【目標設計シートテンプレ付き】新入社員を早期戦力化させる目標の設計方法を解説
新入社員の早期戦力化は、人材不足が深刻化する現代の日本企業において重要な課題です。この課題を解決するには、適切な目標設計が鍵を握ります。
本記事では、新入社員を早期に成長させ、戦力化するための効果的な目標設計の方法を詳しく解説します。
目標設計・評価シートのテンプレートも配布していますので、新入社員の目標や評価設計、教育に活用してみてください。
【時間がない方のためのポイントまとめ!】
- 目標設計は早期戦略化とモチベーション向上の鍵
- 目標設定の際には、SMART基準を活用
- 挑戦的かつ達成可能な難易度設定をする
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なぜ目標設計が重要なのか?
近年、労働人口の減少や働き方の多様化などにより、優秀な人材の確保・定着に課題を持つ企業が増えています。
採用からオンボーディング、教育まで、新入社員が少しでも早く自走できるようにするには、注力すべきことが多くありますが、適切な目標設計も重要な要素の一つです。
まずは、目標設計が新入社員の成長に与える影響を見ていきましょう。
早期戦力化への近道
適切な目標設計は、新入社員の早期戦力化への近道です。
新入社員は目標に向かってどんな知識を身に付ければよいのか明確になりますし、上司や教育係も「新入社員にどんなことを教えればよいのか」教育方針が可視化されるためです。
具体的な目標に向けて日々の業務の中で指導し、新入社員は自身の役割や期待されていることを理解しながら、効率的に成長することができます。
また、新入社員と上司が一緒に目標を設定することで双方の理解も深まり、一緒に仕事を進めやすくなるでしょう。
モチベーション向上と維持
適切な目標設計は、新入社員のモチベーション向上と維持に大きく貢献します。
例えば、IT企業で「3ヶ月以内に商談を一人で対応できるようになる」という目標を設定するとしましょう。
この目標達成に向けて、段階的な目標を上司と相談しながら設定し、週次でその進捗状況の確認をします。
- 製品やサービスに関する基本知識を習得する
- 先輩社員との商談同席で学習
- 商談のロールプレイを通じた実践練習
- フィードバックをもとに改善
- 小規模またはリスクの低い商談で経験を積む
上記のように目標に向かって、少しずつ階段を登ることが重要です。
いきなり「一人で商談できるように頑張ってね」とだけ伝えられても、何から手をつけるべきか分かりませんし、成果が中々出ずモチベーションも下がってしまいます。
段階を踏みながら、定期的なフィードバックを通して自己成長を感じることで、モチベーションの維持・向上を図ることができ、早期離職の防止にもつながります。
成長の可視化と評価基準の明確化
目標設計は、新入社員の成長を可視化し、評価基準を明確にします。
これまでの日本企業では「頑張ること」や「協調性」といった抽象的な評価基準が多く用いられてきましたが、これでは本当に会社の売上や成長に貢献している社員を正しく評価することができません。
そのため近年、重要視されているのが測定可能で具体的な目標設定です。
例えば、小売業において「接客スキル評価シート」を導入し、「挨拶の声の大きさ」「商品知識の正確さ」「クレーム対応の迅速さ」などを5段階で評価するとしましょう。
新入社員は、この評価シートに基づいて「3ヶ月後に全項目で4以上を獲得する」といった具体的な目標を立てることができます。
部門や職種に応じた評価基準を設け、それに基づいた適切な目標設定を行うことで、新入社員の成長を可視化し、公平な評価につなげることが可能となります。
組織目標との連携が重要
一方的に組織の目標を新入社員に設定してしまっては、本人が「この会社に入社して何を今後成し遂げていきたいか」という考えを反映することができません。
目標設計以前に、組織と新入社員の間に溝が生まれてしまい、仕事に対する意欲は失われていきます。
しかし、本人のやりたいことを重視して、新入社員が自身で目標を立てると今度は会社の目標と結びつかないケースが発生します。
双方にとってメリットがある形で目標設計できるのが理想ですが、重要なのは組織である以上、優先すべきは会社の目標であるということ。その中で設定した目標が本人の目指すキャリアに対して、プラスになるように工夫することが重要です。
では、具体的な目標設計のポイントを見ていきましょう。
目標を立てる具体的なポイント
新入社員の目標設計において、その内容と質は非常に重要です。
ここでは、新入社員の成長を加速させる効果的な目標設定のためのポイントを解説していきます。
SMART基準の活用
目標設定の際に有用な方法としては、SMART基準があります。
SMARTとは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性がある)、Time-bound(期限がある)の頭文字を取ったものです。
例えば、「顧客対応スキルを向上させる」という漠然とした目標ではなく、「3ヶ月以内に顧客満足度調査で90%以上の評価を獲得する」というSMART基準に沿った目標を設定しましょう。
やるべきこと、身につけるべきスキルとその期間が明確になり、新入社員は明確な方向性を持って努力することができます。
短期・中期・長期目標のバランス
新入社員の成長を継続的に促すためには、短期・中期・長期の目標をバランスよく設定することが重要です。以下は、1年間をサイクルとした目標の例となります。
- 短期目標(1〜6ヶ月):「基本的な業務フローを習得し、一人で商談を担当できるようになる」
- 中期目標(6カ月〜1年):「月間30件の商談と3件の受注を目指す」
- 長期目標(1年〜):「提案資料を最適化し営業部門全体の受注率を3%向上させる」
ポイントは、長期の目標から決めることです。1年後にどんな社員になっていて欲しいかを考え、それに向けて円滑に進んでいけるようにしましょう。
また、バランスの偏った目標にならないように注意する必要もあります。
タスクが偏った目標は早々に挫折し、モチベーションの低下や離職につながる可能性もあります。
挑戦的かつ達成可能な難易度設定
目標は、新入社員にとって挑戦的でありながら、努力次第で達成可能な難易度に設定することが大切です。
例えば、「1年以内に部門売上トップを達成する」といった極端に高い目標は、達成までの道筋が描けず、かえってモチベーションを下げる可能性があります。
反対に、あまりに達成が簡単な目標も成長の幅が狭くなるため、避けなくてはなりません。
「半年以内に部門平均の80%の売上を達成する。1年以内に部門平均の売上を上回る」といった段階的かつ現実的な目標を設定しましょう。
適度に挑戦が必要でかつ達成が可能な目標を設定することで、新入社員は適度な緊張感を持ちつつ、着実に成長することができます。
数値化できる指標の導入
可能な限り、数値化できる指標を目標に含めるようにしましょう。数値化された目標は進捗の把握や成果の評価がしやすくなるためです。
たとえば、以下のような目標はわかりやすくてよい目標と言えます。
- 「新規営業のコール件数を1日平均30件以上する」
- 「プログラミングスキルテストで90点以上を獲得する」
- 「提案したコスト削減策で年間100万円の経費削減を実現する」
数値化できる目標は進捗が評価しやすくなり、「何ができて何が不足だったのか」という進捗やスキルも可視化されやすくなります。
その際、目標に向かう姿勢や努力など、数値以外のプロセスに注目できるような指標も別途で設けることもおすすめします。
数値目標だけで評価すると、未達成だった時にモチベーションが低下するだけではなく、過程を評価していないことによって次の改善アクションが設定しづらくなるためです。
個人の強みと組織のニーズの調和
先述した通り、新入社員の個人的な強みや興味と、組織のニーズを調和させた目標設計が理想的です。
例えば、デザインやマーケティングに興味がある営業部門の新入社員に対して、「セミナーにおける登壇資料の改善によって、セミナー参加者の満足度を5%向上させる」といった目標を設定することで、個人の成長と組織の成果を両立できます。
個人の強みと組織のニーズを一致させることで、新入社員も会社に貢献しているという意識を強く持つことができますし、新入社員のエンゲージメント向上や、長期的なキャリア形成にもよい影響を与えます。
1on1ミーティングなどを通じて、新入社員の興味や強みをよく理解し、それを活かせる目標設計を心がけましょう。
達成までのロードマップ作成
目標が決まったら、それを達成するためのステップを明確にしたロードマップを作成しましょう。
- 1ヶ月目:基礎知識の習得
- 2ヶ月目:ロールプレイング練習
- 3ヶ月目:実践と振り返り
このように段階的な成長プロセスを設計します。
ロードマップは、新入社員と共有し、進捗確認の指標としても活用しましょう。
また「OJT(On-the-Job Training)」で、先輩社員や上司との協働作業をロードマップに組み込むことも効果的です。
たとえば、「2週間に1回、先輩社員の商談に同行し、フィードバックを受ける」といった具体的なアクションを盛り込んでみましょう。
新入社員の成長段階に応じた詳細なロードマップを作成し、定期的な見直しと調整を行うことで、効果的な育成が可能になります。
サポート体制の構築
目標達成のためには、適切なサポート体制が不可欠です。メンター制度の導入や定期的な1on1ミーティングの設定、オンライン学習ツールの提供など、新入社員を孤立させない環境づくりを行っていきましょう。
週1回の進捗確認ミーティングと月1回のスキルチェックの機会を設けるなど、具体的なサポートスケジュールを組み立て、新入社員の状況や評価を可視化・共有できる仕組みを整え、適切にサポートします。
定期的な進捗確認と調整
設定した目標は、定期的に進捗を確認し、必要に応じて調整することが大切です。
毎月の1on1ミーティングで進捗を確認し、四半期ごとに目標の見直しを行うといったサイクルを設定しましょう。
進捗が予定より早い場合は目標を上方修正し、遅れている場合は原因を分析して必要なサポートをするなど、柔軟な対応が求められます。
これらのステップを丁寧に実行することで、新入社員の成長を効果的に促進し、早期戦力化を実現できます。
目標設計の注意点
新入社員の目標設計には、いくつかの重要な注意点があります。
ここでは、目標設計時に陥りがちな落とし穴と、それを避けるためのポイントを解説します。
過度なプレッシャーを避ける
新入社員の早期戦力化を目指すあまり、過度に高い目標を設定してしまうケースがあります。しかし、これは会社側から一方的に目標を押し付けているだけで、新入社員側からすると過度なプレッシャーがかかり、逆効果になる可能性が高いのです。
特に「何がなんでも達成したい」「これができなければこの先のキャリアに響く」などといった強い言葉は、新入社員に強いストレスを与え、モチベーションの低下や最悪の場合は早期離職につながる可能性があります。
また、会社の環境に馴染めていない社会人になりたての新入社員などにとって、上司からの強い言葉に萎縮してしまい、従来のパフォーマンスを発揮できない可能性も高まります。
過度にプレッシャーを与えることは避け、適切な目標を考えていきましょう。
柔軟性の確保と適時の見直し
ビジネス環境は常に変化しており、設定した目標が途中で現実に即さなくなる可能性は十分に考えられます。
特に近年はAIの発達などが原因で市場の変化は激しく、対応するためにはその時々に応じた柔軟性は必須です。
そのため、目標にも一定の柔軟性を持たせ、定期的に見直す機会を設けることが大切です。
例えば、四半期ごとに目標の進捗と妥当性を確認し、必要に応じて調整するプロセスを設けましょう。
「コロナ禍での営業活動の制限」や「新システム導入による業務プロセスの変更」といった予期せぬ変化にも、柔軟に対応できるようになります。
小さな成功体験の積み重ねが重要
新入社員の成長には、小さな成功体験の積み重ねが重要です。
大きな目標を定めたら、それまでのプロセスごとで達成しやすい目標を設定することで、成功体験を積み重ねることがポイントです。
例えば、「1週間で業務マニュアルを完読する」「初めての顧客対応を上司の前で行う」といった小さな目標を設定し、達成のたびに称賛することで、新入社員の自信とモチベーションを高めることができるでしょう。
仕事に対して自信を付けさせるためには、このような小さな目標を一つ一つ達成させていく目標設計も重要です。
フィードバックの重要性と方法
目標設計と同様に重要なのが、適切なフィードバックです。
定期的かつ具体的なフィードバックにより、新入社員は自身の強みや改善点を理解し、より効果的に成長することができます。
フィードバックの際は、具体的な事例を挙げ、建設的な内容を心がけましょう。
例えば、「先日の顧客対応では、○○の点が素晴らしかった。次は××にも注意してみよう」といった様に行います。
また、フィードバックは双方向のコミュニケーションの機会でもあるので、新入社員の意見や感想も積極的に聞き、現状の課題やそれに対してのサポート体制の改善に活かしましょう。
よりよい環境を構築していくことも、新入社員の早期戦力化では大切なポイントです。
これらの注意点を踏まえた目標設計により、新入社員の成長を効果的に支援し、早期戦力化を実現しましょう!
目標設計に役立つ「TUNAG」の機能
新入社員の目標設計や進捗管理を効果的に行うためには、適切なツールの活用が欠かせません。ここでは、さまざまな組織課題を解決するオールインワンプラットフォーム「TUNAG」の機能が、どのように新入社員の早期戦力化を支援するかを紹介します。
【日報】日々の目標達成を確認する
TUNAGの「日報」機能は、新入社員の日々の業務内容や目標達成状況を簡単に記録・確認できる機能です。
日々の業務内容や成果を記録することで、新入社員自身が自分の成長を可視化できます。
上司や先輩社員は、新入社員の進捗状況をリアルタイムで把握し、適切なアドバイスやサポートを提供できます。
例えば、「今日達成した3つのこと」「明日の目標」といった項目を設定することで、短期的な目標設定とその振り返りを習慣化できます。
このように、日報を活用することで、新入社員の日々の成長を細やかに支援し、目標達成への意識を高めることができるのです。
【1on1】長期的なキャリア目標について話し合う
TUNAGの「1on1」機能は、上司と新入社員が定期的に面談を行い、長期的な目標やキャリアについて話し合うものです。
面談の議題や目標を事前に設定し、共有することで、効果的な1on1ミーティングを実現できます。
面談の記録を残すことで、過去の話し合いの内容や決定事項を簡単に振り返ることができます。
例えば、四半期ごとの目標設定や半年後のキャリアプランについて話し合う場として活用できます。
1on1機能を活用することで、新入社員の長期的な成長をサポートし、会社の期待と個人の目標を調和させる機会を定期的に設けることができます。
TUNAGのこれらの機能を活用することで、新入社員の目標設計から日々の進捗管理、長期的なキャリア支援まで、一貫したサポートを提供することが可能になります。
結果として、新入社員の早期戦力化と長期的な成長の両立を実現できるでしょう!
新入社員の早期戦力化は適切な目標設計から
新入社員の早期戦力化は、多くの企業にとって重要な課題です。本記事では、効果的な目標設計の方法と注意点、およびそれを支援するツールについて詳しく解説してきました。
適切な目標設計は、新入社員のモチベーション向上や成長の加速、組織への貢献度の向上につながります。SMART基準を活用し、個人の特性と組織のニーズを調和させた目標を設定しましょう。
また、TUNAGのような組織課題を解決するオールインワンプラットフォームを活用することで、目標設計から日々の進捗管理、長期的なキャリア支援まで、一貫したサポートを提供することが可能です。
新入社員の早期戦力化は、一朝一夕には実現できません。しかし、本記事で紹介した方法やツールを活用し、継続的に取り組むことで、必ず成果を上げることができるはずです。
ぜひ、皆さんの組織でも、新入社員の可能性を最大限に引き出す目標設計に挑戦してみてください!