ウェルビーイング(Well-being)経営とは?社員の幸福度を高める成功事例をご紹介

本記事では、ウェルビーイング経営のメリットや、実際の企業での取り組み事例を紹介します。

さらに、ウェルビーイング経営を成功させるためのポイントとして、「PERMA」と呼ばれる5つの要素や、労働環境の見直し、帰属意識を高めるコミュニティづくりの重要性を解説します。

社員の幸福度を高め、企業の持続的成長を目指す上で、ウェルビーイング経営の考え方は今や欠かせないものなので、一緒にみていきましょう!

ウェルビーイング経営とは

ウェルビーイング経営とは、「社員の心身が健康で社会的にも満たされた状態にあることは、企業活動によい影響を与える」という考えのもと生まれた経営手法です。社員の幸福感を高めることができる経営手法として注目を集めています。

そもそもウェルビーイング(Well-being)とは

Well-beingという言葉自体は、1946年のWHO(世界保健機関)設立に際して、設立者の1人であるスーミン・スー博士が定義づけした「健康」にはじめて登場した言葉で、従来の健康が身体的に良好な状態を表す狭義の概念であるのに対し、Well-beingは身体的・精神的・社会的にも良好な状態、とより広い概念を表しています。

ウェルビーイング経営が注目されている理由

では、なぜウェルビーイング経営は近年注目を集めているのでしょうか。

人材不足の深刻化が進んでいるため

少子高齢化により、日本の総人口、働き手、人材は年々不足しています。貴重な資源であるヒトの離職は企業にとっては致命的であり、離職防止や生産性向上のために、身体的・精神的・社会的にも良好なウェルビーイングが注目を浴びました。

働き方改革を推進するため

コロナ禍を経て、リモートワークといった働き方改革が推進されました。その過程で、各企業が待遇の見直しや労働環境の改善を急ぎ、従業員目線での良好な状態を意識するようになりました。

ダイバーシティの浸透

グローバル化が進む中で、ダイバーシティが広がり、異なる国籍や文化を持つ人々と一緒に働く機会が増えています。しかし、バックグラウンドが異なる中で画一的な働き方を強いると、エンゲージメントが低下する恐れがあり、リモートワークといった多様な働き方を推進するようになりました。その過程でウェルビーイングに注目が集まりました。

ウェルビーイング経営のメリット

では、ウェルビーイングの経営のメリットにはどんなものがあるのでしょうか。

社員の従業員満足度の向上

前述した通り、ウェルビーイングは働きやすい環境が整うということでもあります。そのため従業員は、働くことに集中することができ、会社や業務に対しての満足度が向上します。

生産性の向上

従業員満足度が向上すれば、当然ながら生産性も付随して向上します。理由としては、心身ともに健康に過ごせていることで、会社に対して愛着心が芽生えることや、休職・退職といったことが減るためです。多くの馴染み慣れた従業員同士でコミュニケーションが図れることで、生産性向上にもつながります。

社員の離職防止・新たな人材確保

また、従業員満足度が向上することで、自然と離職防止にもつながります。前述の通り、従業員満足度が高いことや、社員の生産性が高いことで業績を伸ばせば、中途採用・新卒採用で、新たな優秀な人材の確保にも直結します。

ウェルビーイング経営に成功している企業事例

それでは、日本国内においてウェルビーイング経営に成功している企業を実際に紹介させていただきます。

トヨタ自動車

「“幸せを量産する”という使命のもと、従業員を多角的に支援」

すべての社員が「より充実した、不安のない」人生を送れるよう、福利厚生、ダイバーシティ、職場環境、人材育成の各分野で包括的なサポートを提供しています。具体的には、社員寮の大規模整備、スポーツセンターや保養所の利用促進を通じて、従業員の健康と福祉を重視し、さらに結婚支援のための独自の制度も設けています。従業員一人ひとりの幸せと成長を実現するために、事業を推進しています。

参考:トヨタ自動車「SDGsへの取り組み」

楽天

楽天株式会社は、『楽天主義』をベースにウェルビーイングの施策に取り組んでいます。具体的な施策としては、「仲間」「時間」「空間」それぞれに「間(余白)をデザイン」することに取り組んでいて、

  • 仲間をつなぐ施策として、目的(存在意義)や価値観の発信
  • 時間を区切る施策として、仕事やチームの節目を演出・計画的休憩(間)の推奨
  • 空間を整える施策として、物理的空間とバーチャル空間での自社の演出

することで、最適なチームビルディング、オンオフの切り替え、パフォーマンスの活性化を促しています。

参考:楽天株式会社ニューノーマル時代に向けて、コレクティブ・ウェルビーイングを考えよう

ウェルビーイング経営を成功させるポイントとは?

では、恩恵を受けるウェルビーイングはどのようにすれば成功させることができるのでしょうか。

ウェルビーイング経営を考えるときに重要なPERMA

ウェルビーイング経営を考える際には、PERMA(Positive Emotion(ポジティブ感情)、Engagement(没頭、没入する)、Relationship(他者との良好な関係性)、Meaning(人生の意味や意義)、Accomplishment(達成感)と呼ばれる5つの要素を考慮することがポイントです。各要素ごとに解説していきます。

  • Positive Emotion(ポジティブ感情)

Pの要素は、ポジティブな感情です。会社がおこなうべき具体的な施策としては、サンクスカードを送り合うことや、リフレッシュタイムの時間を設ける、各部署の成功事例を紹介し合い称え合うといった施策が該当します。

  • Engagement(没頭、没入する)

社員が自由に新規事業や新しい業務に取り組めるような制度を導入し、興味のあるテーマでの実施を促すことや、各社員が自分の業務に関連した短期・中期の目標を設定を促すことが該当します。また、これらをストレッチかつ、適正な判断基準を設定することが重要です。

  • Relationship(他者との良好な関係性)

年に数回、アウトドア活動やゲーム大会を企画し、チームビルディングを深めることや、各チームで定期的にフィードバックを交換する場を設け、建設的な意見を共有し合うことで、部署間を超えた強固な関係を築き上げるような施策が該当します。

  • Meaning(人生の意味や意義)

外部のキャリアカウンセラーによる個別面談を提供し、社員のキャリアビジョンを明確にするこキャリアカウンセリングや、 会社のミッションやビジョンについて、定期的に全社員向けの説明会を開催し、意義を再確認することなどの、帰属意識を深める施策が該当します。

  • Accomplishment(達成感)

月ごとに優秀な成果を上げた社員を選び、表彰する月間賞や、各社員が自己の成長を可視化できる「成長マップ」を作成し、進捗を記録して達成感を感じられるようにするといった、社員の達成感・幸福感を提供する場を作ること施策が該当します。

総じて言えることとしては、経営者視点ではなく従業員視点でこれらの施策を、作ることが重要です。

労働環境を見直し心身の健康を図る

また、上記5つ以外にも労働環境の見直しは欠かせません。長時間労働、休日出勤を強いていないか、リモートワークやリフレックス制度を導入して働きやすい環境が整えられているか、業務の難易度に対して、適正な給与が支払われているのかを確認する必要があります。

コミュニティへの帰属意識を高める

最後に、上記のポイントをそれぞれ要素分解し、社員のエンゲージメントを向上させるために必要な要素をすべて洗い出し、帰属意識を芽生えさせましょう。目に見える従業員サーベイや従業員満足度調査を通じて、データを数値化し、足りない部分を補えるような福利厚生や社内制度を充実させることが、ウェルビーイング経営に近づきます。

ウェルビーイング経営で社員と企業が共に成長する時代へ

ウェルビーイング経営とは、社員の心身の健康と幸福度を高めることで、生産性向上や離職防止につなげる経営手法です。人材不足や働き方改革を背景に、トヨタ自動車や楽天といった先進企業が積極的に取り組んでいます。

ウェルビーイング経営の成功のカギは、ポジティブ感情、没入、良好な関係性、意義、達成感の5要素「PERMA」を意識した施策づくりにあります。加えて、労働環境の見直しや、社員の帰属意識を高めるコミュニティづくりも重要です。

社員のウェルビーイングを高め、一人ひとりが活き活きと働ける環境を整備することが、企業の持続的成長につながる時代なので、経営者には社員目線に立った施策展開が求められています。ウェルビーイング経営の考え方を取り入れ、社員と企業が共に成長する組織を目指しましょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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