店長はどんな職種?仕事内容・意識すべきポイントを徹底解説
店長は店舗運営の要となる存在で、スタッフとの信頼関係を築くことが求められる役職です。日々のコミュニケーションを大切にし、業務の効率化を図ることで、店舗の成果を最大化できます。この記事では、店長の具体的な仕事内容や意識すべきポイントについて詳しく解説します。
店長とは?
「店長」とは、店舗の運営や管理を担当する人のことです。この記事では、店長はどんな業務を行っているのか、どんな人が向いているのかを徹底解説します。
店長には2種類ある
大前提として、店長には経営者が店長を兼ねる「オーナー店長」と、オーナーが目を付けたスタッフに、店長としての職務を委託する「雇われ店長」の2種類があります。どちらも店舗を円滑に運営するために必要な責任者ですが、雇用形態や責任、権限において大きな違いがあります。
オーナー店長は自身の店舗を持つ経営者として経営戦略や目標を自由に設定し、全面的な責任を持ってスタッフの管理や業務の遂行を行う一方、雇われ店長は企業やフランチャイズに雇用され、指示に従って業務を進めるため、経営の意思決定には関与せず、企業の方針に沿った業務を行います。
それぞれが店舗の成功に重要な役割を果たし、スタッフとのコミュニケーションや業務の改善を通じて成果に貢献しています。
店長の仕事内容
それでは、具体的な店長の仕事内容とはどんなものがあるのでしょうか。
人員配置・シフト管理
店舗の繁忙度は時期や曜日、時間帯によって変動します。店長の重要な仕事は、日ごとの集客人数を予測し、適切な人員を配置することです。
基本的にスタッフはシフト制で働くため、店長はスタッフの出勤希望を集めてシフトを組みます。その際、以下の要素を考慮する必要があります。
- 人件費
- スタッフの習熟度
- ポジション
- 集客数
人件費については、アルバイトが働いている時間を時給換算して支払われます。従業員ならば、固定給などであまり変わりませんが、アルバイトは時給として予算の中から支払われるため、人員と予算の兼ね合いを見て、適切な人員を確保が求められます。また、この際に追加で考慮するのは、スタッフの習熟度とポジションです。飲食店を例に挙げると、人数のみ適切でも、その内訳が「全員が入社してから1週間でホールしかできない」となれば、円滑な店舗運営はできなくなります。また、時期や時間帯によって、ピーク時間が発生する際、それを予想してスタッフを増やすなどの集客面も考慮してシフトを組む必要があります。
スタッフの教育・育成
スタッフが最大限のパフォーマンスを発揮できるよう教育することも、店長の重要な役割です。スタッフそれぞれの性格や得意な業務は異なるため、適性を見極めた上で、個々に合った育成方法を意識することが大切です。
例えば、業務をじっくり学ぶタイプや、実践を通じて習得するタイプ、接客が得意な人、正確さが求められる作業を得意とする人など、各スタッフには独自の特性があります。
ミスが少ないタイプには、正確さが必要なレジ業務から始める。接客が上手いタイプには、ホールから教えるといった具合に、適性に応じて仕事やポジションを割り振ると、スムーズに習得が進みます。日常的にスタッフの取り組みや得意・不得意に注意を払い、「どのように育成するのが最適か」を常に考えることが必要です。また、これらには業務時間以外の日常のコミュニケーションから適性を見ていくことを推奨します。
店舗の内装・外装、備品などの店舗管理
お客様が快適に買い物やサービスを受けられるよう、店長は店舗の環境を常に良好に保つ役割を担っています。店舗の内装や外観を清潔に保つだけでなく、スタッフが使用する作業道具や備品も故障なく維持し、梱包資材なども十分にストックしておくことが求められます。ハロウィンやクリスマスといった季節のイベントごとのレイアウトは、局所的に発生するため、この管理が肝になります。
また、徹底した在庫管理も重要です。バックヤードは常に整理整頓されている必要があり、商品がどこにあるかが明確であれば、お客様に迅速に商品を提供でき、スタッフも安心して業務に取り組むことができます。共有方法を統一して、新人のスタッフに対しても、備品の配置や個数を共有し、最善の職場環境を整えることを推奨します。
店舗環境の美化や整理整頓にも注力することで、修繕費や備品の購入コストを抑えることにもつながります。これを実現するためには、日常的な清掃や点検が欠かせません。店長は自ら積極的に清掃や点検を行い、スタッフに良い手本を示すことが重要です。しかしながら、お手洗いの清掃などのハードな業務に偏りができると、スタッフのストレス増加に繋がります。シフト制などにして、これらの対応をすることも重要です。
店舗環境をクリーンに保つことは、お客様だけでなくスタッフにも快適さを提供します。店長がスタッフに意識を高めるよう働きかけ、全員でこの意識を共有していきましょう。
法令・コンプライアンスの遵守と徹底
近年、より重要視されるようになったのが法令やコンプライアンスの遵守です。スタッフの勤務状況や店舗運営を常に健全に保つことは、店長の基本的な役割です。労働基準法や雇用契約に従い、スタッフの勤務日数や時間を適切に管理することが重要です。学生のアルバイトは、年収103万円の壁を超えてしまうと、扶養所得から外れてしまい、多額の税金が課せられてしまいます。契約前の面接や、日常のコミュニケーションから、お互いに出勤時間の認識齟齬のないように努めてください。
また、お客様やスタッフの個人情報、社内の機密情報の漏洩にも注意が必要です。店舗スタッフが利用する公式のLINEグループ以外では、SNS上での会話を控える等の対策を徹底してください。
情報管理に関するルールを設定したり、勉強会を開催するなどの取り組みを検討することも良いでしょう。また、自社に関する法律が改正された場合は、スタッフ全員に周知させることを忘れないでください。
2022年4月に施行された「改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)」により、すべての企業がハラスメント防止措置を法令で義務付けられました。店長は、職場にハラスメントが発生しないよう、常にスタッフの様子や人間関係に注意を払う必要があります。また、自らがパワハラやセクハラに該当する言動をしないよう、十分に意識することも重要です。
上層部組織とスタッフへの「報連相」の徹底
店長は、中間管理職として、企業の上層部と部下であるスタッフ等の板挟みになります。上層部からの要望と、店舗の最新の状況を着実にどちらにも伝えることが求められます。
現場で働いているスタッフしか知らない、予想していなかった問題が発生することもあり、定例会などを通じて、逐一上層部に「報連相」を行わなければ、スタッフからの信頼を失うことに繋がります。
また、上層部からの指示を漏れなくスタッフたちに伝えなければ、不適切な接客や商品を招き、会社全体の信頼度低下にも繋がります。現場の声と上層部の声を汲み取り伝達するスキルが店長には求められます。
店長に求められる能力・素質
上記に記載の通り、店長には様々なビジネススキルが必要です。これらのビジネススキルを支える能力として2つご紹介します。
マネジメント能力
店長には、経営資源と呼ばれる「ヒト」「モノ」「カネ」の3点を適切にマネジメントすることが求められます。その中でも、従業員・顧客満足度に大きくつながる「ヒト」のマネジメントは最注力事項であるため、採用・育成・チームビルディングには敏感である必要があります。疎かにするとコミュニケーション不足により、円滑な店舗運営ができなくなり、細かな備品や金銭面の管理ミスにつながる可能性もあります。
コミュニケーション能力
また、店舗運営の責任者である店長は、お客様やスタッフ以外にも、上層部や取引先とコミュニケーションをとる機会が多くあります。相手が何を求めているか考えながら、適切な受け答えをすることが、円滑な店舗運営につながります。
店長のやりがい
創意工夫の余地が大きい
店舗運営の最高責任者である店長は、店舗内で一番の裁量権を持っています。そのため、自身の創意工夫次第で、店舗の成績である売り上げの増減や、従業員・顧客満足度を上げることができます。また、うまくいった好事例をストックし、共通項を見つけたりと自身の手で店舗運営を円滑にしやすくするなどの手を打つことも重要です。
顧客のリアクションを直接感じることができる
また、店長は顧客との距離も近く基本的に店舗に常駐しているため、顧客のリアクションを直に感じとることができます。初めての来店者がリピーターとなったり、自身が考案した店舗レイアウトに対してのリアクションなどもやりがいになるといえます。
店長の厳しさ
ただ、店長は店舗の売り上げが成績として判断されるため、売り上げ維持のために日々工夫を凝らさなければなりません。それこそが店長の厳しさといえます。では、店長に向いている人は、どんな特徴があるのでしょうか。
前向きに取り組む
店長は常に売り上げとの戦いを求められます。そのため、プレッシャーがつきまとい上手くいかないことも少なくありません。そういった苦労の過程を楽しんで、前向きに取り組むことができる者が、店長に向いている人の特徴としてあげられます。
臨機応変に対応する
また、その失敗にも臨機応変に対応できる人材は店長に向いています。例えば、ランチタイムやディナータイムといった稼ぎ時に限って、天候や渋滞によって人が入ってこない際にも、この課題に対して「成長できる経験値が転がってきた」と思い込み、デリバリーやクーポンによる売り上げ維持の施策をすぐに実行するような柔軟さがある人材です。
人のせいにしない
店長は、先述したとおり管理職でもあります。常に従業員やアルバイトのスタッフに対して、指示を出しています。しかしながら、クレームや従業員の不手際のアクシデントがあった際、「〇〇さんのせいだ...」と思うようでは、店長は務まりません。こういった場面で、「スタッフのミスは徹底的な管理をしきれていない自分の責任、店舗で起きたことは、すべて自分の責任」と考えて、ミスを起こしてしまったスタッフに対して、一緒に改善策を検討できる人材が店長に向いているといえます。
ときには理不尽な場面に遭遇することもあります。しかし、そういった場面に直面した際にどういった行動ができるかで人の力量がわかります。落ち着いて対応し、スタッフから尊敬されるような行動を心がけると良いでしょう。
店長のキャリアパス
店長として実績を作り続けるともちろん昇進があります。店長から昇進する際は、どんなキャリアパスがあるのでしょうか。
エリアマネジャー
店長から昇進すれば、エリアマネージャーになります。具体的な仕事内容は、店長は自店舗のスタッフに対して指導を行う立場でしたが、エリアマネージャーは、担当エリア内における各店舗の店長に対して指導を行います。
本社の店舗開発
また、ケースとしては少ないですが、本社の店舗開発に就くこともあります。キャリアパスは、所属する会社の規模感や業績によって変わっていくため、面接の際や、日頃の動向チェックを怠らないようにしましょう。
店長におすすめのツール
店長の業務には、スタッフたちとの日頃からのコミュニケーションが非常に重要です。これはあらゆる業務の連携によって店舗の売り上げが成り立つためです。コミュニケーションが取りやすくなる店長におすすめのTUNAGというツールをご紹介します。
TUNAGとは
TUNAGとは、組織の情報共有や業務効率、人材育成、社内交流などの課題を、スマホひとつで解決し、エンゲージメントを向上させるアプリケーションです。
実際の事例
実際に店舗ビジネスの事例として、店舗で強化してほしいことを、パート・アルバイト用、社員用で分けて発信し、各店舗の好事例をエリアマネージャーが紹介し、店舗間での情報共有が上手くいった株式会社木曽路様がいます。
参考:「不規則なシフトでも情報が行き渡る」木曽路が実践する、パート・アルバイトを含めた情報共有
そのほか嬉しい機能盛りだくさん
その他にも、画像・動画を用いたマニュアル共有や、日報機能など店舗に嬉しい機能が満載です。
まとめ
店長は、店舗のスタッフたちの協力があってはじめて成り立ちます。そのため、スタッフたちとの信頼を構築することが求められ、日頃のコミュニケーションが必須です。また業務も多岐に渡るのでそれらの業務効率化も図れるとより良いので、先程のようなツールも活用しながら日々の店舗運営を円滑に進めてみてください。