リファラル採用とは?導入メリット・制度設計・成功のコツを解説

「応募者の質も量も低下している」「採用コストがかさむ一方で成果が出ない」と悩む企業が増えています。そんな中、注目を集めているのがリファラル採用です。本記事では、リファラル採用の基本概念から導入手順、成功のポイントまで詳しく解説します。人材獲得に苦戦している企業の人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

リファラル採用とは何か

リファラル採用は、多くの企業が抱える採用難の解決策として注目されています。単なる「社員紹介」と捉えるのではなく、戦略的に活用することで大きな効果が期待できるのが特徴です。

まずは、その定義や注目される背景を見ていきましょう。

縁故採用との違いと誤解されやすいポイント

リファラル採用(Referral Recruiting)とは、自社の社員に知人や友人を推薦・紹介してもらい、採用につなげる手法です。

一見すると昔からある「縁故採用」と似ていますが、大きな違いがあります。

縁故採用が「経営者や幹部の縁故者を無条件に採用する」のに対し、リファラル採用は「社員が推薦する人材を通常の選考プロセスで評価する」のが特徴です。つまり、入り口は紹介でも、同じ選考基準で評価するため、採用の質を担保できます。

また、リファラル採用は「社員全員が参加できる制度化された仕組み」として運用される点も重要です。単なる個人的な紹介ではなく、会社全体の採用戦略として位置付けられています。

リファラル採用が注目される背景と市場動向

リファラル採用が注目される背景には、採用市場の変化があります。

まず、人材不足の深刻化により、従来の求人広告や人材紹介だけでは質の高い人材を十分に確保できなくなっている点が挙げられます。特に専門性の高い職種やIT人材については、獲得競争が激しさを増してる状況です。

加えて、入社後のミスマッチによる早期離職が問題となっています。厚生労働省の調査によれば、新入社員の約3割が3年以内に離職する現状があります。

このような状況下で、リファラル採用は「低コストで質の高い人材を獲得できる手法」として注目を集めています。

参考:新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します|厚生労働省

リファラル採用のメリットと問題点

リファラル採用には多くのメリットがある一方で、いくつかの問題点も存在します。導入を検討する際は、双方を理解した上で自社に合った制度設計を行いましょう。

リファラル採用のメリット

リファラル採用のメリットとしてまず挙げられるのが採用コストの削減です。

求人広告費や紹介手数料と比べて総コストを半分以下に抑えられることも珍しくありません。また、リファラル採用で入社した社員は紹介者から事前に社内情報を得ているため入社後のギャップが少なく、一般採用と比べて1年後の定着率が10〜25%高いというデータもあります。

採用スピードの速さも魅力で、選考プロセスが効率化され、通常より30〜40%短い期間で採用が完了するケースが多いです。

さらに企業文化との親和性も高く、社員は自社の価値観に合う人材を紹介する傾向があるため、組織への適応もスムーズです。

このように、リファラル採用は単なるコスト削減だけでなく、採用の質と効率を同時に高める戦略的手法といえるでしょう。

リファラル採用の問題点

リファラル採用には注意すべき課題もあります。最も懸念されるのは多様性の欠如です。人は自分と似た価値観や経験を持つ人を紹介しがちなため、リファラル採用に偏ると組織の同質化を招く恐れがあります。

また制度の継続性も課題で、導入直後は関心が高くても時間とともに紹介数が減少する傾向が見られます。

定期的な啓発や制度の見直しが欠かせません。

人間関係のトラブルも無視できない問題で、紹介者と被紹介者の間に生まれる上下関係や、不採用となった場合の気まずさなどが職場環境に影響することもあります。

さらに見落とされがちですが、制度設計や運用には一定の負担がかかります。特に人事リソースが限られた企業では、この運用コストが大きく感じられることもあるでしょう。

これらの課題は適切な制度設計と継続的な改善で対処可能ですが、導入前に十分な検討が必要です。

リファラル採用の導入ステップと成功のポイント

リファラル採用を成功させるためには、単に「社員に紹介を呼びかける」だけでは不十分であり、計画的な制度設計と運用が必要です。ここでは具体的な導入ステップと成功のポイントを紹介します。

インセンティブ制度の設計

リファラル採用を活性化させるために、適切なインセンティブ設計は不可欠です。

インセンティブには、金銭的報酬として還元する方法や、特別休暇の付与や社内表彰制度での評価といった、金銭にこだわらないインセンティブもあります。

重要なのは、自社の企業文化や社員の価値観に合ったインセンティブを設計することです。若手が多い企業では金銭的なものが喜ばれる一方、ワークライフバランスを重視する企業では休暇付与が効果的かもしれません。

社内告知と社員巻き込みの具体的手法

制度を作っても社員に理解・参加してもらえなければ意味がありません。効果的な社内浸透策を実施しましょう。

代表的な告知方法としては以下のようなものがあります。

  • キックオフミーティングの開催
  • 社内メールやイントラネットでの定期的な情報発信
  • ポスターやデジタルサイネージなどを使ったプロモーション

ただ告知するだけでは効果が薄く、紹介フォームの簡素化や求人情報の共有、成功事例の共有といった「リファラル採用に向けた環境構築」も重要です。

不採用時の配慮と紹介者・被紹介者へのケア

リファラル採用では不採用ケースへの対応も重要です。被紹介者への丁寧なフィードバックを心掛け、可能な範囲で具体的な理由を伝えましょう。

「現時点ではスキルのマッチングが十分でない」「別のポジションであれば検討の余地がある」など、前向きな表現を用いることで関係性を損なわずに済みます。

また社内での配慮も欠かせません。紹介した人材が不採用になったことが紹介者の人事評価にネガティブな影響を与えないよう明確にしておくことで、社員が萎縮せずに紹介できる環境を整えられます。

そして「採用されなくても紹介してくれたことに感謝する」という文化を醸成することも大切です。不採用となった候補者からもフィードバックを収集し、選考プロセス改善に生かすという前向きな姿勢を持ちましょう。

リファラル採用は「制度」として整備することが重要

リファラル採用を成功させるためには、「たまたま紹介があった」という偶発的な状態ではなく、「仕組み」として整備することが重要です。

社員からの紹介を一過性のものではなく、継続的な採用チャネルとして機能させるためには、計画的な制度設計と運用が欠かせません。

リファラル採用の制度を運用する際には、社内のコミュニケーションツールを活用することも効果的です。TUNAG(ツナグ)のようなエンゲージメント向上プラットフォームを活用すれば、採用情報の共有や紹介状況の可視化、成功事例の発信などがスムーズに行えます。

社員同士のつながりを強化し、リファラル文化を育む土壌にもなるでしょう。

リファラル採用は、単に「採用コストを下げる方法」ではなく、「社員が誇りを持って働ける会社づくり」の一環として捉えることで、より大きな効果を発揮します。

制度として整備し、戦略的に運用することで、質の高い人材の獲得と組織の活性化を同時に実現できるでしょう。

TUNAG(ツナグ) | 組織を良くする組織改善クラウドサービス

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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