人事評価に不満を持つ社員は7割?離職を防ぐ原因分析と具体的な解消法

評価面談のたびに現場の雰囲気が悪くなる、評価結果に納得できない社員が退職してしまうといった悩みを抱えている人事担当者や経営者は少なくありません。人事評価への不満は、放置すれば組織崩壊につながる深刻な問題です。この記事では、不満が生まれる構造的な原因を整理した上で、明日から実践できる具体的な改善策を紹介します。

人事評価に対する不満の現状

人事評価の問題を解決するには、まず「不満の実態」を正確に把握することが出発点です。データが示す現状は、多くの企業にとって無視できない数字を突き付けています。

株式会社ライボの「2023年人事評価の実態調査」を基に、人事評価に対する不満の現状を見ていきましょう。

「2023年人事評価の実態調査」株式会社ライボ

約7割が人事評価に対し不満を覚えている

株式会社ライボが2023年に実施した「2023年人事評価の実態調査」(全国20〜50代の男女758人)によると、会社からの評価に不満を感じている社員は75.2%に上ります。

「とても感じている」が23.2%、「どちらかといえば感じている」が28.6%、「やや感じている」が23.4%と、程度の差はあれ、実に4人に3人(75.2%)が何らかの不満を抱えている計算です。

人事評価への不満は、一部の社員に限った特殊な感情ではなく、組織全体に広がる構造的な問題だと認識しておく必要があるでしょう。

不満の理由で最も多いのが評価に対する不透明さ

同調査でモチベーションが下がった原因を詳しく見ると、1位は「成果と報酬が見合っていなかった」(51.3%)、2位は「評価の基準が不透明だった」(45.6%)、3位は「上司が自分をちゃんと見てくれていないと思った」(38.5%)という結果でした。

上位3つの理由は全て、「評価が公正かつ透明に行われているか」という信頼感の欠如に行き着きます。

社員が求めているのは「高い評価」よりも、「なぜその評価なのかが分かること」です。評価の中身よりも、透明性と説明責任に対する不満が根本にあると理解しておきましょう。

不満を抱えながらも、6割超が評価に期待している

同調査では、「今後の会社の評価に期待するか」という問いに対し、61.4%が期待すると回答しています。

期待する内容としては「年収が上がること」が71.6%で最多となり、「キャリアアップにつながること」(32.1%)、「承認欲求が満たされること」(27.3%)と続きます。

つまり社員は評価制度そのものを否定しているわけではなく、「正しく評価されれば、報酬やキャリアが開ける」と信じているのです。

不満の裏側には期待があります。だからこそ、評価制度の改善は社員のエンゲージメントを高める大きな機会になり得るといえるでしょう。

人事評価の不満を放置すると起きる深刻なリスク

「不満はあっても、みんな働いているから大丈夫」と考えていると、気付かないうちに組織が弱体化していきます。不満を放置した先には、いくつかの深刻なリスクが待ち受けているのです。

どのようなリスクがあるかを知り、あらかじめ対策を講じておきましょう。

従業員のモチベーション低下と生産性の悪化

評価に不満を持った社員が最初に示す変化は、仕事へのやる気の低下です。「頑張っても評価されない」という気持ちが積み重なると、業務への取り組み方が変わります。

必要最低限の仕事しかしなくなり、新しいことに挑戦しようとする意欲も失われていきます。個人のパフォーマンスが落ちれば、チームや部署全体の生産性にも影響が出てきます。

優秀人材の離職と採用コストの増大

不満が募ると、最も大きな問題となるのが、優秀な社員の離職です。能力と意欲の高い人材ほど、他の企業からも求められています。そのため、「正当な評価を得られない環境」に見切りをつけ、転職という道を選ぶのは、ごく自然な流れと言えるでしょう。

優秀な人材が抜けた穴を埋めるには新たな採用が必要になりますが、採用・教育コストは一人当たり数百万円規模になることも珍しくありません。評価制度の見直しを後回しにするコストは、想像以上に大きいのです。

組織全体への不満の伝染とエンゲージメントの悪化

評価への不満は、一人だけで完結しません。同僚と話す中で「自分も実はそう思っていた」という共感が生まれ、不満が組織全体に広がっていきます。

この「不満の伝染」が起きると、職場の雰囲気は目に見えて悪化し、社員同士の協力関係も損なわれていきます。エンゲージメントが低下した組織では、日常業務のパフォーマンスも落ち込み、組織全体の成果に直結します。

不服申し立てや訴訟に発展するリスク

評価への不満が極限まで高まると、法的なリスクへと発展することがあります。評価結果の根拠が不明確な場合や、評価に基づく降格・解雇が行われた場合、社員から不服申し立てや労働審判、訴訟を起こされるケースも実際に起きています。

「評価基準を明文化していなかった」「フィードバックの記録がなかった」という状態は、企業側にとって法的に不利な状況をつくり出しかねません。評価制度の整備は、リスク管理の観点からも重要なのです。

人事評価の不満を解消する改善策

不満の原因が制度と運用の構造的な問題である以上、解決策も制度・運用レベルで取り組む必要があります。特に効果的な四つの改善策を紹介します。

評価基準を明文化・可視化して全社員に事前共有する

不満の最大の原因が「評価基準の不明瞭さ」である以上、最初に取り組むべきは評価基準の明文化です。「誰が・何を・どのように評価するか」を文書化し、評価が始まる前に全社員へ共有します。

重要なのは、評価後ではなく事前に共有することです。事前に基準を知ることで、社員は目標設定と行動の方向性を合わせられるようになります。

また、評価者によって解釈がばらつかないよう、「優れている」「普通」「改善が必要」などの評価段階について、具体的な行動例をひも付けておくことも効果的です。

評価者研修を実施し評価スキルを高める

評価基準を設けても、評価者のスキルが不足していては効果がありません。人によって評価のばらつきが生じたり、無意識の偏りが混入したりすることで、従業員の納得感が損なわれるケースは少なくないでしょう。そのため、評価者全員のスキル向上を目的とした評価者研修(考課者研修)を定期的に実施することが重要です。

研修では、評価基準の正しい理解や評価シートの記入方法といった基本的なスキルに加え、ハロー効果や親近感バイアスなど、評価に生じやすい認知の歪みについても学ぶことが効果的です。こうした偏りを自覚するだけでも、評価の精度は大きく変わります。

また、研修は一度きりで終わらせるのではなく、年に1回程度の継続的な開催が推奨されます。評価者が入れ替わるタイミングや、評価制度を見直した際にも実施することで、組織全体の評価品質を一定水準に保つことができます。

1on1ミーティングで納得感を積み上げる

評価の納得感は、評価面談の一回だけでは十分に高められません。日常的な1on1ミーティングを通じて、継続的にフィードバックを積み重ねることが大切です。

1on1では、「今の業務の進み具合」「課題と感じていること」「次の評価期間に向けた目標の擦り合わせ」などを話し合います。

評価面談の場で初めて「実はこういう問題がありました」と伝えるのではなく、日常的な対話の中で認識を共有しておくことで、評価結果への驚きや不満が生まれにくくなります。

エンゲージメントを可視化する

改善策を打っても、その効果が見えなければ継続的な改善は難しくなります。社員のエンゲージメント(仕事への意欲や組織への愛着)を定期的に測定・可視化することで、施策の効果を確認しながら改善のPDCAを回せるようになります。

エンゲージメントの可視化には、専用のクラウドサービスの活用が有効です。TUNAGは、エンゲージメントサーベイ機能「TERAS」を通じて社員の状態をリアルタイムで把握し、評価制度の改善施策と組み合わせて活用することができます。

サーベイ結果を基に課題を特定し、改善アクションにつなげるサイクルを仕組みとして構築できる点が特長です。

TUNAGについてもっと詳しく知りたい方はこちらから

人事評価の見直しが組織の成長につながる

人事評価への不満は、社員個人の感情の問題ではありません。評価基準の不透明さ・フィードバック不足・評価者のスキル不足という制度と運用の構造的な問題が根本原因です。

だからこそ、「不満を言う社員の問題」として片付けるのではなく、制度と運用を丁寧に見直すことが求められます。

評価制度への信頼が高まると、社員は「頑張れば正当に評価される」と感じられるようになり、自律的な行動と成長につながっていきます。

人事評価の見直しは、単なる不満解消にとどまらず、組織全体のエンゲージメント向上と業績改善への投資です。ぜひ、自社の評価制度の現状を点検するところから、一歩を踏み出してみてください。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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