適材適所で定着率や生産性の向上を図る!実現させるポイントや方法

適材適所の人員配置に成功すれば、従業員の離職率低下や自社の生産性向上を図れます。適材適所について理解を深め、有効な施策を実施して適切な人員配置を行いましょう。ビジネスにおける適材適所の意味やメリット、成功に導くためのポイントを解説します。

適材適所とは

適材適所はもともと違う意味で使われていた言葉です。ビジネスにおける適材適所の意味を理解し、求められる背景や適所適材との違いも押さえておきましょう。

ビジネスにおける適材適所の意味

適材適所は元々、さまざまな種類がある木材の中から、住宅の部分ごとに適切なものを選ぶという住宅建築の現場で使われていた言葉です。

それが転じて、ビジネスにおいては、各人の特性・スキル・経験を把握した上で、その人に合った地位や任務に配置することを指すようになりました。

適材適所が求められる背景

適材適所が求められる背景には、現代のビジネス環境における競争の激化と労働市場の変化が挙げられます。企業は限られたリソースで最大の成果を上げる必要があり、そのためには従業員一人ひとりの強みやスキルを最適なポジションで発揮させることが不可欠です。

また、多様なバックグラウンドを持つ人材が増える中で、個々の能力を適切に活用し、組織全体のパフォーマンスを向上させることが重要です。

さらに、テクノロジーの進化により、業務の高度化・専門化が進み、特定のスキルや知識が求められる場面が増えています。

これに対応するためにも、適材適所の人材配置が必要です。従業員が自分の得意分野で働くことで、モチベーションが向上し、生産性も高まります。その結果、組織全体の成長と競争力の強化が実現するのです。

適所適材との違い

適材適所と似た言葉に適所適材があります。適所適材とは、もともとある地位や任務に人材を当てはめる考え方です。

適材適所がその人にふさわしい職務を選ぶのに対し、適所適材ではその職務にふさわしい人材を選びます。地位や任務ありきで考えるため、適任者がいなければ新しく雇い入れたり外部に委託したりします。

人員配置のポイントは、適材適所と適所適材の両方を重視することです。適材適所を重視しながら適所適材の発想で考えれば、人員配置がうまくいきやすいでしょう。

適材適所に人員を配置するメリット

従業員の特性やスキルを考慮して適切な地位や役割に就かせると、どのようなメリットがあるのでしょうか。適材適所に人員配置を行う企業側のメリットを紹介します。

生産性向上が期待できる

適材適所に人員を配置することは、生産性向上に大きく寄与します。各社員が自身の強みや専門知識を活かせる業務に従事することで、効率的に仕事を進めることが可能となり、結果として全体の生産性が向上します。

さらに、社員は自分の能力を最大限に発揮できるため、モチベーションも高まりやすく、業務への集中度も向上します。

また、適切な人材配置により、業務の重複や無駄が減り、チーム全体の連携がスムーズに進むため、プロジェクトの進行も迅速化します。このように、適材適所の配置は、組織全体のパフォーマンスを最適化し、業績向上に直結する重要な戦略といえます。

従業員の離職防止につながる

従業員の定着率向上を期待できることも、適材適所に人員を配置するメリットの1つです。自分が強みだと思っていることを仕事に生かせるため、やりがいを感じやすくなります。

また、自分の能力が適切に評価されていると感じることで、職場への信頼感や忠誠心が強まります。逆に、適性に合わない業務を強いられると、ストレスが増し、やりがいや意欲の低下を招き、最終的には退職の原因となることもあります。

適材適所を実現することは、個々の従業員の潜在能力を最大限に引き出し、組織全体の生産性を高めるだけでなく、従業員の定着率を高めるためにも重要です

コストの削減を図れる

適材適所を意識した人員配置がうまくいけば、最低限の人数で事業を回していけます。各従業員が自身のスキルや経験を最大限に活かせる役割を担うことで、業務効率が向上します。

従業員が辞めると新たな採用や育成にコストがかかりますが、定着率が向上すれば採用・育成コストを抑えることが可能です。

人材に人員を配置するポイント

適材適所の人員配置を成功させるためのポイントについて解説します。自社で取り組む際の参考にしましょう。

従業員の性格や考え方を把握する

従業員の性格や考え方を把握することは、適切な人員配置において極めて重要です。社員それぞれが持つ性格や価値観を理解することで、業務において最も効果的に能力を発揮できる環境を提供することが可能になります。

たとえば、チームワークを重視するプロジェクトには、協調性が高く他者と円滑にコミュニケーションを取れる人を配置すると、チーム全体の生産性が向上します。

また、個人の意見や創造性を重視する業務には、独自の視点を持ち、自ら進んで行動できる従業員を選ぶことで、新たな価値を生み出す可能性が高まります。

このように、従業員の性格や考え方を正確に把握し、それに基づいて人員を配置することは、企業全体の成果を向上させるための重要なポイントとなります。

適切な評価を行う

人材に適切な人員配置を行う際の重要なポイントの一つが、正確で公平な評価を行うことです。適切な評価は、従業員のスキルや能力、業績を客観的に判断する基盤となり、それに基づいて最適な役割やポジションに配置することができます。その結果、従業員が持つ潜在能力を最大限に発揮し、組織全体の生産性や効率を向上させることが可能です。

また、評価が公正であることは、従業員のモチベーションを高め、組織に対する信頼感を強化する効果もあります。評価のプロセスを明確にし、継続的なフィードバックを行うことで、最適な人員配置を実現し、組織の成長を促進することができます。

このように、適材適所を成功させるためには、適切な人事評価を行うことも重要です。

人員配置後もPDCAを回す

従業員について入念な分析を行っても、配属後に必ず従業員が成果を出せるとは限りません。適材適所な人員配置では、配属後もPDCAを回すことが大切です。

PDCAとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(測定・評価)」「Action(対策・改善)」のプロセスを循環させ、目標達成や業務改善を目指すフレームワークです。PDCAで現場の状況を検証すれば、人員配置が適切であったかどうかを確認できます。

適材適所な人員配置を図る方法

適材適所な人員配置を図るためには、従業員のスキルや経歴、考え方などを適切に把握することが重要です。そのために有効な施策について、下記に紹介します。

1on1ミーティングを実施する

1on1ミーティングとは、上司と部下による1対1の面談です。上司と部下が個別に対話する場であり、従業員のスキルや希望、職務に対する意欲を深く理解することができます。

直接的な対話を行うことで、よりパーソナライズされた対応が可能になるでしょう。従業員の強みを把握し、適切なポジションに配置することが可能になります。

また、個別のフィードバックや目標設定は、モチベーションアップにもつながります。

従業員の興味・関心や得意分野は成長により変わることもポイントです。定期的な面談で変化を察知できれば、より効果的な適材適所を実現しやすくなります。

ジョブローテーションを実施する

ジョブローテーションは、適材適所な人員配置を図るための有効な手段です。従業員はさまざまな業務や役割を経験し、自身のスキルや適性を発見する機会を得られます。

また、企業側も従業員の多様な能力を把握し、最適な配置を行うことが可能になります。

ジョブローテーションを通じて、組織全体の柔軟性が向上し、業務の効率化や人材の多能工化が進むため、リスク管理や業務の安定性にも寄与します。さらに、従業員のモチベーション向上にも繋がり、離職率の低減や人材育成においても重要な役割を果たします。

人材管理システムを導入する

適材適所な人員配置を図るなら、人材管理システムを導入するのがおすすめです。従業員情報を一元管理できるため、それぞれのスキルや評価に応じた配置計画を立てやすくなります。

システムの種類によっては、人材情報を基に配置シミュレーションを行うことも可能です。より客観的かつ合理的な人材配置が実現するでしょう。

適材適所の成功事例

ソニーとヤマト運輸は、適材適所の人員配置で成果を出し続けている企業です。それぞれの具体的な取り組みを見ていきましょう。

ソニー

ソニーはキャリア支援制度の一環として、「キャリアチャレンジ(社内公募)制度」を導入しています。希望する部署やポストに個人の意思のみで応募できる制度です。

上司の許可を得なくても社内での「転職」にチャレンジできるため、より主体的なキャリア形成を目指せます。制度が誕生したのは50年以上前で、実際に異動が実現した人の累計は7,000名以上です。

ソニーはキャリアチャレンジ制度の目的として、「チャレンジ精神の醸成」「キャリアプランを自ら創造する意識の向上」「公平な異動機会の提供」を基盤とする企業風土の醸成を掲げています。

出典:WORKPLACE | Sony Network Communications キャリア採用サイト

ヤマト運輸

ヤマト運輸では全ての新入社員に対し、ジョブローテーションを実施しています。総合職の場合、入社後2年間は営業所や主管支店で勤務し、さまざまな業務を経験します。事業や仕事内容への理解を深めるのが主な目的です。

3年目以降はそれぞれの適性やキャリアを考慮した部署に配属されます。入社後4年間を目途に、キャリア志向の醸成やキャリアプランに沿った行動へのサポートを受けられる点もポイントです。

出典:仕事紹介(総合職) | 2025年度新卒採用 総合職サイト | ヤマト運輸

適材適所で定着率や生産性の向上を図る

適材適所に人員を配置すれば、従業員が適性に合った業務に従事できるため、生産性の向上を図れます。従業員の離職防止につながることもメリットです。

適材適所な人員配置を図る方法としては、1on1ミーティングやジョブローテーションが挙げられます。人材管理システムを導入するのも効果的です。

ビジネスにおける適材適所の重要性を理解し、効果的な施策を実施してみましょう。

従業員のスキルや1on1実施状況をTUNAGで可視化!

適材適所を意識した事業運営に取り組むなら、従業員のスキルの可視化に役立つ「TUNAG」を活用するのがおすすめです。「TUNAG」のプロフィール機能では、従業員の職歴やスキルを自由に記入することができ、所属部署を記入することで組織図を作成することも可能です。さらに、1on1機能を活用すれば、従業員との面談の記録も残せます。

また、ダッシュボード機能により、従業員の取り組み状況やスキルの可視化が行えます。適材適所に人員を配置する際の参考になります。

適材適所に人員配置を行いたい場合は、社員のスキルや1on1の実施状況の可視化に役立つ「TUNAG」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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