女性管理職についての国の取り組みや現状。企業に必要な対策とは?

女性活躍推進についての国の取り組み

2030の目標を設定

「2030」とは「2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という政府が制定した目標数値です。 2020年といえば「東京オリンピック・パラリンピック」の開催年でおなじみですが、政府目標の「2030」が決定されたのは2003年、東京オリンピック・パラリンピックの開催決定は2013年であるため、目標年次がオリンピック開催年となっているのは偶然であり、意図したものではありません。 30%という数値設定の理由として、内閣府のサイトには「国連ナイロビ将来戦略勧告で提示された30%の目標数値や諸外国の状況を踏まえて」と記載されています。

女性活躍推進法の推進

輝く女性応援会議の設置(平成26年3月28日設置)

総理主導で「女性が輝く社会」の実現に向けて全国的各地で定期的に様々な立場の女性や、各界のリーダーが参加する会議を開催しています。 子育てをしながらでも、もっと社会で活躍できるように、現在は男性が中心となっている理工系や農業分野でもどんどん結果が残せるように、そして家庭での経験を生かしいつでも仕事に復帰できるような社会を実現することを目標としています。 参考:https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kagayaku_women/

すべての女性が輝く社会づくり本部の設置(平成 26 年 10 月 3 日設置)

様々な状況に置かれた女性が、自身の希望を実現して輝いていくことで、日本の潜在力と言われている「女性の力」が十分に発揮できる環境を形成できるように、「すべての女性が輝く社会づくり本部」というものが内閣府にて設置されました。 女性は活躍しやすい環境を整えるために定期的に方針の提案や意見の交換が行われています。 参考:http://www.kantei.go.jp/jp/headline/brilliant_women/

女性活躍加速のための重点方針(平成27年6月26 日策定)

すべての女性が輝く社会づくり本部にて2015年から毎年6月を目処に新しい方針が更新されています。 参考:http://www.gender.go.jp/policy/sokushin/sokushin.html
1.安全・安心な暮らしの実現 女性特有の病気や疾病(子宮頸がん・乳がん・産後うつ・更年期など)への対策支援を促進する取り組みや、ひとり親家庭への支援、女性に対する全ての暴力・ハラスメントの根絶に向けた取り組みの推進等。 2.あらゆる分野における女性の活躍 多様な働き方を提案できる環境の整備、男性の育児休暇の取得しやすさを促進することによって女性の社会参加への後押し、あらゆる分野での女性の参画拡大、人材の育成を推進等。 3.女性活躍のための基盤整備 子育てや介護をしている女性への負担を軽減するための介護基盤の整備、待機児童解消へ向けた取り組みの推進、性別にとらわれずキャリアや生活を選択できるような学習・教育環境の整備、働き方の制度や男女共同参画の視点で考えた防災・復興の取り組みを推進等。

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日本における女性管理職の現状

女性の課長比率は7.3%

帝国データバンクが行った「女性登用に対する企業の意識調査」によると、1989年に2.0%だった女性課長比率は、2018年の統計を見ても7.3%と、10%を超えることはありませんでした。 増加傾向ではありますが、100人課長がいても女性は7人程度しかいない計算になります。 欧米では女性管理職の割合は平均30〜40%と言われているため、先進国の中ではまだまだ数値が低いといえるでしょう。 もう少し詳しい数値で見てみると、以下のような現状となっています。
企業別女性管理職の平均割合 上場企が5.1%(前年比0.1ポイント上昇) 未上場企業が7.2%(同0.2ポイント上昇) 企業の規模別女性管理職の平均割合 大企業が5.0%(同0.2ポイント低下) 中小企業が7.7%(同0.3ポイント上昇) 小規模企業が10.0%(同0.1ポイント上昇)
企業規模が大きいほど女性管理職の平均割合が低くなる傾向が見られます。

女性管理職の割合が上がりにくい理由

年功序列が前提となった昇進制度

日本の女性は出産を機に退職することがあるため、勤続年数が短くなる傾向にあります。現在の日本の年功的な昇進制度では、管理職に就く前に退職してしまうため、女性の管理職が増えにくいと考えられます。

子育てと仕事の両立

法律で決められている産休や育児休暇はとれたとしても、復帰後にうまく両立できないケースや、そもそも待機児童の問題で預け先が見つからないということもあります。 また、子供が小さいうちはしばらく働かないという選択肢をとる方もいるでしょう。そういった方が復帰した後にしっかり仕事ができ、活躍できる環境が無ければ、なかなか管理職を目指すことは難しいでしょう。

女性管理職が増えることによるメリット

意思決定層が多様化する

企業や組織において、意思決定するメンバーに多様性があるほど、これまで出てこなかった意見や提案があり、方針に柔軟性が生まれます。 また、日々の生活の購買品は、女性が意思決定権を握っていることが多いため、そのような製品開発をしている会社は、実際の市場に合わせた意思決定ができる可能性も高まります。

従業員の業務に対するモチベーションの向上

性別に関わらず、公平な評価を受け昇進できる環境を整えることによって、従業員全員が業務にやりがいを見出すことができるため、従業員のモチベーション向上につながります。

同性の部下が相談しやすくなる

女性従業員は男性上司には家庭環境や自身の体調など、デリケートな問題は相談しにくいといった悩みもあります。同性が管理職にいることで相談しやすくなることもあります。 また、そういった視点から働きがいのある会社づくりのための施策を検討していくこともできるでしょう。

社会的評価の向上

女性の平均継続勤務年数、管理職率等の数値や、取組み等を一般公表することによって「性別に関係なく、平等な人材活用を行なっている」という企業イメージの向上につながります。 また、そういった取り組みからダイバーシティ100選などに選定されれば企業知名度も向上し、優秀な人材を獲得するチャンスにもつながります。

業績の改善、向上

厚生労働省委託事業の一環で実施された平成22年みずほ情報総研調査の結果では、管理職の女性比率が過去5年間に増加した企業は5年前と比較し、経常利益が増加する傾向がみられ、女性活躍推進への取り組みと企業の業績には相関関係があるとされています。 このほかにも、イギリス・リーズ大学の研究結果では女性管理職が1人以上いる企業は、ガバナンス強化等により破綻確率を20%低減させられると発表されています。 女性の活躍が企業の利益やリスク管理能力等に影響を及ぼすとされる研究成果が海外を含めさまざまなところで発表されています。

企業が対策すべきこととは

産休・育児休暇制度の整備

女性の勤続年数を伸ばすためにはまずは産休・育児休暇制度の整備が必要です。注目すべき点は女性だけではなく男性も休暇を取りやすい環境にすることです。 女性が育児休暇を取得しやすい環境であっても男性側が激務であれば家事育児の分担がうまくいかず、結局女性側は仕事の継続が困難になります。 オランダでは男女共に短時間勤務をしやすい制度を整えたところ、男性の育児参加も進み女性の離職率の軽減や登用が増加したという結果が出ています。

働き方の選択肢を増やす

女性が男性と同じように長期間の就労が難しいのは、深夜に及ぶ長時間労働や頻繁な転勤を女性総合職にも求めざるえない、現在の日本企業の人事制度などに原因が見られます。 子供や介護が必要な高齢者を残しての単身赴任は、既婚女性や子育て世代の女性にとっては非常に難しいのが現状です。 厚生労働省の最近の調査結果では、総合職で入社した女性の65%が10年後には会社を退職しています。男性の29%よりもはるかに多くなっている理由の大半は育児や親の介護が仕事との両立が難しいという現実です。 転勤をしない雇用や、時短勤務などを積極的に取り入れ、選択肢を増やすことによって退職する女性も減少するのではないでしょうか。

管理職のマイナスイメージを払拭

「管理職=重労働、責任重大、残業過多」などのイメージが定借しつつある昨今、育児や家庭の両立を考え管理職への昇進自体を魅力に感じていない方も多いでしょう。 管理職になりたくないわけではなく、めざすべきロールモデルやキャリアプランが見出せず、管理職に踏み切れない女性もたくさんいるのではないでしょうか。 企業側はそういった管理職へのマイナスイメージを払拭し、いきいきとやりがいを感じながら管理職業務を遂行するお手本になる男性管理職者を増やすことも必要と言えるでしょう。

女性管理職を育成する環境を整備

上記のようなロールモデルの作成に加え、女性自身が生産性を上げ、短時間で成果を出す働き方を学ぶための教育研修や管理職になるためのマインドセットも必要です。 女性が変わっても働く環境が変わらないと活躍はできません。環境が変わっても女性が変わらなければ管理職への登用は実現しません。 また、女性は職場環境での調和を重視する傾向があるため、部下や上司に強く意見を発信できないと感じる場面もたくさんあるようです。 女性管理職者に自信を持ってもらうためには例えば小さなチームで経験と実績を積んでいけるような環境整備がをすると良いのではないでしょうか。

女性の意見を汲み取り、会社として成果を上げられる仕組みづくりを

安易な取り組みは、逆効果になることも

少子高齢化で生産労働人口の不足が叫ばれる昨今、働く女性の増加によってその生産労働人口の不足を食い止めることができます。今後の日本では女性のやる気と能力に大きな期待が集まっています。 また、企業側でも性別にとらわれず優秀な人材を積極的に雇用、育成していける企業こそが、日本の今後の企業間の激しい競争を勝ち抜いていくことができるのではないでしょうか。 一方、ただ「女性管理職を増やせばよい」というスタンスでいると、その考えは現場に伝わってしまいます。 経営陣がどう考えているのメッセージをしっかり伝え、共感を得ながら仕組みづくりを行うことが重要です。

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