インポスター症候群とは?職場で見逃されやすい心理と企業の対策

成果を上げているのに自信が持てない、称賛を避けるという従業員がいる場合、「インポスター症候群」かもしれません。企業にとっても離職やパフォーマンス低下につながるリスクになります。インポスター症候群の特徴と課題、企業として取れる対策を解説します。

インポスター症候群とは

評価されても自信が持てない様子だったり、優秀だったのにやる気をなくしてしまったりする従業員に頭を悩ませる企業もあるのではないでしょうか。その原因は「インポスター症候群」の可能性があります。

まずはインポスター症候群とは何なのか、どのような人が陥るのかといった基本を整理しましょう。

自分の実力を過小評価してしまう心理傾向

インポスター症候群とは、評価されたり成果を上げたりしても「自分の実力ではない」と自らの実力を過小評価してしまう心理傾向(心理状態)を指します。「症候群」という言葉は付いていますが、精神疾患の名前ではありません。

インポスター症候群に陥ると、何かに成功しても運や他人の助けによるものと感じてしまうようになります。自分の能力に対する自己評価が低く、自己不信感が強くなっている状態ともいえるでしょう。

優秀な人材でも陥る可能性がある

インポスター症候群は、かつて女性に多いといわれていました。しかし近年の研究では、性別や成功体験の有無にかかわらず、誰でも陥る可能性がある心理状態であるとされています。

企業としては、優秀で成功体験を多く積んできた人材でも、インポスター症候群になってしまうことを認識しておきましょう。特に優秀な人材がインポスター症候群に陥ると、企業にとってのデメリットが多くなります。

インポスター症候群の問題点とは?放置が危険な理由

インポスター症候群は、従業員本人にとっても企業にとってもデメリットとなる状態です。なぜインポスター症候群の従業員を放置してはいけないのか、インポスター症候群に見られる傾向から解説します。

新たなチャレンジを避けるようになる

インポスター症候群に陥った従業員は、自分の能力に自信が持てず、新しい挑戦を避けるようになる傾向があります。失敗を恐れ、リスクを伴う行動を控えようという心理が働くのです。

自己評価の低さから新たなチャレンジを回避していると、成長の機会を逃してしまうことになりかねません。人材が成長しないのは、企業にとって大きな痛手です。特に能力のある人なら、任せたいプロジェクトに参加してくれないなどの問題も出てきます。

他人と比較してモチベーションが下がる

インポスター症候群の従業員は、他人の成功と自分を比較し、自分の価値を低く見積もる傾向も見られます。他人の評価を過大に見積もり、自分は劣っていると感じることも多いでしょう。

このような比較によってさらに自己否定が強まり、やる気を失ってしまいます。本人自身のパフォーマンスが落ちるのはもちろん、現場の士気全体が下がる可能性も否定できません。

企業としては、本人のパフォーマンスも現場の士気も下がってほしくない要素であるはずです。このような段階に陥る前に、早期に対策に踏み切る必要があります。

完璧主義によって疲弊する

完璧を求めるあまり過剰な努力をしてしまうことが多いのも、インポスター症候群の人に見られる特徴です。時には自分の生活を犠牲にしてでも、成果を上げようとします。

完璧主義が行きすぎて、過労やバーンアウトなど、精神的・身体的な不調を引き起こすケースも少なくありません。結果として離職につながる可能性があります。

インポスター症候群に対して企業ができる対策

インポスター症候群への対処は従業員の個人的な問題に踏み込む可能性が高いため、企業として何ができるのかと悩む場合もあるでしょう。インポスター症候群の従業員に対して、企業ができる対策は「仕組みづくり」です。具体的な対策を見ていきましょう。

自己肯定感を支える評価・フィードバック制度を整える

インポスター症候群に陥っている従業員には、他者からの具体的なフィードバックが自己肯定感の向上に役立ちます。そのためには成果だけでなく、努力や過程を評価する仕組みが必要です。

定期的な評価や丁寧なフィードバックが、本人の自己評価の歪みを是正する助けとなります。他者から納得できるフィードバックを受け続けることで、自身の能力を正しく評価して自己肯定感を上げられるようになるでしょう。

評価やフィードバックに問題があると感じている場合は、まずその仕組みを見直してみる必要があります。

職場のコミュニケーションを活性化させる

周囲に頼れる環境も、インポスター症候群の軽減に効果的です。インポスター症候群の従業員には、完璧主義で人に頼りにくいという傾向も見られます。

オープンなコミュニケーションで全社的な自己開示が促進されれば、インポスター症候群に陥っていても「今大変な仕事を抱えている」「助けが必要」といった発信がしやすくなるはずです。

コミュニケーションの活性化により、チーム内での信頼関係が強まります。インポスター症候群の従業員にとっても心理的安全性が高まり、自己否定の心理状態から脱しやすくなるでしょう。企業には、コミュニケーションが活発になるような仕組みづくりが求められます。

褒められることを受け入れやすい土台をつくる

インポスター症候群の従業員は、他者からの称賛を受け入れることで自己評価の歪みを修正しやすくなります。称賛をポジティブに捉える文化は、心理的安全性と自己肯定感の土台を育てるために重要です。

企業には、称賛される経験に慣れさせる環境づくりや、自然な承認の文化づくりが求められます。日常的に従業員同士が褒め合うような土台を整備することで、インポスター症候群の軽減につながるでしょう。

TUNAGでインポスター症候群の不安に寄り添う組織に

インポスター症候群の従業員がいる組織にとって、フィードバックやコミュニケーション環境の整備は欠かせません。そのために使えるツールの一つが「TUNAG(ツナグ)」です。TUNAGの導入によって、インポスター症候群に寄り添える理由を紹介します。

適切な項目設定ができる1on1でフィードバック

上司からのフィードバックを適切に行う仕組みとして、1on1ミーティングの内容をTUNAG上で投稿するとインポスター症候群の軽減や早期発見に役立ちます。TUNAGでは、投稿に対してコメントをすることができるので、インポスター症候群の従業員には、ネガティブ要素も少し取り入れつつ、何が良かったのかを具体的に伝えるフィードバックがよいでしょう。

  1. ポジティブなフィードバック(良かった理由を具体的に伝える)
  2. ネガティブなフィードバック(強いて言うなら、という形で取り入れる)
  3. ポジティブなフィードバック(今後の活躍に期待していることを伝える)

また、お互いポジティブフィードバックを伝え合うことができる「サンクスカード」の活用も効果的です。自分が一方的に褒められるわけではないため、褒められることに抵抗がある状態でも受け入れやすくなります。

社内チャットやリアクション機能でコミュニケーションを活性化

TUNAGのチャット機能は、気軽なコミュニケーションを促進するのに役立ちます。リアクション機能も備わっており、言葉にするのが難しいときでも感謝や共感を簡単に伝えられるのがメリットです。

日常的なやり取りが活発化すると、チームの一体感を高めて互いに頼り合える環境を実現します。インポスター症候群の従業員も、日々のコミュニケーションを通じて、徐々に困ったときに頼りやすくなるでしょう。

社内ポイント機能で称賛文化を根づかせる

社内ポイント機能を活用し、従業員同士の称賛を文化として定着させるのも、インポスター症候群の軽減に効果的です。「褒められて当然」という文化が醸成されれば、褒められることを受け入れやすくなります。

また、社員同士で感謝を伝え合う「サンクスカード」の仕組みも効果的です。称賛文化の定着は、インポスター症候群でない従業員のモチベーション向上にも寄与します。

環境の整備でインポスター症候群の従業員に対策を

インポスター症候群は、自分の実力を正しく評価できず、成功は運や人の助けによるものだと思い込んでしまう心理傾向です。

このような心理状態の従業員は、新しいチャレンジを避ける・周囲と比較してやる気をなくす・完璧主義による疲弊で離職してしまうなど、企業にとってもマイナスの事態を招きます。

企業としては従業員にインポスター症候群の兆候が見られたら、離職や職場全体の士気低下といった重大な問題が起こる前に対策を取りましょう。

TUNAGのようなツールを導入すれば、インポスター症候群に対して有効な、適切なフィードバックやコミュニケーションの活性化・称賛文化の醸成などの取り組みを実現しやすくなります。

TUNAGについてもっと知りたい方はこちら

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

評価制度」の他の記事を見る

TUNAG お役立ち資料一覧
TUNAG お役立ち資料一覧