用すれば、無理なく続けられるでしょう。
効果測定には、カークパトリックの4段階評価モデルが参考になります。各段階で測る内容を整理しました。
段階 | 測るもの | 指標の例 |
|---|---|---|
レベル1:反応 | 受講者の満足度 | 受講後アンケート |
レベル2:学習 | 知識・スキルの習得 | 理解度テスト |
レベル3:行動 | 職場での行動変容 | 行動計画の実施率、上司評価 |
レベル4:成果 | 業績への影響 | 離職率、生産性、顧客満足度 |
研修転移を捉えるには、レベル3の行動変容を測ることが重要です。満足度に加えて行動の変化を示せば、経営への報告も説得力が増すでしょう。
研修の成果は、研修の中身だけで決まるものではありません。研修の前後をどう設計するかが、成果を左右します。
とはいえ、課題の特定から現場での定着までを、人事だけで担うのは簡単ではありません。研修内容と職場の仕組みを、最初からセットで設計する必要があるからです。
そこで検討したいのが、TUNAGを運営するスタメンの「TUNAG研修」です。TUNAG研修は、研修をイベントで終わらせず、学びを行動変容へつなぐ研修プログラムです。支援は次の流れで一気通貫に行われます。
研修前の課題整理から研修後の効果測定まで、担当者が伴走してくれるのが特長です。
TUNAG研修の強みは、組織改善クラウドサービス「TUNAG(ツナグ)」との連動にあります。設計段階ではTUNAGのエンゲージメントサーベイのデータを活用します。感覚ではなくデータで課題を特定するため、的外れな研修を実施するリスクを抑えられるでしょう。
研修後は、TUNAGを通じて学びを現場で共有し、継続する仕組みを一緒に設計します。フォローアップセッションやエンゲージメントスコアの変化確認も行われます。満足度だけでなく、行動や組織の変化を経営に示しやすくなるはずです。
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