物流管理SaaSのツール6選|できることから導入時のポイントまで
商品の入出庫や発送を一括管理するシステムは、物流管理に必須です。中でも最近では、SaaSを始めとしたデジタルの管理システムが、多く用いられています。
本記事では、物流管理システムSaaSについての概要や、見込める効果、おすすめツールなどを紹介します。また、導入時のポイントも併せて紹介するので、SaaSの導入を検討している人はぜひ目を通してください。
物流管理システムのSaaSとは?
SaaS(Software as a Service)とは、インターネットを経由して利用できるサービスのことです。データやソフトウェアをクラウド上で管理することにより、各端末にソフトウェアをインストールすることなく、複数の端末から同時にアクセスできます。
物流管理SaaSには、大きく分けて以下の2種類があります。
- 倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)
- 輸配送管理システム(TMS:Transport Management System)
物流管理システムのSaaSでできること
SaaSは、単にアクセスを容易にするサービスではありません。物流管理の改善や業務内容の効率化、コスト削減など様々なメリットが見込めます。
ここでは、SaaSを導入することで見込まれる効果について解説していきます。
社内コミュニケーションの活発化
SaaSが提供しているサービスには、コミュニケーションツールも含まれています。チャット機能などを使えば、時と場所を選ばずチームメンバーとの意思疎通が可能です。
画像などのシェアも容易であり、情報の共有も簡単におこなえます。物流業界は外でおこなう作業も多いため、各個人が作業中でもリアルタイムにコミュニケーションが取れるのは、大きなメリットです。
業務の効率化
在庫管理や入出庫の管理を、手動で管理するのは大きな労力が発生します。作業量が増えると、ミスが発生するケースも少なくありません。
一方、SaaSを用いて一括管理すれば、ヒューマンエラーの防止に繋がります。また、在庫管理に充てていた時間で別の作業がおこなえるので、業務の効率化にも一定の効果が見込めます。
ドライバー教育
法律の順守や安全運転の徹底など、物流業界ではドライバーの教育が欠かせません。しかし、ドライバーは基本的に外での業務になるため、教育できる時間やタイミングが少ないこともまた事実です。
SaaSを導入すると、ドライバーと直接やり取りが可能になるため、社内にいない状態でもドライバーへの教育が実施できます。
ペーパーレス化
紙ベースの書類が多いと、申請や提出に時間が掛かってしまいます。また、管理にコストがかかったり、紛失時のリスクが大きかったりと、デメリットも多いです。
SaaSによってデータをクラウド管理すれば、すぐに入力や提出が可能になり、時間短縮に繋がります。さらに、書類の管理コストや紛失リスクも減らせるため、生産性アップも可能です。
ヒヤリハットの共有
重大事故を回避するためにも、ヒヤリハットの共有は重要です。共有が早ければ早いほど、後に続く事故の防止に繋がります。
SaaSによって各部署のヒヤリハットを一括管理すれば、だれでもすぐにどんな異常があったのかを把握できます。重大事故を未然に防げる確率が高まるため、メリットは大きいです。
コスト削減
前述したペーパーレスや業務の効率化を通じて、コストカットを測れるのもSaaSの大きなメリットです。
たとえば、書類の管理コストがなくなれば、その分の費用やスペースを別のことに使えます。リモートワークが可能になれば、交通費や電気代を削減することも可能です。
ほかにも、ヒヤリハットの共有によって起きたはずの事故を未然に防げれば、余計な損失を抑えることで余剰資金を残せます。
物流管理システムSaaSのツール6選
SaaSを利用したツールは、いくつもあります。それぞれ特徴が異なるので、自社の特性や改善したい点に合致したツールを選ぶことが、導入を成功の鍵です。
ここでは、おすすめのSaaSツールを6種類紹介します。特徴を把握しながら、どれを導入するのか検討してください。
TUNAG for LOGISTICS
ドライバーとのつながりを密にしたいなら、「TUNAG for LOGISTICS」がおすすめです。日報の入力やリアルタイムな情報共有など、スマホを経由してドライバーと円滑なコミュニケーションが可能です。
ワークフローによって申請手順を見える化することで、デジタルに疎い人でもスムーズに利用できます。ドライバーと密につながることで、一人になりやすいドライバーとのコミュニケーション不足を改善し、離職率を低下させる効果も期待できます。
参考>>>TUNAG for LOGISTICS
AnyLogi
流通業務の最適化を求めるなら、「AnyLogi」がおすすめです。アジア各国で倉庫の貸出や配送支援が可能で、国内のみならず、海外に向けたEC物流についても心強い味方となってくれます。
土日祝にも対応した倉庫管理や、各国の関税と送料の自動計算など、海外向けの物流に強い機能が揃っています。問い合わせに即時対応してくれるスタッフもいるので、導入に不安を持っている人でも安心して利用可能です。
参考>>>AnyLogi
クラウドトーマス
大規模な物流を管理するなら、「クラウドトーマス」がおすすめです。1日当たり、最大で3,000件までデータをやり取りできます。
また、より大規模事業向けのサービスとして、「クラウドトーマスPro」も存在します。こちらは1日当たり、3,000件を超えるデータへの対応が可能です。
特殊なロットやバラ売りにも対応しており、柔軟な在庫管理及び在庫数の適正化が可能です。また、カスタマイズ機能も有しているため、自社に適した導入ができる点も、大きなメリットと言えます。
参考>>>クラウドトーマス
ロジザードZERO
デジタルに不慣れでSaaSの導入が不安なケースでは、「ロジザードZERO」がおすすめです。導入前から現場を訪問するなど手厚いサポート体制が完備されており、導入後も365日電話やメールで対応してくれます。
予期せぬエラーやトラブルの際も、常にサポートチームが対応してくれるため、安心して利用できます。また、定期的に勉強会なども開催しており、個人のスキルアップも可能です。
参考>>>ロジザードZERO
logiec
導入コストを抑えたいなら、「logiec」がおすすめです。サブスク型で必要な分だけしかコストをかけなくてよいため、ほかと比べると非常に安価で導入できます。
月額10,000円という安価な基本料金以外は、月間の出荷数に応じて従量料金が発生します。小規模な事業であればその分かかる費用も抑えられるので、低コストでの運用が可能です。
参考>>>logiec
LMS-GLOBAL
海外を含めた複雑な物流を可視化したいなら、「LMS-GLOBAL」がおすすめです。輸出入の在庫やコスト管理を徹底して見える化することで、効率的な情報の取得ができます。
輸送途中の在庫状況や、到着時刻なども逐一確認できるため、複雑化しやすい海外からの物流を把握しやすくなる点が特徴です。また、データはすべて遠隔で保管しているため、万が一の際も24時間以内に復旧ができます。
参考>>>LMS-GLOBAL
物流管理システムSaaSの導入時の注意点
SaaSは、導入しただけですぐに成果が出せるサービスではありません。使い方や事業規模によっては、逆に赤字になってしまうケースもあります。
ここでは、SaaSの導入時に意識すべき注意点を解説します。いずれも重要な内容なので、導入する前に必ず検討してください。
費用対効果について意識する
SaaSを導入すると、毎月一定の費用が発生します。SaaSの種類にもよりますが、安くても月に1万円、高額なものでは月に10万円近くのコストが必要です。
現在の事業規模次第では、導入してもコストに見合った効果が見込めなかったり、コストが回収できず赤字になってしまったりするケースも多々あります。長期的に運用してコストを回収できるかをよく考えてから、導入を検討すべきです。
拡張性や柔軟性はあるか
SaaSの中には、あとからシステムを追加したり、外部のサービスと連携できたりするものも多いです。しかし、拡張性や柔軟性は各サービスごとにまちまちであり、必要なサービスが最初から導入されているとも限りません。
SaaS導入前には、自社に必要なサービスが組み込まれていたり、あとから拡張したりできるかを事前に確認してください。必要なサービスを適用できなければ、導入しても効果的には運用できません。
セキュリティ対策とプライバシー対策
SaaSの中には、セキュリティ面での対策が不足しているサービスも多々あります。導入前にシステムやセキュリティ面での対策を確認し、徹底されているかをしっかりチェックしましょう。
また、万が一漏洩した場合の対応についても、あらかじめ確認しておく必要があります。セキュリティに絶対はないため、最悪の事態を想定しておくことが大切です。
物流管理システムSaaSの導入時のポイント
SaaSを導入して成果を上げたいのであれば、導入前にある程度方針を決めておくことが大切です。導入前に準備を済ませておいたほうが、想定した効果を出しやすいと言えます。
ここでは、SaaS導入時に意識しておくべきポイントを紹介します。ここで紹介したポイントへの意識付けがすんでいれば、導入後もスムーズに成果を出せる確率が高いです。
導入の目的を明確化する
物流管理システムSaaSは、導入すると多方面で効果を発揮します。だからこそ、導入する前に導入の目的を明確にしておかないと、「なんとなく効果が出ているから良し」となりかねません。
在庫管理の最適化や、ドライバーとのコミュニケーションなど、会社によって課題となってくる個所は異なります。どの課題の改善を目的として、どんな成果を目指すのかを明確にすれば、SaaSを効率的に運用可能です。
社内で定着しやすいシステムを導入する
どんなに優れたサービスでも、社内で定着しなければいずれ使われなくなってしまいます。SaaS導入の際は見込める効果や機能だけでなく、使いやすさも重要な検討対象です。
たとえば、デジタル化に疎い高齢ドライバーが多い会社なら、多少機能を犠牲にしても使いやすさを優先したほうが、結果的に高い成果を出せる可能性があります。ツールの良し悪しではなく、自社に合ったものを導入することが大切です。
社内教育の時間を設ける
SaaSの導入直後は業務内容が大きく変化するため、従業員も混乱してしまいます。導入前には必ず社員教育の時間を設け、スムーズに移行できるようにしておくことが大切です。
たとえば、ツールの操作方法をあらかじめ学習させておけば、導入のトラブルも減ります。また、導入による効果を周知させることで従業員の不安を解消できれば、前向きに取り組んでもらえる確率も高まります。
まとめ|クラウド活用でDXの実現へ
物流管理のDX化は、今後の情報化社会を企業が生き抜くために必須です。そのためにも、SaaSを始めとしたツールに頼れる部分はどんどん頼っていき、人による作業を減らすことで、業務の効率化や属人性の低下などの効果が見込めます。
SaaSにも種類があり、それぞれコストや機能、拡張性や柔軟性などが異なります。機能だけに目を向けるのではなく、採算が取れるのかや自社に定着するのかなど、多方面の要素から検討することが大切です。
SaaSは導入前こそ準備や社内教育など大変ですが、一度導入が済んでしまえば、多くの面で業務を効率化できます。今回の内容を参考にして、ぜひ導入を検討してください。