達成不可能な目標は従業員のモチベーションを下げてしまう!従業員それぞれに合った目標を設計する方法
従業員に対して「目標に向かって努力することで成長する」という行動を促したい場合、最適な目標設計かどうかが重要です。遠すぎる目標は「どうせ達成できないから頑張っても仕方ない」と目標を意識されなくなりますし、逆に簡単な目標では、何もしなくても目標を達成できてしまうので、これも目標を意識しない要因になります。
では、最適な目標とはどのように設定すべきなのでしょうか?従業員個々人にあった目標の設計方法や、そのために上司がすべきことについて解説します。
【時間がない方のためのポイントまとめ!】
- 目標設計は従業員のスキルや経験に合わせて設定する
- 未達成が続く目標設定は社内にネガティブな影響を与える
- 目標達成を称賛する文化で従業員エンゲージメントを上げる
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目標設計は個々人に最適化することが重要
従業員は目標に向かって意識的に努力をすることで、日頃から考えて行動するようになります。しかし、目標は遠すぎても近すぎてもいけません。
適切な距離感や難易度の目標を設定することで、従業員が日々の業務に取り組む意欲を高め、成長を促進することができます。
遠すぎる目標はかえって意欲を損なう
従業員にとって、遠すぎる目標は達成不可能なように感じられることがあります。この場合の「遠すぎる」とは、時間と達成難易度を意味します。
例えば、「1年間での売上が〇〇万円以上」などの目標は、これだけだと期間が長すぎるので、1カ月の目標、週の目標、日の目標といったように、目標をさらに小刻みに設定する必要があります。時間的に遠すぎる目標を定めるだけでは、具体的な達成のイメージが湧かずに意欲を損なう可能性が高いのです。
また、目標難易度が高い場合も同様です。達成不可能な“形だけの目標”は、従業員が挑戦することを最初から諦めてしまいます。目標が遠すぎる場合は、目標自体の見直しが必要です。
目標未達成が続くと従業員が自信を失う
目標設定は、成長を刺激する一方で、未達成が続くと従業員の自信を損なう可能性があります。
例えば、頻繁に達成できない目標を設定すると、従業員は自分の能力に対して疑念を抱くことがあります。これは特に、目標が過度に高い場合や、リソースやサポートが不足している場合などです。
目標の設定は、従業員の成長を支援し、自己肯定感を高めることも考えなければなりません。
最適な目標は従業員を成長させる
最適な目標設定は、従業員の成長と組織の目標達成を両立させることができます。目標が適切であれば、従業員は自己成長を実感し、自己肯定感を高めることができます。
具体的な行動計画やリソースの提供を通じて、従業員が目標に向かって効果的に取り組めるよう支援することが重要です。
目標設計は個々人の能力や状況に応じて調整し、成長の機会を最大限に引き出すための基盤としての役割も持たせましょう。
目標設計の鍵を握るのは上司のマネジメント
最適な目標を設定できるかどうかは従業員本人だけでなく、その従業員を評価する上司の存在が特に重要です。目標設計において上司の役割と重要性について認識を深めましょう。
「会社目標」と「個人目標」をつなげる
上司は会社の大局的な目標と部署や個人の目標を結びつける架け橋となります。
たとえば、会社の目標が「〇〇万円の売上を達成する」だとしましょう。これを、このままチームや個人の目標にするのは避けるべきです。
個人の目標として望ましいのは、営業部門なら「商品Aを月間〇〇個売る」「商談を一日あたり〇件獲得する」などの、具体的なアクションに落とし込めるものです。
目標がアクションとして具体的であれば、従業員のやるべきことが可視化され、目標達成のために考えて行動するようになります。会社の目標を達成するために、個人がやるべき目標を考え、つなげることが上司に課された役割です。
部下の能力を把握して現実的な目標設計が大切
例えば、「商談を月間〇件獲得する」という目標があったとします。ある社員は簡単に達成できる目標かもしれませんし、別の社員には遠すぎるかもしれません。
目標は設定される側の能力に合わせて、達成が現実的な目標を設計することが大切です。部署全体で全社員に対して一律の目標を課すのは好ましくありません。
この場合、部下の特性やキャリアにあわせた目標を設計する必要があります。
例えば、IS(インサイドセールス)部門であっても全員が商談獲得件数を追う必要はありません。社歴の浅いジュニア層はアウトバウンドコールの件数を、5年目の従業員にはハードルを上げて有効商談件数を目標に置くなどです。
このように、目標設定する従業員の現在の能力や資質にあった目標を設計することで、社員の目標に対するモチベーションを高めることができます。
従業員本人が納得した上で取り組むことが重要
目標設計のプロセスで最も重要なのは、従業員本人がその目標に納得し、自らの成長や会社の成果に対する貢献意欲を高めることです。一方的に目標を設定し、伝えるだけでは、目標に対する意識と理解が低いままに取り組まざるを得ない状況が発生します。
上司は部下とコミュニケーションを深め、目標設定の意義や背景を共有することで、彼らの理解と受容を促します。
例えば、目標設計のプロセスで従業員が自身の強みや改善点を見つけ、それを克服するための具体的なアクションを計画することが重要です。
目標は本人に決定させ、上司はサポーターやアドバイザーとして、会社目標と擦り合わせるような立ち位置が理想的と言えます。
目標設計に必要な情報とステップを解説
社員1人1人に対し、具体的にどのように目標を設計していくべきでしょうか。そのプロセスと、プロセスごとに意識すべきことを解説します。
最終的なゴールと現在位置の確認から始める
目標設計は、現在位置から最終的なゴールまでの道筋を明確にするプロセスです。これを理解するためには、登山計画をイメージすると分かりやすいでしょう。
登山者はまず、自身の経験や技術レベルに応じて登るべき山を選びます。同様に、組織や個人の目標設計では、現在のスキルやリソース、そして達成したい最終的な成果を考慮に入れます。
次に、選んだ山に向けてのルートや中間目標を設定します。これは、目標達成までの道筋や具体的なステップを計画することに相当します。
登山では、気象条件や地形に応じてルートを変更することもありますが、仕事でも同様に、状況に応じて目標を調整する柔軟性が求められます。
部下と相談して3パターンの目標を設定する
目標設計では、単一の目標だけでなく、複数のパターンを設定することが重要です。部下との協力を得て、リスクマネジメントと柔軟性を持った目標設計が可能になります。
3パターンは、いわゆる「Will・Can・Must」で考えると良いでしょう。キャリアプラン策定にあたってのフレームワークであり、それぞれが以下を意味します。
- Will:やりたいこと(少しがんばれば達成できる理想的な目標)
- Can:できること(現実的に達成可能な目標)
- Must:やるべきこと(必ず達成しなければならない目標)
営業の目標に当てはめれば、「Will目標:月間アポイント30件」「can目標:月間アポイント20件」「must目標:月間アポイント15件」といった具合です。
このように複数の目標を設定することで、途中で目標の柔軟な調整が可能になります。目標設定のプロセスで途中で達成不可能と判断された場合でも、他の目標に切り替えることができ、リソースの無駄遣いやストレスを最小限に抑えることができます。
日々の仕事の中で意識させる
日々の仕事の中で目標を意識させることは、目標達成に向けた動機付けを高める重要な手段です。
Excelやスプレッドシート、管理システムなどを活用し、個々人が自身の目標達成率や進捗状況を常に確認できる環境を整えることが有効です。このようなシステムでは、目標達成に向けた進捗や課題を透明化し、メンバー間での情報共有と目標への共感を促進します。
さらに、上司やリーダーは定期的な面談やフィードバックセッションを通じて、部下の目標達成状況をフォローします。達成率の低い部下に対しては、具体的なサポートやアドバイスを提供し、進捗を助けるためのアクションプランを共同で策定します。
その結果、部下は目標を達成するための方向性を明確にし、自己管理能力の向上を図ることができます。
定期的に見直し、次の目標を立てる
日々の業務においては、目標達成の進捗を定期的に振り返り、必要に応じて調整を行うことも重要です。変化する状況や新たな課題に対応するために、柔軟に目標設定を見直し、次のステップを計画することが成果を最大化するためのカギとなります。
組織全体が目標に向かって一丸となって取り組む姿勢を醸成するためにも、日常業務での目標意識は欠かせません。
目標設計のためのツールを有効活用しよう
目標設計は、組織の成果を向上させるために重要なプロセスです。社員の日々の行動や能力を把握し、それを基に具体的な目標を設定することが求められます。
特に現代の組織では、デジタルツールの活用が不可欠です。「TUNAG」はそのようなニーズに応える経営プラットフォームとして、目標設計において重要なツールを提供しています。
【WEB日報】日々の目標達成を確認する
WEB日報機能は、社員が日々の業務を報告し、進捗状況をリアルタイムで把握するのに役立ちます。例えば、営業チームでは各メンバーが毎日の活動内容や成果を報告し、目標達成の進捗や問題点を早期に把握し、必要な支援や調整を行うことが可能です。
また、目標達成の共有は全社的なモチベーション向上にもつながります。「営業チームは今月も達成しているのか」「マーケティングチームもあと少し頑張ろう!」など、ポジティブな状態を作ることが可能です。
しかし、先にも述べたように現実的に達成不可能な目標設定によって目標未達成が続いてしまうと、「どうせ達成できないよ」とネガティブな状態に陥りますので注意しましょう。
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【社内ポイント】目標達成に社内ポイントを付与する
目標達成をしたら社内ポイントを付与するというのも、目標達成を後押しする有効な手段です。
達成自体にポイント付与するほか、目標達成のために助けてもらった方へのサンクスカード、チーム全体の目標達成に対しての表彰にもポイント付与するなど、目標達成を称賛する文化を形成します。
社内ポイントはギフトカードと交換したり、社内制度に活用できたりすると、より従業員のモチベーションも向上するでしょう。
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従業員に合った目標設計で組織の成長を促す
最適な目標設定は、組織の成長と従業員のモチベーション向上に大きく寄与します。目標は適切な難易度と距離感で設定されるべきであり、遠すぎる目標は従業員の意欲を損ない、短すぎる目標は成長の機会を逃す可能性があります。
上司は、従業員の能力や現状を理解し、個々の目標設定に適切な支援と指導を提供することが求められます。定期的なフィードバックやリソースの提供を通じて、従業員が目標に向かって効果的に取り組める環境を整えることが重要です。
目標達成が続けば、従業員は自己成長を実感し、自己肯定感が向上し、組織全体の成果に貢献することができるでしょう。従業員と組織の両方が成長するために、目標設定は戦略的に行われるべきです。