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ノーコードアプリとは
ノーコードアプリとは、ソースコードを記載し機能を実装しなくてもモバイルアプリケーションやWebサイトなどを構築することができるプラットフォームサービスです。例えば、iOS開発をするとき、Xcode(Apple社が開発しているアプリ開発ツール)にSwiftを直接書いて機能を実装したり、デザインを決めたりする必要があります。もちろん、モバイルアプリ開発に精通したエンジニアでなければ、アプリケーションを構築することは困難です。
一方、ノーコードアプリはGUI(Graphical User Interface)上でボタンをクリックしたり、要素をドラッグアンドドロップしたりしてアプリ開発をすることができます。そのため、モバイル開発やWeb開発に携わったことがない非IT人材でも構築することができるため、エンジニア不足をカバーできるなどのメリットがあります。
参考:
社内アプリとは?事例3社や3つの注意点、作り方について解説 | 社内ポータル・SNSのTUNAG(ツナグ)
ローコードアプリとの違い
ノーコードアプリとローコードアプリの違いは、ソースコードを記述する量です。ローコードアプリは、最小限のプログラミングを行い、アプリを構築します。つまり、ソースコードをまったく書かないわけではありません。一方、ノーコードアプリはソースコードを書く必要すらないため、記述量に違いがあるといえます。
国内における市場動向
ノーコードアプリの国内市場規模は、近年増加傾向にあります。ビジネスとITに関するソリューションを提供するIT調査・コンサルティング会社、ITRの調査によれば、2020年の売上金額は515億8,000万円となっており、前年である2019年よりも24.3%増加しています。また、2025年には、1,539億円にまで増加することが予想されており、市場規模は増加傾向です。
参照:
ローコード/ノーコード開発市場が24.3%の大幅増、2023年度には1,000億円規模に |ビジネス+IT
海外における市場動向
海外も国内と同様で、市場が急拡大しています。日本経済新聞によれば、2019年のノーコードアプリの世界市場は、100億ドルに達していない状態でした。しかし、2023年には150億ドルを超える予想となっています。
参照:
「ノーコード」教育に商機: 日本経済新聞
ノーコードアプリの歴史
近年、注目を集めるノーコードアプリですが、その歴史は1900年代後半までさかのぼります。ここでは、ノーコードアプリの歴史を大きく3段階に分けてご説明いたします。
▼参照
ノーコード・ローコードとは - NoCode Journal Japan ノーコード ジャーナル ジャパン
ローコード開発の歴史と将来性 | 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート
1. ジェームズ・マーティンの著書にてノーコードの概念が誕生(1982年)
1982年、ジェームズ・マーティンが出版した『Application Development Without Programmers』によってノーコードの概念があらわになりました。著書の中で彼は、将来的なIT人材不足を抑制するためには、一部分でもプログラムなしで動くようにする必要があると説いています。この概念の誕生によりノーコードアプリが世間に認知されることになりました。
参照:
Application development without programmers (1982 edition) | Open Library
2. コンテンツ管理システムの登場(1995年)
1995年にCMS(Contents Management System)が登場します。CMSはコンテンツ管理システムのことで、HTMLやCSS、JavaScript等の知識がなくてもWebサイトを構築し、情報配信することができるようにサポートしてくれるアプリケーションです。ユーザーからのリクエストに対してデータベースから適切なコンテンツを読み取り、HTML形式で表示させます。代表的なCMSとして挙げられるのがWordPressです。
CMSは、Webサイト構築の知識がない人でもブログやホームページなどを作れるようにしてくれます。構築する側は、まったくソースコードを記述しなくても情報配信ができるため、ノーコードアプリの一種と捉えられるでしょう。
3. ローコード開発プラットフォーム市場の登場(2011年)
2011年からローコード開発市場がノーコードより先んじて登場しました。その後、2014年にはじめてフォレスター・リサーチ社がローコード開発という言葉を使用したことでその言葉が広まることになります。これによりローコード開発プラットフォーム市場の進歩が加速するとともに、ノーコードアプリが誕生し、現在の大幅な市場規模の増加に至ります。
ノーコードアプリが注目を集める3つの背景
ノーコードアプリが注目を集める背景は大まかにわけて3つあります。それぞれの背景について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてくださいませ。
1. IT人材の不足
1つ目の背景は、IT人材不足です。IT人材は、経済産業省が2019年に発表した「IT人材需給に関する調査報告書」にて以下のような方々を対象とされています。
我が国の IT 人材としては、図 3-1 に示したように情報サービス・ソフトウェア企業(Web 企業等を含む)において IT サービスやソフトウェア等の提供を担う人材に加えて、IT を活用するユーザー企業の情報システム部門の人材、ユーザー企業の情報システム部門以外の事業部門において IT を高度に活用する人材、さらには IT を利用する一般ユーザー等が存在する。
引用元:
IT人材需給に関する調査 | 経済産業省
同調査のIT人材需給の試算によると、生産性上昇率0.7%、IT需要伸び率「中位」の場合でも2030年に44万8,596人のIT人材が不足する結果となっています。IT需要伸び率が高位なら78万7,105人のIT人材が不足する試算です。
このように、将来的にIT人材はさらに不足すると予想されており、企業は足りない部分を別の方法でカバーしなければなりません。企業の中には、ノーコードアプリを導入してIT人材不足に備えようとしているところもあるため、注目を集める背景のひとつとなっています。
2. DXの推進
2つ目の背景は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進です。情報処理推進機構が実施した『DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2021年版)』によると2020年以前と比較して提出企業数の増加や成熟度向上などの理由からDXに向けた取り組みは加速していると述べられています。実際に提出された企業の中で、2020年の有効な診断企業数は305社であり、2021年はそれを大きく上回り486社という結果でした。
DXは、AIやIoT、ビッグデータを活用し、企業の風土やビジネススタイルに変革を起こすことです。これにより、将来的に市場の中で競争力を維持することができるため、企業にメリットがあります。また、政府は世界でも戦える企業を増やすためにも、大きな取り組みのひとつとして実行しています。ノーコードアプリは、DX推進に貢献するプラットフォームであるため、注目されている背景のひとつです。
参照:
DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2021年版):IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
3. ニーズの多様化
3つ目の背景は、ニーズの多様化です。2022年1月に経済産業省が発表した『新しい市場ニーズへの対応』によると世代ごとに消費行動が大きく変化すると述べられています。また、消費チャンネルも多様化しているのが現状です。
このように、ニーズが多様化している現在、企業は素早く新規サービスを立ち上げることが求められます。プロジェクト開始までの従来の工程を歩むとスピード感を持って対応することが難しくなるため、多様化するニーズに応えられません。後述しますが、ノーコードアプリには実装工程を削減できるなどのメリットがあります。これにより、素早くプロジェクトを開始することができるようになるため、多様なニーズに対応することが可能です。
参照:
新しい市場ニーズへの対応 | 経済産業省
ノーコードアプリのメリット3選
ノーコードアプリにはさまざまなメリットが存在します。ここでは、代表的なメリットを3つご紹介します。
1. 実装の工程を削減できる
1つ目のメリットは、実装工程の削減が期待できることです。モバイルアプリやWebアプリの開発を内製したり、Slerに委託する場合、実装の工程は必須になります。機能の実装には数多くの時間がかかるため、プロのエンジニアが対応したとしても一定の時間が必要です。
一方、ノーコードアプリはソースコードが不要になるため、実装工程を削減できます。これにより、開発スピードを向上させることができるので大きなメリットとなるでしょう。
参照:
ノーコードとは?メリットと注意点、ローコードとの違いとは? | エクセル業務効率化支援ツール 楽々Webデータベース
2. 高度なプログラミンスキルや知識が必要ない
2つ目のメリットは、高度なプログラミンスキルや知識が必要ないことです。先述した通り、ノーコードアプリではソースコードを書く必要がなく、直感的なボタン操作や要素のドラッグアンドドロップでアプリ開発ができるため、パソコンを操作できる多くの方がシステム構築に携わることができます。
また、エンジニアを抱える企業は、一般的な社員が開発に携われることでエンジニア不足を解決することも可能です。
3. 業務の要件がうまく反映されやすい
3つ目のメリットは、業務要件をうまく反映させられることです。ノーコードアプリでは内製する場合と同様、業務に詳しい従業員が開発に着手するため、業務の要件を細かく反映させることが可能です。また、自社エンジニアだけではなく、普段お客様と接する従業員も開発に参加しやすいため、自社のイメージに近いアプリケーションを開発することができます。
一方で、Slerに委託するときは、担当者に要件を伝えることでシステムに反映させることができます。しかし、Sler担当者が自社業務に対して精通していない場合、要件を伝達する際に認識の違いが生じる可能性があるため、丁寧なコミュニケーションを心がけることが重要です。
参照:
ノーコード開発とは?特徴とメリット・デメリット、上手に選ぶポイントを解説 | 株式会社パソナ(旧パソナテック)
ノーコードアプリではできないこと・課題
ノーコードアプリは多くの企業に注目されており、メリットも豊富です。しかし、ソースコード不要だからこそ生じるデメリットも存在します。以下では、具体的にできないことや課題を2つ解説します。
1. 自由度や拡張性は限定される
ノーコードアプリは、自由度や拡張性が限定されます。ソースコードでシステムを開発するときは、実現したい機能のメソッドなどがなければ、自分で構築することができます。しかし、ノーコードアプリは事前に用意された機能の範囲で構築していくことになるため、実現したい機能に対応しない場合、自分で作るということはできません。そのため、SIer等に比べて自由度や拡張性が低くなります。
参照:
ノーコード開発にはデメリットやできないことがある。【実際にWebエンジニアが使ってみた】 | Webpia
2. 大規模開発には不向き
大規模開発には不向きです。拡張性が低く、チーム開発環境にも対応していないため、できることは限られます。大規模開発には、さまざまな機能が求められるだけでなく、開発環境の整備も必要になるため、ノーコードアプリでは実現することはできません。
一方、SIerは業種や規模に問わず幅広いシステム開発に対応することができます。例えば、データ分析基盤の構築やクラウドAPIプラットフォームなどの大規模開発も依頼可能です。
ここまでは、ノーコードアプリの全体像を知るための情報をお伝えしてきました。ここからは、おすすめのノーコードアプリ9選を3つの用途に分けてご紹介します。
【1】 アプリ開発に適したノーコードアプリ3選
アプリ開発に適したノーコードアプリを3つご紹介します。
1. Glide
Glideは、typeguard, Inc.が開発・提供しているモバイルアプリ開発向けのノーコードアプリです。Personal AppやBasic Appなど複数のプランが用意されており、自社のニーズに合わせて好みのものを選択することができます。
Glideの特徴は、Googleスプレッドシートを使ったアプリ開発ができる点です。Glide 側でGoogleスプレッドシートを選択すればシートのデータを自動で解析し、作成してもらうことができます。また、スプレッドシード以外にもテンプレートが提供されており、利用目的に応じたアプリケーション開発が可能です。
【概要】
■設立年:2018年
■導入社数:記載なし
■料金:
【個人向け】
・Free app:$0
・Basic app:$12
・Pro app:$32
【ビジネス向け】
・Pro:$99
・Business:$249
・Enterprise:$799
▼参照
ノーコード開発アプリおすすめ14選!無料の日本語アプリや事例も紹介 | テックキャンプ ブログ
Glide • No Code App Builder • Nocode Application Development
2. bubble
bubbleは、2012年にニューヨークで誕生したモバイルアプリ開発向けのノーコードアプリです。アプリ開発からリリースまでをブラウザのみで行うことができます。また、サーバーやデータベース構築も不要です。
bubbleの特徴は、環境構築が必要ない点です。従来の方法では、環境構築後にアプリを構築するのが一般的でした。しかし、bubbleはアカウントを作成すれば、ブラウザ上で開発できるため、手軽に構築可能です。
【概要】
■設立年:2012年
■導入社数:記載なし
■料金:
・Free:$0
・Personal:$25
・Professional:$115
・Production:$475
・Custom:要問合せ
参照:
The best way to build web apps without code | Bubble
3. Yappli
Yappliは、株式会社ヤプリが開発・提供しているモバイルアプリ開発向けサービスです。開発だけでなく、運用や分析もノーコードで行えるプラットフォームサービスになります。
Yappliの特徴は、ネイティブアプリを素早く導入できることです。また、50種類以上の機能や外部連携サービスがあるため、自社のニーズに合ったアプリケーション開発をサポートしてくれます。
【概要】
■設立年:2013年
■導入社数:600社以上
■料金:
・ライトプラン:月額39,800円
・法人プラン:要問合せ
参照:
ヤプリ(Yappli)|アプリの開発・運用・分析がオールインワン
【2】 Webサイト制作に適したノーコードアプリ3選
Webサイト制作に適したノーコードアプリは3つです。
1. STUDIO
STUDIOは、Web制作をノーコードで実現できるプラットフォームサービスです。STUDIO株式会社によって提供されています。
STUDIOの特徴は、わかりやすいUIを採用している点です。直感的に操作できるようになっているため、スムーズにWeb制作ができます。また、リアルタイム共同編集も可能なため、チーム開発に対応しているノーコードアプリです。
【概要】
■設立年:2016年
■利用ユーザー数:250,000ユーザー
■料金:
・Free:0円/月
・Starter:980円/月
・CMS:1,980円/月
・Business:4,980円/月
参照:
STUDIO株式会社(STUDIO, Inc.) | 創造性を、解き放つ。
2. ペライチ
ペライチは、3ステップでホームページを制作することができるノーコードアプリです。提供されているテンプレートの中からデザインを選び、内容を作成、公開することでWeb制作が完了します。
ペライチの特徴は、充実した機能が提供されている点です。例えば、メルマガ配信やフォーム設置だけでなく、決済や予約システムにも対応することができます。オンラインショップやオンライン予約を実現することができるので、さまざまな業種で利用しやすいです。
【概要】
■設立年:2014年
■利用ユーザー数:200,000ユーザー
■料金:
・スタートプラン:0円/月
・ライトプラン:1,465円/月
・レギュラープラン:2,950円/月
・ビジネスプラン:3,940円/月
参照:
ペライチ|無料から使える簡単ホームページ作成ツール
3. BASE
BASEは、ネットショップを開設することができるノーコードアプリです。スタンダードプランの場合、月額費用が無料となります。商品が売れたときに、サービス利用料や決済手数料が必要です。
BASEの特徴は、商品が売れやすい仕組みを提供してくれることです。例えば、商品を登録するだけでアプリにも掲載することができたり、BASE負担でクーポンを定期的に発行してくれたりします。もちろん、本格的なショップを作ることもできるため、すでに多くの店舗、企業が導入しているノーコードアプリです。
【概要】
■設立年:2012年
■導入ショップ数:190万ショップ
■料金:
・スタンダードプラン:0円/月
・グロースプラン:5,980円/月
参照:
BASE, Inc. | BASE株式会社
【3】 DX・業務効率化に適したノーコードアプリ3選
最後に、DX・業務効率化に適したノーコードアプリを3製品ご紹介します。
1. Platio
Platioは、業務アプリ開発向けのノーコードアプリです。アステリア株式会社によって提供されています。100種類以上のテンプレートがあるため、スピード感が早くかつ簡単にアプリを開発することが可能です。
また、Platioは初期費用が無料となっており、はじめやすい価格帯になっているのも特徴の一つです。
【概要】
■設立年:1998年
■導入社数:記載なし
■料金:
・Standard:20,000円/月
・Premium:90,000円/月
・Enterprise:200,000円/月
参照:
Platio(プラティオ)|モバイルアプリ作成ツール
2. kintone
kintoneは、サイボウズが提供する業務改善プラットフォームサービスです。ドラッグアンドドロップの操作でアプリ開発が可能で、システム担当者でなくても業務改善に向けたアプリを作成することができます。
kintoneの特徴は、サンプルから自社に合ったアプリを選択することができることです。業種や部署ごとにサンプルアプリが提供されています。企業は、自分に合ったアプリを選択するだけで業務アプリを構築することが可能です。また、デザインも変更することができるので、自社に合ったデザインの業務アプリを運用できます。
【概要】
■設立年:2018年
■導入社数:20,000社
■料金:
・スタンダードコース:1,500円/月
・ライトコース:780円/月
参照:
kintone - サイボウズの業務改善プラットフォーム
3. TUNAG(ツナグ)
TUNAG(ツナグ)は、株式会社スタメンが開発・提供するエンゲージメント向上を実現できる業務用ノーコードアプリです。導入企業数は500社以上にも上り、さまざまな業態や規模で利用されています。
TUNAG(ツナグ)の特徴は、各社の組織課題や企業文化に合わせて、コンテンツを企画・運用し、経営の想いや会社に関する様々な情報を社内に浸透させることができることです。日報や各種申請としても活用できるため、日常業務の中に馴染んだ形でTUNAG(ツナグ)が使われ、従業員に情報が届きやすくなります。また、各社の組織課題に合わせて、100社100通りのコンテンツの設計・運用が可能になるため、自由度や拡張性にも優れています。
【概要】
■設立年:2016年
■導入社数:500社以上
■料金:要見積もり
参照:
TUNAG(ツナグ)公式 - エンゲージメントプラットフォーム
まとめ
人材不足やIT化の加速を背景に、ノーコードアプリは国内外問わず注目を集めており、新しいサービスやアプリが次々と出きています。各社でアプリ開発を検討するにあたり、ノーコードアプリを使う・自社で開発する・SIerに委託するなど、様々な選択肢があります。各アプリ開発手法にはいくつかのメリット・デメリットがあるため、まずはアプリ開発の目的や自社内のリソースを整理・明確化することが重要になるでしょう。
参考:業務アプリ開発、ノーコード、設計のポイントを解説 | TUNAG(ツナグ)