フォローアップ研修とは?期待できる効果や一般的な流れを解説

研修を行っても、その後の業務に生かせなければ意味がありません。フォローアップ研修は、研修後の知識定着や実務適応を支援し、長期的な成果へとつなげる重要な施策となります。本記事では、フォローアップ研修の目的や実施のタイミング、得られる効果を詳しく解説します。成功事例を交えながら、企業の生産性向上と人材育成を加速させるポイントを見ていきましょう。

フォローアップ研修の基礎知識

「研修を実施したものの、実務で十分に活かせていない」といった課題を感じていませんか?フォローアップ研修は、学んだ知識やスキルを定着させ、現場での実践力を高めるために欠かせないプロセスです。本章では、フォローアップ研修の基本的な考え方や、対象となる人、効果的な実施タイミングについて詳しく解説します。

フォローアップ研修とは

フォローアップ研修とは、研修を受けた社員が学んだ内容を実務に活かし、スキルを定着させるために行う継続的な学習プログラムです。

一般的な研修では、知識やスキルをインプットすることに重点が置かれますが、フォローアップ研修は、それらを定着・発展させることを目的としています。

例えば、営業研修を受けた社員が、実際の商談でどのように学んだスキルを活かせばよいか分からない場合、フォローアップ研修を通じて具体的なケースを検討し、実践的なアドバイスを受けることで、より深い理解を得ることができます。

フォローアップ研修の対象者

フォローアップ研修の対象者は、企業の目的や研修内容によって異なりますが、主に以下の3つの層に分けられます。

1.新入社員
入社後数ヶ月を経た段階で実施されることが多く、業務への適応や基本スキルの定着を目的としています。実際の業務を経験した上で生じる課題を整理し、学びを深める機会となります。

2.中堅社員
リーダーシップや業務遂行能力の向上を目的としたフォローアップ研修を実施します。キャリアアップに向けて、より高度な業務スキルやチームマネジメントの力を強化することが目的です。

3.管理職
管理職向けのフォローアップ研修は、組織マネジメントやリーダーシップの強化を主眼としています。新たなマネジメントスキルを習得し、部下育成や組織の成長を促すために活用されます。

このように、フォローアップ研修は社員のキャリアステージに応じて内容が異なり、それぞれの成長段階に適した学びの機会を提供することが重要です。

フォローアップ研修を実施するタイミング

フォローアップ研修の効果を最大限に引き出すには、適切なタイミングで実施することが重要です。一般的には以下のようなタイミングが適しています。

実施タイミング

目的・効果

主な内容

研修後1~3ヶ月後

知識やスキルの定着度を確認し、実務への活用を支援

研修内容の振り返り、実践状況の確認、課題解決のサポート

半年~1年後の振り返り研修

研修の成果を検証し、さらなる成長につなげる

成功体験や課題の共有、実務に活かすためのブラッシュアップ

業務環境の変化時

変化に適応し、スムーズな業務遂行を実現

新プロジェクト開始時や組織改編時のサポート、新たな業務スキルの習得

適切な時期にフォローアップ研修を実施することで、研修の効果を持続させ、社員のスキル向上を促すことができます。

フォローアップ研修で期待できる効果

研修を受けた直後は意欲が高まっていても、時間が経つにつれて学びが薄れてしまうことは少なくありません。フォローアップ研修を取り入れることで、知識やスキルの定着を促し、実務での活用につなげることが可能です。

フォローアップ研修がもたらす具体的な効果について詳しく解説します。

課題の発見につながる

フォローアップ研修の大きなメリットの一つは、実務における課題を明確にできる点です。研修直後は「理解できた」と感じても、実際の業務に落とし込む際に、さまざまな課題が浮かび上がることがあります。例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • 理論は理解しているが、現場でうまく活用できない
  • 業務の流れの中で実践するタイミングがつかめない
  • 既存の業務手法と新しいスキルをどのように統合すべきかわからない

フォローアップ研修では、こうした実務の中で直面した課題を振り返り、具体的な解決策を見出すプロセスを重視します。

より実践的な知識を習得できる

初回の研修で得た知識は、業務の現場で試すことが重要ですが、実際に活用する際にはさまざまな課題に直面します。

こうした課題に対応するために、フォローアップ研修ではロールプレイやケーススタディを活用し、具体的な業務場面に即したトレーニングを行います。

フォローアップ研修は、知識を「使えるもの」に変えるための重要なステップです。

モチベーションがアップする

フォローアップ研修は、社員のモチベーション向上にも大きく寄与します。研修を受けた直後は意欲的でも、時間が経つにつれて「学んだことをどう活かせばよいかわからない」「仕事が忙しくて実践する余裕がない」といった理由でモチベーションが低下しがちです。

フォローアップ研修を通じて、学びを継続する環境を整えることで、社員の成長意欲を高めることができます。

また、上司や同僚からのフィードバックを受ける機会を増やすことで、成長の実感が得られ、さらなる学習意欲を引き出すことができるでしょう。

定着率が向上する

どれほど優れた研修を実施しても、学んだ内容が定着しなければ効果は半減してしまいます。人は時間が経つと学習内容を忘れやすいため、知識やスキルを持続的に活用できるようにするには「学習の定着」が重要な課題となります。

そのため、フォローアップ研修では「反復学習」を取り入れ、定期的に知識を振り返ることで理解を深め、確実に実務へ活かせるようにします。

一般的なフォローアップ研修の流れ

フォローアップ研修には、学びを深め、業務への応用を促すための効果的なステップがあります。ここでは、フォローアップ研修の基本的な流れを見ていきましょう。

フォローアップ研修の目的を確認する

フォローアップ研修を効果的に実施するためには、まずその目的を明確にすることが重要です。単なる知識の復習ではなく、「実務で活かせるスキルの定着」「業務課題の解決」「成長の実感を得る」といった具体的なゴールを設定することで、研修の意義が高まります。

研修の目的を確認する際には、以下のポイントを意識すると効果的です。

  • 最初に、初回の研修で学んだ内容を振り返り、何を目的としていたのかを再確認する
  • 実務に落とし込んだ際に感じた課題を整理し、研修を通じて解決すべきポイントを明確にする
  • 研修の終了時にどのような状態になっていたいか、個人ごとに目標を設定する

このように、研修の目的を明確にすることで、参加者の意識を高め、学びを実践に結びつけやすくなるでしょう。

行動面の振り返りを行う

フォローアップ研修の重要なステップの一つが、実際の業務における行動を振り返ることです。研修で学んだことがどの程度活かされているのかを見直すことで、スキルの定着度や課題を明確にできます。

振り返りの方法としては、以下のような手法が効果的です。

  • 日報や業務記録を活用
  • 自己評価シートの記入
  • 成功体験・課題の整理

行動面の振り返りを行うことで、研修の学びを継続的な成長につなげることが可能になります。

振り返りの内容を少人数で共有する

個人での振り返りを行った後は、少人数のグループで共有することで、学びを深めます。グループディスカッションを通じて他者の視点を取り入れることで、新たな気づきを得ることができます。

少人数で行う目的は、一人一人の研修者にきちんとフォーカスを合わせるためです。4〜6人、多くても10名以内で行うと良いでしょう。それ以上は全体の振り返りの側面が強くなってしまいますし、発言できない研修者も出てきてしまいます。

その際は、課題だけでなく良かった点もフィードバックすること、具体的な事例を交えるといった、研修者にとってわかりやすい話を心がけるとより効果的です。

成功体験をプレゼンテーションで発表する

フォローアップ研修では、成功体験をプレゼンテーション形式で発表することも有効です。自身の成長を振り返り、他者に伝えることで、学びの定着が促進されます。

特に重要なのは、結果よりもプロセスです。「どうしてその結果につながったのか」という点を重点的に評価することで、普段の業務により生かすことが可能になります。

成功体験をプレゼンテーションすることで、社員は学びを深めるだけでなく、他の社員にも刺激を与え、組織全体の成長を促進します。

新たな目標を設定する

フォローアップ研修の最後のステップとして、今後の成長につながる新たな目標を設定しましょう。

フォローアップ研修の目的は、受講者の長期的な成長を支援することにあります。そのため、短期目標だけでなく、中長期の目標も設定すると効果的です。

そして次の研修ではその目標を達成できたかを振り返り、新たな目標を設定し、これを繰り返します。

フォローアップ研修の効果を高めるポイント

研修を効果的に実施するためには、適切なタイミングやフィードバックの仕組みが欠かせません。以下では、フォローアップ研修の効果を最大限に引き出すためのポイントについて解説します。

効果測定やフィードバックを実施する

研修の成果を確実にするためには、学習の定着度を把握し、適切なフィードバックを行うことが重要です。効果測定は定量・定性の両面から行います。

定量的な測定として、売上の変化、業務効率の改善度、エラー件数の減少などの指標を活用できます。また、事前・事後テストを実施し、研修内容の理解度を数値で確認するのも有効です。

一方、定性的な評価としては上司や同僚のフィードバック、受講者自身の成長実感、グループディスカッションでの学びの共有などがあげられます。研修の改善点を明確にし、より効果的な内容へと進化させることができるでしょう。

参加しやすい雰囲気をつくる

研修の効果を最大限に高めるには、受講者が積極的に参加しやすい環境を整えることが大切です。

心理的安全性を確保するために、発言を尊重し、少人数グループでの討論を取り入れると、意見を出しやすくなります。

さらに、ディスカッションやグループワークを取り入れた参加型研修や、実際の業務を想定したロールプレイを活用することで、受講者が主体的に学べる場を提供できます。

研修後も学びを継続できるように、オンラインフォーラムの活用やメンター制度の導入、定期的なフォローアップミーティングを実施することで、研修の効果を持続させることができるでしょう。

適切なタイミングや頻度を見極める

フォローアップ研修の効果を最大化するためには、適切なタイミングと頻度で実施することが求められます。以下のタイミングと取り組みを意識してみましょう。

フォローアップの時期

目的

主な取り組み

研修直後(1~3ヶ月後)

学びの定着を確認し、実践結果を振り返る

研修内容の定着度を確認/業務での実践結果を振り返り、改善点を探る/参加者同士で意見交換し、新たな気づきを得る

中期(半年後)

研修の成果を評価し、追加の学習ポイントを特定

研修の学びを活かした成果を確認/追加の学習が必要なポイントを洗い出す/さらなるスキルアップのアクションプランを設定

長期(1年後)

組織全体への影響を評価し、次回の研修に活かす

研修の学びが組織全体にどう影響したかを評価/研修プログラムの改善点を見直し、次回研修へ反映/受講者のキャリア形成と成長支援の方向性を明確にする

業務環境の変化に応じて柔軟にフォローアップ研修を組み込むことで、実践的な学びの機会を増やすことができます。

フォローアップ研修で人材の育成を促進

フォローアップ研修は、単なる研修の補完ではなく、社員の成長を持続的に支援し、組織全体のパフォーマンス向上に貢献する重要な取り組みです。

初回の研修で得た知識やスキルは、時間が経つにつれて忘れられたり、実務で十分に活かされなかったりすることが多くあります。しかし、フォローアップ研修を適切に実施することで、研修内容の定着を促し、実践力を高めることが可能です。

フォローアップ研修を戦略的に取り入れることで、社員一人ひとりの成長を促進し、組織全体の競争力を向上させることができるでしょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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