従業員の本音を引きして組織を変える。風通しの良い職場を作るために経営者がすべきこと
従業員が不安を抱えているにもかかわらず、それを相談できない組織は健全とは言えません。経営者や管理職は、従業員の本音を引き出すことで健全な経営体制や働きやすい環境を作ることができます。従業員が本音で話せる文化や体制づくりは、その第一歩です。
しかし、形式的に「本音を語って欲しい」と伝えたところで、実際に従業員が本音を口にするのは難しいことです。従業員が本音を口にできる組織にするために、どのようなことが必要なのでしょうか?
【時間がない方のためのポイントまとめ!】
- 「意見を言えない環境」は離職につながる
- 業務外のことも話せる場を作る
- 現場の声から組織は変わっていく
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従業員が自由に意見を言えない企業は人が去って行く
働きやすい環境、健全な組織運営のためには、従業員が自由に意見を言える体制が不可欠です。
しかし、実際には従業員が意見を言わずに不満をため込んでいたり、何も言わずに会社を去って行くケースもあり得ます。従業員の上司が「思ったことを自由に言って欲しい」と伝えたところで、それでも意見を言えない従業員は少なくありません。
なぜ、そのような状況に陥ってしまうのでしょうか。
「言わない」ではなく「言えない」環境になっていないか
「もっと自由に意見を出して欲しい」「些細なことでも言って欲しい」と伝えていても、意見が出てこない。とはいえ事業や組織に対して疑問や不満がないわけでもない。
もしかすると、従業員が意見を言わないのではなく、“言えない環境”になっていませんか?
そのような状況は、従業員が意見を言ってもどうせ受け入れられないと感じていたり、逆に批判されるのを恐れていたりするため起こります。
例えば、上司や管理職が口では「意見を歓迎している」と言っていても、ネガティブな内容は聞き入れられなかったり、上司から個別に呼び出されて注意されたりすることが、日常的に起きていないかを確認する必要があります。
もし、従業員が何かしらのペナルティを恐れて「言えない」のであれば、いくら発言を促したところで、本音を口にすることはないでしょう。
「言ってもムダ」と思われている社内で起きていること
「言えない」と同じくらい厄介なのが「言ってもムダ」と従業員から思われるケースです。
従業員が現場の問題を述べても経営層が何の対応もしなかったり、上司に意見をしてもすべて否定されるような状況では、従業員は次第に「どうせ言ってもムダ」と考え、意見を言わなくなります。
経営者や管理職は、従業員の意見がどのように反映され、組織の成長や改善につながっているかを明確に示すことが重要です。
何も言わずに去って行く従業員たち
意見を言いたくても言えない、言ったところでムダだと従業員が考えている場合、何も意見を言わずに会社を去って行きます。
従業員が意見を言わないまま退職することは、企業にとって大きな損失です。
もし、離職率が高く、その退職理由について述べないまま去って行く従業員が多いと感じているなら、早急な対策を練る必要があります。
自由に意見を言える企業は現場から組織が変わる
では反対に、もし社内で従業員が自由に意見を言える環境が整っているとしたら、組織はどのように変化していくのでしょうか?
従業員が自由に意見を言えることで組織内に起こる具体的なソリューションを紹介します。
数字や表に現れなかった問題点を把握できる
自由に意見を言える環境が整うと、組織は数字や表に現れない重要な問題点や課題を把握することができます。
従業員は日々の業務で直面する課題や、システム上では捉えきれない改善すべき問題を抱えていることが多いですが、意見を言える環境が整っていないと、これらの重要な課題や問題点が上がってきません。
今すぐ業務に支障をきたすような大きな問題ではなくとも、小さな問題が積み重なればその分業務の生産性のロスは大きくなりますし、後に大きな問題に発展するようなインシデントが発生しているかもしれません。
従業員が自由に意見を言える環境を整えることで、こうした問題点を早期に発見し、解決策を導入することができます。
従業員がストレスなく働ける環境を作れる
意見を言えない環境では、従業員に不満がたまっていくばかりでなく、その不満がチームや組織に蔓延していきます。
業務や組織に対してのストレスは生産性の低下や離職につながってしまうため、早急に対処が必要です。
「業務に対してムダがあるので改善して欲しい」「業務に使っているツールが使いづらいので変えて欲しい」といった業務に関する意見から「チームでの人間関係に悩んでいる」といった悩みまで、意見を躊躇することなく言える職場では、従業員の余計なストレスがなくなります。
「意見を言うのに勇気がいるな」「批判されたらどうしよう」という、それこそ無駄な悩みが起きないように、意見を言いやすい場を作りましょう。
意見に対して業務の進め方やオペレーションが改善されれば、ストレスなく働ける環境の構築にもつながりますし、組織全体のパフォーマンスも向上します。
チーム間のコミュニケーションで顧客満足度・生産性が向上する
上司への意見だけではなく、チーム間で意見が自由に行き来する環境が整うと、顧客満足度や生産性の向上まで好影響を与えることにもなります。
例えば、カスタマーサクセスチームが顧客からの要望や不満をヒアリングし、重要な項目はすぐに意見としてプロダクト開発チームへ共有。プロダクト側は開発優先度に応じて必要な機能追加や改善を瞬時に反映しやすくなるでしょう。
これにより、顧客のニーズに応じたプロダクトやサービスの提供が可能となり、顧客満足度が向上します。
また、従業員がより効率的な改善・解決策を見つけ出しやすくなり、生産性の向上や事業・組織全体の成長が促進されます。
自由に意見を言える場を作るために必要なこと
従業員が自由に意見を言う環境を整えるためには、形式的で一方的なメッセージを発信するだけでは不可能です。具体的に、どのようなことが必要なのでしょうか。
発言しやすい場を提供する
数値や業務の報告・共有を行う定例ミーティングとは別に、気軽に意見交換ができる場を設けてみたり、ランチミーティングを設定したりするのも効果的です。
通常の業務から離れて、以下のようなルールで自由に意見を言い合う環境を用意しましょう。
- 他人や異なる意見を否定しない
- 批判的な視点を歓迎する
- ファシリテーターを決めて意見を積極的に求める
やらせてみて結果から学ばせる
従業員が何かアイディアを持ってきたときに「否定」から入っていませんか?
否定を何度も繰り返してしまうと、従業員達は「何を言っても否定される」とマイナスの学習をしてしまいます。新しいアイディアや意見・提案は、否定から入るのではなく、まずは実行させて結果から学ばせるという視点も重要です。
例えば、小規模なプロジェクトや試験的な取り組みを実行させ、その結果をチーム全体で評価し、学びの機会とします。たとえ失敗したとしても、そこから学びを得られることが分かれば、従業員は失敗を恐れずに自らの意見やアイディアを積極的に表現するようになるでしょう。
ただし、失敗を叱責しない・成功のため全力で取り組むなど、チャレンジには基本的なルールを設ける必要はあります。
普段からのコミュニケーション
普段あまり話したことのない人に対して、いきなり忌憚のない意見を述べるのは難しいことです。上司と従業員のコミュニケーションが活発でない場合、従業員は自由な意見を述べることができません。
上司や管理職に対し、普段から仕事について話をしたり、あるいは仕事以外の趣味や故郷のことなどで話題づくりして、コミュニケーションを取っておくように指導しましょう。
1on1の機会を設けて、ワークライフバランスについてや趣味、最近熱中していることなど、業務外のことやその人の話をすると、お互いの人間性が理解できて、コミュニケーションが取りやすくなります。
普段から良好な関係が構築できているかどうかも、意見を言いやすい場を作る重要な要素です。
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自由に発言できる場をどう提供するか
自由に発言できる場を提供するためには、制度や管理職以上の意識改革も重要ですが、実行するためのツールも不可欠です。経営と従業員のオープンかつ双方向なコミュニケーションの場を提供する「TUNAG」を活用した具体的な提供方法について解説します。
【社内チャット】従業員が意見を投稿できる場を作る
社内チャットツールは、リアルタイムでのコミュニケーションを可能にし、従業員が気軽に意見を投稿できる場を提供します。
「TUNAG」には社内チャット機能があります。部署間や地理的な制約を超えて意見交換が行われ、新しいアイディアが生まれやすくなります。
管理職もこのチャットを通じて直接的にフィードバックを行い、従業員の声に耳を傾けることができます。
【社長メッセージ】社長自身が広く意見を募集する
社長が自ら定期的に全従業員に向けたメッセージを発信し、広く意見を募集することで、組織全体に対する透明性と参加感を高めることができます。
上司に不満がある従業員でも、社長に直接意見をできる場を設けることで、本音で意見を伝えてくれることもあるでしょう。
従業員からの意見に対し社長が個別に返信したり、提案を採用したりすることで、従業員の関与とモチベーションを向上させることができると共に、従業員を大切に思っているというイメージを流布することにつながります。
TUNAGの活用事例:カフェカンパニー株式会社の双方向コミュニケーション推進
カフェカンパニー株式会社では、従業員が自由に意見を言える環境を作るために「TUNAG」を導入いただきました。
「現場のスタッフがどうやって本部や他の店舗とコミュニケーションをとるか、どう本部が支援していくか、というところが、会社としての強さにつながると思います」という考えのもと、「TUNAG」の活用によって従業員が現場から本部や他の店舗に情報を共有しやすくする仕組みを構築し、コミュニケーションのハードルを下げ、日常的に情報が発信される環境を整えています。
カフェカンパニーの社内制度。運用現場から情報が上がってくる「双方向のコミュニケーション」を推進
従業員が自由に意見を言える組織は現場から変わっていく
従業員の本音を引き出すことが、組織の健全性と効果的な運営に不可欠であることは明らかです。しかし、単に本音を求めるだけではなく、実際に従業員が安心して意見を述べられる環境を整えることが重要です。
従業員が意見を言えない状況には、組織が成長する機会を逸するリスクがあります。また、意見が無視されると感じる従業員は、組織に対する帰属意識を失い、離職率が増加する可能性があります。
経営者や管理職は、従業員の意見を真剣に受け止め、積極的に改善に反映することで、従業員の満足度や生産性を向上させ、組織全体の成果と透明性を高めましょう。