働きやすい職場環境を整えるために何を指標にすべき?指標の決め方や測定方法を解説

ハイブリッドワークの普及や人材獲得競争の激化により、働きやすい職場環境の整備は優秀な人材を確保し、企業を成長させるための重要な課題となっています。本記事では、働きやすさを測定・改善するための具体的な指標と、その活用方法について解説します。

働きやすい職場をつくるために意識すべき指標

「働きやすい職場づくり」とひと言で言っても、具体的に何から手を付ければよいのか迷う人も多いのではないでしょうか。

そこでまずは、働きやすい職場環境を実現するために、まず何を測り、どのように改善につなげていくべきか、具体的な指標について説明します。

従業員満足度

従業員満足度は、従業員が日々の業務や職場環境にどの程度満足しているかを数値化した指標です。

この数値が高い企業では、業務効率の向上や創造的な提案が活発化し、組織全体の生産性向上につながります。一方、低い企業では消極的な仕事態度や活気の低下が見られ、サービス品質の低下や顧客満足度の悪化を招くリスクがあります。

満足度は給与などの待遇面だけでなく、職場の人間関係や成長機会の提供、働く環境の快適さなど、複数の要素から構成されます。

定期的なアンケートで状況を把握し、低評価の項目から優先的に改善することで、組織の活性化を図ることが可能です。

離職率

離職率は企業の健康状態を映し出す鏡といえます。この数値が高くなると、ナレッジの流出や採用・育成コストの増大、残された従業員のモチベーション低下など、負の連鎖が発生します。

特に、勤続3年未満の若手や中核を担うミドルマネジメント層の離職は、組織に大きな打撃を与えます。

定期的な面談で不満や課題を早期発見し、キャリアパスの明確化や働きがいの創出に取り組むことが、離職率の改善につながります。

休暇取得率

休暇取得率は、従業員の心身の健康状態と職場の生産性を反映する重要な指標です。取得率が高い企業では、従業員の集中力が維持され、時間当たりの生産性が向上する傾向があります。

また、計画的な業務遂行や効率的な仕事の進め方が定着し、残業時間の削減にもつながります。反対に、取得率が低い企業では慢性的な疲労によるメンタルヘルス不調者の増加や、突発的な欠勤のリスクが高まります。

さらに、仕事と生活の両立が困難となり、優秀な人材の流出を招く可能性があります。経営層が率先して休暇を取得し、計画的な取得を推奨する文化づくりが重要です。

従業員エンゲージメント

従業員エンゲージメントは、組織と従業員の関係性の質を表す指標です。

エンゲージメントの高い職場では、従業員が自発的に課題解決に取り組み、組織の成長に貢献しようとする姿勢が見られます。

その結果、イノベーションの創出頻度が高まり、顧客満足度の向上にもつながります。

一方、エンゲージメントが低い職場では、指示待ち姿勢や当事者意識の欠如が目立ち、組織の変革や成長が停滞しがちです。

エンゲージメントを高めるには、経営ビジョンの共有や、個人の成長機会の提供、適切な権限委譲などが効果的です。定期的な対話を通じて、従業員の期待や要望を把握することも重要です。

働きやすい職場づくりのための施策例

各指標の測定結果を踏まえ、具体的な改善施策の実施が重要です。組織の状況に応じた効果的なアプローチを見ていきましょう。

オフィス環境を整える

快適なオフィス環境の整備は、従業員のパフォーマンスと満足度を高める基本的な施策です。

まず取り組むべきは、集中力の維持に直結する環境づくりになります。通行量の多い場所からの騒音対策として、パーティションの設置や防音材の活用、季節や時間帯に応じた空調管理や、作業に適した照明の明るさ調整など、基本的な環境整備を行います。

また打ち合わせコーナーやリラックススペースを設けることで、業務の切り替えやリフレッシュを促します。

加えて部署ごとの業務特性を考慮したレイアウト変更や、必要に応じたオフィスのリフォームを実施することで、働きやすさと業務効率の向上を図ります。

これらの環境整備は、従業員のモチベーション向上にもつながり、結果として組織全体の生産性向上に寄与します。

ワークライフバランスの充実

充実したワークライフバランスの実現は、従業員の長期的な定着と生産性向上の鍵となります。

具体的な施策として、柔軟な勤務時間制度の導入が挙げられます。コアタイムを最小限に設定したフレックスタイム制や、育児・介護に対応した時短勤務制度の整備により、個々の生活スタイルに合わせた働き方が可能となるでしょう。

また、残業削減に向けては、業務の棚卸しと効率化を進めると同時に、管理職向けのタイムマネジメント研修を実施することで、組織全体の意識改革を促します。

休暇取得の促進では、計画的な年次有給休暇の取得推進や、半日・時間単位での柔軟な休暇制度の導入が効果的です。これらの制度を実効性のあるものとするために、利用状況の定期的なモニタリングと、必要に応じた制度の見直しを行うことが重要です。

公平な人事評価制度の策定

公平性と透明性を備えた評価制度は、従業員の成長意欲と組織への信頼感を高めます。

評価制度の設計では、まず各職位における期待役割と成果基準を明確に定義します。評価項目には、定量的な業績指標だけでなく、チームへの貢献度や能力開発の進捗なども含め、多面的な評価を行います。

評価のプロセスでは、四半期ごとの面談を通じて具体的なフィードバックを提供し、改善点の明確化と成長支援を行いましょう。

特に重要なのは、評価結果と処遇(昇進・昇給)の連動性を確保し、公正な評価が確実にキャリアアップにつながる仕組みを構築することです。また、評価者となる管理職に対しては、定期的な研修を実施し、バイアスのない公平な評価スキルの習得を支援します。

多様な働き方に対応する

従業員一人一人の状況やニーズに対応できる柔軟な働き方の実現は、今や企業の競争力を左右する重要な要素となっています。

在宅勤務やサテライトオフィスの活用、モバイルワークの導入など、場所にとらわれない働き方を基本とし、それを支えるITインフラの整備を進めましょう。

また、副業・兼業の許可や短時間正社員制度の導入により、多様なキャリア形成を支援します。ジョブ型雇用の導入も重要な施策となり、職務内容と権限を明確化することで、働き方の自律性を高めます。

こうした柔軟な働き方を実現するため、ペーパーレス化やクラウドツールの活用を進め、業務の効率化とコミュニケーションの円滑化を図ることが重要です。

働きやすさのデータを活用する「組織サーベイ」とは?

働きやすい職場環境の実現には、具体的な施策の展開が不可欠です。指標の測定によって明らかになった課題に対して、実効性の高い改善策を導入していくことが重要になります。

ここでは、多くの企業で成果を上げている具体的な施策を紹介します。

組織サーベイの意味と役割

組織サーベイとは、従業員の意識や組織の状態を定期的に測定・分析する調査手法です。従来の満足度調査とは異なり、より包括的な視点から組織の健康状態を診断します。

具体的には、リーダーシップの効果性、チーム間の連携状況、情報共有の円滑さ、心理的安全性といった要素について、定量的なデータを収集するプロセスです。

調査結果は、経営層の意思決定や人事施策の立案に活用され、組織改革の具体的なアクションにつながります。定点観測により、施策の効果検証や新たな課題の早期発見も可能となるでしょう。

組織サーベイで分かる組織の課題

組織サーベイを通じて、表面化しにくい組織の課題を特定することができます。

具体的には部署間の仕事に対する温度差や、管理職と一般社員の認識のズレ、コミュニケーション上の障壁など、日常業務では見えづらい構造的な問題が浮き彫りとなります。

特に、従業員の心理的安全性や職場での発言のしやすさ、キャリア展望についての不安など、直接的な対話では語られにくいテーマについても、匿名性を確保した調査により、率直な意見を収集することが可能です。

データの多角的な分析により、優先的に取り組むべき課題が明確になります。

組織サーベイの活用なら「TERAS」がおすすめ

組織サーベイを効果的に実施・活用するためのツールとして「TERAS」がおすすめです。

一般的な従業員満足度調査やサーベイツールとは違い、TERASでは組織単位でのエンゲージメントスコアを診断します。

エンゲージメントの計測に最適な質問が標準設計されており、スマホにも対応しているため、さまざまな角度から分析が可能です。基本無料で、何回でも何人でもサーベイの実施が可能なツールになります。

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「働きやすさ」を数値にすることで課題が明確になる

働きやすさの指標化と定期的なモニタリングは、組織改善の第一歩です。数値化することで、主観的な印象ではなく、客観的なデータに基づいた施策の立案が可能となります。

組織サーベイを通じて収集したデータは、経営層との対話や予算獲得の際の重要な根拠となり、戦略的な人材マネジメントの実現につながるでしょう。

働きやすい職場づくりは、一朝一夕には実現できませんが、継続的な測定と改善のサイクルを回すことで、着実な成果を上げることができます。まずは自社の現状を把握することから始め、段階的に取り組みを発展させていくことをおすすめします。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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