飲食業界を牽引する経営者3人が語る、エンゲージメントの必要性:事業拡大やコロナ禍における経営の変化とは(エンゲージメントアワード2022 経営者セッション前編)


2023年1月20日、『TUNAGエンゲージメントアワード2022』を開催いたしました。本アワードは、エンゲージメント経営の実践において、TUNAGを活用した「先進的かつ効果的な運用を行う企業」を表彰するイベントです。

イベント内では、TUNAGご活用中の株式会社ウェルカム、株式会社タイソンズアンドカンパニー、カフェ・カンパニー株式会社、以上3社の経営者の御三方を交えたトークセッションも実施し、人と組織、エンゲージメントに関するお考えを伺いました。前編・後編に分けて、その一部をご紹介します。

トークセッションにご参加いただいた御三方は、以下の通りです。(写真左から右の順)

◆株式会社ウェルカム 代表:横川 正紀 様
【事業】食とデザインの二軸で「DEAN &DELUCA」や「GEORGE’S」「CIBONE」など、良質なライフスタイルを提案するブランドを多数展開
【TUNAGご利用状況】 3,000名 / 約3年10ヶ月
◆カフェ・カンパニー株式会社 代表取締役社長:楠本 修二郎 様
【事業】「WIRED CAFE」などを全国展開、国内外に100店舗以上を出店/ホテル事業、グローバル事業、プロデュース事業など、事業を拡大
【TUNAGご利用状況】 1,300名 / 約4年9ヶ月
◆株式会社タイソンズアンドカンパニー 代表取締役社長:寺田 心平 様
【事業】ブルワリーレストラン「T.Y.HARBOR」のほか、レストランやカフェ、ベーカリーなど14ブランドを展開
【TUNAGご利用状況】 600名 / 約3年3ヶ月

エンゲージメントを重視するようになったきっかけ

店舗・スタッフの増加で情報伝達に危機感



〜はじめに、皆さまがエンゲージメントを大切にされたいと思ったきっかけや、具体的なエピソードについて教えてください〜

タイソンズアンドカンパニー 寺田:お店が広がって、会社としてどんどん大きくなっていった中で、スタッフの数が600名くらいまでに増えたんですよ。そうなってくると、スタッフの割合が半分以上がアルバイト、社員なんて3分の1とかに変わっていきました。それまでは、メールベースのコミュニケーションをとっていたんですけど、社員にしか届かず、残りのアルバイトの人たちには、社員経由でしか情報を伝えることができなかったんですよ。

ウェルカム 横川:アルバイトにはメールアドレスもないですもんね。

タイソンズアンドカンパニー 寺田:かといって、私用のアドレスはみんな使いたくないですしね。店によっては朝から晩まで通し営業で「みんなが同時にミーティングを持てる場なんてないです」みたいなところもあって、情報量の差が非常に出てきてしまって、これはやばいなと。社内でみんなが情報を扱えるプラットフォームを作らないと、みんなが付いてきてくれないと感じるようになってきました。

Face to Faceのコミュニケーションが一番大事だと思っているんですけど、それを補完してくれる存在としての社内のプラットフォームというか。オンラインのコミュニケーションをうまく組み合わせて、うちの文化を濃いままにしたいなと。うちがエンゲージメントに目覚めたきっかけは、そういう、文化とか距離感でしたね。

事業拡大による距離感に焦り



ウェルカム 横川:To Doのことだったら伝わるんですけどね。文化とか社風とか空気とか、そこをどうオンラインやDXで伝えるのかですよね。情報が多面的に伝わった方が、情報の質感って上がるじゃないですか。それを、僕らはエンゲージメントと言っているのかもしれないですね。

僕らは、お店の数もだったんですけど、インテリア雑貨の会社から始まって、途中で外食を始めて、さらに途中でDEAN&DELUCAを始めて…とやってきたから、みんなそれぞれ、自分たちの店や業態のことしか分からなくなっていたんですね。お互いのことに興味もないぐらいの距離感になってきて、「うわ、これはまずいな」と思って。今は株式会社ウェルカムですけど、それまでは会社も全部バラバラだったんです。

カフェ・カンパニー 楠本:横川さんのところみたいに、いろんな会社を統合するときって、絶対危機感もありますよね。ミッション・ビジョン・バリューとか全部一緒なんだけど、ちょっとずつズレる。

ウェルカム 横川:当時は「エンゲージメント」という言葉は使っていなかったんですけど、ただ情報が多くなっただけじゃなくて、みんなの見ている方向がちょっとずつバラバラになっている状態がまずいなって。ビジョンをもう一回整え直したり、リアルイベントでみんなでワークセッションをしたり、外部の人に来てもらってトークセッションをしたり。会社の未来と自分の未来を考え、色んな多面的なアプローチをして初めて、そういう文化ができると思います。

さっきの話の通り、DXも大事ですけど、リアルイベントも大事じゃないですか。リアルがあってDXがあって、時々社長の話もあって、でも本音は横で喋ったりとか、そういう総合的なコミュニケーションのあり方を上手にリードしてあげたり、オーガナイズしてあげたりすることでエンゲージメントって向上していくんじゃないかなと。

創業メンバーと新卒メンバーでのマインドの違い



カフェ・カンパニー 楠本:きっかけで言うと、多分皆さんそうだと思うんですけど、うちの場合は創業マインドを持ったメンバーと、経営理念とかビジョンを知ってウェブ上で応募してきた新卒、これは同じカフェ・カンパニーのメンバーなんだけど、ちょっとずつ違ったんですよ。

ここの部分を、どういう風に実体験で合わせていくかがすごく大事になってきて。さっき寺田さんが言ったように、そういうタイミングで、うちも僕が一方的に話すだけでは伝わらなくなっちゃったんですよね。

タイソンズアンドカンパニー 寺田:だからこそ、社内向けのプラットホームを入れるメリットの一つは、アーカイブで残っているとか、一回発信したことが後から入った人も見れるとかですね。うちでも、店長会議で話したことは全部、アルバイトを含め全員に見えている状態にしたり。そういう方法でうまく広めていく、その格差もなくしていくというのが、結構大きなポイントかなと思います。

外部環境の変化で感じたこと

コロナ禍で加速したエンゲージメントの必要性

〜組織や外部環境が変化する中で、エンゲージメントや、人と組織に対する捉え方は変わりましたか?〜

カフェ・カンパニー 楠本:エンゲージメントのニーズは、コロナで加速したんじゃないですかね。今までは、「会社はこういう方向に行くんだね」とみんななんとなく分かっていたけど、コロナ禍になって、「あれ? これから先どうするんだっけ」ってなったじゃないですか。そうなった時に、我々が絶対変えてはいけないことって何だろう、逆に変化の時代に変わらなきゃいけないことって何だろうって、企業経営者はみんな思ったと思うんですよ。

最近はビデオ会議ツールもあって、うちはコロナ禍で逆に店長会が増えましたね。それで、何度も何度もその話をするから、むしろエンゲージメントが高まってきて。言われたことを考えるんじゃなくて、みんなで考えて「ああ、やっぱりこうだな」となるプロセスが踏めたのは、この2年で良かったことのような気がしますね。

コミュニケーションの場をデザインし、従業員とヒューマンな関係を



ウェルカム 横川:ITツール上で、みんなが集まれるようになりましたよね。ただやっぱり、コミュニケーション量が増える時に、ストレスがあると、伝えるのが億劫になって、本質からずれて、面倒だからいいやとなってしまって。そうなると、伝えていれば問題にならなかったことが問題になってしまったりする。

逆に、必要なツールを、必要なコミュニケーションに対して整えて、スマートなコミュニケーションができる場所があると良いですよね。コロナ禍になって、「それまでなんとなくで済んでいたことが、ちゃんとデザインしないとできない」となったときに、TUNAGがあってくれたんです。

コロナになった最初の月、やることもないので、「TUNAGで毎日投稿します」と宣言して3ヶ月毎日投稿し続けたんですよ。仕事について書くことがないから、飼っているメダカの話とか、「僕のデスクが息子に取られたんで、自分で作りました」って段ボールの机を見せるとか、くだらない話しかなかったんですけど、いまだに「あの時の投稿の感じが一番面白かったです」とか言われますね。

カフェ・カンパニー 楠本:でも本当そうなんですよね。どうしても経営者からの発信って、会社状況の発表だけになりがちですけど、もっと従業員とヒューマンな関係を築かないと。だからうちでも、一方的な発表事じゃなくて、「どう思う?」という問いを増やしました。

〜後編では、それぞれの御三方が考える、「人と組織」「これからのエンゲージメント経営」について、お話しいただきます。〜
▼後編はこちら

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