storeとshopの違いは?「店」を表す単語を使い分けよう

「store」と「shop」には微妙なニュアンスの違いがあります。同じ英語圏でも国によって若干の違いが見られるため、相手国の文化を考慮した上で、正しく使い分けることが重要です。具体例を挙げながら、意味・使い方を分かりやすく解説します。

storeとshopの違いとは?

store(ストア)とshop(ショップ)は、両方とも「店(店舗)」を表す英単語ですが、どちらを使用すべきかで悩んだことはないでしょうか?両者の違いと使い分けのポイントを確認しましょう。

storeの意味・使い方

storeは、商品の販売に特化した店舗を指します。製造・加工・修繕・アレンジメントといった販売以外のサービスは基本的に行いません。

storeに該当するのは、本屋・雑貨屋・コンビニエンスストア・酒店・スーパーマーケット・デパート(百貨店)などです。本屋は「book store」、雑貨屋は「variety store」、デパートは「department store」と表現します。


storeには「保管する」という意味もあり、「物や情報を保管する場所」や「貯蔵庫」を指すケースもあります。

shopの意味・使い方

storeが商品の販売のみを行う店舗であるのに対し、shopは販売だけでなく、製造・加工・修繕・アレンジメントといったサービスを伴うのが特徴です。

shopに該当するのは、コーヒーショップ(coffee shop)・花屋(flower shop)・修理店(repair shop)・床屋(barber shop)などです。storeに比べると、小規模な店や専門店が多いことに気付くでしょう。

例えば、コーヒーショップでは、仕入れた生豆を焙煎して顧客に提供しています。花屋は生花の販売だけでなく、生花を素材としたアレンジメントや花束も制作しています。

英語圏では国によって使い方が異なる

同じ英語圏でも、国や地域ごとに使われている英語が異なります。アメリカ英語とイギリス英語におけるstoreとshopの意味の違いを理解しましょう。

アメリカ英語の場合

アメリカ英語とは、アメリカ合衆国(United States of Americ)で使われている英語です。英語はイギリスで誕生した言葉ですが、移民によってアメリカへ伝えられ、独自の発達を遂げました。


英語を公用語とする国の大部分はイギリス英語を使用していますが、フィリピンをはじめとする一部の国・地域はアメリカ英語を使用しています。

アメリカ英語では、小売店全般をstoreとする傾向があります。イギリス英語では、直営小売店は「retail shop」ですが、アメリカ英語では「retail store」です。アメリカに本社を置く大手IT企業「Apple」が直営する小売店も「Apple store」と呼ばれています。

アメリカ英語のshopは、特定の商品を取り扱う専門店や規模の小さなお店を指すのが一般的です。

イギリス英語の場合

イギリス英語は、主にイギリスで使用されている英語です。かつてイギリスの植民地だったオーストラリアやニュージーランドでも、イギリス英語が使われています。

アメリカ英語は地域ごとの方言や訛りは比較的少ないですが、イギリス英語は、イングランド英語やウェールズ英語と名前が付くほど、地域ごとの違いがあるのが特徴です。

イギリス英語では、小売店全般をshopとする傾向があります。アメリカ英語で本屋は「book store」ですが、イギリス英語では「book shop(bookseller’s)」です。イギリス英語のstoreは、規模の大きな店舗や多種多様な商品を扱う店舗を指します。

storeとshopの使い分けが必要な理由

日本では、storeもshopも同じ「店」と翻訳されるため、使い分けを意識していない人もいるのではないでしょうか?グローバル化が進み、海外の顧客と接する機会が増えた現代、言葉の意味をよく理解した上で、正しく使い分けることが重要です。

相手に誤解を与える可能性がある

日本では、storeとshopの違いが曖昧にされやすいですが、英語圏では明確な違いがあります。

例えば、イギリス人のビジネスパートナーに「自分はstoreを運営している」と伝えれば、チェーン店やスーパーマーケットのような大きな店舗を運営していると認識されるでしょう。

ビジネスシーンでは、言葉の選び方によって相手に誤解や混乱を与える恐れがあるため、相手国の文化的背景を考慮しながら、適切な言葉を選ばなければなりません。

目的やコンセプトが顧客に伝わりやすい

小売業では、店の名前にstoreとshopのどちらを付けるかで、顧客に与える印象が変わってきます。


例えば、「THE BODY SHOP」のように、店名に「〇〇shop」と付ければ、特定の商品・サービスに特化していることやプロフェッショナルな専門店であることを示せるでしょう。

さまざまな商品を幅広く取り扱うイメージを与えたい場合は、店名を「〇〇store」とするのも一つの手です。

自社ブランドの共通イメージを確立するための戦略は「ブランド戦略」と呼ばれます。店のロゴや名称の選定は戦術の一つであり、ブランドのイメージを視覚的に伝える役割を担っています。

storeやshopと混同しやすい単語

日本語の「店」に該当する英単語は、storeやshopだけではありません。英語圏では、店の規模や形態、取り扱う商品などによって呼び名が変わります。storeやshopと混同しやすい単語をピックアップして紹介します。

boutique(ブディック)

boutiqueの語源は、「小さな店」を意味するフランス語(boutique)です。英語のboutique(ブディック)には、「流行の婦人服や装具品を売る小さな店」「規模の小さな専門会社」「衣類を扱うデパートのコーナー」という意味があります。

英語圏では、洋服を扱うお店を「clothes store(clothing store)」や「clothes shop(clothing shop)」と呼ぶのが一般的です。boutiqueというと、ファッショナブルな商品や高級なブランド商品を取り扱っているイメージが強くなるでしょう。

日本でも、さまざまなブランドの商品を扱う小さなアパレルショップをブディックと呼ぶことがあります。

mall(モール)

mall(shopping mall)は、「屋根続きの大規模な複合商業施設」や「遊歩道のある商店街」を意味する英単語です。

屋根の付いた通路の両側に複数のテナントが集まったスタイルで、歩行移動しながらショッピングができます。映画館やフードコート、カフェなどを備えるところも多く、買い物以外の楽しみ方も豊富です。

mallとよく似た単語には、「shopping center(イギリス英語ではshopping centre)」があります。mallは屋内の大型商業施設を指しますが、shopping centerは屋内・屋外を問わず、規模も大型とは限りません。

market(マーケット)

market(マーケット)とは、食料品や日用品などを売る店が集まる「市場(いちば)」のことです。蚤の市(フリーマーケット)は「flea market」、農業生産者による直売所は「farmer’s market」と呼ばれます。


日本では食料品や日用品売る店を「スーパー」といいますが、スーパーは日本国内でしか通用しない和製英語である点に注意しましょう。アメリカでは、大型の食料品店を「supermarket」、イギリスでは「hypermarket」です。

stand(スタンド)

動詞のstand(スタンド)には、「立つ」「立ち上がる」という意味があるのはご存じでしょう。名詞として使う場合は、「露店」や「屋台」を意味します。

露店といっても、販売台がある店舗を指すことが多く、路上に敷物を敷いただけの店はstandとはいわないのが通常です。

新聞の売店は「newspaper stand」、ホットドッグの屋台は「hot dog stand」、食べ物を売る屋台は「food stand」です。祭りの日に並ぶ屋台は「stall」と呼ばれることもあります。

storeとshopの違いを意識しよう

ビジネスシーンでは、storeとshopの違いを明確にすることが重要です。日本語では、どちらも店を意味しますが、英語圏では店の種類や規模などによって使い分けがなされており、言葉の選び方を誤れば、相手に誤解を与えかねません。

小売業のブランド戦略においては、店の名称にstoreとshopのどちらを使うかによって、顧客に与えるイメージが変わってきます。

storeやshopのほかにも、店を意味する単語は複数あるため、ビジネスシーンでは適切な言葉選びを意識しましょう。


著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
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