コンフリクトマネジメントとは?対立を解消して組織活性化につなげる5つの方法を解説

コンフリクトマネジメントは、組織内の意見の対立や摩擦を解消するための重要なアプローチです。健全な対話を通じて、各メンバーの声を尊重し、建設的な解決策を見つけることで、組織の活性化を図ります。本記事では、コンフリクト解消のための5つのステップやマネジメントスタイルについて詳しく解説します。

コンフリクトマネジメントとは

コンフリクトマネジメントとは、組織内での意見の対立や口論が生じた際に、積極的に問題解決を図ろうとする考え方や取り組みのことです。

異なる価値観・年齢・性別を持つ個人の集まりである企業組織では、大小を問わず対立は避けて通れません。現場では日々さまざまな葛藤が生まれています。対立や衝突はネガティブなイメージに捉えられがちですが、異なる意見や見解は組織の活性化や新しいアイデアが生まれる可能性があります。コンフリクトマネジメントは、組織内で生じる衝突や対立を戦略的に活用して、組織変革や強化に役立てようとする手法です。

特に医療・看護の現場においては、患者や患者のご家族の混乱を解消するために「医療コンフリクトマネジメント」の技術が用いられ、看護師などは研修を通じて概要やスキルを学びます。医療コンフリクトマネジメントとは、医療や看護の現場において患者側にネガティブな事象が発生した際に、調停者が患者側の主張や不安に傾聴しながら医療側と患者側の対立を解消することを指します。

参照:「コンフリクトマネジメント」とは?組織あるところに「コンフリクト」あり! | フォーサイト

コンフリクトとは

コンフリクトとは、葛藤・衝突といった意味を持ちます。考え方や主張が異なる状況において、互いに譲らず対立することです。職場におけるコンフリクトは「タスクコンフリクト」と「リレーションコンフリクト」の2種類に区別する分類方法があります。

タスクコンフリクトとは、仕事に関する課題について意見やアイデアがぶつかることです。たとえば、商品の企画会議で「顧客に訴求するデザインはどうするべきか、意見をして議論しよう」といったケースが当てはまります。前向きな意見対立であり、企業に新たな価値をもたらします。

リレーションコンフリクトとは、人間関係から生じる感情の対立のことです。「嫌い」「腹が立つ」など、仕事とは関係のないパーソナルな部分が当てはまります。相手の悪口や嫌がらせなど、一旦感情的になると収拾がつかず、解決が困難になることも少なくありません。

参照:コンフリクト・マネジメント調査報告書 -コンフリクトと多様性- | 株式会社日本能率協会マネジメントセンター


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コンフリクトマネジメントの5つのスタイル

コンフリクトが生じると、従業員にはいくつかの反応・態度が現れます。ピッツバーグ大学(米国ペンシルベニア州)のケン・トーマス教授とラルフ・キルマン教授の研究で提唱されている「トーマス・キルマン・モデル」では、5つの反応に分類されています。


▼参照
Take the Thomas-Kilmann Instrument | Improve How You Resolve Conflict
What is the Thomas Kilmann Conflict Management Model? (With examples)

Competing(競争的)

競争的な反応とは、自己主張が強く非協力的で、相手を犠牲にしても自分の意見を主張することです。自分の利益を優先し、相手を説得したり犠牲を強いたりして解決します。自分の立場を勝ち取るためなら、適切と思われる手段はなんでも利用し、自分の意見を相手に押し付ける強制的行為です。

Accommodating(受容的)

受容的な反応とは、自己主張がなく協調的であり、他者の意見を受け入れることです。場合によっては損することも受け入れる自己犠牲の要素が強く、自分のやり方を変えたり、相手に譲歩したりしなければなりません。相手の利益・要求を優先し、自分の要求を抑えることで成り立ちます。

Avoiding(回避的)

回避的な反応とは、非主張的かつ非協力的であり、意見の対立などコンフリクトそのものを避けることです。傍観者のような立場で物事を見ており、自分の関心事も相手の関心事にも一切追及することはありません。問題を回避したり、より良い時期まで先送りにしたりします。

Collaborating(協力的)

協力的な反応とは、自己主張が強いと同時に協調的でもあることです。相手の懸念を満たす解決策を見つけるために、相手と協力しようとする試みが含まれます。これは、問題を掘り下げて両者の根底にあるニーズと欲求を突き止めることを意味します。お互いの意見を尊重しながら、新たな解決法を見出すことです。

Compromising(妥協的)

妥協的な反応とは、自己主張と協調性のバランスが取れていることです。お互いのニーズを完璧に満たすのではなく、両者が部分的に満足するような、受け入れ可能な解決策を見つけます。双方の満足度は低いものの、問題の早期解決につながります。妥協は日常的な解決策ですが、習慣化しないように注意が必要です。

コンフリクトマネジメントのメリット

コンフリクトマネジメントを行うメリットを、2つ解説します。

意見を言い合える組織になる

コンフリクトマネジメントは、対立を解消して活発な意見交換をする組織を生み出します。一部の人だけが意見を述べる環境では多様な議論が生まれず、組織の成長が制限される可能性があります。しかし、多様な意見を取り入れることでクリエイティビティが高まり、新しい学びやアイデアが生まれ、組織にポジティブな影響を与えるでしょう。

離職率の低下

また、活発な意見交換ができる組織は、従業員に帰属意識を与え、人間関係の悩みが原因での離職を減らします。帰属感が高まることでモチベーションが向上し、組織や同僚への貢献意欲が増すでしょう。

コンフリクトを解消する5つのステップ

ただし、コンフリクトマネジメントを実行するためには、適切な順序で行う必要があります。ここでは、コンフリクトを解消する5つのステップを解説します。

参照:7 Strategies on How to Resolve Conflict In The Workplace | HR Cloud

ステップ1. 対立の原因を明確にする

コンフリクトを解消するためには、その原因を明確にすることが大事です。対立の原因を明確にすることで、そもそもなぜ問題が大きくなったのかを理解できます。また、理解の相違が何であるのかを両者に納得してもらえます。できるだけ多くの情報を得るためにも、対立する両者に対して質問を続けましょう。

ステップ2. 話し合いの場を設ける

次に、対立している個人同士で話し合いの場を設けます。それぞれが問題に対して自分の意見や認識を述べる機会を持つようにします。その際に、各当事者がその問題に対して自分の意見を述べるのに十分な時間を確保しましょう。必要であれば、基本ルールを設けるなど建設的な議論ができるように配慮してください。

ステップ3. 状況を調査し解決案を提示する

両者の意見を聞いたら、時間をかけて状況を調査します。先入観を持ったり、今ある情報だけで最終的な結論を出したりしないよう注意が必要です。客観的に見て考えられるあらゆる解決案を提示しましょう。個人にスポットを当てるのではなく、原因となる物事にスポットを当てて解決案を考えることが大切です。

また状況に応じて、解決策に対する話合いの場を設けて、追加で調査することも検討しましょう。

ステップ4. 解決における当事者の責任を決定する

状況を調査し、問題を解決する方法を提示しただけではコンフリクトの解消とはなりません。両者は問題に対する最善の解決策について結論を出す必要があります。また、対立を解決するために各当事者が持つ責任を明確にしましょう。根本となる原因を特定し、同じ問題が二度と起こらないようにすることも重要です。

ステップ5. 現状を評価し、今後の予防策を決定する

同じ問題が起こらないようにするためには、解決策が効果的なのかどうかを評価することも大切です。各当事者が納得したうえで出した結論でも、またどこかのタイミングでコンフリクトが生じるかもしれません。コンフリクトマネジメントの効果を最大限に活かすためにも、問題に対する定期的な見直しは不可欠です。

コンフリクトが発生する5つの原因

職場におけるコンフリクトの原因はさまざまですが、いくつかの原因に分けられます。ここでは、コンフリクトが発生する5つの原因を紹介します。

▼参照
4 Causes of Workplace Conflict - ROI
Workplace Conflict: Causes, Types And Steps To Resolve It

原因1. コミュニケーション不足

コンフリクトが生じる主な原因の一つが、コミュニケーション不足です。コミュニケーション不足は経営陣からもたらされることもあれば、従業員間からもたらされることもあります。自分の意見とは異なる内容を主張する相手が、どのような考えを持っているのかは、話し合わなければ分かち合えません。

原因2. 性格の不一致や価値観の違い

職場には年齢・性別・価値観の異なるさまざまな人が働いています。社会で生きていくためにある程度の協調性は不可欠ですが、性格の不一致で対立することもあるでしょう。他者との違いを認識するだけでなく、お互いの違いを尊重することが大切です。お互いの考え方・価値観の共通点を見つけて、コンフリクトの解決に向かいましょう。

原因3. 職場における役割と責任が不明確

職場における役割が不明確であることも、コンフリクトが生じる原因です。誰が何をするのかが明確でないために、お互いの仕事内容に意見を言い合う可能性があります。また、他の人が責任を負っていると思い込んでいるために、問題が生じた際に責任転嫁をすることで対立や衝突が生じることもあります。

原因4. 適切ではない仕事配分

仕事量が多いと感じたり、厳しいノルマが課されたりすると、上司に対する憤りからコンフリクトが生まれることもあります。また、仕事量や内容を同僚と比較して「上司からアイツのほうが優遇されている」と負の感情が生じてコンフリクトが生じることも。実際に特定の従業員をあからさまに優遇することで、職場での衝突が起こりやすくなります。

原因5. エンゲージメントが低い

従業員の満足度は、やりがいをどれだけ感じられるかで変わってきます。従業員エンゲージメントが低いと、職場に対する不満が募り、リレーションコンフリクトがつながりかねません。従業員エンゲージメントを高めるために、公平性のある人事評価制度を取り入れたり、ワークライフバランスの取れた働き方を導入したりなど、各社の組織課題にあった施策の運用・改善が重要となるでしょう。

コンフリクトマネジメントの事例4選

経営陣と従業員の場合

とある企業では、経営陣が新しい評価制度を導入しましたが、従業員からは「不公平感を感じる」との意見が相次いぎました。そこで、コンフリクト解消のステップとして、経営陣は全社員参加のタウンホールミーティングを開催し、評価基準の透明性を確保しました。その会で従業員からの具体的な疑問や不安を丁寧に聴取し、例を挙げて基準を説明したことはもちろん、従業員からあがったフィードバックをもとに制度を修正し、満足度を向上させました。

開発と現場の場合

開発側からの新システムの導入に伴い、現場スタッフから「操作が複雑で業務が遅れる」との不満が出ました。コンフリクト解消のステップとして、開発チームは現場スタッフとのワークショップを定期的に開催し、システムのデモを行うことで、実際の業務と仮定したシステムのフィードバックを収集し、使いやすいインターフェースを実現させました。またワークショップに参加し、システムに意見を反映したことでを、現場のスタッフが自信を持って使えるようになることで、効率が向上しました。

医療現場の場合

医師が新しい治療法を導入したが、看護師がサポート体制の不備を指摘しました。
コンフリクト解消のステップとして、医療チーム全体でのカンファレンスを開催し、治療法の利点と課題について医師と看護師の立場から、徹底的に話し合いました。看護師が必要とするサポートを特定し、新しい治療法を策定したことで、看護師向けのトレーニングを実施でき、チーム全体の協力体制が強化されました。

部門間の場合

マーケティング部が新しいキャンペーンを立案したが、営業部から「顧客の実情に合っていない」との反発がありました。
コンフリクト解消のステップとして、両部門のリーダーを集めたブレインストーミングセッションを開催し、営業部が直面する具体的な課題を共有しました。マーケティング部はキャンペーンの目標を調整し、現実的なターゲットを再設定し、成功事例を元に営業支援資料を作成し、キャンペーンの実行に向けた協力を強化することに成功しました。

コンフリクトマネジメントにおける2つのスキル

コンフリクトマネジメントを行ううえで、仲介者はさまざまなスキルが求められます。コンフリクトマネジメントで必要とされる2つのスキルを解説します。

参照:職場で活かせる対立解消(コンフリクトマネジメント)のスタイル5選 | Indeed (インディード)

コミュニケーションスキル

コンフリクトマネジメントで重要となるのがコミュニケーションスキルです。自分が相手に伝えるメッセージとその伝え方を理解し、調整する能力が求められます。言葉遣いや話し方、聞き手の気配りによって対立を解消に導けます。双方の意見を深くまでヒアリングして、解決策を見出すことが大切です。

エモーショナルインテリジェンス

エモーショナルインテリジェンスとは、自分と他者の感情を理解し、それを処理する能力です。コンフリクトマネジメントでは、他者の感情を理解し共感することも仲介者には求められます。根本的な問題を解決するためには、個人の感情を読み解く必要があります。エモーショナルインテリジェンスのスキルを身につけることで、自分の言動を通じて相手に良い影響を与えられるでしょう。

参照:エモーショナルインテリジェンス(心の知能指数)を高める方法9選 | Indeed (インディード)

コミュニケーションを増やして組織を活性化するならTUNAG

コンフリクトは「対立」や「衝突」を意味し、ビジネスの場面では会議や交渉の際に起こりやすいものです。
対立や衝突という言葉からはネガティブな印象を持たれがちですが、コンフリクトを解決することで、新たなアイデアが生まれたり、お互いの信頼関係が深まるといったプラスの効果を期待できる場面でもあります。

コンフリクトを解決するためには、お互いの意見や価値観を理解することが大切です。そこでおすすめのコミュケーションツールとして、TUNAGを紹介させていただきます。

TUNAGとは?

コミュニケーションツールTUNAGは、組織内の情報共有や対話を促進し、従業員の意見を反映させるプラットフォームです。チーム間のコラボレーションを強化し、透明性のあるコミュニケーションを実現することで、コンフリクトの解消にも寄与します。多様な意見を尊重し、より良い職場環境を作るための支援を行います。

コミュニケーションを促す機能3選

  1. タイムライン:情報がリアルタイムで時系列に表示されます。重要なお知らせは通知やバッジで強調され、重要度が低い情報はまとめて閲覧できる機能が搭載されています。これにより、必要な情報を効率的に把握できます。
  2. 社員リレー:社員がリレー形式で自己紹介を行い、お互いの理解を深める機会を提供します。これらの情報は各社員のプロフィールにも反映され、組織内のつながりを強化します。
  3. プロフィール:プロフィール機能により、従業員の顔と名前を明確にします。社員番号や内線番号などの公式情報に加え、趣味や特技といった個人的な情報も設定可能です。また、非公開にしたい項目も作成できるため、プライバシーを守りつつ人間関係を深める手助けをします。


参照:TUNAG コミュニケーションの活性化

そのほかにも豊富な機能が盛り沢山!

そのほかにも、社内チャット、日報、タスク依頼といったコミュニケーションを促す機能が盛りだくさんです。また、TUNAGはカスタマイズ性も高く評価されています。貴社の組織課題を独自のカスタマイズで解決することができます。

ここまでの説明で、TUNAGのサービス内容が気になる方は、「3分でわかるTUNAG」 資料をダウンロードしてみてください。

まとめ

コンフリクトは日常生活の一部であり、上司や同僚と意見が合わないこともあるでしょう。組織内で意見の対立や口論が起きた場合は、放置せず積極的に問題解決を図ろうとする動きが大切です。コンフリクトを解消するために問題を冷静に見つめ、スムーズな解決方法を導き出しましょう。

また、コンフリクトの根本を解決するためには社内のコミュニケーションを活性化させることが重要です。ITツールなどを活用して社内の様々な意見・主張を吸い上げつつ、発生したコンフリクトをうまくマネジメントしていくことが、心理的安全性の高い組織づくりや事業成長につながるでしょう。


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著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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