クラッシャー上司に企業はどう対応すべき?信頼関係をつくり現場の変化をキャッチする仕組みを
クラッシャー上司とは
部下を精神的に追い込みつつ、自分は成果を残して出世していく上司
書籍のタイトルになるほど、言葉としても広まっており、深刻な事態につながっている例もあるようです。
パワハラ上司より対応が難しい
部下を追い詰める上司というと、パワハラ上司が思い浮かびます。パワハラの場合は、明らかに理不尽な行為が多く、会社に相談すればパワハラとして処分してもらえるケースが多いでしょう。
しかし、クラッシャー上司の場合はパワハラ上司と比べ、上司自身は非常に優秀という点が特徴です。クラッシャー上司は、自身が優秀な事から部下にも同じレベルの完璧な仕事を求めます。
これまで実績を上げてきた人が多い
単なるパワハラであれば相応の処分が可能ですが、クラッシャー上司の場合は業績を上げるための指導だったり、実際に結果を出しているので対応がしにくいという傾向があります。
自分が業績を上げてきたという自負があるため、自分の価値観を元に熱心に指導を行います。クラッシャー上司の指導は時に行きすぎになることが多く、部下は心身ともに疲弊します。
しかし、部下がそれについていけないのは「甘え」「努力が足りない」と考えてさらに指導や叱責が増すため、結果的に部下が追い込まれ、休職や退職に追い込まれてしまうのです。
クラッシャー上司の特徴
自己中心的で周囲の事を考えない
クラッシャー上司の基準はすべて「自分」です。これまで自分のやり方で結果を出してきたため、他社にも自分と同じだけの働きを強要します。
しかし、これは仕事を押し付けてやろうというパワハラ的な考えではなく「自分ができるのだから他人にもできて当然」という考えが元になっています。
そのため、社員一人一人の能力差やレベルを考慮することなく、膨大な仕事量や難しいレベルの仕事を任せがちです。
部下のやり方が自分の考えと異なったり、少しでもミスをすれば「この程度の事もまともにできないのか」と厳しく指導します。
他人を思いやる力がない
思いやりのある上司は、部下の感情に寄り添うことができます。部下が悩んでいたり、悲しいことがあれば「いま相手にとって何をしてあげるのが一番いいか」を考えて行動します。
しかし、クラッシャー上司には、他人を思いやるという感情はあまりありません。前述したように自分の経験や価値観を優先する傾向にあります。
相手が追い込まれてつぶれてしまうと「あいつはメンタルが弱いからダメだ」と考えてしまいがちです。
相手を認めて受け入れる気持ちがない
クラッシャー上司の下で、何とか認められようと頑張っても、なかなか認められないままであることが多いようです。
なぜなら、クラッシャー上司は「相手を認める」という気持ちを持てていないことが多いためです。
部下の手柄は自分の手柄にして出世を続けてきたため、相手の能力を受け入れて褒めるという事もあまりありません。
そのため、どれだけ部下が頑張っても、結局クラッシャー上司のいいように使われるだけというケースが多くあります。
自己承認欲求が強い
クラッシャー上司は「自分の能力が会社を支えている」という自負があります。そのため、すぐに自分の成功譚や自慢話を語りたがり、さらに「だからお前はダメなんだ」と部下を貶めてしまいます。
社内だけならまだしも、業務外の時間でもダメ出しをしたがる傾向も強く、退勤後や休日さえクラッシャー上司に潰されるという悩みを抱える部下も多いでしょう。
クラッシャー上司が会社に及ぼすこと
クラッシャー上司は個人としては優秀な成績を上げることが多いため、会社としても対応が難しいことがあります。
しかし、こうした上司を放置することは、長い目で見れば離職者の増加につながるなど、デメリットが多くあります。
クラッシャー上司が会社に及ぼす悪影響は、思った以上に深刻です。
職場の雰囲気が悪くなる
行き過ぎた指導を行い、常に叱責してくる上司がいれば、部下たちはどんどん委縮していきます。
常に上司の顔色を窺い、疲弊した状態です。笑顔と活気あふれる環境とは程遠く、どんどん部下が追い込まれていく最悪の雰囲気が広がる悪循環となります。
有望な部下が潰される損失
絶対に他人を認めず、部下を伸び伸びと育てようという気持ちが一切ない上司の元では、健全な人材育成は叶いません。
本来能力があるはずの人材も、クラッシャー上司の執拗な指導や叱責に追い詰められ、自分の能力を発揮できないまま潰れていくケースがあります。
1人の上司のせいで、この先会社を担うはずの有望な部下が成長できないまま終わるのは、長期的な視点から見れば会社の大きな損失です。
休職や退職が増え、人材が流出する
毎日理不尽な叱責にさらされ、1人でこなすのは難しい仕事量を押し付けられていれば、心身ともに疲弊します。
仕事ができなければクラッシャー上司からの更なるプレッシャーが待ち受けています。このような毎日は、部下にとって地獄のようなものです。
こうした状況を放置すれば、うつ状態になり、休職や退職を余儀なくされる社員が増えていくでしょう。
また、クラッシャー上司から逃げ出すために退職を選ぶことも予想されます。それだけでなく、クラッシャー上司の影響を受けていない社員でも「こんな状態の会社では先が不安だ」などと考え、優秀な人材が流出してしまう可能性もあります。
社会的信用の失墜
クラッシャー上司は優秀な成績を上げているとはいえ、部下からすればパワハラ上司よりひどい存在です。
セクハラ、パワハラが社会問題となっている中、クラッシャー上司の存在を放置していれば、やがて会社の信頼を損ねる存在になるかもしれません。
たとえば、クラッシャー上司の行き過ぎた指導で鬱になり、自殺に追い込まれた社員がいたとしたらどうでしょう。
上司を放置した会社の上層部の責任となり、対外的な信用を失い、取り返しののつかないこととなってしまいます。
会社としてどう対処すべきか
クラッシャー上司の扱いには慎重な対処が必要です。本人は成果を上げていることが多くあるため、誤った対処はかえって問題を複雑化させたり、戦力の低下を招きます。
単純な指摘や処分だけでなく、対話を行うこと
クラッシャー上司のやり方をパワハラ認定して懲戒処分すると、自分のやってきたことが正しという自負がある上司はプライドを傷つけられます。
その結果、さらにクラッシャー行為が陰湿になったり、逆にプライドを失い本人が鬱状態に陥ることもあります。
また、自分の指導がパワハラになり、部下を潰すという認識がなくこれまでやってきたため、処分後どうやって部下に対処していけばいいかわからなくなってしまうのです。
そのため、クラッシャー上司に対しては、罰を与えるだけの処分は適切ではありません。
じっくりと対話を行い、長期的に向き合う必要があるでしょう。クラッシャー上司にもその上の上長がいると思いますので、上長がしっかりと時間を設けて対話し、会社の考え、求めていることを伝えていきましょう。
アフターケアと定期的な教育を行う
クラッシャー上司を更生させるには、三つの段階があります。まず、自身の行為が不適切であったという認識をしてもらいます。
自分の行為が正しいと信じ込んでいた上司にとっては、青天の霹靂でしょう。落ち込んだり、逆に攻撃的になったり、不安定な状態になることもあります。
そこで、対応した後にはしっかりとしたケアが必要です。心理カウンセラーとの面談や、さらに上の立場の上司からの指導などを通して、促していく必要があります。
最後に、適切な指導ができるような教育の機会を設けます。クラッシャー上司は、考え方や伝え方が間違っているだけで、スキルや知識は非常に高く、これらの能力を適切に部下に伝える方法を身につければ、会社にとって大きな武器になります。
パワハラを用いずに部下を育成するにはどうしたらいいか、研修の機会を設けるなどして、上司の再教育を行う事が重要です。
個人として悩んだ場合の対策
クラッシャー上司は、日々部下を追い込んできます。周囲も委縮してどんどん環境は悪化するばかりです。
そんな状況に悩んだ場合、個人としてどう立ち向かえばいいのでしょうか。
信頼できる仲間に打ち明け、味方を増やす
能力が高く、高い評価を得ているクラッシャー上司に一人で立ち向かうのは容易な事ではありません。
まずは、自分一人で悩みを抱え込まず、信頼できる仲間に打ち明け、味方を増やしていきましょう。人事に相談する際も、上司の行為を証言してくれるような状況があれば、より自分の置かれた辛い状況が伝わりやすくなります。
配置転換を願い出る
クラッシャー上司の厄介なところは、どれだけ頑張っても結局認めてくれることはないという点です。
つまり、クラッシャー上司の部下であるうちは、どんどん消耗させられることになります。今は我慢できていても、やがてさらに疲弊するかもしれません。
もう無理だと思ったら、早めに異動を願い出ましょう。自分から異動を訴えることで、現場の窮状が会社に伝わり、何らかの対応も期待できるでしょう。
最悪の場合は転職も視野に
クラッシャー上司のいる職場は、周囲の仲間も見てみぬふり、会社全体がクラッシャー体質という場合もあります。
周囲や会社からのサポートが期待できないなら、思い切って転職してしまうのも一つの手段です。
クラッシャー上司はどの会社にも存在しうる
現場の従業員の変化に気づけるような体制づくりを
クラッシャー上司の存在は、会社の戦力を失うことにもつながる重大な問題です。見過ごしていると多くの従業員が離職してしまうことにつながります。
個人の能力は非常に高いため、能力を適切に活かせれば、会社にとって大きな武器となります。
普段から会社と従業員、従業員同士のコミュニケーションを円滑に進める風土をつくり、現場の変化をキャッチできるような仕組みづくりを進めましょう。
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上司部下の対話を行うための1on1MTG、称賛文化づくりなど、組織の活性化や風土づくりには、長期的な取り組みが必要です。
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