リーダーシップとは
チームや組織を率いること・その能力
リーダーシップとは、主にチームや組織を率いて目標達成に向かうその力を指すことが多く、企業であれば主にマネジメントを行う方に求められる能力としてあげられます。
ドラッカーが述べる「リーダーシップ」の定義
ドラッカーは『プロフェッショナルの条件』にて、リーダーシップについてこう述べています。
「リーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に確立することである。リーダーとは目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である」
また著書の中では、リーダーシップの定義として、以下のようにも述べています。
「リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである」
リーダーシップは才能や性格に左右されるものではなく、「仕事」であるということです。
そのため、新入社員であっても、率先して仕事で成果をあげるために自発的に動き、結果的にチームも同じように動いた例があれば、それも一つのリーダーシップになるといえます。
【参考】P・Fドラッカー(2000)『プロフェッショナルの条件』(ダイヤモンド社)
リーダーシップは、一人ひとりが身につけるべき能力
リーダーシップが大事だという話は、社会人になるよりも前の、高校・大学時代においてもよく耳にしたのではないでしょうか。人によっては、就職活動で自身のリーダーシップに関する経験を話したことがある方もいるでしょう。
そのため、必ずしも上司や管理職、経営層にだけ当てはまるものではなく、チームに所属していれば、誰にでも求められる能力だといえます。
マネジメントとの違い
マネジメントは目標達成のために、主に上司が部下に対してあらゆる施策を行うことをいうため、対象は部下を持つ上司になります。一方、リーダーシップは部下がいるいないに関わらず、チーム全体をひっぱることはすべてリーダーシップだといえます。
リーダーシップを発揮するとはどういう状態?
その人の行動によって、周りが引き上げられ、組織活性につながっている
必ずしも上司やチームの「長」にあたる人がリーダーシップをとればいいということではないと述べました。
リーダーシップを発揮するとは、その行動によって周りに良い影響を与え、組織の活性化につながったり、成果を出していることをいいます。生まれつきの才能などではなく、「仕事」そのもので発揮できる人が、リーダーシップがあるということになります。
リーダーシップの種類
リーダーシップの種類とその特徴を紹介します。
民主的リーダーシップ
民主的リーダーシップは、意思決定においてリーダーがメンバー全員の意見を尊重し、チーム全体での議論で互いの意見を納得する形で一致させて方向性を決定するリーダーシップです。
このタイプは、従業員やチームメンバーが積極的に参加し、自分の意見を述べる機会を与えることで意思決定の過程が共有されます。多様なアイディアが出やすいため、創造性やイノベーションが生まれる可能性が高まります。
一方、参加型であるため、全員の意見を聞いたり、合意を得たりするのに時間がかかることがあります。緊急の場面などでは非効率になってしまう可能性があります。
独裁的リーダーシップ
リーダーが強い権限を持ち、自分自身で意思決定を行い、メンバーに対して一方的に指示をするリーダーシップです。
リーダーが決断を下すため、意思決定のスピードが早く、緊急時の迅速な対応が可能です。また、強力なリーダーシップによって混乱が少なく、チームで一貫して目標に向かって進むことができます。しかし、メンバーが意思決定に参加できないため、メンバーのモチベーション低下や生産性の低下の原因になる可能性があります。
放任的リーダーシップ
リーダーがメンバーに対して非常に少ない指示や干渉で、意思決定や業務遂行の自由をメンバーに委ねるリーダーシップです。リーダーはチームの目標や方向性を示しはするものの、具体的な業務の進め方や細かい管理にはほとんど関与せず、メンバーに自主的な判断と責任を持たせます。
メンバーに大きな自由が与えられるため、自己管理能力や問題解決能力が高まるというメリットがあります。また、干渉が少ないためメンバーは自分のペースで業務を進行でき、新しいアイディアなどを試すことができます。
その反面、リーダーからの明確な指示がないため、混乱が生じたりチーム全体の進捗が滞ったりする可能性があります。
コーチ型リーダーシップ
リーダーが個々のメンバーの成長やスキルアップを支援することに重点を置くリーダーシップです。リーダーがコーチのようにメンバーを導き、メンバーが自身の目標を達成できるようにサポートしながら、組織全体の目標達成も図ります。
メンバーはリーダーからのフィードバックやサポートから成長を実感することでモチベーションが高まります。また、個々が成長し、パフォーマンスが向上することによって、チーム全体の協力体制や成果にもつながります。
サーバントリーダーシップ
リーダーが自分自身をチームや組織の「奉仕者」として位置付け、メンバーのニーズや成長を最優先に考えるリーダーシップです。リーダーが主導して命令を下すのではなく、メンバーが能力を最大限に発揮できるようにサポートします。メンバーの声をよく聞き、共感することでメンバーが尊重され信頼関係が築かれます。
リーダーシップがある人の7つの特徴
リーダーシップは生まれつきの能力ではないとご紹介しました。誰もが身につけることができる力です。ドラッカーの著書、『プロフェッショナルの条件』では、リーダーシップをとれる人の第二の要件として、「責任」をあげています。
リーダーたることの第二の要件は、リーダーシップを、
地位や特権ではなく責任と見ることである。
優れたリーダーは、常に厳しい。ことがうまくいかないとき、そして何事もだいたいにおいてうまくいかないものだが、
その失敗を人のせいにしない。
この定義をもとに、リーダーシップ能力の高い人の特徴を考えてみました。
1)信頼されている
「責任」がとれる人間であるということは、周りから信頼を得ている。ということにつながります。
会議の時間を守る、一度言ったことに責任を持つ、人によって話すことを変えない……など、メンバーからの信頼を得ることはリーダーシップを発揮するためにまず前提として重要なポイントとなります。
2)行動力がある
リーダーシップがある人は、常にメンバーの前をぐいぐいと歩いているような印象がありませんか?失敗を恐れず、前に進んでいく力は、周りへの影響も大きいもの。また、目標達成のためにしっかり行動することもリーダーシップには重要です。
1)でご紹介したように、周りから信頼されるためには、自身に課せられた役割を果たすことも重要です。自らの責任である目標達成のために、行動する力が求められます。
3)誠実である
顧客に対しても、メンバーに対しても誠実に向き合い、ちゃんと尊敬の気持ちを持って接することは、1)でご紹介したように信頼を得るためにもおさえなければいけない基本です。
どれだけ能力が高くても、不誠実な人についていきたいとは思わないですよね。
4)コミュニケーション能力が高い
言わなければ分からないことを言わなかったり、伝わっていないことをそのままにしていたりと、メンバーとのコミュニケーションがうまくいかない人はリーダーシップがとれているとはいえません。
重要なのは、自分の言動によって、メンバーが「行動」にうつっていること。コミュニケーション能力が高い人は、相手を行動させ、結果につなげる力もあるのではないでしょうか。
5)決断力がある
あれこれと悩み、優柔不断な態度をとる人に、ついていきたいと思う人、いい影響を受ける人は少ないでしょう。
自分としての判断軸をしっかり持ち、正解かどうかに関わらず決断できる力がある人は、周りも引っ張られていくパワーを持っているのではないでしょうか。
6)逃げない
困難な目標や、トラブルなどから逃げないということが、責任を果たすということでもあります。ドラッカーが述べるリーダーシップの第二の要件である「責任」について、一番大切なポイントかもしれません。
7)精神的に安定している
リーダーシップを発揮する人は、精神的にも安定し、浮き沈みがありません。常に冷静で、自身の気分に左右されない精神的な強さが必要です。自分の意見に対して反論や批判の声が上がっても、しっかりと受け入れる器の大きさが求められます。
このような態度が、1)の信頼につながっていきます。
リーダーシップがある人になるには何をすべきか
1)チームのメンバーを信頼する
なんでもかんでも指示し、メンバーに仕事を任せられず口を出してしまうと、メンバーからは「自分のことを信頼されていない」と思われてしまいます。お互いの信頼関係をつくるためには、自身がメンバーを信じることも重要です。
あれこれ指示をするのではなく、メンバーの能力を信頼して業務を任せ、そのプロセスと結果に対してアドバイスをしたり、モチベーションが上がるような声がけや感謝の言葉を伝えていきましょう。
2)普段から自分の意思を明確にもつ
判断力が弱く、決断も苦手……という方は、普段から何かを決めるときに迷わないように自分の意思、こだわりを持つように意識してみましょう。
自信がある人の決断や判断は、そうでない人よりも力があり、周りも納得します。決断した内容ではなく、本人が「こう思っている」という気持ちの強さが相手にも影響します。
3)仕事以外で人のつながりを多くもつ
コミュニケーション能力の高い人は、様々な年齢層、環境、立場の方に関わらず相手が思っていることを察し、適切な対応ができます。
普段から自分と気が合う人とだけ過ごしていると、そのような能力は身につきにくく、自分と価値観が違う人に対応できなくなります。今後働き方の多様化が進む中、様々な価値観を持つ人とコミュニケーションをとるうえでは、普段から意識して自分とは違う世界の人とつながりをもつよう、会社の外に出ていくことが大切です。
4)明るくポジティブに振る舞う
必要以上ににこにこしたり、メンバーにとって親近感のある存在、いわゆる「仲良し」な関係を意識する必要はありません。
しかし、常に不機嫌、怒鳴ってばかりという人についていきたい人はいないでしょう。いつもは明るくポジティブであるという前提があるからこそ、ときに優しく、ときに厳しく接するその姿勢に説得力が出るのではないでしょうか。
一人ひとりがリーダーシップをとれる組織づくりを
リーダーシップは、上司や先輩だけに求められるものではありません。企業が成長していくためには、社員のエンゲージメントを高め、強い組織づくりを行うことが必要です。
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