月次報告書のテンプレート・例文と、書き方の6つのポイント
「月次報告書」の作成は、組織の業績を評価し、改善の方向性を示すうえで重要です。
この記事では、月次報告書の効果的な書き方だけでなく、組織の力を最大限に引き出すためのポイントを解説します。
月報の目的やPDCAサイクルの重要性、そして組織の成果を最大化するための具体的な方法について詳しく解説しています。月次報告書をより効果的に活用し、組織の成功を追求しましょう。
月次報告書(月報)とは?
月次報告書の定義とは
月次には、「毎月実施すること」という意味があります。月次(げつじ)報告書とは、1ヶ月間の目標に対する実績・成果、取り組んだ業務の内容や進捗、実績などをまとめた報告書のことです。省略して「月報」とも呼ばれます。
月報を記入・提出することで、従業員自身も業務の進捗や実績を振り返り、PDCAに生かすことができます。また、上司が部下の状況を把握したり、経営陣が現場の状況を把握するのにも役立ちます。
また月報は個人単位ではなく、部署単位・事業部単位で記載するケースもあります。特に、月次決算を行なっている企業においては、各部から提出された月報をもとに月次決算書や事業報告書を作成する流れとなります。
月報と週報・日報の違い
月報と週報、日報の違いには以下が挙げられます。
月報 |
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月報はその月の成果について、上司や外部に報告するものです。個人で作成するほか、チーム単位や部署単位で月報を作成するケースもあります。部署やチーム単位で作成した月報は、月次決算の参考資料として使われます。 月報は進捗共有よりも、「今月は目標に対してこれだけの成果が出ました」という結果報告が主な目的です。上司にとってはマネジメントや人事評価の判断材料にもなります。 また、従業員自身にとっても、目標に対する成果を振り返り、翌月以降の改善点を考える機会となるため、中長期的な観点でPDCAを回すのに生かすこともできます。 |
週報 |
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週報は1週間の業務進捗や目標達成の見込みを記載し、上司に対して提出したり、あるいはチーム内で共有したりする報告書です。チームとして週報を作成するケースもあります。 上司は週報をもとに、必要に応じて従業員をフォローすることができます。また、チーム内でも目標達成ができるよう業務分担を見直したりするきっかけになり、プロジェクト単位や月単位での目標達成のために、細かくPDCAをまわすことに活用できます。 |
日報 |
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日報はその日の勤務について、従業員個人が作成し、チームや上司に向けて提出する報告書です。 主にその日の業務内容を報告したり、業務進捗を共有するのが目的です。チームの他のメンバーや上司が、従業員個人の動きを把握するのに役立ちます。 月報と週報はチーム単位や部署単位で作成することもありますが、日報は主に個人で作成・提出するものです。 |
月報の意味・目的
ここでは月報の意味や目的について詳しくご紹介します。
目標管理ができる
月報の目的として目標の管理が挙げられます。目標がどのくらい達成できているのか、達成できていない場合は何がどの程度足りないのか、達成できる見込みはあるのかなどを確認する際に利用されます。
定量化された根拠のあるデータが蓄積されることで、今後の方向性や軌道修正の必要性などの確認も可能です。また、成果と活動内容の因果関係を証明する際にも役立ちます。
評価の判断材料になる
月報は評価の判断材料にもなります。成果が出せているのか、実績はどのくらい積んでいるのかなどを確認できるため、判断材料として役立ちます。
振り返りの機会になる
月報は1ヶ月間という期間をまとめて報告するため、その間の進捗状況や業績の推移なども確認できます。後から見直すことによって、振り返りの材料になるでしょう。さらに、前年同月比や前月比などの過去の実績と対比させることもできます。
翌月以降の計画を立てられる
月報は翌月以降の計画を立てるのにも役立ちます。月報を読めば業績の経過や目標に対する進捗度などが分かり、翌月以降の契約を立てやすくなります。
月次決算を実施する流れ
月次決算とは、事業進捗や売上状況、財政状態などを可視化するために、毎月行う決算のことを指します。事業年度末と別に実施することで、より細かく事業状態を把握し、経営判断に活かすことができます。月報によって各事業部や各部署の成果を可視化、月次決算書としてまとめる流れになります。ここでは、月次決算がどのように行われていくのかを確認していきましょう。
決算整理仕訳を実施する
まず初めに、各部署の売上、経費、在庫などのデータを収集して、決算整理を行います。具体的に実施することは下記の通りです。
項目 | 具体的な作業内容 |
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現金や預金の残高を確認する | 帳簿に記載している残高と現金預金残高が一致しているかどうかを確認し、差異があれば原因を特定、修正処理を行う。 |
月次棚卸を行う | 在庫をはじめとする棚卸資産が帳簿と一致しているかを確認します。売上原価の計算や在庫評価を正確に行うため、月末時点での在庫の数量と価値を正確に把握します。 |
仮払金や仮受金を整理する | 月末時点で未精算の金額に対して適切な仕訳処理を行います。実際の支出や収入を正確に財務諸表に反映させるために必要な作業です。 |
経過勘定処理を行う | 未払費用や前払収益など、期間をまたがった収益や費用を、未収収益・未払費用として計上します。当月の収支を正確に財務諸表に反映することが可能です。 |
1年単位で支払う費用を分割して計上する | 年間契約の保険料や定期購読料、賞与、固定資産の減価償却費などの、通年で支払われる費用を12分割して計上します。 |
月次試算表を作成する
当該月の各部署の売上、経費、在庫などのデータの整理が完了したら、月次試算表の作成に移ります。月次試算表は、総勘定元帳から数字を転記したものです。
月次試算表では、各勘定科目の借方と貸方に差がないかを確認しつつ、一致していない場合は原因を特定する必要があります。その際は、各事業部や部署から提出された月報の内容と照合させながら、確認していきましょう。
なお、試算表は下記の3種類に分類されます。
- 合計試算表:各勘定科目の借方と貸方の合計額を示す帳簿です。
- 残高試算表:各勘定科目ごとの残高がまとめて記載されている帳簿です。
- 合計残高試算表:合計試算表と残高試算表が合わさった帳簿です。項目は借方残高・借方合計・貸方合計・貸方残高に分けて記載されます。
月次報告書としてまとめて、経営層に報告する
月次決算で取りまとめた内容をもとに、経営状況を数値面から可視化し、経営層に向けて報告します。数値を並べるだけではなく、年間推移や前年比が一目でわかるように、整理すると良いでしょう。
月次報告書の取りまとめが遅くなると、経営判断にも影響が出るため、各従業員にも協力してもらって、決算整理や月次試算表の作成までをスピーディーに行うことが重要です。
月報(業務報告書)の書き方:6つのポイントをご紹介
月報は誰が見て分かりやすくまとめる必要があります。ここでは、月報の書き方のポイントをご紹介します。目標と実績を比較して、達成状況を定量的に書く
目標に対する現状の達成状況を記載します。達成状況は、目標と実績を比較して定量的に書くことが大切です。 たとえば、営業の場合は目標の数字なども一緒に記載すると分かりやすくなります。1ヶ月単位での報告になるので、週報や日報よりも視野を広げて記述することが重要です。箇条書き・表・グラフ等を活用して分かりやすく
業績と実績は「箇条書き」を用いると分かりやすいでしょう。また、数値を載せる場合は表やグラフなども活用すれば実際に業務に携わっていない人でも分かりやすくなります。 無駄な部分は削減し、計画の重要な部分をうまくまとめて達成状況を記載します。さらに、前年同月比や前月比、売上の推移なども表やグラフにまとめることで、一目で情報を把握できます。成果報告だけでなくその要因も書く
月報では成果を報告するだけでなく、その要因も記載しましょう。どのような行動が原因でその成果に結びついたのかを記載します。また、成功の要因だけでなく失敗の要因も探りましょう。ネガティブな結果・出来事を隠さない
月報にはポジティブな内容だけでなく、ネガティブな結果や出来事も記載しましょう。成果が上がった活動だけでなく、トラブルや失注などの要因を記載することで、今後の活動を見直す際に活用できます。翌月の目標や計画も
活動内容や原因分析と一緒に、翌月の達成目標と活動計画も立てましょう。「誰が」「何を」「どのように」するのか、具体的に記載します。記載漏れがないよう、こまめに書き進めておく
月報は1ヶ月分の情報をまとめて記載するため、記載漏れが起きる可能性があります。そのため、1ヶ月分をまとめるのではなくこまめに書き進めておくのがおすすめです。月報(月次業務報告書)のテンプレート・例文4選
では具体的に月報(月次業務報告書)は、どのように記載すればいいのでしょうか。ここでは、テンプレートと例文を4つご紹介します。営業職のテンプレート・例文(受注実績)
今月の目標
受注額:80万円業務内容
- アポ獲得15件
- 商談実施20件
- 1週目:顧客へのアポイント
- 2週目:顧客先への訪問
- 3~4週目:顧客への提案
実績・成果
受注額:85万円 目標は達成。訪問商談を強化し、商品を直接見せながら説明できたことでしっかりと価値を伝えることができ、受注につながったと考えています。翌月の目標と計画
受注額:90万円- 「うちはまだ大丈夫かな」を理由として断られた場合の切り返しを用意。
- 商品説明と併せて、店舗ディスプレイの提案も行なっていきます。
企画職のテンプレート・例文(キャンペーン成果)
今月の目標
期間限定商品Aの売り上げ:200万円業務内容
商品Aのキャンペーンを全国300店舗で実施しました。- キャンペーン企画の立案:5営業日
- 店舗への周知:2営業日
- キャンペーン用の販促物の準備:5営業日
- キャンペーン実施・店舗回り:7営業日
実績・成果
期間限定商品Aの売り上げ:187万円 目標を達成することができませんでした。 モニター100人に商品Aを使用してもらったところ、高評価だった点は使用感やコストパフォーマンスであり、フレーバーには賛否があったと分かりました。フレーバーに改善点があるものと考えています。翌月の目標と計画
- フレーバーの種類を増やし、モニターのいる店舗にサンプル配布
- 情報収集の上で評価の高いフレーバーで予算を投下してキャンペーンを強化します
マーケティング職のテンプレート・例文(広告運用)
今月の目標
新商品のCV数:150件業務内容
新商品発売に合わせてSNS広告を展開しました。バナーを5種類作成し、配信しました。- 1週目:配信先SNSの選定、競合他社の情報を収集
- 2週目:広告コピーとバナーの作成
- 3~4週目:広告出稿・効果検証
実績・成果
CV数:151件 ギリギリ目標を達成。広告配信当初はCVが伸び悩みましたが、効果検証をしてCV率の高い広告に絞って予算を投下した結果、最終週に大きくCVが伸びました。翌月の目標と計画
成果の出ているバナーの効果検証を続けつつ、CV率が5%を切った場合に差し替えるバナーを作成する。 また、SNSの投稿にも注力し、フォロワー数+200名、流入数+10%を狙います。店舗責任者のテンプレート・例文(店舗運営)
今月の目標
客単価を昨年比で5%向上業務内容
今月は新商品の展開により客単価5%アップを目指しました。その他、アルバイト採用にも取り組みました。- 1週目:新商品キャンペーンの店舗内周知、新商品の試作
- 2~3週目:ロープレ実施、アルバイト採用の掲載文と画像を準備
- 3~4週目:新商品の販売、面接実施4件、翌月のシフト確定など
実績・成果
客単価:5.2%アップ 目標を達成 新商品の売れ行きが良く、評判も良かったです。お客様に聞いた話では、口コミやSNS投稿があった様子。結果的に客単価向上につながったようです。 採用面では、4名面接して1名の採用が決定しました。翌月の目標と計画
新商品の売り上げ:前月比10%アップ- SNS投稿で新商品の情報を宣伝
- 新商品の画像をSNS投稿してくれた方へのプレゼントキャンペーンも実施