タレントマネジメントとは?システム導入や事例、進め方のポイントを解説

人事・人材の分野で、近年よく聞かれるようになった「タレントマネジメント」。1990年代にアメリカで生まれた考え方で、2000年代に入り、日本でも注目されはじめました。 今回はタレントマネジメントの意味や事例、システム導入や進め方のポイントについて分かりやすくご紹介いたします。 ⇒お役立ち資料「人的資本経営で押さえるべき4つのポイント」はこちら

タレントマネジメントとは

タレントマネジメントとは、才能ある社員により高いパフォーマンスを発揮してもらうため、経歴や能力などを把握し、戦略的な配置や育成計画を行うことを指します。 もともとはアメリカで生まれた概念で、リクルートワークス研究所での調査結果レポートでは、以下のように記載されています。近年では日本でも注目されるようになっており、耳にしたという方も多いのではないでしょうか。
【リクルートワークス研究所での研究結果レポートでの記載】 タレントマネジメントとは、組織における個人ひとりひとりの能力とリーダーシップを最速で開花させることによって、組織内のリーダーシップの総量を極大化させ、より高いビジネスゴールを達成することを目的とした、上司・本人・人事による成長促進のためのプロセスである。
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タレントマネジメント実施の目的

会社の成長につなげるため

「従業員を一人ひとりを把握し、育成、マネジメントをすすめていくこと」がタレントマネジメントであるというイメージが強いかもしれません。しかし、目的はあくまでも事業・会社の成長につなげるためです。そのために“人事”の視点から取り組むことがタレントマネジメントですので、タレントマネジメントを行うこと自体は目的にはなりません。

タレントマネジメントの導入企業事例

4,000人いるグループ社員全員の個性を把握「サイバーエージェント」

サイバーエージェントでは、「キャリバー」という職場環境や人材ニーズを可視化したシステムを社内公開。キャリアチェンジを具体的に検討することが可能になり、社内異動公募制度「キャリチャレ」を活用した異動も行われています。 トップが「人材覚醒会議」を実施し、本人の能力をもっと伸ばせるのではないかと、徹底的に話し合う会議が行われています。社員の能力を高めるために、経営陣が本気になっているということが社員にも伝わりますね。
【参考】 サイバーエージェント流、アクティブな適材適所の仕掛け「キャリバー」とは | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

人材情報を一元化、異なる事業部でも社員の情報を把握「株式会社オープンハウス」

オープンハウスでは、クラウド人材管理ツールを活用し、1,000名を超えた社員数の人材情報の把握を行っています。「埋もれた人材」を可視化し、異なる事業部でも社員の情報が把握できるように、経営陣が次期リーダー候補の育成につなげられる環境を整えています。

関連記事:従業員の行動データの解析から“組織活性化”を狙う。 約100店舗のカフェを展開する カフェ・カンパニー株式会社と共同研究を始動します。

成長企業が続々導入!エンゲージメント経営実践事例集

タレントマネジメントのシステム・ツール

目的に合わせたシステム導入を

タレントマネジメントを行うためのツールやサービスは複数あります。しかし、タレントマネジメントを行う目的によって、会社にあったツールは異なりますので、まずは目的を明確にすることから始めることをおすすめします。 人材情報のデータベース化が得意なシステム、目標管理などの評価システム、従業員満足度調査などのサーベイから個人のデータを抽出するシステムなど、目的に応じて自社に合うシステムは変わります。

▼ツール・サービス例

カオナビjinjerTUNAG(ツナグ)

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タレントマネジメント導入STEP・進め方

ではタレントマネジメントはどのように進めていくと良いのでしょうか。おおまかな進め方例をご紹介します。

1)タレントマネジメント導入の目的を明確にする

タレントマネジメントを導入すること自体が目的とするのではなく、経営にどう活かすのかという点を明確にしなければなりません。 会社において成果をあげている社員はどんな人なのかを把握し、さらなる成長のためにそのような社員を育成し、増やしていくことを目的とするのか、それぞれのキャリアプランを明確に把握することで、社員がイキイキと働くことができる適材配置を実現していくことを目的とするのか、目的は会社ごとに大きく異なります。 決めた目的に対して、どの部署の誰が取り組んでいくのか、明確な責任者、担当者を置くことも重要です。

▼イメージ例 事業戦略として関西地域を強化したく、月に●●万円の売り上げを作る営業力のある人材を配置したい。あるいは若手の離職が多いという課題に対し、「上司と相性が悪く不満が出ている」や「評価が働きに見合っておらず退職の可能性がある」といった課題がある。 異動や昇進、育成などによって離職や業績をどの程度変化させられるのか、戦略を立て、そのための採用や人材配置などの計画を立てていこう。

2)人材情報を可視化し、現状を把握する

前提となる目的が決まったら、まずは今会社にいる従業員の情報をデータとしてまとめ、可視化できる状態にしましょう。

▼データ例 ・現在の業務 ・現在の役職 ・過去の異動歴、これまでの経歴 ・持っている資格やスキル ・価値観やマインド ・その他:入社日、時短勤務などの働き方

ここでは、目的に合わせて、従業員のデータだけでなく、今のモチベーションや会社への満足度など、組織の状態が分かるような調査を行うことも一つです。(弊社では組織の課題を抽出するためのエンゲージメント診断をご提供しています。)

3)必要となる人材イメージを明確にする

設定した目的に対し、必要な人材イメージを明確にします。活躍している人材を言語化したり定量的に測定できるようにする仕組みも必要となります。そのためには、合わせて評価基準を見直し、評価内容を管理する必要もでてくるかもしれません。 この人材イメージの明確化には、会社における「経営理念」や「行動指針」が大きく関わります。自社の社員にどうなってほしいのか、経営陣を交えて改めて議論すべきところではないでしょうか。

4)具体的なアクションを検討し、タレントの活用につなげる

2)と3)のステップで、会社の社員の現状が理解でき、必要な人材イメージがまとまりました。具体的なアクションにつなげるには、以下の3つのステップが考えられます。

1:必要な人材を採用する

必要な人材を採用しなければならない。という判断がされた場合は、採用計画と戦略を決めなければなりません。新卒採用で採用して育成するのか、中途採用ですぐに必要なのか、会社によって考え方は様々です。会社によっては採用に頼らず、育成を重視するということもあるでしょう。

2:必要な人材を育成する

人材育成は、短期間で行えるものではありません。社員の長期的な育成計画を検討し、誰にどのように行っていくのかを決めていくことが必要です。具体的なスキルを身につけてほしい場合は研修を受けさせたり、マインドを変えていきたいという場合はそれに適した社内制度、仕組みをつくっていく必要があります。 人材の育成には現場の上司や先輩社員の巻き込みも重要です。現場を含めた教育計画を検討していきましょう。

3:適材適所に配置する

社員のスキルやモチベーションなどが把握できたことで、異動や抜擢、ポジションの変化などを行いやすくなります。各部署でのミッションが達成できる人材なのか、本人の能力が十分に発揮できる部署なのか、本人がまだ十分に出せていない能力を引き出すことができそうか、あらゆる視点で検討し、配置していきます。 これは、各現場の責任者を巻き込んで進めていく力も求められます。優秀な人材を異動させたくない現場、マネジメントしづらい人材を手放したい現場、様々な思惑があるため、うまく実行していかなければなりません。 ただ、人はロボットではありませんので、ベストな配置が常にできるかというと、それは分かりません。最初はうまくいっていても、長く続かないこともあります。人の気持ちやモチベーション、価値観は日々変化していきますので、常に状況を把握し、配置を検討していく必要があります。

4)アクションの検証

このような施策を行う上では、検証が欠かせません。そもそもの目的は適切だったか、事業の成功に貢献したのか。配置計画や評価は社員にとって納得のいくものだったか。調査を行い、次の施策へ反映させていくことが重要です。  

タレントマネジメントが注目されている背景

個人の能力を引き出し企業の競争力強化

従来の日本では終身雇用や年功序列などの制度のもと、一つの会社の中である程度決まったキャリアを描くのが一般的でした。順番を待っていればいつか役職がつき、仕事を任されるという時代が長く続いていました。 しかし、技術革新が進む現在、従来の延長でビジネスを展開するだけでは企業の成長にはつながりません。そのため、変化する時代に対応できるよう、従業員のスキルや能力、価値観を把握し、人材育成に努めることが求められるようになりました。 一人ひとりのスキルに合わせて適切に配置し、個人の能力を最大限に発揮することを意識していかなければ、事業はうまくいかず、経営にも大きなダメージを与える可能性があるのです。

関連記事:【マネジメントとは】定義や役割、またチームマネジメントなど様々なマネジメント手法をご紹介

離職防止

従来の雇用形態が崩れ、個人単位でキャリアを考えることが必要とされる昨今では、中途採用市場が活性化し、転職へのハードルがぐっと下がりました。十数年前に比べると、会社を辞めるという選択肢を取りやすく、転職や起業などで離職してしまう可能性が高くなっています。 つまり、優秀な社員に自社で長く活躍してもらえるように、働きがいのある環境づくりをしなければ、企業としての競争力を保つことが難しくなってきているともいえます。

人材不足

多くの企業が人材不足に悩まされています。リクルートキャリアの調査によれば、転職市場における業界・従業員規模ごとの有効求人倍率では一部業界・規模で売り手市場となっており、採用難の状況が続いています。
参考:2018年5月の転職求人倍率を発表。5月は1.78倍 -株式会社リクルートキャリア-

【関連記事】人手不足の背景とは?必要な対策は「社員が辞めない会社」づくり

タレントマネジメントを活用するうえでのポイント

社員からの理解を得る

社員のデータを集め可視化するということは、内容によっては個人のプライバシーに深く入り込むこともあり、反発を生むこともあるでしょう。年齢を気にする方は生年月日を公開することに抵抗があったり、性別などの情報収集も様々な考え方があります。 価値観が多様化していることを認識したうえで、なぜタレントマネジメントが必要なのか、社員に十分に説明し、理解を得ることが必要です。また、理解の状況によっては不必要な情報を収集しないようにするなど、人事部門の細やかな対応が求められます。 また、理解を得るためにもタレントマネジメントが活用されたことで出た成果を共有していくことも重要です。

コミュニケーション活性化につなげる

一部クラウドツールなどを導入すると、アイコン画像で使われる顔写真や、趣味などプライベートな面も見ることができます。お互いのプロフィールを把握することによって実際の接触回数以上の円滑で深いコミュニケーションと取れるようになり、信頼関係が築きやすくなります。 どの情報まで公開するかは慎重に検討する必要がありますが、社員同士の理解促進が進むことでモチベーションの向上や組織活性化につながります。集めたデータを全部クローズドにする必要はありません。

タレントマネジメントとコミュニケーションで経営を変える

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▼『TUNAG(ツナグ)』について 『TUNAG(ツナグ)』では、会社として伝えたい理念やメッセージを、「社内制度」という型として表現し、伝えていくことができます。 会社様ごとにカスタマイズでき、課題に合ったアクションを継続的に実行できるところに強みがあります。 「施策が長続きしない」「定着しない」というお悩みがございましたら、「現在のお取り組み」のご相談を無料で行っておりますので、お問い合わせください。
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