バーナム効果とは?活用できるビジネスシーンや効果を高めるポイント
バーナム効果とは、誰にでも当てはまる情報を「自分だけに当てはまっている」と思い込む効果を意味します。占いや適性検査でよく使われますが、ビジネスに応用することも可能です。バーナム効果を活用できるビジネスシーンや効果を狙う際のポイントを解説します。
バーナム効果とは
バーナム効果をビジネスでも生かそうとするなら、まずは言葉の意味をしっかりと理解しておく必要があります。具体例や似た意味の言葉もチェックし、イメージをつかんでおきましょう。
バーナム効果の意味
バーナム効果とは、多くの人に当てはまるあいまいな内容について、自分のことを言われているように感じる心理現象のことです。
バーナム効果を活用すれば人を信じ込ませやすくなるため、占いでよく用いられています。また、ビジネスでは相手に共感してもらうための営業トークやセールスコピーに生かすことが可能です。
バーナム効果の具体例
占い師に「最近あなたの生活に変化がありましたね」と言われたら、「もしかしてあのことかも」と思ってしまいがちです。誰にでも生活の変化はあるものですが、バーナム効果により自分のことを言い当てられたように感じやすくなります。
保険営業のシーンでも、「老後に不安はないですか?」「健康の悩みを抱えていませんか?」と言われると、思い当たることがある人は多いでしょう。トークの切り口としてバーナム効果を生かし、具体的な提案につなげていくのです。
プラシーボ効果や確証バイアスとの違い
プラシーボ効果とは、実際には何の効果もない薬を「効果がある」と思い込ませ、服用した人の症状が改善することです。どのような薬にもプラシーボ効果で症状が改善する可能性があるため、主に医薬品の臨床試験で薬の有効性を確認するために用いられます。
また、確証バイアスは自分の考えや思い込みを正当化しようとすることです。確証バイアスが働くと、自分に都合の良い情報ばかりを集め、都合の悪い情報からは目を背けようとするでしょう。
自分が注目した情報に意識が向きやすくなるという点において、バーナム効果と確証バイアスは似ています。確証バイアスの影響でバーナム効果がより強くなるケースもあります。
バーナム効果を生かせるビジネスシーン
バーナム効果はさまざまなビジネスシーンで活用することが可能です。具体例を挙げながら、主な活用シーンを紹介します。
営業
営業で自社の商品やサービスを紹介する前に、バーナム効果を意識したトークを展開すれば、顧客や取引先との信頼関係を構築しやすくなります。
バーナム効果を営業で生かす際のポイントは、相手の特徴を事前にリサーチし、実際に相手が感じそうなシーンを伝えることです。例えば、「伝票処理が面倒だと感じていませんか」といった問いを投げかければ、自社商材により強い興味を持ってもらえるでしょう。
商品開発
商品に記載する表現にもバーナム効果を生かすことが可能です。例えば、限定販売する商品に「あなただけの限定品」と記載すれば、消費者は「自分のために特別に紹介されている」と感じやすくなります。
「お肌の悩みを持つあなたへ」といった表現は、実際に肌の悩みを持つ人にピンポイントで訴求できるでしょう。値下げする際に「今だけこの価格」と表記することで、「自分だけに与えられた特別なチャンスだ」と思ってもらえます。
広告施策
広告で使う文言は広く一般に向けた表現になりがちですが、ターゲットを絞った表現にするとバーナム効果が働きやすくなります。
ビタミン剤の広告で「ビタミンは重要な栄養素の一つです」とするより、「あなたの体はビタミンを欲しています」とする方が、「自分にはビタミンが必要だ」と感じてもらいやすくなるでしょう。
人事
人事担当者はさまざまなシーンでバーナム効果を活用できます。
採用面接時に「あなたのような経歴を持つ人こそ自社に必要だ」と伝えれば、応募者が自信を持つでしょう。また、新人研修で「あなたは吸収が早いからすぐに成長できる」と伝えることで、受講者のやる気の向上につながります。
バーナム効果を生かした発言を適切に用いれば、従業員のモチベーションアップや組織の活性化を図れます。
コンサルティング
コンサルティングでは顧客と信頼関係を構築することが重要です。バーナム効果を活用して顧客の悩みを特定できれば、信頼を得やすくなります。次のようなトークで顧客の反応を見てみましょう。
御社は人気商品を多数展開しているが、本当に価値のある商品を提供できていない
御社の業務の進め方は合理的だが、さらに効率を高める必要がある
どのような会社にも当てはまる診断を複数並べれば、顧客はいずれかに反応するものです。そこからさらに話を深掘りしていくことで、ニーズに合ったコンサルティングを進めやすくなります。
バーナム効果を狙う際のポイント
バーナム効果を活用する場合は、以下に挙げる四つのコツを押さえて使いましょう。効果が高まるため、相手の心に響きやすくなります。
特定の相手に向けて発信する
バーナム効果を働かせるためには、特定の相手に情報を発信することが重要です。多くの人に知ってほしい情報であっても、「みなさん」ではなく「あなた」を主語にしましょう。
個人に向けたメッセージにすることで、情報を受け取る側はそのメッセージを自分事のように感じやすくなります。メールマーケティングやターゲティング広告などの施策では、特に有効なポイントです。
発信者の信頼性や権威性を高める
受け取った情報がバーナム効果で自分事のように感じられても、その情報の信頼性が低ければ、自分にとって有益な情報ではないと判断されてしまいます。バーナム効果を高めるためには、情報の信頼性を高めることも大切です。
例えば、サプリメントの広告で「医師監修」の文言を入れれば、情報に権威性が加わるため信頼性も一気に高まります。公的機関・教授・資格・実績などを絡めた表現にするのもおすすめです。
ポジティブな表現で伝える
バーナム効果を狙う表現では、ポジティブな言い回しを意識しましょう。情報を受け取る側が心地よい気分になるため、バーナム効果をより高められます。
ネガティブな表現や不安をあおるような表現は、できるだけ避けた方が無難です。例えば、健康食品のキャッチコピーでバーナム効果を働かせるなら、「病気にならない体」より「毎日を快適に過ごせる体」の方がよいでしょう。
より幅広く解釈できる言葉を使う
発信する情報の対象範囲を狭めると、「自分には関係ない」と思われてバーナム効果が働かなくなる可能性があります。バーナム効果を活用する際は、幅広く解釈できる表現を使うのがポイントです。
例えば、「食事制限でダイエットできないあなたへ」とすると、食事制限でやせられない人しか対象になりません。「何をやってもダイエットできないあなたへ」とすれば、より多くの人が自分事のように感じるでしょう。
バーナム効果をビジネスシーンで活用しよう
バーナム効果を狙って情報を発信すると、多くの人に当てはまることを自分事のように感じてもらいやすくなります。占いや適性検査でよく用いられており、ビジネスシーンでも活用することが可能です。
営業・広告施策・商品開発・人事でバーナム効果を働かせれば、対象者の心をつかみやすくなります。自社の従業員にバーナム効果のメリットやコツを伝え、職場でもさまざまなシーンで取り入れてみましょう。