従業員のリテラシーを高める重要性。ITリテラシーを高める施策やメリットを解説

近年はインターネット上で「リテラシー」という言葉を耳にする機会が増えています。特にデジタル化を推進する昨今のビジネスの場においては、ITリテラシーの重要性が高まっています。本記事では、リテラシーの意味や種類を解説し、ITリテラシーが企業にもたらすメリットと、その向上のための具体的な施策を紹介します。

リテラシーの意味と種類

リテラシーとは、本来『読み書き能力』を指す言葉ですが、現在では特定分野における知識や技能、それを活用する能力として広く使われています。特にビジネスでは、ITリテラシー、ビジネスリテラシー、メディアリテラシーが重要です。

特にビジネスシーンでは、ITリテラシー・ビジネスリテラシー・メディアリテラシーの3つについては特に重要度が上がっており、用語の意味を正しく押さえておくことが重要です。

これらのリテラシーという言葉がどのような意味を持つのかを解説します。

ITリテラシー

ITとは情報技術のことです。ITリテラシーとは、情報技術を適切に活用し、必要な情報を収集・分析・発信する能力を指します。具体的には、パソコンやスマートフォンの基本的な操作から、クラウドサービス
の活用、データ分析ツールの使用、さらにはプログラミングの基礎知識まで幅広い能力が含まれます。

近年はDXを推奨する企業が増えており、システム管理やサービスの提供など、あらゆる業務でITが必要になることから、ITリテラシーはあらゆる職種において不可欠なスキルとなっています。

ITリテラシーの向上は、個人の業務効率化だけでなく、組織全体のデジタル化推進にも大きく貢献します。

ビジネスリテラシー

ビジネスリテラシーとは、企業活動全般に関する基本的な知識と、それを実践する能力を指します。具体的には、財務、マーケティング、法務、人事などの分野に精通し、それぞれの課題に適切に対応できる力が求められます。

高いビジネスリテラシーを持つ従業員は、自社の経営状況や市場環境を正確に把握し、適切な意思決定を行うことができます。

また、部門間の連携をスムーズに行い、組織全体の効率を高めることにも貢献します。ITリテラシーとの相乗効果により、データに基づいた戦略立案や業務改善が可能になり、企業の競争力向上につながります。

メディアリテラシー

メディアリテラシーは、さまざまな媒体から発信される情報を批判的に読み解き、適切に活用する能力です。インターネットやSNSの普及により、情報の氾濫が進む現代社会において、この能力の重要性は増しています。

企業活動においては、正確な情報に基づいた意思決定や、適切な情報発信が求められます。高いメディアリテラシーを持つ従業員は、フェイクニュースや偏った情報に惑わされることなく、信頼性の高い情報源から必要なデータを収集し、分析することが可能です。

また、自社の情報発信においても、適切な媒体選択と効果的な発信方法を選択できるため、ブランド価値の向上にも寄与します。

ITリテラシーがなぜ重要なのか

従業員のITリテラシーが向上することは、企業にとって重要な意味を持ちます。なぜ重要なのでしょうか。その理由について解説します。

企業の持つ情報を守る

現在の企業の情報はクラウド上や自社サーバーに保管されていることが多く、セキュリティ上で保管先にアクセスできる従業員のITリテラシーは、企業の情報を守るのに重要な役割を担います。

例えば、フィッシング詐欺や不審なメールの見分け方、強固なパスワードの設定方法、機密情報の適切な取り扱いなど、基本的なセキュリティ知識がなければ、外部のサイバー攻撃やヒューマンエラーにより、顧客の情報など企業にとって重要な情報が簡単に漏えいしてしまう可能性があるのです。

多くの従業員を抱える企業では、従業員一人一人の行動を監視することは難しいでしょう。そこで、従業員のITリテラシーを向上させることが、企業の情報を漏えいさせるリスクを減らすことにつながります。

生産性を向上させる

デジタルツールやソフトウェアを効果的に活用することで、従来の手作業や紙ベースの作業を大幅に削減し、より高度な業務に時間を割くことができるようになります。

特に近年はAIの進歩が目覚ましく、単純作業だけでなくカスタマーサポートや資料作成といった、本来人が行っていた作業もほぼ自動で行うことが可能です。

また、プロジェクト管理ツールやコミュニケーションツールの適切な利用により、チーム内の情報共有がスムーズになり、業務の進捗管理が容易になります。これらのスキルは、個人の業務効率向上だけでなく、組織全体の生産性向上にも大きく貢献します。

DXに向けた取り組みを促進できる

ITリテラシーの高い従業員が増えることで、企業全体のDXが加速します。

例えば、RPA(Robotic Process Automation)の導入においては、業務プロセスを理解し、自動化可能な部分を適切に選定できる能力が求められます。

また、AIやビッグデータ分析の活用においても、基本的なITリテラシーがあることで、より効果的な導入と運用が可能になります。これらの取り組みにより、企業の競争力強化と業務革新を実現することができます。

企業の持つイメージを高める

高いITリテラシーを持つ企業は、顧客や取引先、さらには求職者からも好印象を持たれます。デジタル技術を積極的に活用し、効率的に業務を遂行する企業は、先進的で信頼できるパートナーとして認識されるからです。

例えば、顧客対応においてチャットボットやAIを活用することで、24時間365日のサポート体制を構築できます。また、オンライン会議システムやクラウドサービスを活用した柔軟な働き方を提供することで、従業員満足度の向上にもつながります。

これらの取り組みは、企業ブランドの価値向上と人材獲得の面でも大きなメリットをもたらすでしょう。

ITリテラシーを高めるための施策

ITリテラシー向上のためには、組織的かつ継続的な取り組みが必要になります。そのためにも、資格取得の推奨、社内研修の実施、ITインフラの整備など、複合的なアプローチが効果的です。

社内のITリテラシーを高めるための施策について、詳しく見ていきましょう。

IT関連の資格取得を推奨する

IT関連の資格取得を推奨することは、従業員のITリテラシー向上に効果的な方法の一つです。資格取得を通じて、体系的な知識やスキルを習得できるだけでなく、従業員のモチベーション向上にもつながります。

おすすめの資格として、以下のものが挙げられます。

  • ITパスポート
  • 基本情報技術者
  • 応用情報技術者

ITパスポートは、ITの基礎知識を身に付けるための資格で、初心者でも比較的取りやすい資格です。基本情報技術者はITエンジニアを目指す人向けの資格、応用情報技術者は、経営戦略やIT戦略策定などを担う高難易度の資格になります。

例えば、基本情報技術者などの資格取得を奨励し、取得者には一時金を支給するといった制度を設けることで、従業員の自発的な学習意欲を促すことができます。また、資格取得者を社内で表彰したり、その知識を生かせる業務にアサインしたりすることで、さらなる学習意欲の向上と組織全体のITリテラシーの底上げにつながります。

社内研修を実施する

定期的な社内研修の実施は、ITリテラシー向上の要となります。全従業員を対象とした基礎的な研修から、部門別・レベル別の専門的な研修まで、段階的かつ体系的なプログラムを設計することが重要です。

基礎研修では、情報セキュリティの基本やビジネスで頻繁に使用されるソフトウェアの操作方法などを学びます。中級・上級研修では、データ分析手法やプログラミング基礎、最新のデジタル技術動向などを取り上げるとよいでしょう。

また、外部講師を招いてのセミナーや、eラーニングの導入なども効果的です。特に、実際の業務に即したケーススタディやハンズオン形式の研修を取り入れることで、学んだ知識やスキルを即座に実践に生かすことができます。

ITインフラを整備する

ITリテラシー向上のためには、従業員が最新のITツールやシステムに触れる環境を整備することが不可欠です。適切なITインフラの整備は、従業員の学習意欲を刺激し、日常的なスキル向上につながります。

例えばクラウドサービスの導入、モバイルデバイスの支給、社内ネットワークの高速化などが挙げられます。ITインフラを整備することにより仕事の中でITに接する機会が自然と増え、学ぶことができるでしょう。

また、社内のIT部門や外部のITサポート企業と連携し、従業員からの質問や相談に迅速に対応できる体制を整えることも重要です。反対に、ITインフラを整備しないままでいるとツールが煩雑化して管理が行き届かなくなってしまうので注意が必要になります。

ITリテラシーの向上で企業の価値を高める

ITリテラシーの向上は、単なるスキルアップにとどまらず、企業全体の価値向上につながる重要な取り組みです。従業員一人ひとりのITリテラシー向上がさまざまな面で企業に利益をもたらします。

しかし、ITリテラシー向上の取り組みは一朝一夕には実現しません。経営層のコミットメント、継続的な投資、そして従業員の自発的な学習意欲が不可欠です。また、ITリテラシーの定義や目標レベルは、企業の業種や規模、事業戦略によっても異なるため、自社に適した施策を検討し、段階的に実施していくことが重要です。

デジタル化が加速する現代のビジネス環境では、ITリテラシーの向上が企業の競争力を左右する重要な要素となっています。本記事で紹介した施策を参考に、自社に適したITリテラシー向上プログラムを構築し、組織全体のデジタル化推進と企業価値の向上を目指しましょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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