組織行動論とは?基本理論から企業経営への活用法まで徹底解説

組織行動論は、企業や組織内での人間の行動を研究し、その知見を活用して組織のパフォーマンス向上を図る学問です。従業員のモチベーション、リーダーシップのあり方、組織文化の影響などを分析し、より効果的な組織運営の方法を探ることが目的とされます。本記事では、組織行動論の基本概念と重要性について詳しく解説します。

組織行動論とは何か

組織行動論は、組織内での人間の行動を体系的に理解し、管理・改善するための学問です。経営者や管理職は社員一人ひとりをマネジメントするだけではなく、チームや部署、組織全体を管理する知識とスキルが求められます。

そのためには組織行動論について知っておいた方が良いでしょう。まずは、組織行動論の定義や目的、歴史的背景、主な研究領域について詳しく解説します。

組織行動論の定義と目的

組織行動論とは、組織内における個人や集団の行動を科学的に分析し、最適化するための学問です。

企業や組織が効果的に機能するためには、業務プロセスの改善だけでなく、従業員の行動や心理を深く理解し、それに基づいた施策を実施する必要があります。そのために理解しておくべき分野と言えるでしょう。組織行動論には、以下のようなものが含まれます。

  • 従業員のモチベーション向上
  • リーダーシップの強化
  • チームワークの促進

企業経営においては、組織行動論を活用することで、従業員のエンゲージメント向上、離職率の低下、生産性の向上といった成果を期待できます。

そのため、多くの企業では人事戦略やマネジメントの基盤として組織行動論を学び、実践に活かす取り組みが進められています。

組織行動論の歴史的背景

組織行動論は、20世紀初頭に発展し始めた学問ですが、その前提には19世紀後半の産業革命があります。

産業革命以前の組織は、小規模な工房や家族経営の事業が主流で、数人から十数人の規模で運営されるのが一般的でした。しかし、大量生産・大量消費の市場が生まれると、何千人もの労働者を抱える大規模な組織が必要となり、新たな管理手法が求められるようになりました。

このような背景のもと、組織の生産性と効率性を向上させるために、フレデリック・テイラーの「科学的管理法」と、エルトン・メイヨーの「ホーソン研究」が登場し、組織行動論の基礎を築きました。

20世紀後半には、心理学、社会学、経営学などの知見を取り入れながら、組織行動論はさらに発展します。そして今日のビジネス環境では、技術革新や市場の変化が加速し、組織は変化に素早く適応する能力を求められるようになっています。

そのため、従来の効率性重視の管理手法に加え、アジャイル型の組織設計、心理的安全性の確保、ダイバーシティの促進など、新しい視点が重要視されています。

組織行動論は、こうした変化の中でますます重要な役割を果たし、企業の競争力強化に不可欠な学問となっているのです。

組織行動論の主要な理論とモデル

組織行動論は、いくつかの主要な研究領域に分類されます。その中でも特に重要なのが、モチベーションとリーダーシップの2つの領域です。

概要

具体例

モチベーション

従業員のやる気を引き出す要因を研究し、仕事の満足度や生産性向上につながる施策を検討する。

報酬制度、働きがいのある職場環境の整備。

リーダーシップ

組織の目標を達成するために、リーダーがどのような行動を取るべきかを分析する。

カリスマ性を重視するリーダーvs.部下の成長を促すリーダーの違い。

これらの主要な理論について詳しく見ていきます。

モチベーション理論の概要

モチベーション理論は、従業員が仕事に対してどのように動機づけられるのかを明らかにし、組織の生産性向上に活かすための研究分野です。代表的な理論として、マズローの欲求階層説とハーズバーグの二要因理論があります。

マズローの欲求階層説は、人間の欲求を「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」の5段階に分類し、下位の欲求が満たされると次のレベルの欲求を求めるとしています。例えば、給与や労働条件が整った後には、働きがいのある環境や成長の機会が重要になります。

一方、ハーズバーグの二要因理論では、仕事の満足度を高める要因(動機付け要因)と、不満を減らす要因(衛生要因)に分けて考えます。給与や職場環境といった衛生要因が整っていないと不満が生じますが、それだけではモチベーションは向上しません。成長の機会や達成感といった動機付け要因が必要とされます。

企業が従業員のモチベーションを高めるには、基本的な労働環境を整えた上で、成長の機会や評価制度を充実させることが重要です。

リーダーシップ理論の種類と特徴

リーダーシップ理論は、組織の目標達成に向けてリーダーが果たす役割や効果的なリーダーシップのスタイルを明らかにするものです。代表的なものに、トランスフォーメーショナル・リーダーシップとサーバント・リーダーシップがあります。

トランスフォーメーショナル・リーダーシップは、リーダーがビジョンを示し、部下の価値観や行動を変革することで、組織全体を高い次元へと導くスタイルです。

カリスマ性、知的刺激、個別対応、理想的影響力といった要素が特徴であり、イノベーションを促進する企業に適しています。例えば、スティーブ・ジョブズのようなカリスマ的リーダーがこれに該当します。

一方、サーバント・リーダーシップは、リーダーが部下を支援し、成長を促すことを重視するスタイルです。

リーダーが自ら奉仕者としての役割を果たすことで、組織全体の信頼関係を強化し、従業員の主体性を高めることを目的とします。このスタイルは、心理的安全性を重視する企業や、チームワークを促進する組織に適しています。

組織の目標や文化によって適したリーダーシップスタイルは異なりますが、どのリーダーシップ理論も「組織をより良くする」という目的は共通しています。企業は、自社の状況に合ったリーダーシップを採用し、効果的な組織運営を目指すことが重要です。

経営者が組織行動論を学ぶメリット

組織行動論を理解することで、経営者はより効果的な組織運営が可能になります。本章では、従業員の能力向上、経営判断の質の向上、戦略的思考の強化といったメリットを詳しく解説します。

従業員の総合力が向上する

組織行動論を学ぶことで、経営者は従業員の能力を最大限に引き出す方法を理解し、組織全体の生産性を向上させることができます。

モチベーション理論を活用すれば、従業員のやる気を引き出し、主体的に業務に取り組む文化を醸成できます。また、リーダーシップ理論を応用することで、適切な指導や育成を行い、チーム全体の協働力を高めることが可能になります。

経営者は組織行動論の知識を活用し、従業員の成長を促進する環境づくりに取り組むことが求められるのです。

物事をより大きな視点で考えられるようになる

個々のパフォーマンス向上だけでなく、組織文化やマネジメント手法が従業員のモチベーションに与える影響を考慮することで、より適切な経営判断ができるようになります。

また、組織行動論では、集団意思決定のプロセスや組織の適応能力についても研究されています。

例えば、企業のビジョンを明確にし、従業員が共感できる目標を設定することで、組織全体の方向性を統一し、戦略的な意思決定を行うことができます。

最終的に、経営者が物事を大きな視点で捉えられるようになれば、短期的な利益追求だけでなく、企業の持続的な成長を実現するための経営戦略を構築できるようになるでしょう。

多角的な経営戦略が作成できるようになる

組織には多様な人材が存在し、それぞれ異なる価値観や動機を持っています。経営者がこの多様性を理解し、適切なマネジメントを行うことで、組織全体の創造性やイノベーションを促進することが可能になります。

さらに、組織のダイナミクスを深く理解することで、経営戦略の実行力も向上します。

例えば、新しい事業を立ち上げる際に、従業員の抵抗を最小限に抑えるための変革管理の手法を取り入れることで、スムーズな組織変革が可能になります。

組織行動論で企業の生産性を高める方法

組織行動論を活用することで、企業の生産性を高めることができます。ここでは、多角的な意思決定、内部問題の是正、組織診断ツールの活用など、実践的なアプローチを紹介します。

意思決定は多角的な視点を取り入れる

組織行動論では、意思決定の質が企業の成果に大きな影響を与えるとされています。特に、経営層が多角的な視点を持ち、多様な意見を取り入れることは、組織の成長に不可欠です。

意思決定の偏りを防ぐためには、異なる部門の従業員や外部の専門家の意見を取り入れる「グループ・シンクの回避」や、「データに基づいた客観的な分析」が重要になります。

製品開発に関する意思決定では、営業部門の市場データ、開発部門の技術的知見、カスタマーサポート部門の顧客フィードバックを統合することで、より適切な判断が可能になります。

また、多様な意見を尊重しながら意思決定を行うことで、従業員のエンゲージメント向上にもつながります。

従業員が自らの意見が経営判断に反映されていると感じることで、組織に対する信頼が強まり、主体的な行動を促す効果があるためです。その結果、組織全体の生産性向上にも寄与します。

内部の問題を是正する

組織の生産性を向上させるためには、内部の問題を正確に特定し、適切な対策を講じることが不可欠です。組織行動論では、従業員の不満や非効率な業務プロセス、部門間のコミュニケーション不足などが、生産性の低下につながる要因として指摘されています。

まず、従業員の不満を把握するために、エンゲージメント調査を定期的に実施し、仕事の満足度やストレス要因を分析することが有効です。

例えば、従業員の離職率が高い場合、その原因を掘り下げていくと、評価制度の不透明さや業務負担の偏りといった課題が浮かび上がることがあります。こうした問題を改善することで、従業員のモチベーションが向上し、生産性も高まります。

エンゲージメントを調査するには、社内アンケートやヒアリングが効果的です。「TERAS」は、エンゲージメントサーベイを無料で実施することができます。興味のある方はぜひ利用してみてください。

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組織を改善するデジタルツールの導入

従業員エンゲージメントや組織の課題を把握した後は、改善に着手していくプロセスになります。しかし、組織が大きくなるほど改善は難しくなるでしょう。効率的な情報発信、組織の状態を可視化できるツールが求められます。

こうした組織課題の解決を支援するツールがTUNAG(ツナグ)です。TUNAGは、社内エンゲージメントを向上させるクラウド型プラットフォームであり、組織の状態をリアルタイムで可視化できる機能を備えています。

また、TUNAGにはさまざまな機能があり、従業員一人ひとりの働きがいや組織への貢献度を把握し、組織全体の生産性を向上させる具体的なアクションを迅速に実施できるようになります。

企業が持続的に成長するためには、データを活用した組織改善が不可欠です。TUNAGを導入することで、組織の現状を把握しながら、最適な施策を講じることが可能となり、社員のエンゲージメントが高まり、働きやすい職場環境の構築につながるでしょう。

TUNAGについて詳しく知りたい方はこちら

組織行動論で組織をさらに飛躍させる

組織行動論は、企業が持続的に成長するために不可欠な学問であり、従業員の行動や心理を理解し、適切な施策を講じることで、生産性やエンゲージメントの向上を実現することができます。

こうした取り組みを効果的に実践するためには、デジタルツールの導入が不可欠です。TUNAGのようなエンゲージメントプラットフォームを活用すれば、組織の状態をリアルタイムで把握し、適切なコミュニケーション施策を展開することができます。

組織行動論を活用し、社員一人ひとりが働きがいを感じる職場を築くことで、企業全体の発展を促進していきましょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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