まだ続く2018年問題。その内容と、企業が行うべき事

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2018年問題とは?

2018年問題とは、大きく分けると「大学」「医療」「雇用」に関する問題を指しています。

「雇用」に関係する2018年問題とは、雇用形態や契約期間における諸問題を指す言葉です。2012年に改正された「労働契約法」や2015年に改正された「労働者派遣法」の影響で、多くの企業は2018年に雇用契約を見直す必要に迫られました。 この新しい「労働契約法」と「労働派遣法」は、企業にとって大きなリスクがあるためです。これらの改正された2つの法律が、初めて法的効果を発生させるのが2018年だったため「2018年問題」と呼ばれるようになりました。 今回は主に「雇用」についての問題点を解説していきます。

対象となる雇用者

2018年問題に関係している法律の対象となっているのは、以下の2つの場合に当てはまる雇用者となります。
1 2013年4月1日以降に労働者と有期労働契約を締結、更新した雇用者(有期労働契約とは、パート、アルバイト、契約社員などを指します) 2 2015年9月30日以降に労働者と労働者派遣契約を締結した雇用者
改正された労働契約法が施行される期間は満5年、労働者派遣法は満3年です。つまり、2013年4月1日以降に雇った非正社員が5年働き続けた場合と、2015年9月30日以降に雇った派遣社員が3年働き続けた場合は、新しい法律が適用されることとなります。 2018年4月1日と2018年9月30日が初めて改正された法律が法的効果を得た日、ということになります。
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関連する法案について

労働契約法(労働契約法と労働者派遣法)

それでは2018年問題に関係する法律改正とはどういったことだったのでしょうか?まずは労働契約法について説明します。 以下は厚生労働省のホームページからの引用です。
”同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。”
引用:(厚生労働省ホームページより)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=73aa9536&dataType=0&pageNo=1 分かりやすく説明すると有期労働契約を締結、更新してから5年後に、労働者は有期雇用契約を無期雇用契約に変えることができる、というものです。 例えば、5年働いたアルバイトが「アルバイトではない契約」を望んだ場合、雇用者は「何かしらの契約へ変更」、もしくは「契約自体を破棄しなくてはならない」という選択を行う必要があります。 契約を変更する場合は、該当期間中に労働者が雇用者へ申請しなければならず、これにはいくつかの条件もあります。
・事業主が同一なこと ・契約更新を最低1回は行っていること ・有期労働契約の通算期間が5年以上であること
上記3つを全て満たし、雇用者に申請した労働者のみが無期転換ルールの該当者となり、無期雇用契約を結ぶことができます。 条件を満たしている有期雇用契約者は、無期雇用契約に転換することが予想され、これにより企業が抱える人件費などの経費が大きく変わることが予想されます。 例えば、1年契約で、毎年契約を更新できるかどうか不安に思っていた労働者は、無期転換ルールを適用することにより、その不安をなくすことができます。 一方、企業側では1年間の費用対効果によって考慮していた契約でしたが、その計算をゼロからやり直さなければいけません。2018年4月1日以降はこうした「契約に関する問題」に対応する企業が続々と増えることとなります。

労働者派遣法

では、改正されたもう一つの「労働者派遣法」とはどういったものなのでしょうか?半年や1年など一定の期間で雇用契約を結ぶのが派遣と呼ばれる労働者です。そして派遣は最長で3年契約というのは実は改正以前、以降も変わっていません。 一方、改正前では、とある専門職種に該当する労働者には最長3年というルールが当てはまっていませんでした。 通称「26業務」と呼ばれる職種につく労働者は期間制限がなかったのです。これら26種類の職種はかつては非常に特殊な技術を要する職業だったためです。 以下が26業務に該当する職業です。(実際は28業務ありますが呼称として26業務が浸透しています)
・ソフトウェア開発 ・機械設計 ・放送機器など操作 ・放送番組など演出 ・事務用機器操作 ・翻訳、通訳、速記 ・秘書 ・ファイリング ・調査 ・財務処理 ・取引文書作成 ・デモンストレーション ・添乗 ・建築物清掃 ・建築設備運転点検 ・整備 ・案内、受付、駐車場管理など ・研究開発 ・事業の実施体制などの企画、立案 ・書籍などの制作、編集 ・広告デザイン ・インテリアコーディネーター ・アナウンサー ・OAインストラクション ・テレマーケティングの営業 ・セールスエンジニアの営業 ・金融商品の営業 ・放送番組などにおける大道具、小道具スタッフ
改正される前から派遣法には様々な問題点がありました。上記の職種のみ雇用期間が異なるのは分かりづらい、雇用期間の制限がないので派遣として半永久的に契約できる、など、この曖昧な法律は以前から問題視されていました。 こうした職業も、今ではパソコンやインターネットの普及により以前ほど専門性が高い職業ではなくなってしまいました。そうして2015年、時代性の影響や学校教育の変化などもあり、上記の職種の労働者全員も「派遣労働者」として、統一されることになったのです。 どんな職種でも派遣として契約できる最長期間は3年、これが2015年の労働者派遣法の改正です。「26業務」に該当していない労働者には一見関係ないように思えますが、改正前は書類上では「26業務該当者」として処理し、期限を設けずに不正に契約を結んでいた企業もありました。 この改正によって派遣労働者と雇用者は、必ず3年に1回は契約を見直す必要に迫られることとなったのです。 とはいえ例外もあります。同じ派遣先でも部署移動すれば引き続き雇用契約を結ぶことが可能です。もちろんこの場合、部署移動という契約は必要ですが、派遣契約をそのまま維持することはできます。 原則、派遣全員が最長3年と期限が設けられたことにより、より不安定に感じる派遣契約ですが、いくら派遣で長期契約を結んだとしても、実際は無期雇用契約ではありません。 そもそも派遣は、人材不足により一時的に企業が派遣会社に依頼するものです。長期、短期関わらず派遣契約はあくまで一時的な契約なのは、改正以前、以降も変わりません。 つまり「派遣は一時的な契約」ということを法律によって明確化し、3年後にはより安定した契約を結びましょう、というのが2015年の労働者派遣法の改正意図です。

2018年問題と呼ばれている理由

雇い止めが発生する可能性がある

まず有期雇用契約者、派遣労働者ともに改めて契約を見直す必要があることです。 5年雇用したアルバイト、3年雇用した派遣労働者とそれまでと同じ契約を結ぶことはできません。雇用者は、無期契約を結ぶか、自社採用するか、部署移動させるか、などの選択を迫られます。 3年や5年も経験を積んだ労働者ですから、当然企業にとって有益な能力を備えた労働者も多いでしょう。 ところが、契約を変えるということは関わってくる経費が大きく変わります。正社員にすればそれまで発生していなかった福利厚生や賞与も発生します。 こうした背景により、改正が法的効果を発生させる前に「雇い止め」する企業が増えるのではないか、と問題視されています。 雇い止めとはクビということです。無期転換ルールが適用される前にクビにしてしまおうと考える企業が増えることが、2018年問題の核となっています。 残念ながら全ての有期契約者と派遣労働者が、法律改正によって安定した契約を結ぶことができる、というわけではありません。 少しでも安定した生活を望む労働者と、会社の経費を考慮しなければいけない雇用者が、どうしても歩み寄ることができない場合、「雇い止め」が発生してしまいます。 労働者の安定が意図だった法律改正でしたが、企業側が必ずしも新たな契約を結ばなくてはいけない、ということではありません。 つまり労働者の能力と経費を天秤にかけざるをえない状況に陥ってしまったのです。 経費圧迫を恐れる企業にとっては、この労働契約法と労働者派遣法の改正は、国の意図とは裏腹に、2018年以降に起こりうる大問題となってしまったのです。

企業が行わなければならない対策

人件費を含め、人員計画を随時見直す

現在雇用している有期契約労働者、派遣労働者がどれほどいるのか?まずは人数を把握しましょう。その次はやはり主な問題になる経費です。 やがてくる労働者の契約満期時に、無期雇用にした場合の経費を算出しましょう。現在とどれほど変わってくるのかは、正確に把握しておかなければいけません。 自社採用を視野に入れて、具体的な方針の見直しも必要となります。

人事評価制度の見直し

新しい社員区分制度の作成、賃金決定のための新しい評価方法など、内部による準備も考慮するべきでしょう。 労働者が有能でも経費に問題がある場合は、「キャリアアップ助成金」を利用するのも1つの方法です。キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取り組みを実施した事業種に対して助成する制度です。 国からの補助で経費の圧迫を防ぎ、なおかつ労働者も安定した契約を結ぶことができます。こうした対策は、事前に準備することができるので、有能な労働者との契約をスムーズに締結することに繋がります。 仮に雇い止めをしても、人材不足になるか、新人をゼロから研修しなくてはいけません。 もちろん全ては労働者の意思が根本となるので、契約満期になる前の綿密なコミュニケーションが重要です。

雇用者の条件を定期的に確認し、誠意のある対応を

その場その場での判断は企業イメージの毀損につながることも

一言で2018年問題といっても、主な問題点は「雇用に関わる経費」です。どんなに国が労働者に安定した法律を施行しても、企業が赤字で倒産したら元も子もありません。 とはいえいずれ必ずやってくる問題と分かっているならば、その対策は余裕を持って事前に行うことができます。 労働者と雇用者がいかに有益な関係を結ぶことができるか?そのためには雇用者の的確な対応が求められます。 時間に余裕を持って、じっくりと対策を練り、2018年問題を回避しましょう。

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