緊急連絡網を作る際は、誰に・どの手段で・どのような順番で連絡するかを決め、緊急時でも従業員へ確実に情報を届けられる仕組みにしておくことが大切です。
地震や大雨などの自然災害だけでなく、感染症や火災などによって、従業員の出社が難しくなる場合もあります。また、緊急連絡網には電話番号やメールアドレスなどの個人情報を含むため、作り方だけでなく管理方法にも注意が必要です。
本記事では、会社で緊急連絡網が必要になる場面や作り方、緊急時の連絡手段、作成する際の注意点について解説します。
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会社で緊急連絡網を準備しておきたい場面は、自然災害だけではありません。従業員の安全確認や必要な情報共有を素早く行うためにも、どのような事態が起こり得るのかを事前に想定しておくことが大切です。
主な緊急事態は、以下の3つに分けられます。
自然災害が発生した際は、従業員の安否確認や出社可否などを迅速に確認する必要があります。
自然災害とは、危機的な自然現象によって、人命や人々の社会的活動に被害が生じる現象を言います。具体的には「落雷・風・ひょう・雪災・水害・地震」といった異常な自然現象により起こる被害が自然災害に当たります。
これらの自然災害に対して、適切な危機管理がされてなかったり、防災計画が無かったりすると、さらに大きな被害を及ぼす可能性が高まります。
火災や事故などの人災が起きた場合も、従業員への緊急連絡が必要になることがあります。
具体的には「火災・破裂・爆裂・飛来・落下・衝突・水濡れ・破壊・盗難・破損」などが人災に当たります。
自然災害や人災以外にも、集団感染やテロなど、企業活動へ大きな影響を及ぼす事態があります。
集団感染が発生した場合は、従業員への情報共有や出社判断などを速やかに行う必要があります。
集団感染とは、共通する感染源により特定の集団が何らかの病気に感染することを言います。新型コロナウイルス感染症の流行時にも、さまざまな場所で集団感染が発生しました。
集団感染を早期に食い止め、感染を最小限に抑えるためには、いち早く異変に気付き、迅速に対応することが大切です。また、集団感染が再発しないよう原因を突き止め、対策を講じる必要もあります。
テロやサイバー攻撃などが発生した場合も、状況に応じて従業員への迅速な情報共有が必要です。
警察庁組織令第三十九条によると、テロリズム(通称:テロ)とは、「広く恐怖又は不安を抱かせることによりその目的を達成することを意図して行われる政治上その他の主義主張に基づく暴力主義的破壊活動」と定義されています。
また、サイバーテロによって会社の情報が狙われるケースもあります。緊急時の連絡体制を整えるだけでなく、社内の情報や個人情報を適切に管理することも必要です。
災害などで通常の電話がつながりにくい場合でも、状況に応じて利用できる連絡手段があります。
代表的な連絡方法は、以下の3つです。
災害時、被災地への通信がつながらない状態になった場合に使える連絡方法が「伝言ダイヤル171」です。
「171」をダイヤルしたあと、固定電話もしくは携帯電話の電話番号を宛先に、音声伝言の録音や再生が可能となります。
大手3大キャリアである「NTTドコモ」「ソフトバンク」「au」では、災害用の伝言板サービスが提供されています。
災害が発生した場合などの緊急事態において、通信がつながりづらい状況になった場合、サービス内でメッセージを残すことができ、それを家族や友人、仕事仲間などへ届けることができます。
災害時には電話回線が混雑することがあるため、SNSが連絡手段として役立つ場合があります。
災害が発生した場合、電話は多くの人が一斉に電話をかけるため、通信回線が混雑しがちです。そのため電話よりもLINEやTwitter、FacebookといったSNSの方がつながりやすいケースがあります。
総務省の公表する「熊本地震におけるICT利活用状況に関する調査」(平成28年)によると、熊本地震が発生した際、情報収集時に役に立ったICTメディアの中で、『家族・友人等の安否情報の取得』に関しては、LINEの利用率が77.6%と高い傾向がみられました。
総務省「熊本地震におけるICT利活用状況に関する調査」(平成28年)
会社では、緊急時にどの連絡手段を使うのかを事前に決めておく必要があります。連絡の届きやすさや返信のしやすさなどを踏まえ、自社に合った方法を選びましょう。
主な連絡方法は、以下の4つです。
電話は、相手と直接やり取りしながら安否や状況を確認できる方法です。
この方法を取る場合は、電話で連絡を取り合うため緊急連絡網を作成し、従業員へ配布する必要があります。
電話で連絡を取るメリットは、相手に口頭で状況を詳しく伝えられたり、スピーディーに双方向のやり取りができたりする点です。そのため、緊急時にすぐ安否確認したい場合や返事がほしい場合には、電話が有効な方法と言えます。
一方、電話では話した内容が残らなかったり、複数人と同時にやり取りできなかったりするため、情報の伝達に手間がかかる場合があります。
そのほか、災害やトラブルなどの緊急事態が発生した場合、多くの人が電話を一斉にかけることで、通信回線が混雑し電話がつながりにくくなる可能性があります。個人の携帯電話番号を緊急連絡網に載せる場合は、個人情報保護への配慮も必要です。
メールや社内ポータルは、複数の従業員へ同じ情報を一斉に伝えたい場合に利用しやすい方法です。
メールを利用すると、電話と違って文書として残すことができるため、正確な情報を伝えやすくなります。また、複数人に情報を伝えたい場合でも、一斉送信機能を利用することで効率よく情報を届けられます。
一方で、メールの場合はすぐに気付かれないことがあります。やり取りが複数回に重なった場合は内容を見返しにくく、誰が返信したのかを集計する手間もかかるでしょう。
会社の緊急時の連絡方法としてメールを採用するのであれば、他のメールに埋もれないよう件名を目立たせるなどの工夫が必要です。日頃から訓練メールを送信し、実際に連絡網として機能するか確認しておくことも大切でしょう。
また、緊急時だけでなく日頃の情報共有にも使える仕組みを整えたい場合は、社内コミュニケーションツールを活用する方法もあります。
詳しくは、こちらの記事で詳しく解説しています。
LINEやビジネスチャットアプリを、会社の緊急連絡網として活用する方法もあります。
LINEは、プライベートでも多くの人が利用しているコミュニケーションツールです。
また、ビジネスチャットのグループチャットを利用すれば、社員へ一斉に連絡できます。メールと比べてやり取りの流れも把握しやすいため、状況に合わせて素早くコミュニケーションを取りやすい点が特徴です。
また、社内の情報共有や従業員への一斉発信には、社内SNSを活用する方法もあります。
詳しくは、こちらの記事で詳しく解説しています。
安否確認システムは、緊急時の連絡や従業員の安否確認に特化した方法です。
緊急時のメッセージを全社員へ一斉に送信でき、災害の状況に応じて指示内容を変更することもできます。サービスによっては、メッセージを受信者が開封したか確認できる機能もあり、安否確認にも役立てられます。
一方、安否確認システムを利用する際は、事前に社員の個人情報を登録しておく必要があります。不測の事態でもスムーズに利用できるよう、社員へ使用方法を伝えておく必要もあるため、事前準備には一定の手間がかかります。
緊急連絡網を作る目的は、災害や事故などが発生した際に、従業員の安否確認や必要な情報共有を速やかに行えるようにすることです。
会社では、地震や台風などの自然災害のみならず、社内における事故やオフィス内でトラブルが起きた場合でも素早く社員へ周知しなければなりません。そのため、企業運営の観点から考えても緊急連絡網を準備しておく必要があります。
会社における緊急連絡網の作成は、災害・トラブルが発生した際に、どのような順番で・誰がどこに連絡するのかを明確にできます。
加えて、重大な情報をいち早く社員に伝えることで、災害の被害を最小限に抑えたり、二次被害の発生を防いだりすることにもつながります。
緊急時の連絡手段は、電話だけでなくメールやチャット、掲示板などさまざまです。自社の従業員数や働き方に合わせて、連絡網と使用するツールを決めておきましょう。
会社における緊急連絡網は、主に以下の目的で活用できます。
緊急時に慌てて連絡先や対応方法を確認するのではなく、平常時から緊急連絡網を準備しておくことが大切です。
緊急連絡網を作る際は、連絡先を集めるだけでなく、利用する状況や連絡する順番、担当者まで事前に決めておく必要があります。
緊急連絡網の作り方は、以下の6つです。
まずは、どのような状況で緊急連絡網を使用するのかを決めましょう。
情報をいち早く届ける必要があるため、一斉に連絡できるか、従業員へ届きやすいかといった点も確認します。
そのほか、会社から社員へ情報を一方向で届けるだけでなく、社員からも安否報告ができるなど、双方向でコミュニケーションが取れる仕組みになっているかも押さえておきたいポイントです。
緊急連絡網に登録する連絡先は、緊急時でも本人と連絡を取りやすいものを収集します。
社用携帯が支給されていない場合、社員のプライベートな連絡先や番号を緊急連絡先として使用することになります。その際、連絡先を登録する前に必ず本人の同意を得ることが必要です。
また、収集した個人情報を適切に保護するため、セキュリティにも配慮しましょう。
連絡先を収集したら、誰から誰へ連絡するのかを決め、必要に応じてグループ分けを行います。
早急な情報伝達を目指す場合、社員の在住地域や部署・事業所ごとにグループを分けると効率的です。
また、緊急連絡網を使用する状況によって適したグループ分けが異なることも、事前に社員へ共有しておきましょう。
緊急連絡網を円滑に動かすために、発令や集計、報告を担当する人を決めておきます。
主な役割は以下の通りです。
ただし、緊急事態の際には担当者と連絡が取れないことも考えられます。
担当者に一定時間連絡が取れなかった場合は別の人が代役を務めるなど、状況に応じて柔軟に対応できる体制を決めておきましょう。
電話・メール・SNS・アプリ・SMSなどから、自社に適した連絡方法を決めます。
それぞれの連絡手段にはメリットとデメリットがあり、会社の形態や規模、風土によって適した方法は異なります。
例えば、電話はリアルタイムで情報を共有できる一方、相手が出ない場合や回線が混雑してつながらない場合があります。
一つの連絡方法だけに頼るのではなく、緊急時にも利用できるかを踏まえて連絡手段を検討しましょう。
緊急連絡網を作成したら、緊急時の連絡方法や対応フローを社員へ周知します。
連絡先や担当者を決めても、社員が使い方を知らなければ緊急時に機能しません。誰から連絡が来るのか、受信後に誰へ連絡するのか、どのような内容を報告するのかまで共有しておきましょう。
また、緊急連絡網には個人情報が含まれるため、保管場所や取り扱いにも注意が必要です。
緊急連絡網を発令する条件を事前に定めておくことで、必要なタイミングで迷わず情報を発信できます。
主な発令条件は、以下の2つです。
社内の事故やトラブルなど、会社側が状況を判断して緊急連絡網を発令するものが内的要因です。
発令する基準が曖昧なままだと、担当者によって判断が変わる可能性があります。そのため、責任者や発令する条件を事前に明確にしておきましょう。
地震や台風、大雨など、外部から発表される情報をもとに発令するものが外的要因です。
緊急地震速報や台風による暴風警報、大雨警報などは、気象庁や政府から発表されるため、客観的な情報をもとに緊急連絡網を回すか判断できます。
ただし、自然災害などの緊急事態が発生した場合、責任者自身が対応できない可能性もあります。予期しない状況に備えて、責任者が不在の場合の対応方法まで事前に決めておきましょう。
緊急連絡網には従業員の電話番号やメールアドレスなどの個人情報が含まれるため、情報漏洩を防ぐための管理が必要です。
特に、以下の2点に注意しましょう。
緊急連絡網のデータを保管する際は、ウイルス感染や不正アクセスから個人情報を守る対策が必要です。
例えば、クラウドサービスにデータを保存する場合はアクセス制限を設定し、指定された担当者だけが情報を確認できるようにしましょう。
パソコンやモバイル端末でデータを保管する場合も、ウイルス対策ソフトを導入し、定期的にアップデートを行うなどの対策が必要です。
業務用の端末が支給されている場合は、緊急連絡網に含まれる個人情報を私用端末で扱わないようにしましょう。
私用端末が不正アクセスやウイルス感染の被害に遭った場合、情報漏洩や悪用につながる可能性があります。
やむを得ず私用端末を使用する場合は、保存する情報を最小限に抑え、パスワードや指紋認証などのセキュリティ設定を行いましょう。
緊急連絡網を作る際は、自社でどのような災害が起こる可能性があるのかを把握しておくことも大切です。
会社経営における災害リスクは、人や建物、設備、システムなどの経営資源へ大きく影響します。そのため、万が一災害が起きた場合に、どこが弱点になるのか、被害がどの程度になるのかを可能な限り把握しておきましょう。
災害リスクを確認することで、想定される事態に合わせて緊急連絡網の発令条件や連絡先、対応方法を検討しやすくなります。
自然災害のリスクを確認する方法の一つが、国土交通省や各地方公共団体などが提供するハザードマップです。
ハザードマップを使用することで、災害時に想定される被害を把握し、自社の災害リスクを検討できます。
国土地理院が提供する「重ねるハザードマップ」では、災害リスク情報や防災に役立つ情報を、全国どこでも一つの地図上に重ねて閲覧できます。
たとえば「土砂災害+避難場所+道路防災情報」のように複数の情報を重ねて表示できるため、緊急時の対応を検討する際にも役立つでしょう。
緊急連絡網を作る際は、連絡先をまとめるだけでなく、使用する連絡手段や発令条件、連絡する順番、担当者まで事前に決めておくことが大切です。
緊急時には電話がつながりにくくなったり、担当者が対応できなかったりする可能性もあります。複数の連絡手段や代わりの担当者を決め、実際の災害やトラブルを想定して準備しておきましょう。
また、緊急連絡網には従業員の個人情報が含まれます。セキュリティや情報の取り扱いにも配慮しながら、自社に合った緊急連絡網を作成し、従業員へ必要な情報を迅速に届けられる体制を整えていきましょう。
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