マタハラ・逆マタハラとは?裁判事例や会社が行うべき対策をまとめました

社内ポータル・SNS「TUNAG(ツナグ)」が3分で分かるサービス資料はこちら

マタハラとは

職場で妊娠、出産、育児を理由に嫌がらせを受けたり、解雇など不当な扱いをされること

マタハラ(マタニティハラスメント)とは、職場で妊娠、出産、育児を理由に嫌がらせを受けたり、解雇など不当な扱いをされることをいいます。 男女雇用機会均等法においては、妊娠や出産、育児休業を取ったために降格や解雇などを行うのは違反になるとしています。

マタハラの現状

厚生労働省の「平成28年度 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)での 法施行状況」の「男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム労働法に関する 相談、是正指導、紛争解決の援助の状況を取りまとめ」によると、マタハラの現状は次のようになっています。 男女雇用機会均等法、パートタイム労働法、育児・介護休業法について、雇用環境・均等部(室)に平成 28 年度に寄せられた相談は合計131,221件で、このうち男女雇用機会均等法については21,050件、育児・介護休業法については107,564件、パートタイム労働法については2,607件でした。 このように、マタハラなどに関する男女雇用機会均等法、育児・介護休業法についての相談件数が非常に多いことが分かります。 参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/danjokintou/index.html
社内ポータル・SNS「TUNAG(ツナグ)」の3分でわかるサービス資料はこちら

マタハラについての法律

男女雇用機会均等法と育児・介護休業法においては、働く女性の妊娠・出産・育児休業を理由にした不当な解雇などを禁じています。 平成29年1月1日より施行された改正内容としては、不当な解雇などの禁止にプラスして、「ハラスメント」として同僚や上長による職場環境を損なうような行いを新しく設け、会社に対してハラスメントを防ぐための措置を新しく義務化しています。

男女雇用機会均等法

働く女性が妊娠・出産をした場合に、同僚・上長からの言動によって、職場環境が損なわれないように措置する必要があることが新しく義務化されています。

育児・介護休業法

働く女性が育児休業・介護休業を取った場合に、同僚・上長からの言動によって、職場環境が損なわれないよう措置する必要があることが新しく義務化されています。

マタハラに関する裁判事例

妊娠したために降格された(最判平成26年10月23日)

女性は広島のクリニックのリハビリテーション科に勤務していましたが、妊娠したため軽い仕事に替えて欲しいと言った結果、副主任から降格された上に復職してからも元の副主任に戻れなかったという事例です。 最高裁としては、原則として「妊娠している際に軽い仕事に替わるために降格させる」のは無効・違法ですが、「降格を自由な考えに基づいて了解したと認められる合理的な理由」があったり、降格に対して「不利あるいは有利な影響」「仕事上の必要性」の程度、内容に照合して法律の趣旨に違反しない「特段の事情」があったりすると有効としています。 参考:https://www.corporate-legal.jp/%E6%B3%95%E5%8B%99%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/%E6%B3%95%E5%8B%99%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0/11578

産休、育休を取ったために解雇された(東京地判平成15年10月31日)

女性の有期雇用の従業員が、「産休を取ってからさらに育休を取りたい。」と申請した結果、拒否されただけでなく解雇されたものです。 裁判所は、「雇用者は、育児休業申請を法定の除外事由がなければ拒否してはならなく、申請を拒否したのは違法」としました。 また、育休を拒んだことによって、休みを取りながら出勤する必要があったこと、出勤してもほとんど仕事がなく、パソコンも机も無かったことによる苦しみは賃金の支払いだけでは償われないということで慰謝料を払うことを認めました。 参考:https://www.corporate-legal.jp/%E6%B3%95%E5%8B%99%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/%E6%B3%95%E5%8B%99%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0/11578

軽い仕事に替わることを拒否された(福岡地判平成28年4月19日)

女性の介護サービス業者の社員が、「妊娠したので軽い仕事に替わりたい。」と申し入れした結果、「何か万が一あった場合でも覚悟して仕事をするのか」「妊娠しているとして取り扱わない」などと拒否されました。 裁判所としては、「妊娠したため流産しても問題ないという覚悟で仕事をすべき、仕事が軽くなることを申し入れることが許されない」などと見られるような発言をしたのは、「社会通念において許される限度をオーバーしている」として、配転を認めなかったことに関しても「妊娠している女性の社員に対して、健康に気配りして職場環境を整備する義務に違反する」としました。 参考:https://www.corporate-legal.jp/%E6%B3%95%E5%8B%99%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/%E6%B3%95%E5%8B%99%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0/11578

逆マタハラとは?

妊娠、出産のために会社の上長や同僚に気配りしない

逆マタハラというのは、妊娠、出産を理由に会社の上長や同僚に気配りをしないことを言います。逆マタハラの場合は、働く妊婦や母親が最大限に立場を利用して、勝手な行動をとることでトラブルになります。

子供がいない社員に対して影響が出ている

妊娠、出産は、最大限に尊重されるべきであり、喜ばしいことです。しかし現在は労働力が非常に足りなく、職場で女性の社員が妊娠していたり、子育てしたりしている場合は、足りない労働力をカバーするために他の社員が支援する必要があります。 そのため、子供がいない社員に対して影響が出ている場合も多くあります。中小企業で30人~300人程度の社員数の現場においては、特に人材を配置するために苦心する場合も多くあります 「妊娠したり、子育てしたりしているため、他の人にカバーしてもらうのは当然である」と考えて行動する妊婦や母親は、気配りが無く逆マタハラと見られてしまうでしょう。

逆マタハラ事例

「資生堂ショック」を、逆マタハラの事例として挙げていきます。「資生堂ショック」は、「女性が働きやすい会社」の制度を20年以上も前から築いていた資生堂が、1万人の美容部員に対し、働き方改革として、育児をしている時でも土日勤務や夜間までの遅い時間に勤務してもらうといったことをある年から行ったものです この背景としては、時短勤務制度を使っている場合は帰宅するのは午後5時頃ですが、化粧品を売るのが忙しくなるのは午後5時をオーバーしてからになるためです。 他のスタッフのみに負担が大きくなることによって、子供がいない女性といる女性の間に摩擦が生じたことが、この改革のベースとして挙げられます。 NHKが2015年に「資生堂ショック」として番組を報道したことによって、美容部員のこのような資生堂の働き方改革は、女性のサポートに逆行したマタハラになるのではないかという意見もあり、賛否両論を巻き起こしたニュースとなりました。

マタハラを防ぐための会社の対策

マタハラを禁止する旨を啓発・周知する

マタハラの具体的な内容を従業員に啓発・周知することが大切です。例えば、マタハラに対する方針を就業規則に規定したり、社内報、社内ホームページ、パンフレットの作成、また、講習や研修、セミナーを行うなどして従業員に周知することが大切です。

対処を厳正に行うことを規定して啓発・周知する

職場でマタハラを行ったと指摘された従業員は、厳正に対処を行うことを就業規則などに規定し、管理・監督者などの従業員が啓発・周知することが必要です。

相談するための窓口を設け、適切な対処を行う

マタハラの被害を受けた女性が相談できるように、前もって窓口を決めておくと良いでしょう。窓口のスタッフは、相談の内容に適切に対応できるようにしなければなりません。 問題が起きた際は、事実関係を被害者と加害者の両方から確認し、正確かつ迅速に対応しましょう。例えば、被害者と加害者を配置転換して引き離すことなどが挙げられます。職場においてマタハラが起きた場合は、加害者に対して必要な懲戒を迅速に行いましょう。

再発防止を徹底する

講習、研修、セミナーを開催するなどして、職場でのマタハラについての方針を啓発・周知し、再発防止を徹底しましょう。

被害者、加害者のプライバシーを守る

被害者と加害者の情報はプライバシーに関するものであるため、厳重に扱わないといけません。必要事項を決めたマニュアルを作成したり、窓口のスタッフに必要な研修をするなどの対策をしましょう。

マタハラ・逆マタハラの防止をただ言うだけでは浸透しない

相互理解と、信頼関係の構築が必要

マタハラの内容や裁判事例、逆マタハラやマタハラを防ぐための会社の対策についてご紹介しました。 マタハラと逆マタハラを防ぐためには相互理解の姿勢が必要不可欠です。普段から社員間の相互理解の姿勢が醸成されていなければ、トラブルが生じやすくなります。

エンゲージメント向上のための 社内制度のプラットフォーム『TUNAG(ツナグ)』について

あらゆる社内制度の実行を通じて、会社の課題を解決します

TUNAG(ツナグ)は、会社と従業員、従業員同士のエンゲージメント向上のために、課題に合わせた社内制度のPDCAをまわすことができるプラットフォームです。

会社の課題を診断し、課題に合った社内施策をご提案、その後の設計や運用のサポートまで一貫して行っています。課題の診断は、弊社の診断ツールを使い把握することが可能です。ツールと専任のトレーナーの支援で、経営課題の解決に貢献いたします。

エンゲージメントは、会社と従業員、従業員同士の信頼関係の構築がなされていることを指しています。従業員の意識を変えるためには、長期的な取り組みが必要です。改めて従業員と会社の関係を見直してみてはいかがでしょうか。


社内ポータル・SNS「TUNAG(ツナグ)」の3分でわかるサービス資料はこちら

働き方改革」の他の記事を見る

TUNAG お役立ち資料一覧
TUNAG お役立ち資料一覧