入館証は紛失・盗難に注意が必要!管理方法とリスク回避のコツ

従業員や関係者に入館証を発行すれば、悪意のある部外者の侵入を防げます。建物のセキュリティーが高まる一方で、入館証の管理体制が構築されていないと、紛失や盗難、置き忘れが増えるでしょう。入館証の管理方法やトラブルを回避する施策を解説します。

入館証とは何か

入館証は、特定の建物に入る際に使用します。会社の従業員に配布する社員証とはどのような点が異なるのでしょうか?入館証を発行する目的やメリットについて理解を深めましょう。

入館許可を証明するもの

オフィスビルや研究施設には、従業員や関係者しか出入りできないのが通常です。入館証は、発行元からの入館許可を証明する身分証の一種で、ナンバーや本人の名前、顔写真などが印刷されています。

入館証と似たものに、社員証があります。両者を同一とする会社もありますが、社員証は、発行元の会社に所属していることを証明するものです。入館証は、その会社の従業員のみならず、取り引き先やクライアントといった「訪問者」にも発行される場合があります。

発行する目的とメリット

入館証を発行する主な目的は、館内のセキュリティーを強化することです。人の出入りが多いオフィスビルには、部外者が紛れ込みやすく、知らずしらずのうちに貴重品や情報資産などを持ち出されるケースがあります。

建物の入り口で、入館証がある人とない人を区別すれば、館内に部外者が侵入するのを未然に防げます。特に、顔写真が付いた入館証は、なりすまし防止に有効です。

複数の会社が入るオフィスビルでは、廊下や飲食スペースなどで、他社の従業員と接触する機会があります。身元が分かる入館証を身に付けていれば、社外の人々にも安心感を与えられるでしょう。

種類と作成方法

ICカード・紙のカード・プラスチックカードなど、入館証の種類は多岐にわたります。

ICカードは、ICチップが埋め込まれており、建物や部屋のドアキーとして機能するのが特徴です。専門業者に作成を依頼するのが一般的ですが、近年はICチップへの書き込みが可能なカードプリンターを購入し、内製化する会社も見受けられます。

紙のカードやプラスチックカードは、プリンターやカードプリンターがあれば、社内で簡単に作成できるのがメリットです。1枚単位から作成できる上、コストも抑えられるでしょう。

また、入館証の発行機能が搭載された「無人受付システム」なら、シール形状またはレシート形状の入館証をその場で発行できます。

入館証を管理する上で気を付けたいこと

入館証は、セキュリティー面で重要な役割を果たしています。入館証の管理において、会社側が意識すべきポイントと注意点を紹介します。

紛失・盗難のリスクがある

入館証の発行後は、管理体制を強化しなければなりません。入館証の紛失や盗難が起きた場合、部外者が建物に侵入する可能性が高まります。

悪意のある人物に会社の機密情報や個人情報を持ち出されれば、会社・個人が多大な被害を受ける恐れがあるでしょう。「管理がずさんな会社」というイメージがつき、信頼性や社会的評価も低下します。

入館証の紛失・盗難が起こる原因としては、従業員の危機意識の低さや社内の管理体制の甘さなどが挙げられます。会社側は入館証を導入する前に、紛失・盗難を防ぐための対策を講じなければなりません。

入館証を忘れる従業員がいる

入館証は、オフィスビルや特定のエリアに入るときに使用します。携帯を義務付けていても、出勤時に入館証を自宅に忘れる従業員がいるのが現実です。

自宅に取りに戻れば、遅刻や欠勤扱いとなり、その日の業務に遅れが生じます。来客用のカードを貸与する会社もありますが、ルールが甘すぎると、忘れ物が常習化しやすくなるでしょう。

会社側は従業員への注意・指導を強化するとともに、ペナルティーを明確にする必要があります。カードタイプの入館証をデジタル化する手も有効です。

退職者から回収できない可能性も

第三者による悪用を防ぐため、退職者の入館証は必ず回収しなければなりません。最終出勤日までに回収できなかった場合、退職後に本人に会社に届けてもらうか、郵送をお願いするのが一般的です。

しかし中には、なかなか返却に応じてくれなかったり、連絡が取れなかったりして、回収がスムーズにいかないケースもあるようです。

回収できない期間が長引けば長引くほど、不正利用されるリスクが高まります。人事・総務担当者の仕事を増やさないためにも、就業規則で返却のルールを定めましょう。

入館証のトラブルを回避する施策

入館証を発行すると、紛失・盗難をはじめとするトラブルが生じやすくなります。従業員の自己管理に任せるだけでは、セキュリティーリスクを完全に防ぐのは難しいかもしれません。会社側が行うべき施策の一例を紹介します。

マニュアルの策定と従業員への教育

入館証を発行する前に、社内向けマニュアルを整備しましょう。以下のような項目を定め、全ての従業員に周知します。

  • 入館証の使用目的と管理方法
  • 紛失時・盗難時の対処法とペナルティー
  • 再発行する際の手続き手順
  • 退職時の返却ルール

従業員による紛失や置き忘れは、「面倒だ」「一度くらいは大丈夫だろう」という気の緩みやセキュリティーへの危機意識の低さによって生じます。従業員向けの説明会を開催し、紛失によって生じるリスクや管理方法をしっかりと伝えることが重要です。

一元管理体制の構築

入館証の管理に関わる部署では、いつ・誰に・どのような目的で入館証を発行したのかをすぐに確認できるようにする必要があります。管理台帳による一元管理体制を構築すれば、万が一の紛失や盗難にスピーディーに対処できます。

管理台帳は、紙媒体やExcel(表計算ソフト)で作成しても構いませんが、内容の更新や共有がリアルタイムで行える「オンライン台帳(クラウド台帳)」の活用がおすすめです。入館証の番号・発行数・使用者の氏名および部署・取得年月日・保管状況(場所)などの項目を設けましょう。

スマートタグの導入

紛失や置き忘れ対策として有効なのが、「スマートタグ」です。入館証にスマートタグを取り付けて、スマートフォンなどの端末と連携すると、端末から入館証の位置を確認できます。手元から離れるとアラームが鳴るため、従業員による「うっかり置き忘れ」が低るでしょう。

スマートタグは「紛失防止タグ」とも呼ばれ、店頭やオンラインショップで入手が可能です。チップ(タブ)型・キーホルダー型・シール型・カード型などのタイプがあり、価格帯はメーカーや搭載機能によって異なります。

備品の管理や持ち出し監視にも活用できるため、紛失トラブルが多い企業は導入を検討しましょう。

入館証の代わりになるシステムは?

紛失や盗難、不携帯を防ぐ方法として、生体認証の導入や入館証のデジタル化が挙げられます。物理的な入館証を廃止すれば、従業員は紛失への恐怖がなくなり、担当者は管理の煩わしさから解放されるでしょう。

生体認証

生体認証とは、個人の生体情報を利用して、本人確認を行う認証システムです。利便性の高さや誤認率の低さから、スマートフォンのロック解除や銀行の本人確認、ライブ会場の入退場などでも活用されています。

代表的な認証方法には、顔認証・指紋認証・虹彩認証・静脈認証・声紋認証などがあります。生体認証を使った「入退室管理システム」を導入すれば、従業員の入館証の廃止が可能です。事前登録している本人以外は入館できないため、なりすまし対策としても有効性が高いといえます。

デジタル入館証

デジタル入館証は、入館証をデジタル化したもので、主にスマートフォンアプリで運用します。入館時は、氏名や顔写真などが表示された画面を提示します。


現代人の多くは、スマートフォンを肌身離さず持ち歩いており、カード型の入館証よりも紛失・不携帯のリスクは低いと考えられます。

デジタル入館証の大きな特徴は、遠隔操作が可能なことです。盗難・紛失時は、管理者側で遠隔停止ができるため、情報漏えいや不正利用のリスクを最小限に食い止められます。退職時は、従業員から入館証を回収する手間も省けます。

入館証の発行と管理は慎重に

入館証は、特定の建物への入館許可を証明するものであり、発行元の従業員や関係者が所持するのが一般的です。入り口で入館証の有無をチェックすれば、部外者や不審者の侵入を阻止できます。一方で、紛失や盗難、置き忘れによるトラブルも目立ちます。

入館証の発行を検討している会社は、事前にルールやマニュアルを整備すると同時に、管理台帳による一元管理体制を構築しましょう。徹底した管理の下で発行しなければ、入館証がトラブルの火種となってしまいます。


著者情報

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