インナーマーケティングで抜け落ちがちな2つのこと

− 人と組織が強い会社の深イイ仕掛け - インナーマーケティングとは、社内に向けて企業の理念や行動指針の浸透を促したり、自社商品やブランドの価値を理解してもらうために行う活動を指します。インターナルブランディングやインナーブランディングとも呼ばれることもあります。 最近ではこのようなインナーマーケティングに取り組む企業も増えてきました。 TUNAG(ツナグ)も大きな枠組みでは、インナーマーケティングの分野のサービスの一つです。エンゲージメント向上のための手段として、社内制度の活用を促し、経営理念の浸透や社内文化の醸成をしていくサービスです。 インナーマーケティングは、顧客や取引先など、社外の人に対しておこなうマーケティングとは逆で、「社内の人」に向けて行うものです。通常のマーケティングは、市場調査からはじまり、販売・宣伝などの全過程にわたって行う活動のため、事業運営上では非常に重要だということはみなさん認識していることでしょう。 僕も長らく事業運営を経験してきましたので、マーケティングにおいては多くの時間や費用を投資してきました。

インナーマーケティングへの理解が遅れている

一方、インナーマーケティングはどうでしょうか。HR領域のインナーマーケティング分野を専門的に扱うようになり実感しているのは、インナーマーケティングにおいては取り組みや理解が遅れているということです。 これは考え方や概念もそうですし、理論や研究からテクノロジーやツールに至るまですべての分野で遅れていると感じます。 むしろ古くから止まっていると表現した方が正しいのかもしれません。インナーマーケティングなのに、「マーケティング要素」が見えてこないことが多いという矛盾もあります...…。 今回は、マーケティング的な要素からインナーマーケティング(エンゲージメント)を考えてみたいと思います。その中で、抜け落ちがちな「2つのこと」についてご紹介してきたいと思います。 お役立ち資料「エンゲージメント向上施策50選」はこちら

マーケティング的な要素から「インナーマーケティング」を捉える

まずはファネルで整理してみる

抜け落ちがちな2つのことを紹介する前に、まずはインナーマーケティングを改めて「マーケティング視点」で考えてみます。 マーケティングでは、マーケティングファネルを使い現状整理をすることがありますよね。ファネルは、日本語でいうと「じょうご」のことで、逆三角形、すり鉢状の形をしたものを指します。これを消費者の購入までのフェーズに当てはめて図解したものです。 これは、パーチェスファネルと呼ばれるものです。購入までを4つのフェーズで分類をしています。 例えば、マーケティングの代表的な施策としてTVCMがあります。認知フェーズの顧客獲得を目的とするのであれば、ブランディング要素の強い広告を出すと相性が良かったり、購入フェーズの顧客を増やすのであれば◯◯セール実施中のように、直接購入に繋がる仕掛けを設けたCMを流したりします。 このように顧客をフェーズごとに区分けして、それぞれのフェーズごとの施策を実施することは当たり前のようにマーケティング活動として実施されている内容です。 では、インナーマーケティングにおいてはどうでしょうか。このファネルの考え方をベースにしていくと下記のようなファネルに分類できます。 エンゲージメントファネルと社内では呼んでいます。以前、「知ることからはじめよう」というテーマで触れています。エンゲージメントは、このような段階を踏んで醸成されていくと考えています。 このファネルに当てはめて考えてみると、組織の状態が今どのフェーズにあるのか、従業員がどのフェーズに位置するのかの現状分析・把握をすることができます。 さらに、活動には続きがあり下記のようなフェーズも存在します。 インフルエンスファネルと呼ばれるもので、購入後の流れをフェーズわけしたものです。いわゆる「リピーター」や「口コミ」、「インフルエンサー」といった行動です。この購入後のフェーズこそ、インナーマーケティングは重要視するべきだと僕は思っています。 エンゲージメントが醸成されてくると、会社が推奨する行動や経営理念や行動指針に沿った行動が見られるようになってきます。これ自体は各フェーズを経てたどり着くものです。 (これが商品のマーケティングであれば「購入」に至ったわけなのでゴール地点を指すことが多いかもしれません。) ただしエンゲージメントには続きがあり、この続きの方が組織という単位でみると非常に重要です。会社は組織で構成されていますので、エンゲージメントの高い人が数人しかいない状態では、「組織全体のエンゲージメントが高い状態」とは言えません。 「行動」する従業員がどれだけいるか、そしてその「行動」が継続していくか。組織全体のエンゲージメントを高めるためには、その行動をいかに伝播させていくかというところまで追わないといけません。

ターゲットを見極める

上記のようにファネル上で分析ができると、ターゲットの選定にも役立ちます。冒頭に書いた通りマーケティングでは各フェーズによって施策を出し分けたり、それぞれのフェーズごとに担当チームを配置したりと適切に施策を打っていきます。 インナーマーケティングの場合にもこれは同様のことが言えます。本来であればフェーズごとに実施する施策を出し分けるのが理想だと思っています。実際にTUNAG(ツナグ)のコンサルティングもこのフェーズを判断しながら進めていくケースが多いです。 とはいえ、実態としては社内施策や制度は全社的な施策として全従業員向けとして行われることもあります。それがいい面もあれば悪い面もあります。 良い面としては、対象範囲が全従業員向けですので、施策への平等性が保たれます。悪い面としては、全体最適をとるため、利用目的や利用ターゲットがぼんやりとします。

インナーマーケティングを行う上で抜け落ちがちな「2つのこと」

ご紹介したように、インナーマーケティングをマーケティングな視点で考えた場合、以下の2つの点が抜け落ちがちです。 意識的に下記の2つは設定し、企画から運用・改善を実施していくと効果的にインナーマーケティング施策の実施ができるのではないでしょうか。
  1. どの“フェーズ”に対する施策かをしっかりと設定する(全体に対しての施策であっても)
  2. ターゲットとなるペルソナは用意しておく(ぼんやりとでもいいので)

どの“フェーズ”に対する施策かをしっかりと設定する(全体に対しての施策であっても)

再度ファネルをご紹介しますが、上記のエンゲージメントファネルで設定した各フェーズの「どこ」に向けた施策なのかをしっかり設定しましょう。 お話を伺っていると、かなり難易度の高い施策を実施している企業があります。組織状態を診断すると、ほぼ「知る」フェーズにいる従業員の方が多いのに対して、「行動」 フェーズ向けの施策を実施しているのです。ミスマッチがあると効果はうまれにくく利用も進みません。 例えば、経営理念や、社員同士のことをあまり知らない状態なのに、「経営理念に沿った行動をした人を見つけ、称賛しましょう」と促していたりします。 このようなことに陥るのは、やりたいことをただ取り入れたり、他の企業のマネをしていたりする場合がほとんどです。フェーズについては考えられていないことが多いです。 まずはどの段階にいる従業員が多いのか、状態を把握し、その状態に合った施策を考えることが必要です。

2.ターゲットとなるペルソナは用意しておく(ぼんやりとでもいいので)

どのフェーズに対する施策を行うのかが設定ができたら、ぼんやりとでもいいので、ターゲットやペルソナは用意しておきましょう。 例えば、「知る」フェーズの従業員をターゲットとして、社内SNSやメールなど、何らかの方法で自己紹介を行ってもらう「自己紹介制度」を企画したとします。目的はお互いを「知る」状態をつくることです。この場合、この「知る」フェーズにいそうな従業員の顔をイメージしてみましょう。 そして、なるべく、全体の中でもその施策に対して「少しネガティブな反応をしそうな人」をイメージすることがおすすめです。意欲度を10段階にすると、なるべく3前後の度合いがいいでしょう。 「この人が自己紹介をしてくれるには、どのように促せばいいいか、どのような仕組みがいいか……」と、ペルソナを決めることで、企画の目線は「対象ペルソナの人がどうしたらその施策を使ってくれるか」という点にうつります。 企画するだけでなく、その「実行」もイメージして施策を検討できますし、自動的に、そのペルソナ以上の意欲度合いの人には、利用されやすい制度を作ることへとつながるでしょう。

マーケティング要素を取り入れて インナーマーケティングを実施しよう

ご紹介したこの2点だけを考えて企画実行するだけでも、インナーマーケティングの精度は向上すると思います。 インナーマーケティングにおいて、マーケティング要素を取り入れていくことは非常に効果的だと僕は思っています。マーケティングにおいて一般的な要素でも、それらをインナーマーケティングにおいて転用されている企業はほんの一握りで、今までほとんど出会ったことがありません。 こういったノウハウを元に、TUNAG(ツナグ)は専任コンサルタントが制度設計や実施制度の診断なども行わせていただく国内で唯一のサービスとなります。 ご興味をもっていただけましたら、弊社のコンサルタントがご説明に伺います!
▼『TUNAG(ツナグ)』について 『TUNAG(ツナグ)』では、会社として伝えたい理念やメッセージを、「社内制度」という型として表現し、伝えていくことができます。 会社様ごとにカスタマイズでき、課題に合ったアクションを継続的に実行できるところに強みがあります。 「施策が長続きしない」「定着しない」というお悩みがございましたら、「現在のお取り組み」のご相談を無料で行っておりますので、お問い合わせください。
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