週休3日制のメリットやデメリットは?導入パターンや導入企業の事例も紹介
近年、働き方改革が進む中で「週休3日制」が注目を集めています。労働環境の柔軟性やワークライフバランスの向上に向け、導入を進める企業が増加中です。多くのメリットがある一方で、デメリットも指摘されているので、きちんと押さえておきましょう。
週休3日制とは?制度を巡る近年の動き
週休3日制は、週に3日間の休みを社員に提供する制度です。働き方改革の進展や、社員のワークライフバランスを重視する企業が増える中、導入を検討する動きが広がっています。まずは、制度の基本的な仕組みや、導入を巡る近年の動きについて簡単に解説します。
週休3日制の試験導入が進んでいる
近年、多くの企業が週休3日制の試験導入に取り組んでいます。特に、テクノロジー企業やスタートアップを中心に、柔軟な働き方を取り入れることで生産性の向上や社員の満足度向上を目指すケースが増えています。
試験導入では、短期間での結果を評価し、社員の働きやすさや業務の影響を測定することが一般的です。一部では、試験導入が成功し、本格的に週休3日制を採用した企業も出始めています。こうした動きは、他の業界にも波及しつつあり、労働環境の大きな変革を示しています。
週休3日制が注目されている理由
近年、多くの企業が週休3日制の試験導入に取り組んでいます。特に、テクノロジー企業やスタートアップを中心に、柔軟な働き方を取り入れることで生産性の向上や社員の満足度向上を目指すケースが増えています。
試験導入では、短期間での結果を評価し、社員の働きやすさや業務の影響を測定することが一般的です。一部では、試験導入が成功し、本格的に週休3日制を採用した企業も出始めています。こうした動きは、他の業界にも波及しつつあり、労働環境の大きな変革を示しています。
週休3日制に関する東京都の動き
東京都は働き方改革の推進に力を入れており、週休3日制の普及を進める動きも見せています。具体的には、2025年4月から週休3日を選択できる、勤務制度の導入方針を明らかにしました。都知事は「出産や育児といったライフイベントにより、キャリアを諦めることがないように働き方を柔軟に見直す」と述べています。
東京都はすでに、4週間の総労働時間155時間の範囲内で、始業・終業の時間を自由に選択できるフレックスタイム制を導入し、育児や介護などライフイベントを理由に職員が柔軟に働ける体制を整えています。この動きにより、都の職員の仕事と生活の両立が進むと期待されています。
この動きを受けて民間でも、さらに週休3日制の導入を進める組織が増える可能性もあります。都の動きに関しては、定例会などで働き方に関する情報が発信される場合もあるので、興味のある人はチェックしてみるとよいでしょう。
※出典:小池都知事 週休3日導入で “職員のニーズ応じた働き方を”|NHK 首都圏のニュース
週休3日制の導入タイプ
週休3日制には、企業の目的や業務内容に応じて、さまざまな導入タイプがあります。代表的な「給与維持型」「給与減額型」「労働時間維持型」のそれぞれについて、特徴を押さておきましょう。
給与維持型
給与維持型は社員の給与を減額せずに、週休3日を実現する方法です。主に業務の効率化や成果主義の導入を前提としたもので、主にクリエイティブ職や専門職で導入される傾向にあります。
社員のモチベーションや定着率の向上が導入のメリットとして挙げられますが、週休2日制よりも労働時間が減ってしまうので注意が必要です。生産性を維持するための初期投資や、業務管理が課題といわれています。
給与減額型
給与減額型は勤務日数の減少に伴い、給与を調整する方式です。ワークライフバランスを重視する社員や、パートタイム志向の人材の働き方に適しています。
特に、育児や介護などの事情を抱える社員にとっては、魅力的な選択肢となるでしょう。一方で、社員の収入の減少が離職リスクにつながる可能性があるため、事前の説明や同意が必要です。基本的には、社員が任意に制度を導入できる体制が望ましいでしょう。
労働時間維持型
労働時間維持型は、週休3日制を導入しながら、週40時間などの労働時間を維持する方式です。1日の勤務時間が延長される形になるため、フルタイム勤務者の働き方を大きく変えることなく、週休3日を実現できます。
特に、製造業やサービス業などでは、業務の継続性を維持できる方法として、採用を検討する企業もあるようです。ただし1日の労働時間が長くなるため、社員の負担増に配慮しなければいけません。
週休3日制のメリット
週休3日制の導入は社員の生産性の向上をはじめ、人材の定着率アップや事業運営にかかるコストの削減など、さまざまなメリットをもたらします。代表的なものをみていきましょう。
社員の生産性の向上が期待できる
週休3日制の導入で社員の休養時間が増えることで、疲労の蓄積を防ぎ、集中力や仕事の質が向上すると考えられています。特にクリエイティブな業務では、十分なリフレッシュ期間が新たなアイデアの発想につながりやすいでしょう。
さらに短い労働時間の中で、効率的に仕事を進める意識も高まることで、組織全体の生産性の底上げも期待できます。
人材の定着率アップにつながる
社員に柔軟な働き方を提供している企業は、特に若い世代やライフワークバランスを重視する層にとって、非常に魅力的に感じられます。週休3日制を採用することで、家庭やプライベートを重視する社員が、快適に働き続けられる環境の構築が可能です。
また、社員満足度の向上が優秀な定着率の向上につながり、人材の採用・教育コストの削減にも寄与します。
事業運営にかかるコストの削減も可能に
週休3日制を採用すると、オフィスの稼働日数や光熱費が削減できるため、運営コストの低下も期待できます。また社員の健康維持やストレスの軽減が、医療費の削減にもつながる可能性も高いでしょう。
さらに通勤日数が減ることで、社員の交通費の負担が軽減されるケースもあり、企業の支出を削減できるケースもあります。あくまでも間接的な効果ではありますが、業務運営にかかるコストの削減は、中小企業にとって大きなメリットとなります。
週休3日制のデメリット
週休3日制は組織に多くのメリットをもたらす一方で、以下のデメリットも指摘されています。導入により業務の偏りや未達成が発生する場合や、営業の機会損失が起こる可能性もあるため、きちんと対策を立てておきましょう。
業務の偏りや未達成の問題が起こりがち
週休3日制に移行することで、社員の業務の割り振りが不均衡になる可能性があり、一部の社員に負担が集中するリスクがあります。
また、業務の遅れや納期の未達成が発生する恐れもあり、特に繁忙期やチームでの作業が求められる業務では、大きな課題となるでしょう。これらのリスクを回避するには、綿密な業務計画の策定と社員間の柔軟な連携が欠かせません。
営業の機会損失になる可能性がある
顧客対応や営業活動を主軸とする企業にとっては、週休3日制の導入が、直接的な売上の減少につながる可能性があります。
例えば、休業日に顧客がサービスを利用できず満足度が下がってしまう可能性や、競合他社に顧客が流れるリスクもあるでしょう。週休3日制を導入する際には、顧客対応に不備が生じない体制の構築が必要です。
週休3日制を導入する際のポイントや注意点
週休3日制を導入する際には、準備段階から慎重な計画が求められます。まず、現在の業務フローを見直し、業務の分担や効率化を図ることが重要です。
また、社員に対して導入の目的や期待される効果を十分に説明し、理解を得る必要があります。週休3日制を望まない社員もいると考えられるので、基本的には任意に選択できるように体制を整えましょう。
制度の導入による業務負担の偏りや、生産性の低下を防ぐためには、社員間のコミュニケーションを密にすることが重要です。チャットツールやグループウェアなど、コミュニケーションの円滑化に役立つシステムも活用しつつ、社員間に不公平感が広まらないように注意しましょう。
さらに、試験的な導入期間を設け、課題を洗い出して改善を図ることも重要です。初めから完璧な制度運用はまず不可能であるため、社員から定期的にフィードバックを受け、改善を重ねる必要があります。
週休3日制の導入事例
近年は、多くの企業が週休3日制の導入を進めているので、代表的なものを押さえておきましょう。
例えば、株式会社ZOZOでは、2021年から同制度の導入を図っており、社員が週休3日を任意に選べる体制を敷いています。さらにオフィス出社とリモートワークを組み合わせたハイブリッド勤務体制も導入しており、より多くのアイデアの創出や社員同士のつながりの強化を目指しているようです。
また株式会社LIFULLでも、2023年4月から週休3日制を導入しており、さらに「取得理由を問わない短時間勤務制度」も社員が選択できる体制にしています。今後ますます多様化する働き方に即した就労環境を整え、社員にとっての働きがいを高める工夫を重ねています。
LIFULL、テスト導入を経て 「週休3日制度」および「取得理由を問わない短時間勤務制度」 の本運用を4月1日から開始 | 株式会社LIFULL(ライフル)
週休3日制の導入を検討してみよう
週休3日制は、社員のワークライフバランスを向上させるだけでなく、企業にとっても生産性の向上やコスト削減など、多くのメリットをもたらします。一方で、業務の偏りや売上機会の損失といったデメリットもあるため、導入には慎重な計画が必要です。
まずは、自社の業務形態や社員の意見を十分に把握し、どの導入タイプが適しているのかを検討することから始めましょう。試験的に導入することで、実際の効果や課題を明確にし、運用方法を改善していくアプローチも有効です。社員の意見も積極的に取り入れつつ、公平・公正な制度運用を目指しましょう。