暗黙の了解からドキュメンテーションへ。ドキュメンテーションの浸透で組織力が向上する
飲食業やサービス業など、現場が本部と別にある組織では、しばしばルールが明文化されておらず、現場だけの「暗黙の了解」となっている場合があります。このような組織体制は、教育コストや生産性の低下など、経営層が把握していないところで重大な問題に発展してしまう可能性があります。
その解決策として、現場のルールを明文化し記録するドキュメンテーションの文化を浸透させることが効果的です。
【時間がない方のためのポイントまとめ!】
- 暗黙のルールは問題やトラブルのもとになる
- ドキュメント化によって画一的で素早い判断が可能
- マニュアルはデジタル化していつでも共有とアップデートができるようにする
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言語化されていない暗黙のルールがはびこる現場で起こる問題
現場では、マニュアルにない問題発生や細かな対応が求められることがありますが、それらが明文化されないまま、従業員の間だけに浸透している、いわば「暗黙の了解」となってしまうことが多々あります。
言語化・マニュアル化されず、その都度口頭で伝えてしまっていると、いつか大きなトラブルを招いてしまうことにもなります。
社員によって業務やサービスの質の差が大きくなる
暗黙の了解によって運営される現場では、個々の社員の解釈や対応がバラバラになることがよくあります。
たとえば、顧客対応やサービス提供の際に、どのような状況でどう対応すべきかが明確でない場合、一貫性のないサービスが提供されることになります。
これは顧客満足度の低下や、業務効率の悪化につながる可能性があります。
接客業で特に多いのが、リピーターからのクレームです。社員によって異なった対応をされたリピーターが不満を抱き、クレームを付けたり店を利用しなくなってしまったりすることもあり得ます。
また、経験豊富で優秀な社員と若手との間でスキルに差が生じやすくなり、業務がうまく回らない原因になってしまうこともあるので、注意が必要です。
問題の把握が遅れる
暗黙の了解が主導する現場では、問題が発生してもそれが迅速に把握されず、拡大化してしまうことがあります。
例えば、手順や取り決めが明確でない業務では、問題が発生しても各々がそれぞれのやり方で判断して対処することがあります。では、新しく入ったメンバーや対処方法が伝えられていないメンバーの場合、どうなるでしょうか。
すでに対処方法を知っているメンバーに聞ければ良いですが、その場にいなかった場合、トラブルへと発展してしまうこともあるでしょう。問題なのは、これまでトラブルにならなかったから問題ではないと判断されていたことです。
さらに、マニュアルを無視するような暗黙の了解がある現場では、問題が発生しても、把握できない可能性もあります。
結果として問題の把握が遅れて、気づけば重大な事故が発生しているという状況もあり得るのです。
新人やヘルプが入りにくくなる
明文化されていないルールが存在する現場では、新人や臨時ヘルプが適応しにくい環境が生まれることがあります。
暗黙の了解や常態化してしまった文化に馴染むには時間がかかり、その間の業務効率は著しく低下してしまうでしょう。
また、業務の適切な引継ぎや教育が行われないため、新人のモチベーション低下や退職率の増加といった問題が生じることも考えられます。
ドキュメンテーションの充実で現場にどんな変化が起こるのか
「ドキュメンテーション」を一言で言うと「ルールや業務手順の文書化」です。出来事や情報の記録、マニュアル化などを文書化すること全般を「ドキュメンテーション」と呼びます。
ドキュメンテーションが現場にもたらす変化について紹介します。
画一的で素早い判断ができるようになる
ドキュメンテーションが充実することで、「暗黙の了解」がなくなります。
社員によって対応が変わらず画一化され、質の高いサービスが業務を社員全員がこなすことができるようになります。
また、突然のトラブルが発生した場合でも、過去の事例や解決策が記録されていれば、同じ問題に対して即座に対処できるでしょう。
マニュアルや対処法が文書化されていることで、画一的で素早い判断を、現場のどのスタッフも行えるようになります。
リーダー不在でも現場が回るようになる
ドキュメンテーションが充実すると、業務の透明性が向上し、各メンバーが自律的に業務を進めることができるようになります。
具体例として、マニュアル化された業務手順や役割分担が明確になることで、リーダーが不在でもチーム全体が効果的に連携し、業務を遂行できる環境が整います。
一方で、明文化されていないルールが蔓延している現場の場合、それを把握しているリーダーやマネージャーが不在の場合、現場が回らなくなってしまいます。
リーダーの負担が軽減されるとともに、特定の人物に依存した組織運営から脱却します。
マニュアルやルールのアップデートができる
ドキュメント化されていれば、各店舗や従業員毎に発生した課題やトラブルを、同じデータベース内に収集できます。
その結果、共通の問題や課題を見つけ、マニュアルやルールをアップデートすることが可能になります。
現場のメンバーは常に最新の情報に基づいて業務を行うことができ、組織全体の運営の効率性が向上します。
ドキュメンテーションを充実させるためにすべきこと
ドキュメンテーションを充実させるためには、現場の協力はもちろん、ドキュメンテーションの文化を浸透させるための施策が重要です。具体的に、どのようなアプローチを行うべきかを解説します。
現状の問題や課題を現場に共有する
ドキュメンテーションの充実には、まず現場の理解と協力が不可欠です。現場に最初に理解を促すべきことは、「暗黙の了解」がどのようなリスクを生み出すのか、そしてドキュメンテーションの文化が現場にどのような良い影響を与えるかの周知徹底です。
次に、定期的なミーティングやフィードバックセッションを通じて、現場の声を聞き、問題点を明確にします。このプロセスが欠けていると、結局また現場のみの見えないルールが浸透してしまう可能性が出てきてしまうので、問題や課題を話し合い、現場従業員と共に明文化しましょう。
ドキュメンテーションの文化を現場に浸透させるために、まずは管理者や経営者がドキュメンテーションを率先して行います。
習慣化するまでサポートする
ドキュメンテーションの文化を浸透させるには、一時的な取り組みではなく、習慣化が不可欠です。
新しい習慣を身につけることは簡単ではありません。例えば、業務記録の記録をスマートフォンで行う場合、最初は面倒に感じることもあるでしょう。こうした場合、上司やリーダーのサポートが重要です。
操作方法に関してアドバイスをしたり、文書化のコツを伝えると共に、作成された文書に対しフィードバックを行います。
そうしてドキュメンテーションが浸透するまでは、現場をサポートする体制を整えましょう。
スマホで簡単に作成できる体制を整える
現代の働き方に合わせて、ドキュメント作成の手間を減らすためにスマートフォンでの作成にも対応しましょう。
たとえば、現場で発生した問題やアイデアをその場で写真やテキストで記録し、即座にドキュメントに反映できる環境を整えます。
自動保存機能があれば従業員は業務の合間や外出先でも重要な情報を失わずに記録し、チーム全体で共有することができます。さらに、クラウドベースのドキュメント管理システムを導入することで、スマートフォンからでも安全にアクセスし、必要な情報をいつでも確認できる仕組みを整備します。
ドキュメンテーションの充実は作成のしやすさが大事
社員の中には、文章作成が苦手な人もいるでしょう。またPCの扱いに慣れておらず、PCからの作成には時間を要する人もいるかもしれません。文書作成のための指導係が必要になれば、その分のコストも必要になります。
この問題を解決するには、誰でも簡単に、ドキュメンテーションが行えるシステムが必要です。従業員エンゲージメントの向上や業務DXを支援する「TUNAG」を活用した方法をご紹介します。
【マニュアル】TUNAGでマニュアル作成・アップデートする
「TUNAG」では文字・動画・画像等を用いてマニュアルを作成できる機能があります。文書だけでは理解しにくい現場の作業も、動画マニュアルや画像を用いたマニュアルであれば理解がしやすくなります。
紙媒体でのマニュアルとは異なり、更新も即座に実施可能です。現場で起きた問題や対応をすぐにマニュアルに反映し、さらに「TUNAG」上で全従業員に周知することで、リアルタイムにアップデートできます。
「TUNAG」はスマホアプリを提供しているため、アルバイトやパートの方にもスマホひとつでマニュアルの共有や情報共有、コミュニケーションが可能です。
TUNAGの活用事例:加藤精工株式会社のマニュアル共有
加藤精工株式会社では、「TUNAG」を利用して、動画マニュアルの共有や理解度を確認するテストを運用しています。
また、問題の共有のため「ヒヤリハット報告」を行い、業務の中で「ここが危なかったよ」「ウチの拠点も気をつけよう」というコミュニケーションが生まれています。
製造現場の社員まで情報を届け、拠点間コミュニケーションを活性化
ドキュメンテーションの充実で働きやすい現場を作る
ドキュメンテーションの習慣がない企業の現場では、明文化されていない暗黙のルールが蔓延し、品質がばらけたり、特定の社員に依存した仕事になりがちです。また、新人や応援などが、現場に馴染みにくくなります。
ドキュメンテーションを充実させることで、暗黙のルールをなくし、誰もが一定以上の品質や仕事のパフォーマンスを発揮することが可能になるでしょう。文書作成が苦手な社員でも、スマホを使って簡単に作成・共有ができると、ドキュメンテーションが浸透しやすくなります。