組織変革を妨げる「3つの壁」を突破せよ!現場・管理職・経営層への組織サーベイ活用方法


デジタル化の加速やグローバル競争の激化など、昨今のビジネス環境の変化に対応するためには、組織の変革が欠かせませんしかし、「変革が必要だとは思うけれど、反対の声も多くなかなか前に進まない…」という企業も多いようです。

その背景には、現場の抵抗、管理職の消極的な態度、経営層の曖昧な姿勢という3つの壁があります。本記事では、この3つの壁を乗り越えて組織変革を成功に導く「組織サーベイを活用したアプローチ」について解説します。

【時間がない方のためのポイントまとめ!】

  • 「市場での競争力」「顧客のニーズ」「採用市場」で遅れを取らないために組織変革が必要
  • 現場・管理職・経営層の抵抗感には、それぞれ異なる背景がある
  • それぞれの立場に対して、サーベイ結果を上手く活用すれば壁を突破できる!

組織変革はなぜ必要?

企業にとって組織改革が必要な理由は、一言で言えば「外部環境の変化に対応し、持続的に成長していくため」です。具体的には、「市場での競争力」「顧客のニーズ」「採用市場」の3点で遅れを取らないために必要となります。

市場での競争力を維持するため

デジタル化の加速、グローバル競争の激化、AIの発展など、ビジネス環境は絶えず変化しています。

こうした社会情勢の変化に対応せず、従来の業務やビジネスモデルに固執すると、市場の動向に遅れを取ってしまい、変化に柔軟に対応する競合他社に先を越されてビジネスチャンスを逃す恐れがあります。

逆に、組織変革に成功して変化を活かすことができれば、市場での競争力を保つばかりか向上させつつ、新たなビジネスチャンスをつかむこともできます。

顧客のニーズに対応するため

オンラインでのやり取りが当然となった現代において、顧客は利便性や即時性を求めるようになっています。また、インターネットやSNSの普及、価値観の多様化やグローバル化が進む中で、自社が向き合うべき顧客のニーズも複雑化しています。

こうした状況で従来の方法にとらわれていると、顧客のニーズとのズレが広がるばかりで、顧客離れが進むリスクがあります。顧客のニーズをつかみ、それを迅速に提供するためには、従業員の意識改革や事業の見直しを含む組織変革が欠かせません。

採用市場で選ばれる企業になり、従業員に長く働いてもらうため

多くの企業がDX化やグローバルな視点を重視する中、そうした変化に対応しない組織に求職者が魅力を感じるとは考えにくいでしょう。

また、採用後の従業員にとっても、時代にそぐわない旧態依然とした文化が社内に根強く残っていたり、働き方や労働環境が生産性の低いものだと、モチベーションの低下につながります

特に、新しい技術に触れながら育ち、多様な働き方を望む若手従業員はそうした組織にギャップを感じることが多く、せっかく採用した優秀な人材が流出してしまうリスクもあります。

組織変革のプロセス

1.現状把握

組織変革を成功させる第一歩は、現状の把握です。まずは現行の体制や業務プロセス、チームの課題点などを詳細に調査します。アンケートや組織サーベイ、社内インタビューなどで、従業員の声を聞くことが重要です。

現状把握を怠っていきなり組織変革のプランを設計すると、組織変革が見当違いの方向に進んでしまい、社内の貴重な時間やリソースが全くの無駄になってしまいます

現状把握こそが、組織変革の重要な土台となるのです。

2.変革すべき箇所の見定め

現状を把握した後は、変革すべき箇所を明確にするステップです。中期経営計画や事業戦略、人員戦略などに基づき、変革が特に必要とされる分野を見定めて優先順位をつける必要があります。

組織変革の対象分野が曖昧なままだと、あれもこれも……と話が広がり、全てが中途半端になる恐れがあります。

「色々やったけれど、終わってみると特に変化したことはない」となるわけにはいきません。的確な優先順位の設定が、組織変革の成功を大きく左右します。

3.アクションプランの策定

組織変革のアクションプランを具体的に策定します。効果的なアクションプランには以下の要素が含まれます。

  • 明確な目標設定:数値目標を含む具体的な達成目標
  • 具体施策:実施形式や頻度も含めた施策の運用方法
  • 責任者の明確化:各施策の責任者
  • タイムラインの設定:周知のタイミング、実施期間と中間ポイント
  • 必要リソースの明確化:人員、予算、システムなど

「計画は実現可能か」「実行の進捗はどうか」なども、組織変革の成果を左右するため、各要素はなるべく具体的にしましょう。

誰が見てもやるべきことや進捗が分かるような、明確なプランを立てることが重要です。

4.社内の合意をとる

組織変革を成功させるためには、社内での合意形成が欠かせません。

組織とは従業員から成る集合体です。その従業員が疑問や不安を抱えたり、必要性を感じていない状況で社内変革を進めても、絶対に成功しません。

逆に、従業員からの共感と理解を得ることができれば、社内全体が一丸となって変革に取り組むことができ、組織変革成功の可能性が一気に上がります。

丁寧なコミュニケーションを通じて変革の目的や意図をわかりやすく説明し、変革がもたらす影響や改善効果の具体的な予測を示すのが効果的です。

ここで役立つのが、本記事のテーマである「組織サーベイを活用したアプローチ」です。以降で詳しく解説します。

5.アクションプランの実施と振り返り

組織変革のアクションプランを実施する際は、直接の関係者だけでなく、組織全体にその内容と進捗状況を共有することが大切です。

メールや社内ポータル、定期的なミーティングなど、情報共有の方法を工夫し、全員が取り組みを理解しやすい状態を目指します。

また、進捗状況を報告することで、従業員の関心を維持し、協力を促すことができます。「全て終わってから結果報告だけする」ではなく、アクションの開始時から適切な進捗共有をしていくことで、組織変革をスムーズに進められます。

また、アクションプランを一通り実行した後は、必ず振り返りの時間を設けましょう。定量的なデータと定性的なフィードバックを組み合わせ、どの施策が有効だったか、どの部分で改善が必要かを分析し、次回のアクションを策定します。

組織変革は数ヶ月で終わるものではないからこそ、継続的にアクションプランを実行していくことが必要です。

組織変革を妨げる3つの壁とは?

上記の組織変革プロセスのうち、多くの企業で苦戦するのが「4.社内の合意をとる」ことです。

組織変革の過程では、現場・管理職・経営層それぞれに特有の壁が立ちはだかります。これが「組織変革を妨げる3つの壁」です。

これらの壁を理解し、適切に対処することで、スムーズな変革の実現が可能になります。早速、各層で直面する課題とその本質に迫ってみましょう。

現場の壁:「振り回されるのはゴメンだ」という抵抗感

「今のやり方を変える必要があるのだろうか?」「また新しいことが始まるのか……」

現場からよく聞かれるこんな不安の声は、実は当然のものかもしれません。組織変革による新しい制度や仕組みの導入は、何より現場に大きな影響をもたらします。

長年同じ方法で仕事をしてきたベテラン従業員にとっては、組織変革の話を聞くことで、これまでの経験や実績が否定されるように感じられることもあるでしょう。

特に、「前回の改革も中途半端に終わったじゃないか」という過去の経験がある場合、新しい取り組みへの不信感はことさらに大きくなります。こうした不安や懸念が、現場の消極的な態度や抵抗として表れるのです。

管理職の壁:上からの要請と部下との板挟みによる抵抗感

管理職の立場で変革に向き合うのは、実はとても難しい仕事です。

「部下のモチベーションを保ちながら、どうやって新しい取り組みを進めればいいのか」

「上からの要請と現場の実情の間で、どうバランスを取ればいいのか」

こんな悩みを抱える管理職は少なくありません。自身の評価基準が変わることへの不安や、新たなマネジメントスキルを求められることへの戸惑いもあるでしょう。

その結果、具体的な行動を先送りにしたり、表面的な対応に終始したりしてしまうケースもよく見られます。

こうした課題に対しては、部下にきちんと説明できる組織変革の意図や背景、そして管理職の役割を明確にし、必要なサポートを提供することで、より前向きな変革の推進が可能になります。

経営層の壁:会社の将来を左右するリスクを考慮しての抵抗感

「変革は必要だとわかっているけれど、なかなか着手できない」

株主や取締役会への説明、業績への影響、失敗するかもしれないリスクなど、経営層でよく聞かれるこの言葉の裏には、様々な懸念が隠れています。こうした要因が、具体的な一歩を踏み出せない状況を生んでいます。

市場環境の不確実さや競合の動きを見極めたいという思いも、決断の遅れにつながっています。過去の成功体験が大きな変革への躊躇を生む要因になっているケースもあるでしょう。

その結果、何か手を打たなければいけないとわかっていても、なかなか動き出せないことが少なくありません。ようやく動き出そうと思ったときには、既に身動きがとれない状況に陥っていることも多いのです。

組織サーベイの基本知識

組織変革を進める中で、先述したような壁にぶつかって悩んでいる担当者や経営者も多くいるでしょう。そんな悩みを解決する強力なツールが、組織サーベイです。

まずは、そもそも組織サーベイとは何なのか見ていきましょう。

組織サーベイとは何か

組織サーベイは、いわば「組織の健康診断」のようなものです。「ビジョンに共感しているか」「上司や同僚との関係は良好か」「業務環境・待遇に満足しているか」「成長実感はあるか」など、組織の状態を網羅的に診断し、定量的に確認できます。

サーベイは基本的に匿名で行うものであり、匿名性が守られることで、普段は言い出せない従業員の本音を引き出します。

また、サーベイは一度だけではなく、定期的に実施しましょう。結果を継続的にモニタリングすることで、組織の変化や改善状況を常に把握することが重要です。。

最近では、AIを活用した分析や、スマートフォンからの回答など、より使いやすい仕組みも登場しています。

組織サーベイでわかること

組織サーベイでは、普段は見えにくい組織の実態が数字やデータで鮮明に浮かび上がってきます。

例えば、従業員の仕事への想いや、上司との関係、キャリアへの期待など、数値として見える化できます。

役職や部署による認識の違いや、コミュニケーションの課題も、データとして把握が可能です。

「あの部署の離職率が高い」「若手従業員の承認欲求が満たされていない」などの状態が、感覚ではなく数字として客観的に見えることで、、具体的かつ的確な改善策を打つことができます。

サーベイの種類と利用目的の違い

サーベイには、目的に応じて以下のようにさまざまなものがあります。組織サーベイとの違いも含めて紹介します。

「従業員満足度調査(ES調査)」は、労働環境や待遇に従業員がどれだけ満足しているかを測る調査です。労働環境や待遇以外も含めて組織の状態を把握したい場合は、組織サーベイの方が適しています。

「パルスサーベイ」は質問数が少なく、週に1回、月に1回など高い頻度で実施するサーベイです。組織の課題や状態の変化をこまめに確認するのに適していますが、組織サーベイに比べると質問数が少ないため、網羅的に組織の状態をチェックするのには不向きです。

「モラールサーベイ」は、従業員の「士気」「意気込み」などのモラール(Moral)を測定するサーベイです。従業員のモチベーション向上に取り組みたい場合には有用なサーベイですが、モチベーションに限らずまずは組織変革の箇所を見定めたい場合は、組織サーベイの方が適しています。

大切なのは、自社の状況や目的に合わせて、最適な方法を選ぶことです。

組織サーベイが効果的な理由

組織サーベイは単なる意識調査に留まらず、組織の課題を特定し、具体的な改善策の立案に役立ちます。

ここでは、組織サーベイが組織変革推進に効果的である理由と、その具体的な活用方法について解説していきます。

客観的なデータで現状把握ができる

サーベイは、勘や経験だけに頼るのではなく、数値として客観的に現状を把握できることが強みです。例えば、「従業員の満足度が低い」という感覚を、具体的な数値として示すことができます。

従業員の生の声も、テキスト分析によって傾向を把握できます。「この部署では、このような課題が多く挙がっている」「あの施策について、こんな不安の声が多い」といった具合に、より具体的な改善のヒントが見えてきます。

部署や役職にかかわらず、従業員の声を公平に集められる

「会議では強い意見の人の声ばかりが通ってしまう」「上司の前では本音が言えない」「現場に近い部署ほど、声が経営に届かない」という悩みはどの組織でも多かれ少なかれ抱えているでしょう。。

組織サーベイの魅力は、誰もが対等に意見を表明できる点にあります。普段は声を上げにくい人の意見も、匿名性が保たれた環境では率直に表現されます。

全国各地の拠点にいる従業員の声も、一度に集めることができます。様々な立場の人の意見をバランスよく集められることで、より公平な施策づくりにつながるというわけです。

数字で語ることで説得力が増す

感覚的な議論ではなく、具体的な数字を示すことで、説得力が高まります。

例えば、「部門間の連携が悪い」という漠然とした問題も、数値で示すことで、より具体的な議論が可能になります。「この部門とあの部門の間で、こんなギャップがある」「この課題に取り組むことで、これだけの改善が期待できる」といった具合に、より建設的な対話が生まれやすくなるのです。

さらに、数字はそのまま従業員の声の大きさとして説得材料に使うことができます。「組織変革って本当に必要なの?」という社内での指摘に対して、「これだけ多くの人が、社内の〇〇に課題を抱えているんです」と数字で示せば、無視できません。

また、それまで感覚的には課題を感じていなかった従業員も、数値で課題を示すことで「そういえば、確かに……」と問題意識を持ってくれるかもしれません。社内で組織変革にやる気のある従業員を見つけるきっかけになるという意味でも、組織サーベイをやる意味があります。

定期的な実施で変化を追跡できる

組織サーベイを定期的に実施することで、組織の変化が正確に把握できます。

特に重要なのは、組織変革の開始前後での比較分析ができるようになる点です。実施した施策によって期待した効果が得られているか、予期せぬ副作用が発生していないかなど、詳細な検証が可能となります。

組織変革は1回のアクションプランだけでは終わりません。組織サーベイを活用することで、継続的な組織改善のサイクルを確立できるでしょう。

組織サーベイの結果からわかること

組織サーベイは、組織の現状を多角的に可視化する強力なツールです。単なる満足度調査を越え、組織の健康状態を科学的に診断します。

以下では、サーベイ結果から得られる具体的な知見と、その活用方法について詳しく解説していきます。

組織の強みと弱み

組織サーベイのデータ分析により、組織全体としての特徴が明確になってきます。従業員エンゲージメント、一体感、上司や同僚との関係性など、様々な側面について自社の強みと弱みが数値として表れます。

組織変革は「弱みを改善する」という方向で行われることも多いですが、「強みを磨く」という方向で進めることもできます。組織サーベイのデータをもとに自社の強みと弱みを見比べ、戦略的な組織づくりの重要な判断材料とし、組織変革をどのように進めていくのか検討することができます。

部署や役職ごとの課題

組織サーベイの結果を部門別・役職別に分析することで、より詳細な課題が見えてきます。

各部署特有の課題や、部署間での認識のギャップなど、重要な示唆が得られます。営業部門では顧客対応の負荷が高く、開発部門ではキャリア展望への不安が強いなど、部署特有の傾向も明らかになります。

また、管理職と一般社員の間での認識の違いも、数値として把握できます。コミュニケーションの質や、評価制度の公平性に対する受け止め方など、立場による視点の違いが明確になる点も、サーベイの強みです。

このような分析結果は、各部署に適した施策の立案につながります。

従業員の本音と表向きの姿勢のギャップ

匿名性が担保された組織サーベイでは、日常のコミュニケーションでは把握しづらい従業員の本音が見えてきます。

会議や面談では表明しにくい不安や懸念、建設的な改善提案なども、より率直に収集することが可能です。

人事制度への不満や、上司の管理スタイルへの要望など、対面では伝えにくい本音も、数値やコメントとして表れます。

また、「仕事にやりがいを感じているか」といった質問に対する回答と、実際の行動や成果との間にギャップがある場合、その背景にある要因を分析することで、より本質的な課題が見えてきます。

組織の雰囲気や文化の実態

組織サーベイを通じて、普段は捉えにくい組織の雰囲気や文化的特性を可視化することができます。心理的安全性の水準、イノベーションへの態度、リスクテイクの傾向など、組織の根幹に関わる要素を定量的に評価することが可能です。

部門による文化の違いや、それが業績に与える影響なども分析できます。経営理念の浸透度や、企業価値観の共有度合いなど、組織の根幹に関わる要素も数値として把握できます。

特に重要なのは、経営層が描く理想の組織文化と、実際の組織風土とのギャップを明らかにできる点です。このような文化的側面の理解は、持続的な組織変革の実現に不可欠な要素となります。

「3つの壁」への具体的なアプローチ方法

サーベイで得られたデータを基に、現場・管理職・経営層それぞれの壁を突破するための具体的なアプローチ方法を解説します。

現場の壁:「現場の声からできたアクションプラン」を伝える

現場の壁については、実は組織サーベイを実施する前からポイントがあります。

それは、「皆さんの声を聞くために、組織サーベイを実施します」という伝え方をすることです。現場で目の前の業務にいっぱいいっぱいな従業員でも、「会社が自分たちの声を聞こうとしている」と思えば、回答してくれるでしょう。

アクションプランの伝え方もポイントです。自分たちの声からできた施策だと言われればそれだけで協力してくれる従業員も一部いますが、現場の多くの従業員は説明に納得感がないと組織変革に協力してくれません。この時重要なのが、下記の2点です。

  • サーベイ結果とアクションプランを紐づけて伝える
  • 課題の優先順位の理由を伝える

「サーベイ結果とアクションプランを紐づけて伝える」については、例えば「皆さんの声を聞いて、〇%の人が〇〇に課題を感じていることが分かりました」「そこで、この課題を解消するために〇〇を実施します」という内容です。

ただし、結果とアクションプランに論理的なつながりがあったとしても、「それよりも〇〇を優先すべきではないか」という声が上がることが予想されます。ここで重要なのが、「課題の優先順位の理由を伝える」ことです。

「課題に感じている人の割合がこちらの方が多かったため、まずはこれに着手します」でも良いですし、数字で説明しきれない場合は「会社として〇〇を大切にしており、まずはこの課題を解消して〇〇の土台が整ってから、次にこの課題に取り組みます」など、優先順位をつけた理由や、今後のステップの見通しを伝えると良いでしょう。

管理職の壁:自部署の結果や他部署との比較を見せ、当事者意識を育てる

管理職層の壁に対しては、「自分の部署で、部下がどのような評価をしているのか」「他の部署と比較してどうか」をデータで提示することで、自身のマネジメントスタイルを見直すきっかけとなります。

例えば、管理職自身の感覚よりも数字が悪い場合や、他部署と比較して数字が悪い場合は、「管理職として、当事者意識を持って改善に取り組んでいきましょう」とデータをもとに伝えることができます。

逆に、数字が良い場合には「〇〇さんの部署は数字が良いので、良い取り組みをやっている部署として、ぜひお手本として全社で紹介したいのです」のように、データをもとに協力を仰ぐことができるでしょう。

組織変革の担当者や担当プロジェクトにおいても、数字の良い部署の管理職の特徴を分析することで、アクションプランの方向性も見えてくるでしょう。

管理職研修やワークショップにおいて、サーベイ結果を教材として活用し、実践的な課題解決演習を行うのもおすすめです。

加えて定点観測的なサーベイ実施により、各管理職の取り組みの成果を可視化し、適切な評価やフィードバックにつなげることで、継続的な改善のモチベーション維持が可能となります。

経営層の壁:投資判断の妥当性を判断できるデータを伝える

経営層の壁を突破するには、経営の目線に立ったデータを伝えるのが有効です。

例えば、以下のように売上向上やコスト削減の根拠となるデータを伝えましょう。必要に応じて、離職率など社内の既存のデータと組み合わせるとより効果的です。

  • 部署ごとのデータを見比べると、部内のコミュニケーション量と売上には相関関係があり、コミュニケーション量が最も多い部署は、最も少ない部署の2倍の売上を獲得している。コミュニケーション活性化に取り組むことで、売上向上が見込める
  • サーベイでは入社5年目までの従業員の〇%が、3年後のキャリアプランが描けないと感じている。この層に対してキャリア形成を支援し、離職率を1%改善できれば、現在の離職率と採用コストによると年間◯万円のコスト削減につながる。

変革施策の費用対効果を定量的に示すことで、投資判断の妥当性を説明することが重要です。

また、競合他社や業界標準のデータがある場合は、比較データを提示し、自社が市場で遅れをとるリスクや差別化のポイントを伝えるのも良いでしょう。

組織サーベイを活用して、組織改革の一歩を踏み出そう

組織サーベイは組織変革をスムーズに進め、成功に導くための強力なツールです。現場、管理職、経営層それぞれの立場に対して、サーベイ結果を活用した対話を重ね、組織全体として変革の方向性を共有していきましょう

サーベイを活用するには「収集したデータを適切に分析できるか?」「分析結果を具体的な施策に落とし込み、実行・検証のサイクルを確立できるか?」が重要です。一方で、分析や施策策定には大きな工数がかかります。専任の担当者がいない中で、なんとか進めている企業も多いのではないでしょうか。

そのため、組織サーベイの結果分析には、分析ツールを使うと良いでしょう。

中でも、組織改善ツールTUNAGを提供する株式会社スタメンの、組織サーベイツール「TERAS」をおすすめします。「TERAS」では以下の8項目を分析し、それぞれのスコアを自動で算出します。

  • 会社理解・共感
  • 事業理解・共感
  • 組織への理解・共感
  • 上司との関係
  • 同僚との関係
  • 業務環境・待遇
  • 承認欲求
  • 成長機会

さらに、これらの結果をもとに「TUNAG」で組織改善のためのアクションプランを設計・実行できます。以下のようなイメージで、数値目標のモニタリングも可能です。

  • 会社理解・共感のスコアが低いため、半年間経営理念についてTUNAGで発信し、既読率60%を目指す
  • 承認欲求のスコアを上げるために、TUNAGでサンクスメッセージを運用し、部署ごとの平均値を50から70に上げることを目指す

組織変革のために、「TERAS」で組織サーベイのデータから有益な洞察を得て、それをもとに社内の合意形成を進め、「TUNAG」でアクションプランを実行可能です。ぜひ活用を検討してみてください

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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