若手の3人に1人が「成長できない職場」を理由に離職。キャリアと向き合う環境が定着率を左右する

日本全体で進行する人手不足の中、優秀な社員の確保と定着は多くの企業にとって重要な課題です。特に若手社員が離職する原因の一つとして、「成長実感がない」ことが挙げられます。エン・ジャパン株式会社の調査によると、20代・30代の約30%が成長を感じられず、転職を考えたことがある人は90%以上に上ります。本記事では、若手社員の離職を防ぐための具体策を解説します。

【時間がない方のためのポイントまとめ!】

  • 「成長できる環境がない」ことで若手の3割は離職する
  • 離職が多い職場の共通点は「マンネリ化した業務・不明瞭なキャリアパス・形骸化した評価」の3つ
  • 1on1で若手のキャリアプランと向き合うことが大切

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6社が実践する離職改善の事例と離職防止のポイント

離職理由の3分の1が「今後の成長やキャリアが見えない」

日本全体で人手不足が進む中で、優秀な社員の確保・定着は多くの会社が抱える課題です。若手社員が離職すると、採用や育成にかけたコストが無駄になるのはもちろん、会社の中核を担う人材が不足する事態に陥りかねません。

若手社員が離職する原因の一つは、仕事をする中で成長実感を得られないことです。今の仕事で得られる経験やスキルに不満を感じ、より成長できる職場を求めて転職する姿が浮かびあがります。

転職サイトを運営するエン・ジャパン株式会社のアンケート調査(2024)では、20代・30代のビジネスパーソンの3人に1人が「仕事を通じた成長実感がない」と答え、それが理由で転職を考えたことがある方は9割以上にのぼるという結果が出ています。

出典:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「新人・若手の早期離職に関する実態調査

キャリアアップは今の職場では実現できない

自身のキャリアと仕事のつながりを整理できていないことが、若手社員が離職を考えるきっかけの一つです。今の仕事を続けても、目標とするキャリアや待遇を得られないと感じたら、転職でキャリアアップする選択肢が魅力的に見え始めます。

また、会社が社員のキャリア形成を支援する環境が不足しているのも、問題点の一つです。会社が社員に必要なスキルや知識を提供する機会が乏しく、人事異動の方針に社員を長期的に育成する視点がないと、社員が会社に見切りをつけてしまう可能性があります。

若手社員は「成長実感」を求めている

若手職員の多くは、自身のスキルをさらに高めて、よりやりがいのある仕事に挑戦する向上心を持っているのが特徴です。冒頭で紹介した調査でも、20代・30代のビジネスパーソンの94%は、成長環境を重視して就職先を選んだという結果が出ています。

成長実感は、仕事をやりとげたときだけではなく、周囲から評価されたときにも得られるものです。もし自身のスキルや成果が賞賛される環境がないと、成長実感を得られず、高いパフォーマンスを発揮し続けるのは難しくなります。

上司との希薄な関係性は危険信号

評価の中でもとりわけ大切になるのが、直属の上司とのコミュニケーションです。社員が上司とキャリアについて話し合う機会が少なく、仕事ぶりが十分に評価されていない状況は、社員の離職の可能性が高まっている危険信号だと言えます。

上司・部下間の関係性が薄いと、社員が今の仕事へ不満を抱いたときに、会社側がそれを汲みとれないことにも注意が必要です。気づいたら部下が転職を決めていたという事態は、普段からのコミュニケーションの希薄さが要因の一つであると言えるでしょう。

優秀な若手が離職してしまう職場には共通点がある

若手社員の定着率を高めるためには、離職につながる要因への対策が重要です。優秀な若手が離職してしまう職場の共通点を3つに分けて紹介します。

マンネリ化した業務

目の前の業務をこなすことが目的となり、社員が日々やりがいや成長を感じにくいのが離職につながる要因の一つです。高い目標のもと工夫して業務に取り組み、周囲から賞賛されるチャレンジングな環境がないと、成長実感を求める若手は物足りなさを感じます。

また、会社側の都合により、社員は必ずしも希望の部署や業務に携われるわけではありません。社員の希望と異なる業務はマンネリ化しやすいため、仕事の意義を感じさせ、モチベーションを向上させる仕組みを意識的に取り入れることが重要です。

キャリアプランが不明確

社員が自身のキャリアを考える機会が少なく、かつ職場にキャリア形成を後押しする環境がないことも離職の要因です。社員が長期的な視点でキャリアプランを考えられないと、今の会社で働き続けることの意義を見いだせなくなります。

また、会社が社員のキャリアプランを把握しておらず、社員の将来につながる人事配置ができていないのも問題点の一つです。会社は、人事の都合を中心に配属を考えるのではなく、社員のキャリア形成に対して意義のある経験を与える視点を求められます。

形骸化している研修や評価制度

研修や評価制度などの施策がキャリア形成に有益ではないことも、若手社員が離職するきっかけの一つです。研修の内容が毎年アップデートされず、人事評価を定例的に淡々と行うだけでは、社員の成長実感につながるキャリア支援とはいえません。

形骸化している施策の背景には、実施する目的が不明確であり、社員のキャリアプランと連動していないことが挙げられます。施策の目的を明確にした上で、上司が積極的にコミュニケーションをとりながら、社員それぞれに適した方法で運用するのがポイントです。

日常的に社員のキャリアと向き合うことが重要

優秀な社員の定着を図るには、会社が社員とともにキャリアプランを考え、その実現を支援する取り組みが必要です。以下では、社員のキャリアに向き合うために日常的にできる施策を紹介します。

「1on1」でキャリアの不安を払拭

社員のキャリアについて向き合うためには、社員のキャリアプランについて話し合う機会を積極的に作り出すことが重要です。上司と部下が対話する1on1を定期的に実施すれば、社員が自身のキャリアプランと仕事の内容を結びつけるきっかけになります。

1on1は人事面談と異なり、より長期的な目線でキャリアに関する想いや悩みを話し合い、日々の仕事へ反映するのが特徴です。その際、1on1の目的を上司・部下間で事前に共有して、実施そのものを目的化しないよう注意しましょう。

対話にあたっては、上司が一方的に質問するのではなく、部下の話を聞き取るスタンスが大切です。部下の職場に対する不満を汲み取れれば、離職を防ぐための対応も早期に実施できます。

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「日報」で仕事に対する想いを可視化

日々の業務を報告する日報を積極的に活用することで、社員の成長実感を高められます。日報は単に業務を報告するためだけでなく、社員一人ひとりの努力を見える化し、上司や社内から評価を得られやすくすることを目的としましょう。

日報では、売り上げなどの定量的な成果に加えて、仕事に対する想いや悩みなどの定性面を報告するのがポイントです。定性面を記載すると、日報を閲覧した他の社員からの共感を得やすくなり、社内での前向きなコミュニケーションが活性化します。

また、アプリやクラウドで日報を運用し、部署や拠点の異なる社員にも努力や成長がより広く可視化されるようにすれば、社員の成長実感はより高まるでしょう。

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早期離職防止に効果的な施策

若手社員の早期離職を防ぐためには、社員が日々成長を実感し、自身のキャリアプランに向き合える環境の構築が不可欠です。その実現に向けては、1on1や日報をはじめ、コミュニケーションを活性化させる社内制度の構築が鍵を握ります。

社内制度の構築にあたっては、自社の特徴や課題を踏まえた上で、実際に制度が活用されるよう効果的に取り入れる視点が重要です。社内SNSなどのデジタルツールを取り入れれば、社員が社内制度をスマホで手軽に利用でき、スムーズな浸透が期待できます。

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