新人教育を成功に導く5つのコツ。失敗例から上手な教え方を学ぼう
新人教育にはさまざまなコツがあり、ポイントを押さえて教育を行うことが大切です。また、失敗例を知ればどのような対応が良くないのかが分かるでしょう。新人教育を成功させるためのコツと失敗例、代表的な手法を紹介します。
新人教育の重要性
新入社員の教育は、企業の持続的な成長と人材育成において極めて重要な役割を果たします。適切な教育体制が整っていない場合、新入社員の成長が遅れるだけでなく、モチベーションの低下や早期離職といった深刻な問題につながる可能性があります。
早期の戦力化
企業の持続的な成長において、新入社員の教育は極めて重要な役割を果たします。
適切な教育体制が整っていない場合、新入社員の成長が遅れるだけでなく、職場への適応に時間がかかり、早期離職のリスクも高まります。
特に入社直後の期間は、社会人としての基礎作りや、企業文化への理解を深める重要な時期です。この時期の教育投資は、将来の企業の発展を左右する重要な要素となります。
そのため、計画的かつ体系的な教育プログラムを準備し、新入社員の成長をサポートする体制を整えることが不可欠です。
早期離職の防止
厚生労働省の調査によると、2021年3月新規大卒就職者の3年以内の離職率は34.9%です。新卒社員の約3人に1人が、就職後3年以内に会社を辞めている計算になります。
退職理由は人によりさまざまですが、適切な新人教育を行っていれば、新人の早期離職は防げる可能性があります。
例えば、そもそも新人教育を一切行わない場合、新人にとっては分からないことだらけです。同期もいない状況なら、職場で孤立感を強めてしまうでしょう。また、会社でキャリア形成について説明がなければ、将来のビジョンが見えずに不安を感じながら働くことになります。
新人教育で仕事に対するやりがいや自己成長を実感できれば、早期離職の防止につながるでしょう。
出典:新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します | 厚生労働省
新人教育を成功させる5つのコツ
新人教育を成功に導くためのコツを紹介します。これから新人教育に取り組む企業も、今まで新人教育がうまくいかなかった企業も、以下に挙げるコツを押さえて隙のない教育を実施しましょう。
仕事の意味をしっかりと説明する
新人教育で最も重要なことの1つに、仕事の意味を理解させることが挙げられます。なぜこの仕事をしなければならないのかを、しっかりと説明しなければなりません。
全体像を把握した上で個別の業務に取り組めば、全ての業務が会社の業績アップにつながることを理解できるため、仕事へのやりがいが生まれやすくなります。
また、新人が初めて取り組む業務は、教える側が最初にやってみせましょう。1回見るだけで仕事のイメージを一気につかめるため、不安を感じることなく業務に取り組んでもらえます。
自分で考えさせる機会を与える
新人が仕事をする上で、分からないことを聞くのは大事ですが、何でもすぐに聞く癖がつくと自分で考える力がつきません。新人教育では自分で考えさせる機会を与えることも重要です。
教える側もすぐに悩みを解決してあげるのではなく、まずはヒントを与えてみましょう。最終的な答えにたどり着かなくても、思考力がアップして自走できる人材へと成長します。
ただし、ヒントを与えたまま放置するのはNGです。結果についてきちんとフォローし、なぜそのような結論に至ったのかも振り返る必要があります。
丁寧なフィードバックを行う
フィードバックとは、相手の行動や成果に対して評価やアドバイスを行うことです。評価できる点は褒め、改善点があるなら軌道修正を促しましょう。
フィードバックの重要なポイントは、新人の成長をしっかりと見てあげることです。気にかけられていることを新人が認識すると、期待に応えようとしてモチベーションがさらに上がります。
新人とこまめにコミュニケーションを取れることも、定期的にフィードバックを行うメリットです。ポジティブな声掛けができるだけ多くなるような評価を意識しましょう。
何でも質問できる環境を整える
新人教育では、新人が何でも聞ける環境をつくることも重要です。新人は失敗を繰り返しながら成長するため、最初のうちはある程度失敗を大目に見てあげましょう。
新人が委縮しないような振る舞いを心掛けることも大事ですが、それでも慣れないうちは部署の上司には気軽に声を掛けにくいものです。
そのような雰囲気を新人から感じ取れる場合は、メンター制度を導入して先輩を教育係にするのがおすすめです。年の近い先輩なら質問しやすいため、新人が何でも相談できる環境をつくってあげられます。
新人の能力や目標を正確に把握する
新人教育を実施するにあたっては、最初に新人の能力を正確に把握しましょう。能力に合った業務に取り組んでもらえば、初めての仕事でもすぐに覚えてくれます。
能力に合わない仕事ばかりやらせてしまうと、新人が自信をなくしてしまい、最終的には転職を検討しかねません。まずは能力に合った仕事で自信を持ってもらい、徐々に業務レベルを上げていくのがおすすめです。
また、新人一人ひとりの目標を把握しておくことも大切です。どのようなキャリアを進めていきたいのかを聞いておけば、キャリアアップのサポートをしながら教育を進められるため、新人のやる気を維持しやすくなります。
新人教育の失敗例4選
新人教育を成功させるためには、失敗例を知っておくことも重要です。新人教育でやるべきことだけでなく、やってはいけないことも理解しておきましょう。
内容や目的の説明が不十分
新人教育の失敗例でありがちなのが、仕事の内容や目的の説明が足りないことです。目の前の仕事にとりあえず取り組んでもらい、そのまま放置のパターンがよく見られます。
全ての仕事には必ず意味や目的があり、それを理解しなければ業務の全体像も見えてきません。単に目の前の仕事をこなすだけでは、自分の存在意義すら分からなくなってきます。
また、簡単すぎる仕事ばかりやらせるのもNGです。いつになったら自分が希望する仕事ができるのか分からない状態が続くと、やる気が下がってしまいます。簡単な業務に取り組んでもらう場合も、仕事の意味や目的は伝えるようにしましょう。
改善点を伝えない
新人のミスや間違いに対し、指摘ばかりして改善点を伝えなければ、今後どうすればよいのか分かりません。また、指摘しかしない場合は新人が自信を失ってしまう恐れもあります。
新人の結果に対する正しいアプローチは、まず褒めることです。評価できる点を挙げつつ改善点も伝えることで、新人の仕事に対する意欲をキープできます。
改善点はストレートに伝えるばかりでなく、一緒に考えたり新人に考えさせたりする機会も設けましょう。振り返りを丁寧に行うことは非常に重要です。
感情任せに怒る
新人教育で最も避けたいのが、教える側が感情任せに怒ることです。新人が一気に委縮してしまい、教える側が態度を軟化させても、怒られた印象だけが新人に強く残ってしまいます。
「またいつ怒られるか分からない」という気持ちを抱いたまま働くことになり、相談や質問の回数も激減するでしょう。感情任せに怒ることには、何のメリットもありません。
ただし、新人が非常識な態度をとったときなど、時には叱らなければならないケースもあります。
新人のビジョンを考慮していない
新人はそれぞれに自分のビジョンがあります。多くの新人は就職活動の際、自分のビジョンも考慮して就職先を決めているでしょう。
ただし、新人一人ひとりのビジョンが社内で共有されているとは限りません。新人のビジョンに関する情報は人事部から外に出ていないケースが大半です。
新人教育を行う際は新人のビジョンを確認し、ビジョンに沿った教育を意識する必要があります。組織の意向だけを反映して仕事をさせると、新人は「話が違う」と感じてやる気をなくしてしまうでしょう。
新人教育の代表的な手法
新人教育の方法は、OJT・OFF-JT・オンライン研修の主に3種類があります。それぞれの特長を把握し、自社に合った方法で教育を進めていきましょう。
上司や先輩社員が教育する「OJT」
OJTは、上司や先輩が教育係となり、実際の業務を通して教育する方法です。OJTには次のようなメリットがあります。
- 新人の特性や理解度に合わせた柔軟な教育を行える
- 自社特有の知識やスキルを習得させられる
- 実際の業務を通して実施するため業務が滞らない
- 現場の人間関係を構築しやすくなる
- 上司や先輩が教えるため特別な費用がかからない
OJTのデメリットは、教育係の指導スキルにより効果が変わることです。同じ現場にいる上司や先輩なら誰でもいいわけではなく、指導スキルを考慮して教育係を選ぶ必要があります。
複数人を集めて研修を行う「OFF-JT」
実際の業務から離れた場所で行う教育がOFF-JTです。新人を会議室などへ集め、一般的にはセミナー形式で研修を行います。
OFF-JTのメリットは以下の通りです。
- 複数の新人を一度に教育できる
- 体系的・理論的に学習を進められる
- 企業理念や社内ルールを教えるのに向く
- 新人同士が交流する場を提供できる
OFF-JTの教育係は社内の人間とは限らず、外部から講師を呼ぶケースもあります。
OFF-JTは実務から離れて行うため、OJTと並行して進めれば教育の効果をより高められるでしょう。
パソコンやスマホで受講する「オンライン研修」
インターネットを利用したオンライン研修は、近年導入が増えている新人教育方法です。パソコンやスマホを使い、あらかじめ用意された動画を視聴する形で研修を受けます。
オンライン研修には次のようなメリットがあります。
- 場所や時間を選ばず受講できる
- 自宅で受講すれば交通費がかからない
- 動画を繰り返し視聴できる
OJTやOFF-JTと組み合わせれば、新人全員に共通する教育内容はオンライン研修でカバーすることが可能です。なお、OFF-JTはオンラインでも実施できます。
TUNAGを導入し新人教育に役立てよう
新人教育の主な目的は、早期の戦力化や早期離職の防止です。コツを押さえて実施すれば、教育の効果をより高められるでしょう。
エンゲージメント向上プラットフォーム「TUNAG」では、社内教育用の「テスト機能」を活用できます。事前に研修などで学んだ業務や社内ルールに関するテストを、スマホから受講できる機能です。
テストの回答は自動採点され、受講者は実施後すぐに点数と合否を確認できます。新人教育にかかっていた時間を大幅に削減できるため、社内のエンゲージメント向上に寄与しながら、業務効率化・生産性向上も図ることが可能です。