顧客満足度を上げる10の具体例!メリットや企業の取り組み事例も紹介

顧客満足度の向上は、新規顧客・リピーターの獲得や企業価値の向上につながります。さまざまな施策があるため、できる範囲で実施しましょう。顧客満足度を上げるメリットや10の具体例、企業の取り組み事例を紹介します。

顧客満足度とは

顧客満足度は英語で「Customer Satisfaction(カスタマーサティスファクション)」といい、頭文字を取ってCSと略されることもあります。具体的にどのようなものを指すのか、まずは顧客満足度の意味を理解しましょう。

顧客満足を数値として示した指標

顧客満足度とは、自社の商品やサービスに顧客がどれだけ満足したかを表す「顧客満足」を数値化した指標です。アンケート調査やヒアリングで把握できる事前期待値を顧客満足度が上回った場合に、顧客が満足感を得られるとされています。

消費社会が多様化・高度化した昨今、品質や価格を見直すだけでは、差別化を図ることは困難です。消費者のニーズを評価する新たな指標として、顧客満足度が注目を集めています。

企業の持続的な成長を図るためには、顧客満足度の向上が不可欠です。また、顧客満足度は企業の収益性だけでなく、従業員満足度とも密接に関係しています。

顧客満足度を上げるメリット

顧客満足を追求すると、企業にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。主な効果を見ていきましょう。

新規顧客とリピーターの獲得につながる

顧客満足度が上がれば、自社の商品やサービスを周囲に紹介する人が増え、新規顧客の獲得につながります。レビューサイトやSNSに自分の体験を投稿する人もいるでしょう。

また、商品やサービスを購入した人自身が再度購入するケースもあります。新たなリピーターの創出を期待できることもメリットです。

顧客満足度を上げるだけで新規顧客や新たなリピーターを獲得できるため、これまで販促活動にかかっていたコストも抑えられます。

ロイヤルカスタマーを増やせる

特定の商品・サービスに愛着や信頼を感じることを、顧客ロイヤルティといいます。顧客ロイヤルティの高い顧客がロイヤルカスタマーです。

顧客満足度を上げれば顧客ロイヤルティが高まるため、より多くの既存顧客がロイヤルカスタマーに昇格し、結果的にビジネスの継続的かつ安定的な成長を期待できます。

企業価値が向上する

顧客満足度を上げるメリットの1つに、企業価値が向上することも挙げられます。商品やサービスの評価が広く認知されてブランド力が高まるほか、競合他社との差別化も図れるでしょう。

企業価値が向上すると企業としての信頼性が高まり、資金調達のハードルが下がります。事業経営がスムーズに進むようになり、倒産リスクも軽減するでしょう。

顧客満足度を上げる具体例10選

顧客満足度を向上させる施策には、さまざまなものがあります。以下に挙げる10の具体例を理解し、できる範囲で多くの施策を実践しましょう。

顧客ニーズの把握

顧客満足度を上げるためには、アンケート調査を中心とした現状の把握が不可欠です。顧客の現状を知る指標としては、主に次のようなものがあります。

  • CSI:世界各国で使用されている標準的な顧客満足度指数
  • JCSI:CSIを日本向けにカスタマイズした指標
  • NPS:顧客ロイヤルティを数値化するための指標


顧客ニーズには顕在ニーズと潜在ニーズの2種類があります。顧客自身が自覚している顕在ニーズだけでなく、顧客自身も気づいていない潜在ニーズにもアプローチすることで、顧客満足度の向上につながる商品やサービスを提案しやすくなるでしょう。

サービスコンセプトの明確化

サービスコンセプトとは、「どのような価値を誰のために提供するか」を定めたものです。サービスコンセプトを明確化すれば、顧客の期待値をマネジメントしやすくなります。

自社の商品やサービスがどのような人に求められているのか、まずは深く理解することが重要です。サービスコンセプトの明確化には、ポジショニングマップ・3C分析・STP分析といったフレームワークが役立つでしょう。

付加価値による差別化

顧客満足度を測るための指標として、「本質機能」と「表層機能」があります。本質機能はその商品やサービスから当たり前のように得られると認識されている価値、表層機能は本質機能の価値をさらに向上させる付加価値です。

本質機能の価値が低いと顧客満足度の低下を招きかねない一方、本質機能による顧客満足度の向上には限界があります。本質機能の水準が一定レベル以上にある場合、顧客満足度を高めたいなら表層機能の向上を図るほうがより効果的です。


ただし、表層機能の向上に力を入れすぎると、本質機能とのバランスが悪くなってしまう恐れがあります。顧客ニーズを把握する際、本質機能と表層機能のどちらが足りていないのかを分析するのもよいでしょう。

スムーズな情報提供の仕組みの構築

顧客満足度は商品やサービスそのものだけでなく、購入を検討したり実際に購入したりする際の企業側の対応も大きな影響を与えます。特に意識したいのが情報提供の仕組みです。

顧客から商品やサービスについて問い合わせを受けた場合、情報をよりスムーズに届けられる仕組みが構築されていれば、顧客満足度のさらなる向上を期待できます。

電話・メール・チャットなど、問い合わせできる手段は複数用意しましょう。社内で情報がきちんと共有できていることを示すために、顧客とのやり取り履歴をすぐに確認できるようにすることも重要です。

オペレーションの最適化

ビジネスにおけるオペレーションとは、商品やサービスを生産・販売するための活動やプロセスのことです。例えば、製造業のオペレーションの例としては、在庫管理・品質管理・材料調達・製品発送などがあります。

オペレーションを最適化すれば、約束された品質を維持しやすくなるほか、納期に間に合わなくなる可能性も低くなります。期待外れのものが納期を過ぎてから顧客に届くケースもあるため、顧客満足度の相対的な向上を図れるのです。

そもそも、オペレーションを改善すると、ビジネス全体のパフォーマンスが大幅に良化する可能性があります。顧客満足度の向上だけでなく、コスト削減や品質向上、従業員のモチベーションアップなども期待できるでしょう。

ダイナミックプライシングの設定

ダイナミックプライシングとは、商品やサービスの需要に応じて価格を変えることです。固定化された価格に不満を持つ顧客の満足度を上げることができます。

ダイナミックプライシングの代表例が、旅館やホテルの宿泊料金です。需要が高い土日祝日を高めに、需要が低い平日を低めに設定することで、顧客は自身の都合に合わせてよりお得な料金で利用できます。

ある意味顧客自身が価格を決められるダイナミックプライシングは、商品やサービスによっては顧客満足度の向上に大きく貢献するでしょう。

SNSの活用

いまや多くの人にとって欠かせないコミュニケーションツールとなっているSNSは、顧客満足度を上げるツールとしても使えます。主な活用例をまとめました。

  • 商品やサービスに対する感想をもらう
  • ポジティブな口コミに感謝のコメントを返す
  • ネガティブな口コミに改善案を示す
  • 企業と顧客または顧客同士のコミュニティをつくる

SNSを通して双方向のコミュニケーションが行われると、企業や商品・サービスに対して愛着が湧きやすくなり、結果として顧客満足度の向上につながる可能性があります。

アフターフォロー体制の充実

顧客満足度を上げるためには、商品やサービスの購入後のアフターフォロー体制を充実させることも大切です。オペレーションの最適化の一環として考慮する必要があります。

アフターサポートやカスタマーサクセスがしっかりと機能しているか見直し、顧客に不満を与えないような運用を行いましょう。顧客の不安心理を解消するための施策として、返金保証を用意するのも効果的です。

商品やサービスを購入した人には、顧客のニーズや課題に応じたフォローアップメールを送るのもよいでしょう。他社との差別化を図れる情報を発信すれば、顧客満足度の向上につながりやすくなります。

CRMやSFAの導入

顧客情報の適切な管理にはツールの活用が不可欠です。CRM(顧客管理ツール)やSFA(営業支援ツール)を導入し、顧客管理や営業の最適化を図りましょう。

CRMを導入すれば、顧客との関係性やコミュニケーションを一元管理できます。単に属性や購入履歴を管理するだけでなく、各種データを用いた分析を行うことも可能です。さまざまな角度から販売戦略を練られるようになります。

CRMが顧客との関係性を構築するのに役立つのに対し、SFAは営業プロセスを効率化する役割を果たします。商談から受注までの進捗状況を可視化したり、営業活動を管理したりするのに役立つでしょう。

社員の教育やマニュアルの整備

商品やサービス自体の品質が良くても、顧客と接する社員の質が低ければ、顧客満足度は上がりにくくなります。顧客と直接かかわる社員が多い企業では、社員の教育やマニュアルの整備も行いましょう。

社員教育ではホスピタリティをテーマの1つに加えるのがおすすめです。ホスピタリティは接客サービスの重要な価値観であり、ホスピタリティが発揮されると顧客に感動を与えやすくなります。

ホスピタリティは以前から旅行業界や飲食業界で重視されてきましたが、一般的なビジネスでも重視すべき概念です。さまざまなシーンでホスピタリティを意識することで、顧客の感情や心理面に良い影響を与えやすくなります。

顧客満足度向上の成功事例

世の中の企業は顧客満足度を上げるためにどのようなことをしているのか、3つの成功事例を紹介します。自社で顧客満足度の向上に取り組む際の参考にしましょう。

ソニー損保株式会社

ソニー損害保険株式会社は、2023年度のJCSI(日本版顧客満足度指数)の調査で1位となり、損害保険業界で4年連続1位を獲得しています。

JCSIは顧客満足度を多角的に評価するために、「顧客期待」「知覚品質」「知覚価値」「顧客満足」「推奨意向」「ロイヤルティ」の6項目を定めており、ソニー損害保険株式会社は全ての項目で1位となっています。

ソニー損害保険株式会社が顧客満足度を上げるために実施している主な施策は以下の通りです。

  • 24時間365日事故対応サービス:時間や曜日にかかわらず顧客をサポートする
  • 手話・筆談サービス、外国語通訳サービス:多様な顧客に高品質なサービスを提供する

※出典:JCSI(日本版顧客満足度指数)の調査において、 4年連続で損害保険業界第1位 | 2023年度 | ニュースリリース | 自動車保険ならソニー損保におまかせ!

スターバックスコーヒージャパン株式会社

スターバックスコーヒージャパン株式会社は、店舗のある地域と持続的な関係を構築すること、地域に愛される存在になることを目指しています。

地域のクリーンアップ活動への参加や、子連れ客向けのパーティーの開催などを通し、地域とのつながりが生まれています。


接客マニュアルが存在しないことも特徴的です。スタッフは「歓迎する」「心をこめて」などの行動規範を記したブックを携帯し、自分なりに意味を考えて接客しています。

※出典:Business Report FY2011 | スターバックスコーヒージャパン株式会社

株式会社NTT ExCパートナー

株式会社NTT ExCパートナーは、NTTラーニングシステムズ株式会社の時代に、CRMシステムを導入しました。情報共有の円滑化や営業担当者のノウハウ蓄積を図り、顧客満足度の低下を防ごうとしたのです。

システム導入後は情報の共有量が大幅に増加し、正確性も高まりました。2023年に実施されたオリコンの若手・一般社員向け企業研修満足度ランキングでは2位を獲得しています。

※出典:最新 おすすめの企業研修 若手・一般社員向け公開講座ランキング オリコン顧客満足度調査

顧客満足度の向上には従業員満足度を高めることも重要

顧客満足度は従業員満足度と密接に関係しています。顧客の期待値を超える商品やサービスを生み出すためには、従業員満足度を高めて従業員が最大限のパフォーマンスを発揮できるようにしなければなりません。

従業員満足度の向上を図るなら、エンゲージメント向上ツール「TUNAG」を導入するのがおすすめです。どのような機能があるのかを紹介します。

従業員満足度を高めるために「TUNAG」でできること

TUNAGの「サンクスカード」機能を活用すれば、従業員同士が褒め合う文化が組織内に醸成されます。感謝や称賛は従業員満足度にダイレクトにつながる要素です。

「社長メッセージ」や「トップメッセージ」機能もチェックしておきましょう。経営陣の想いや会社の方針・戦略を従業員にきちんと伝えられる機能です。

「社内ポイント」「Web日報」「社員プロフィール」など、他にも従業員満足度を上げられる機能が豊富に搭載されています。

企業の成長促進には顧客満足度の向上が不可欠

顧客満足度を上げると、新規顧客・リピーターの獲得やロイヤルカスタマーの増加につながります。ブランド力や企業価値の向上を期待できることもメリットです。


顧客満足度向上を図れる施策の具体例をチェックし、持続的な成長に向けてさまざまな施策を実行してみましょう。


著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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