【事例あり】情報の一元化とは?具体的な方法や取り組みのポイントを徹底解説

情報の一元化とは、分散した情報を1箇所に集めて統一的に管理することです。情報の一元化により、情報共有の抜け漏れの防止や理念の社内浸透、品質・生産性の向上などが実現できます。また、経営判断もより全体的な視野で行うことが可能です。

今回は、情報の一元化の定義を確認した上で、情報を一元化する具体的な方法や一元化を実現するためのポイント・注意点などを解説し、ツール導入で一元化に成功した企業の事例を紹介します。

情報の一元化とは

情報の一元化とは、バラバラに保管・管理されている情報を1つにまとめ、統一的に管理することです。

1つにまとめる

部署ごとに管理されている情報や複数のツールに分散している情報を箇所(単一のシステム)に集約

統一的に管理する

情報を単一のシステム内に統一的な形式で記録することで、スムーズな閲覧・検索や全体状況の可視化などを可能にする

一元化された状態で情報管理を行うことを一元管理と言います。

情報には一元化に適したものと適さないもの(扱いに注意が必要なもの)があります。

一元化するのに適した情報

一元化に適しているのは以下のような情報です。複数の項目に当てはまる情報はとくに一元化に適していると言えます。

情報の種類

日々更新され、分散・散逸・乱雑化が生じやすい情報

  • 売上・営業・在庫などのデータ
  • 人の業務スケジュール・タスク

社内で広く必要とされる情報

  • もともと社内で共有されることを目的として生み出された情報(社内規程、ルール、マニュアルなど)
  • 全体的な業務管理に必要な情報(プロジェクト進捗状況など)
  • 経営判断や部署間連携のために必要な情報(売上、経費、在庫、顧客情報など)

数値化できる情報

  • それ自体が数値である情報(売上金額・経費など)
  • 数値を含み、数値によって分類・分析が可能な情報(在庫、顧客情報など)
  • 数値を付与することで管理を効率化できる情報(バーコード・RFIDのタグを付けて管理できる出荷物・在庫など)

なお、個人情報を含む顧客情報については、一元化による情報流出リスクにとくに留意する必要があります。これについては次節で解説します。

一元化に適さない情報

一元化に適していないのは以下のような情報です。

情報の種類

情報漏洩のリスクが高い情報

  • 個人情報(従業員や取引相手の情報、顧客情報など
  • 機密情報(営業秘密、M&Aなどの重大な経営判断に関する情報、人事情報など)

特定部署でのみ利用され、外部では必要とされない情報

  • 部内プロジェクトの詳細情報
  • 部署別のKPIや評価基準

情報漏洩のリスクが高い情報も一元化して効率的に管理することは可能ですが、不適切なアクセス(情報持ち出し)やミスによる情報漏洩が起こる可能性があります。情報漏洩が起これば、評判や競争力の低下、プロジェクトの頓挫などの重大な損失につながります。

そのため、情報の一元化は避けるか、相応のコストをかけて厳重なアクセス管理を施した上で一元化する必要があります。

情報の一元化をする必要がない情報に関しては、情報を一元化にもコストがかかるため、広く共有する必要がない情報は関係者内でのみ管理する方が得策と言えます。

ただし、情報漏洩リスクが高いとされてきた情報でも、部署間連携強化や社内リソース最適化のために一元化することが有効と考えられる場合もあります。まずはどのような情報を一元化すべきかについて検討することが重要です。

【種類別】情報の一元化の方法

情報の一元化を図る具体的な方法について、情報の種類別に解説します。

売上・営業データ管理

部署ごとに紙の資料で管理している場合は、まずデータを電子化する必要があります。

売上・営業データの電子化では、EXCELなどの表計算ソフト(スプレッドシート)がよく使われてきました。

しかし、複数の担当者がデータを日々更新・確認していくような運用では記入ミスや確認不足が生じやすく、情報更新状況を共有するのに手間と時間がかかります。

とくに、データが複数の部署・事業所にまたがる会社ではEXCELによる一元管理は困難です。

そうしたケースでも、売上管理・営業支援に特化した予実管理ツールや社内情報共有機能を持つツールを使うことで、スムーズな一元管理が可能になります。

社内のプロジェクト・タスク進捗管理

個人のタスク管理であれば紙とペンで行うことも可能ですが、プロジェクト全体や従業員全体のタスク進捗状況の管理を一元的に行うには、紙による管理では不十分です。

作業リスト(ToDoリスト)の作成や作業進捗状況の一覧化、作業工程グラフ化・見える化(ガントチャート)などの機能を備えた管理ツールの導入が得策と言えます。製造業界や建設業界などの業界特化型の生産管理・工程管理システムも存在するので、自社の状況に応じてツールを選定しましょう。

ナレッジ管理

事業や各従業員の活動を通して蓄積された知見、ノウハウ、有益な事例などを総称してナレッジと呼びます。社内で広く共有すべきナレッジをマニュアルやデータベースの形にして一元的に管理することで、その価値をより広い場面で活用していくことができます。

ナレッジの管理を紙媒体で行った場合、「更新(改訂)に手間がかる」「新旧バージョンが併存して混乱を生じる」「従業員一人ひとりに情報を行き渡らせることが難しい」といった問題があります。

情報共有ツールを導入し、スマホなどの情報端末があれば誰でも・どこでも閲覧できるような形でナレッジを管理することで、こうした難点を克服できます。

社内通知・連絡

社内通知を口頭・紙媒体で行った場合、情報共有の不徹底・遅れや又聞きによる伝達ミス、「言った・言ってない」の認識齟齬などが生じがちです。

社内連絡用のツール(電子メール・チャットツール・社内SNSなど)が複数併存し、情報が分散してしまっている状況でも、同様のことが起こります。

情報の通知や確認をリアルタイムで行えるコミュニケーションツールを、できる限り1つに絞って導入するのが得策です。

社内申請・届出

各種申請手続きでは、申請の内容・条件の周知や提出書類の用意、書類提出・受理、責任者による承認、結果通知など、さまざまな情報のやり取りや事務処理が必要になります。

これらをすべてツール上で一元化することで、申請の効率化を図ることができます。専用のデジタルワークフローシステムが社内申請・届出の一元化に役立ちますが、Excel一体型・グループウェア一体型・社内SNS一体型など様々な種類があるので、自社の要件にあったシステムを選ぶ必要があります。

【業界別】情報の一元化に成功した事例

組織DXツール「TUNAG」を導入して情報の一元化に成功した企業の事例を紹介します。

【飲食業界】株式会社プレジャーカンパニー

株式会社プレジャーカンパニーは、関東を中心にエスニック・イタリアン・和食・中華料理などの飲食店を展開する企業です。約300名の従業員を抱え、私用のSNSやコミュニケーションツールなどを用いて報連相の的確化を図ってきましたが、複数のツールに情報が分散していたために報連相の抜け漏れが度々発生していました。

また、各店舗の店長が申請承認の手続きを経ずに独自のメニューや営業スタイルを独断で実施してしまうようなことも起こっていました。

同社は報連相の抜け漏れを防ぐためにツールを一本化することを検討し、申請承認やエンゲージメント施策などの機能もあわせ持つ「TUNAG」の導入を決定しました。

情報共有や申請手続きが「TUNAG」に一元化されたことで、情報の抜け漏れが減り、申請承認フローが円滑化して現場へのフィードバックも容易になりました。

導入事例記事はこちら>>>飲食業界の報連相を、ツール一元化で改善。プレジャーカンパニーの「なるべく1つのツールで完結させるDX」とは?

【物流業界】ホイテクノ物流株式会社

ホイテクノ物流株式会社は、トラック運送業務と倉庫業務を主な事業とする企業です。総勢387名の従業員を抱え、うち約6割を占めるトラックドライバーに直接情報を伝える手段がないことや、本部からの意思伝達が一方通行になっていることに課題を感じていました。

これまでは社内情報共有ツールは電子メールに限られ、メールで直接やりとりができるのは各拠点の事務職員までで、そこから先は各拠点の責任で口頭や紙の張り出しにより情報を伝達していました。

「TUNAG」を導入して情報共有を一元化し、会社からの通達・案内や社内報などをすべて各自のスマホから閲覧できるようにしました。また、事故防止に関する取り組みや人物紹介などのコンテンツを各拠点から積極的に発信してもらうことで、双方向的な情報伝達も実現しています。

導入事例記事はこちら>>>「見える化・効率化で従業員満足度向上を目指す」ホイテクノ物流のTUNAG活用事例

【製造業界】牛乳石鹸共進社株式会社

牛乳石鹸共進社株式会社は国内外に営業拠点・工場を構え、化粧石鹸・スキンケア商品などの製造販売を展開している企業です。統一した社内情報発信手段がなく、一部の従業員のみ会社支給のパソコンとグループウェアでやりとりをし、他の従業員に対しては各現場の判断で口頭・紙媒体により伝達を行っていました。そのため、情報が正確に伝わりきれていないケースが多々発生する状況でした。

情報発信を「TUNAG」に一元化したことで、社長メッセージ・経営理念・社内規程・各種お知らせなどの情報が社内全体に素早く、正確に伝達されるようになりました。

これまで紙ベースで行っていた各種申請も「TUNAG」上の電子フォーマットで行えるようにし、申請制度の内容や手続き方法などの情報も「TUNAG」に集約して、利便性と事務処理の効率性を向上させました。

導入事例記事はこちら>>>「製造現場にも情報が早く正確に下りてくる」牛乳石鹸共進社が取り組む、全員が同じ方向を向いて働く体制づくり

【ホテル業界】株式会社炭平旅館

株式会社炭平旅館は明治元年創業の老舗旅館を中心に、旅館・たまごパン専門店を計4店舗運営している企業です。もともとは老舗旅館1軒のみの運営でしたが、近年事業を拡大して拠点・従業員が急激に増えたことで、社内情報共有や在籍年数・部署の異なる人材同士の意思疎通に課題が生じてきました。

そこで「TUNAG」を導入し、引き継ぎ・シフト変更・発注指示などの業務連絡や日報・お客様アンケート結果の発信などを一元化して、社内情報共有体制を構築しました。

普段コミュニケーションをとる機会のない従業員の間でも「TUNAG」上の投稿をきっかけにして何気ないコミュニケーションが発生するなど、立場や部署を超えたコミュニケーションも活性化しています。

導入事例記事はこちら>>>旅館業ならではの情報共有の課題を改善 - 創業の精神「相手のことを一心に考え尽くす」を体現する、炭平旅館のTUNAG活用法

情報の一元化に取り組む際のポイント

情報の一元化では管理ツールの導入が最大のポイントです。一元化する情報の種類によってはセキュリティ対策や管理規則の徹底も大きな課題となります。

目的に合ったツールを選定する

一元化によって解決したい経営課題と一元化の対象となる情報を明確化した上で、機能・予算・セキュリティなどの面で適したツールを導入する必要があります。

機能面

一元化の対象となる情報を扱うのに適した機能を有しているか

予算面

導入コスト・ランニングコストは予算規模に収まっているか

セキュリティ面

漏洩リスクがある情報の一元化に用いる場合、アクセス権限管理やアクセス履歴追跡などのセキュリティ機能が十分か

現場目線で使いやすいアプリなのか調査し、従業員からの賛同を得る

実際に利用する従業員にとって使いやすいツールでなければ、導入しても十分に定着せず、一元化のメリットを享受することは困難です。従業員の年齢層・ITリテラシー・所持端末(PC・スマホなど)などを考慮し、社内アンケートなどで現場の声を拾いながら、現場目線で使いやすいツールを選定する必要があります。

新しいツールの導入は多かれ少なかれ現場への負荷・ストレスを伴うため、従業員に対して情報一元化の必要性・メリットを具体的に説明し、理解と賛同を得ておくことも重要です。

一元管理に関するルールを明確に定める

一元化により情報を1箇所に集約すると、情報漏洩のリスクも1箇所に集まることになります。導入したツールの運用に問題があれば、大量の情報が漏れ出る恐れがあります。

また、スマホなどを通して多数の従業員が情報にアクセスすることになるため、情報が流出する経路も多くなります。それにより漏洩の機会が増えるだけでなく、情報流出が起きた端末や原因を特定することも難しくなる可能性があります。

そのため、情報の重要度に応じてセキュリティ対策を検討し、情報管理(情報の扱いやツール・端末の運用など)に関するルールを定めて社内に周知することが必要です。可能であれば情報管理ルールそのものもツール上で閲覧できるようにしておくとよいでしょう。

まとめ | 社内の情報の一元化を進めるには

情報の一元化にあたっては、情報共有面での経営課題や一元化すべき情報の種類・範囲を明確化した上で、適切な管理ツールを導入して効果的に運用していく必要があります。

一元化により情報漏洩のリスクが高まるため、一元管理に関するルールの制定も求められます。情報の種類によっては高度なセキュリティ対策が必要です。

一元化の取り組みを定着させる上で、従業員の理解や賛同も重要です。現場の声も取りいれながら適切なツールを導入し、情報の一元化を進めていってください。

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