理念経営とは?推進事例や浸透させる際の注意点、具体的な取り組みまで解説

「理念経営」は、会社の存在意義やミッションを明文化した経営理念やフィロソフィーを軸として、その実現に向けて事業活動を行う経営手法を指します。理念経営を推進するためには、経営理念を作って終わりにするのではなく、従業員が理念や指針を日々意識できる仕組みを構築することが重要です。

しかしながら、従業員にどのように浸透させるのか、効果的に実践するためにはどのような取り組みをすればいいかを考え、継続的に実践することは簡単ではありません。

そこでこの記事では、理念経営を推進する会社の事例を踏まえ、失敗の要因や注意点、具体的な取り組みについて詳しく解説します。経営理念の浸透やエンゲージメント向上のヒントとして、ぜひお役立てください。

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理念経営とは?

理念経営とは、会社が大切にする価値観や目指すべき目標を、日々の経営に反映させることを意味します。この手法は「ビジョナリー経営」とも呼ばれ、経営の核となる「理念」を明確にすることで、会社全体が一致団結して目標に向かう力を持ちます。

では、理念経営が具体的にどのような影響をもたらすのでしょうか?

まず、会社の理念がはっきりしていると、従業員は自分たちが何のために働いているのか、どんな目標を達成しようとしているのかを理解しやすくなります。この理解が、日々の業務において、より良い判断を下す助けとなります。例えば、会社が「環境保護」を理念に掲げている場合、従業員は業務上の選択をする際に環境への影響を考慮するようになるでしょう。

理念経営を実践している事例5社

ここからは、理念経営を実践している会社を5社紹介します。

1.オムロン株式会社

オムロン株式会社は、FA機器やヘルスケア機器などを製造しており、「われわれの働きで、われわれの生活を向上し、よりよい社会をつくりましょう」を掲げています。人間中心のオートメーションを通じて社会の発展に貢献することを目指しています。この理念は、人間の知恵と技術革新を融合させ、オムロンの経営方針の根幹をなしています。この理念に基づき、オムロンはイノベーションを推進し、持続可能な社会の実現に向けて努力しています。

参考:企業理念経営について | 会社案内|オムロン

2.リッツカールトン社

高級ホテルのリッツカールトンの企業理念は、"We are Ladies and Gentlemen serving Ladies and Gentlemen"(=「紳士と淑女をおもてなしする私どももまた紳士・淑女です」)です。同社はゲストの快適さと幸福を最優先し、最高のサービスと施設を提供することを約束しています。

この理念は、ゲストの明示的でない願いやニーズに応え、心に残る体験を提供することを目指しています。リッツカールトンは、生涯顧客を創造し、忘れられない思い出を提供することに重点を置いています。

参考:Foundations of Our Brand | Ritz-Carlton Leadership Center

3.パナソニック株式会社

総合電機メーカーのパナソニック株式会社の経営理念は、「産業人たるの本分に徹し社会生活の改善と向上を図り世界文化の進展に寄与せんことを期す」という綱領に基づいています。これは、産業を通じて社会に貢献し、世界の文化発展に寄与することを目指すという意味です。

この理念は、公正かつ誠実な行動、協力と一体感、積極的な挑戦、礼儀と謙虚さ、変化への適応、感謝と恩返しの精神を重視しています。これらの価値は、社員の成長、組織の発展、そして社会への貢献を促進するための基盤となっています。

参考:経営理念|パナソニックグループ 採用情報

4.株式会社アワーズ

和歌山県にあるテーマパーク「アドベンチャーワールド」を運営する株式会社アワーズの企業理念経営は「こころでときを創るSmileカンパニー」というコンセプトに基づいています。この理念では、前向き、素直、思いやりのある「こころ」を大切にし、「社員のSmile(幸せ)」を重視しています。

社員が自身の意思で行動し、それを通じて「ゲストのSmile」「社会のSmile」を生み出すことを目指しています。企業理念の具体化として、社内のコミュニケーションツール「TUNAG(ツナグ)」を活用し、社員間のポジティブな関係性や組織の透明性を高めています。

参考:従業員のSmileを創り出すアドベンチャーワールドの理念経営とTUNAG(ツナグ)活用例

5.寿々グループ

問看護や有料老人ホームを運営する寿々グループでは、グループの拡大に伴い、経営理念の浸透が難しくなる課題に直面しました。組織内で経営側の思いと現場のスタッフとの距離を縮めるため、社内コミュニケーションツール「TUNAG(ツナグ)」を導入。

これにより、グループ内の情報共有が促進され、経営理念がグループ全体に浸透しやすくなりました。経営理念を体現する取り組みが共有され、グループ全体が一体感を持って運営されるようになったといいます。

理念経営が浸透しない原因

ここでは、理念経営がうまく浸透しない原因について2つ紹介します。

経営理念を定めて終わりになっている

企業が経営理念を策定するのは重要ですが、それだけでは不十分です。理念を定めただけで、それを日々の業務や意思決定プロセスに組み込まなければ、理念経営は失敗します。

理念は、組織全体に浸透し、日々の業務や意思決定に反映される必要があります。理念を文書やWebサイトに掲載するだけで、実際の経営活動や社員の行動指針に組み込まれない場合、理念経営は形骸化し、その効果を発揮できません。理念が生きたものとなるためには、経営者や社員が理念を深く理解し、日常の業務において理念に基づいて行動する文化を醸成することが重要です。

経営理念と具体的な業務を紐づけられていない

企業が立派な経営理念を掲げても、それが実際の業務や日々の決定において活かされていなければ、理念は単なる言葉に過ぎません。具体的な行動指針や業務プロセスに経営理念を組み込むことが、理念を実務に落とし込むための必要条件です。

例えば、社会貢献を理念に掲げる企業があれば、その企業は日々の業務やプロジェクトにおいて、具体的に社会貢献がどのように反映されるかを考え、実行する必要があります。理念と業務が連動していない場合、理念経営は効果を発揮できず、従業員やステークホルダーからの信頼を失うリスクがあります。

理念経営を浸透させる際のポイント

ここからは、理念経営を浸透させるためのポイントについて4つご紹介します。

経営理念が従業員に認知されているか

経営理念が十分に認知されていなければ、従業員は会社の目的や文化を理解することが難しくなります。

理念が従業員に浸透している場合、それは彼らの日々の業務や意思決定の基礎となり、組織全体の一体感や目標達成に寄与します。企業は、新入社員のオリエンテーション、定期的な研修を通じて、経営理念を繰り返し伝えることが重要です。

経営理念に従業員が共感しているか

経営理念が単なる言葉にとどまらず、従業員の心に響き、彼らの行動に影響を与えるためには、彼らがその理念に共感し、それを自分事として受け入れる必要があります。

共感は、従業員が会社の目標や価値観に真に賛同し、それに基づいて自発的に行動する動機となります。従業員が理念に共感するためには、経営層が理念を具体的に示し、それを日々の業務や組織文化に反映させることが重要です。

経営理念を日常業務で意識する仕組みができているか

経営理念を日常業務に取り入れるためには、まず理念を具体的な行動指針や業務プロセスに落とし込むことが必要です。

例えば、顧客サービスの業務では、経営理念に基づいた接客基準を設定し、それを実行に移します。また、社内の会議やミーティングで理念に基づいた議論を行い、意思決定の際にも理念を反映させることが重要です。

経営理念に則した行動が評価制度に紐づいているか

従業員のパフォーマンスを評価する際に、単に業績や成果だけでなく、経営理念に基づく行動も考慮に入れることで、社員のモチベーションを向上させることができます。

例えば、チームワークや顧客サービスの質の向上など、理念に沿ったポジティブな行動を認識し、それに対して具体的な評価や報酬を与えることが重要です。このように、評価制度を理念と連動させることで、理念が組織の日常業務に深く根付くようになります。

理念経営を浸透させる具体的な4つの取り組み

理念経営を浸透させるためには、どのような取り組みを行えば良いのでしょうか。ここでは、具体的な4つの取り組みを解説します。

トップメッセージを継続的に発信する

理念経営を浸透させる上で「トップメッセージの継続的な発信」は非常に重要です。このアプローチでは、経営トップが定期的に経営理念の背景、歴史、そして将来の事業方針について社内で共有します。

例えば、会社のCEOが定期的に全社員に対してメールや社内会議で経営理念の重要性を強調し、その理念がどのように会社の歴史や文化に根ざしているか、また現在および将来の事業戦略にどのように反映されているかを説明します。

これにより、従業員は理念の深い意味を理解し、それを自分たちの業務にどのように適用すべきかを考えることができます。トップからのメッセージは、従業員に経営理念を定期的に思い出させ、それが企業の日常業務や長期戦略の中心にあることを確認します。

理念を体現した従業員の成功体験を共有する

「理念を体現した従業員の成功体験を共有」は、理念経営を浸透させるための有効な取り組みです。このアプローチでは、経営理念に基づいて顕著な成果を上げた従業員の事例を社内で共有します。例えば、顧客満足度を大幅に向上させた従業員のストーリーや、社会貢献活動で顕著な成果を上げたチームの事例などです。

これらの事例を共有することで、他の従業員も経営理念の意義や重要性を実感し、自身の業務に理念を取り入れようとする動機付けになります。このような取り組みは、理念が抽象的なものではなく、具体的な行動や成果に結びついていることを示し、従業員の共感と実践を促進します。

経営理念に沿ったサンクスカードを運用する

「経営理念に沿ったサンクスカードの運用」とは、経営理念を実践する従業員を日常的に称賛する仕組みです。具体的には、経営理念に基づいた行動を取った従業員に対して、サンクスカードを通じて感謝や認識を示します。

例えば、顧客満足度を高めるために特別な努力をした従業員や、チームワークを促進し目標達成に貢献した従業員に対して、上司や同僚からサンクスカードが送られることで、その行動が正式に認められます。このような取り組みは、従業員に経営理念に沿った行動の重要性を日常的に意識させ、組織全体のモチベーション向上につながるでしょう。

360度評価制度を運用する

360度評価制度とは、経営理念を評価の中心に据えた多角的な評価システムです。従業員の働きを上司だけでなく、同僚や部下を含む複数の角度から評価します。この方法は、従業員が日常的に経営理念に沿った行動を取るかを公平に評価するためのものです。

例えば、協力的な態度やチームワーク、顧客満足度の向上など、経営理念に関連する具体的な行動が評価の対象になります。この評価制度により、従業員は自身の行動を振り返り、経営理念に基づいて成長する機会を得ることができます。

まとめ | 理念経営を推進するために

経営理念やフィロソフィーを掲げるだけでなく、浸透させる仕組みを構築することが重要です。実際の企業事例を通じて理念経営の具体的な取り組みや効果について紹介し、また、理念経営が失敗する要因や、理念経営を浸透させるためのポイントについても解説しました。

理念経営の成功には、経営理念が従業員に認知され、共感されることが重要です。また、従業員が経営理念を理解し、日常業務に意識する仕組みが整っていることも重要な要素です。

そのためにも、経営理念を掲げたままにするのではなく、社内制度に落とし込んだり、ツールの導入で継続的な発信に努めるなど、従業員が経営理念を身近に感じるための仕組みを作ってみてはいかがでしょうか。

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