社内回覧を電子化する4つのメリットやデメリット、方法を考える

社内回覧とは

社内回覧とは、社内関係者や従業員への情報共有を目的に、社内で回し読みをすることです。

文書の発信者は、情報の周知が必要な従業員に対して書類を作成します。そして、書類を受け取った従業員は内容を確認したことをサインや印鑑等で示し、まだ見ていない人へと文書を回していきます。

従業員は共有された情報に関する認識のずれをなくすことができ、迅速かつ正確に業務を遂行することが可能です。

回覧の意味

もとより回覧の意味とは、順に回して閲覧することです。

ビジネスでは、社内で必要な情報共有を行うために文書の回覧がおこなわれるのはもちろんのこと、自治体でも使用されています。自治体が地域に関するお知らせを住民に届けるため、「回覧板」といわれる情報をまとめた告知板を回すのです。

従来の書類を使った回覧方法では、組織や部署内、チーム内で共有しておきたい項目を書類にまとめて作成後、該当者に紙を回すことで情報共有をしていました。

一方で、現代は電子化が進み、オンラインで回覧を回すことが可能です。該当者を指定して情報を展開すれば、即時的に情報が行き渡るため、発信者の手間が減り回覧スピードが速くなります。

回覧文書の分類

社内文書と回覧文書の違いは、文書の確認が必要な人に回し読みするかどうかです。社内文書は、社内で利用され情報共有として確認するべき文書全体のことで、回覧文書は社内文書に包括されます。

具体的に回覧文書は、書類に目を通したら押印やサインで確認したことを示して、まだ書類が未確認の人へ回すという行為が必要です。
主な回覧文書の種類は以下の通りです。

  • 稟議書
  • 議事録
  • 上申書
  • 依頼文書   
  • 案内文書
  • 通知文書
  • 報告文書
  • 通達


参照:【2023年最新】社内回覧とは?基礎やルールを解説!電子化の方法や成功事例も|アイミツSaaS


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社内回覧を電子化する4つのメリット

社内回覧には、「文書作成にあたり必要な備品のコストがかかる」「回覧書類が誰まで回っているか確認できない」などをはじめとした諸々の課題があります。

社内回覧を電子化すれば、これらの課題を解決することが可能です。作成にかかる時間・費用といったさまざまなコストを削減できるのみではなく、文書の未確認者を追跡する作業や書類を次の人に回すための移動時間などの個人の労力を減らすことができます。

ここでは、社内回覧を電子化する具体的なメリットについて、詳しく確認しましょう。

1.紙を渡すための移動の手間が減る

社内回覧を電子化することで、回覧者が次の人へ書類を渡す際の移動の手間が減ります。紙の回覧文書であれば文書を受け取った人は内容を確認後、未確認の人に直接紙を渡す必要がありますが、次に回覧する人が遠い場所にいる場合は渡すための移動に時間がかかります。

もし急ぎで対応しなければならない業務がある際は、回覧文書を遠方に渡しに行くための時間や手間を惜しく感じるでしょう。一方、電子回覧であれば自分のデスクの電子端末上で、相手に文書を引き継げるため時間と労力の削減が可能です。

2.文書の回覧状況が迅速に把握できる

電子回覧とワークフローシステムを掛け合わせれば、書類の確認者と未確認者を明確に把握できます。ワークフローシステムとは、電子化された書類や稟議の申請・確認・承認プロセスを効率化するためのツールです。

紙の文書や電子回覧をメールなどで運用している場合、どこまで回覧されたかが分からないため、文書の発信者は回覧状況をすぐに把握できません。

一方、電子回覧とワークフローシステムを組み合わせれば、オンライン上で誰が確認したかすぐに追跡が可能です。情報をいち早く把握することで回覧完了時期の目途が立てられるため、仕事をスムーズに進めることに役立ちます。

3.作成のために必要な製品のコスト削減につながる

紙の回覧文書であれば、文書を作成するためにさまざまな製品を要します。例えば、紙、コピー機、製本をするためのインク、確認したことを示すための印鑑などです。

これらは電子回覧であればすべて必要ありません。作成に必要な専用ツールさえあれば必要な項目はすべてそろうため、常に備品の在庫を抱えておく必要がなく、購入に必要なコストもかかりません。

4.過去の文書をすぐに検索・確認できる

過去に作成した文書を閲覧できたり、キーワードをしぼって検索したりすることができます。

例えば、数年前に決済がされた稟議書を確認する場合を想定しましょう。紙であれば、該当年度のファイルを取り出してインデックスから資料をたどるなど、その文書を探す手間がかかります。一方、電子回覧であればオンライン上ですぐに検索して見つけることが可能です。

他にも、紙の場合は回覧後の書類をファイルに綴るなどして管理する必要があると考えられるため、十分な広さの保管場所を確保する必要があります。電子回覧にすれば、保管場所の確保に悩まされることがありません。

社内回覧を電子化するデメリット

生産性向上を狙いとしたDX(Digital Transformation)推進によって、社内でペーパーレス化を進める企業は多いのではないでしょうか。その一環として社内回覧文の電子化を検討する可能性があります。

社内回覧を電子化するデメリットを解説しますので、自社にとって取り入れるべきかの判断材料としてください。

参照:回覧とは?回覧文書のルールや書き方、例文をわかりやすく紹介 | ワークフロー総研

1.システムを導入する際にコストがかかる

もし電子化に際してツールを新しく導入する際は、コストがかかることを考慮する必要があります。

導入を検討する際は、実際に採用した後にどれぐらいの工数や時間が削減するのかを計算してみましょう。新しい施策やツールを導入する際に大切なことは、導入によるコストを上回る以上のメリットがあるかどうかを十分に確かめることです。

他にも、さまざまな部署に導入後に考えられるメリットについて聞き込みをおこない検討を重ねたり、試験的にツールを導入して使用感を試したりすることもできます。

2.個人の持つスキルにより使用力に差が出る

個人の持つITスキルや情報処理能力によって、ツールを使用するにあたっての処理速度や正確性のある業務遂行に差が出ることも、懸念点として挙げられます。

ITツールに疎い人は、ツールの持つさまざまな機能を使いこなせない懸念点があると考えらえます。新しいツールを活用するよりも、従来の方法である紙の方が早く文書を作成できるかもしれません。

そのため、視認性の高い操作マニュアルを作成したり、操作方法についての疑問を聞くことのできる専用窓口などを設置するなどの施策で、ITスキルの差による生産性の乖離を防ぐことが重要です。

社内回覧を電子化・効率化する方法

社内回覧における電子化の活用方法は、専用ソフトを導入後に利用者に操作を委ねるのみでは不十分です。

使用する従業員が最大限にツールを活用できるように、作業フローやマニュアルを参考として提示して効率的に運用しましょう。

参照:稟議の回覧を効率化し生産性を高めよう|承認TIMEで稟議承認を電子化

1.効率的な操作方法についてマニュアルを整備する

社内回覧を効果的に運用するためには、可能な限り効率的な使用の仕方や操作方法を模索してマニュアルを作成しましょう。

効率的な方法かつ誰もが同じ方法でツールを活用できれば、個人のITスキルにより生産性に差が生じることがありません。また、利用者から運用における改善点を積極的にヒアリングし、適宜マニュアルを更新することで、一層効率的に運用することが可能です。

2.各書類における回覧の業務フローを可視化して共有する

効率的に運用するために、社内回覧の作業における一連の流れを、稟議書や上申書といった種類ごとに可視化して共有しましょう。

例えば、回覧文書の発信者の起案から文書回覧中に行うべきこと、回覧を終えた後の対応などの一連の流れを、注意事項とともに記載することができます。業務フローを明確化すれば、全員が同じ内容を把握したうえで業務にあたることができるため、実務に関するコミュニケ―ションがスムーズになり齟齬が生まれにくいです。

社内回覧の書き方・回し方のポイント

社内回覧は閲覧する人のことを考え、注意点を押さえて作成しましょう。最低限記載が必要な記載事項から、見やすくするためのポイントを解説します。

1.発信者と対象者、回答期限を記す

文書の発信者と回覧対象者を記載し、いつまでに回覧をして欲しいのかについて回答期限を明記しましょう。回覧文書を発行する際には発信者を記さなければ、回覧文書を最後に確認した人が誰に文書を戻して良いかが分からず、確認作業に時間を取られます。

また、回答期限を記さなかった場合には各人が急ぎの仕事に追われるなどにより書類の確認作業が後回しになる可能性があります。迅速に情報共有したい文書には、期限を設置することを忘れないようにしましょう。

2.迅速に情報をインプットできるレイアウトや文章構成にする

社内回覧は、情報共有や確認作業が目的であり、できる限り読む人がすぐに理解できる工夫をしましょう。

例えば、文章を箇条書きや表で表現して視認性を高められないか考えたり、伝えたい主文をすぐに把握できるようなレイアウト構成にして、必要のない補足や文章を省いたりすれば、理解しやすい回覧文書になります。読む人にとって分かりやすく迅速なインプットができるように伝える情報をできる限り簡素化しましょう。

まとめ

本コラムでは、社内回覧の概要と電子化のメリット・デメリット等を解説しました。社内回覧は、社内の情報共有の観点から大きな役割を果たします。一方で、働き方改革やリモートワークの推進に伴い、対面で文書を渡すことが難しくなることもあるでしょう。

従業員が素早く正確に社内の情報を受け取れたり、書類を承認できるように、企業の規模や業種、就業環境に合わせた最適な形で、申請フローや回覧フローを整備することが望まれます。


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