企業にとっての賞与とは?人材定着に賞与制度を活用するポイントを解説
人材の定着率に課題を感じ、賞与制度の見直しを検討している企業もあるでしょう。賞与の目的や設計次第で、従業員の納得感やモチベーションは大きく変わります。賞与の基礎知識から運用上の課題や解決策の例まで詳しく整理しました。
賞与とは何か?定義と目的
賞与制度の運用に課題を抱えており、解決策を探っている企業も多いのではないでしょうか。解決策を理解するためにも、まず賞与の定義や目的といった基本から整理していきましょう。
給与と別に定期的・臨時的に支給される賃金
賞与(ボーナス)とは、毎月の給与とは別に支給される特別な報酬です。厚生労働省では賞与を
「定期又は臨時に労働者の勤務成績、経営状態等に応じて支給され、その額があらかじめ確定されていないものをいう。」
と定義しています。(出典:主な用語の定義|厚生労働省)
多くの企業では、従業員の貢献度や業績に応じて支給されるのが一般的です。
賞与の支給は義務ではない
賞与の支給は法律で義務付けられておらず、企業の判断により支給されます。支給額や時期にも決まりはありません。
ただ、就業規則などに賞与の支給条件が明記されている場合は、その基準に従って支払わなければなりません。
就業規則で定められる賞与の一例として、夏と冬に定期的に支給される「定期賞与」や、業績に応じて支給される「決算賞与」などが挙げられます。
目的は企業によって変わる
賞与の目的は企業によって異なります。目的の分類にはさまざまな視点が考えられますが、以下のような意図が例として挙げられます。
1.エンゲージメント向上により定着につなげたい
- 従業員の生活補填
- 従業員の貢献に対する感謝
- 企業の利益分配
2.モチベーションアップによる業績向上につなげたい
- 今後の労働意欲向上のための奨励
賞与制度を運用する上では、何を目的とするかによっても賞与の支給形式や時期が変わってきます。
例えば、生活補填を目的とする場合は年末など出費が多い時期の前に支給することで生活の安定に寄与できるでしょう。
感謝や奨励の意味を込める場合は、評価結果と連動させてタイミングよく支給することで、従業員のモチベーション維持につながります。
賞与制度を運用する上での課題
賞与制度は従業員にとって、組織エンゲージメントを高める要素です。企業にとっても人材の定着を促したりモチベーションを高めて業績向上につなげたりと、メリットは多いです。
一方で、企業が賞与制度を運用するに当たって一定の課題があることも事実です。具体的にどのような課題があるのかを解説します。
人件費が増加する
賞与は毎月の給与とは別に支給される賃金です。企業にとって賞与制度を運用する上で、人件費の増加は避けられません。
特に業績が悪いときや景気が低迷している時期に定期的な賞与を支払うと、企業にとって手痛いコストとなってしまうでしょう。業績が不安定といった事情がある場合は、個々の業績に応じた支給に切り替えるといった工夫が必要です。
賞与支給の目的が定まっていない
賞与は従業員にとって、エンゲージメントを高める要素です。しかし、賞与制度の導入目的(例:業績向上、人材育成、定着促進など)が現場に十分に共有されていない場合、従業員の理解や納得感が得られにくくなります。
特に個人の業績に応じた支給の場合、評価基準や評価項目が抽象的だったり現場の実態とかけ離れていたりすると、エンゲージメントの向上につながりません。従業員は「何を評価されているのか」が分からず不満や不信感を抱く可能性があります。
評価がブラックボックス化している
個々の業績に応じた賞与を支給する場合、評価の過程が不明瞭だと賞与額に対する納得感が得られにくくなります。
評価結果の開示やフィードバックが不十分な場合、従業員は「なぜこの評価になったのか」が分からず、不信感や不満を抱きかねません。
評価基準だけでなく評価者の判断プロセスも明確にしないと、「えこひいきされているのでは」「自分は正当に評価されていない」と感じる従業員も出てきます。
特に賞与に直結する評価でブラックボックス化が進むと、「努力しても意味がない」といった諦めやモチベーション低下や退職の原因となるでしょう。
賞与制度を人材定着に生かすには
賞与は前提として、目的や支給対象者の業務内容などに応じて、成果報酬型・インセンティブ型・業績に連動した定期支給型など適切な形態を選ぶ必要があります。その上で賞与制度を人材定着に生かすためには、何に取り組めばよいのでしょうか。
定量・定性の両軸を評価に組み込む
業績に応じた賞与制度においては、定量評価と定性評価を組み合わせましょう。組み合わせることで、より公平で納得感のある評価が実現します。定量評価と定性評価の例は以下の通りです。
- 定量評価:数値で測定可能。売上達成率・顧客数など
- 定性評価:数値化が難しい。チームへの貢献度や業務への姿勢
定量評価は数値を評価し、定性評価は従業員の行動やプロセスを評価することで、総合的なパフォーマンスを把握できます。両者をバランスよく取り入れれば、従業員のモチベーション向上や組織全体の生産性向上につながるでしょう。
制度の仕組みを分かりやすく周知する
賞与制度の目的や評価基準・支給ルールを明確に文書化して周知することも、人材定着に賞与を生かすために必要な取り組みです。
発信しただけで従業員に届いていない状態だと、かえって形式的な印象を与えてしまうこともあります。実際の運用ルールや評価例を交えて共有することで、従業員が自分ごととして理解できるでしょう。
何のために・どのように支給されるのか、業績に応じた支給の場合は何を評価されるのかが明確になれば、従業員が賞与制度に納得しやすくなります。
社内ポータルや共有ドキュメントを活用して、従業員がいつでもアクセスできるようにするとよいでしょう。定期的な説明会やQ&Aセッションを設け、従業員からの疑問や不安を解消するのも選択肢です。
意見の吸い上げやフィードバックの機会を確保する
従業員からの意見やフィードバックを定期的に収集すると、より人材定着につながる賞与制度の設計に生かせます。アンケートや面談を通じて、賞与に対する従業員の満足度や不満点を把握し、必要に応じて制度を見直しましょう。
さらにフィードバックの収集結果や対応策を従業員に共有することで、透明性を確保して信頼関係を築くことも可能です。
TUNAGで賞与制度を人材定着につなげよう
賞与制度を取り入れていても人材定着につながらない企業は、TUNAG(ツナグ)のように組織エンゲージメントを高めるツールを使うのも一つの選択肢です。
TUNAGでどのように賞与制度を人材定着につなげられるのか、いくつかの機能を例に取って紹介します。
福利厚生の充実でエンゲージメントを向上
TUNAGには、企業独自の福利厚生をカスタマイズできる機能があります。従業員はスマホから福利厚生の申請が可能です。
誰がどのような申請をしたかも分析できます。この機能は賞与と結びつけることも可能であり、報酬としても機能するでしょう。
日報・1on1記録で定性的な実績を把握
実績に応じて賞与を支給する場合、賞与評価に活用できる定性的な実績を、TUNAG上の日報や1on1ミーティングの実施報告から収集するのも一つの手段です。
部下からの申請・上司の記録を通じて、成果だけでなくプロセスや成長の兆しを可視化できます。定量・定性両軸での評価が可能になれば、より納得しやすい賞与額の決定が可能です。
フィードバック文化の醸成につながり、定性的評価が属人的になるのを防ぐ効果もあります。
賞与制度の仕組みを社内ポータルで分かりやすく周知
TUNAGは賞与制度の目的・支給ルール・評価指標や実績などを、Googleドキュメントやスプレッドシートなどで整理して外部リンクに常設することが可能です。
TUNAGにはスマホアプリも用意されているので、従業員が時間や場所を問わず、確認したいときもアクセスできます。賞与制度の詳細が分かりやすく常設されていれば、自社の賞与制度に対する理解が深まり、納得感も増すでしょう。
アンケート機能で満足度や納得度を定期チェック
TUNAGの「アンケート」機能を活用して、賞与制度に対する従業員の満足度や納得度を定期的に調査するのも人材定着に効果的です。
従業員の声を賞与制度に反映することで、離職防止や定着率向上を目指せます。アンケートで収集したデータから制度の改善点を特定し、PDCAサイクルを回しましょう。
回収した意見は集計だけで終わらせず、改善アクションや制度見直しの根拠としたことを明示するのが適切です。従業員に「声が反映されている」という実感が生まれ、信頼にもつながります。
賞与は人材定着にも重要な制度
賞与は毎月の給与とは別に支払われる賃金であり、従業員にとってはエンゲージメントを高める重要な要素です。企業によって支給の有無や目的・支給形式は異なりますが、制度がうまく運用できていれば人材定着に生かせます。
しかし支給目的や評価基準・評価のプロセスが不明瞭だと、従業員の納得が得られず、エンゲージメントの向上・人材定着につながらない場合も少なくありません。
TUNAGのようなツールの活用も視野に入れ、賞与制度の目的や評価基準などを明文化し、誰もが納得しやすい制度設計を意識しましょう。賞与に対する従業員の声を集めて、制度の見直しに活用するのも効果的です。