勤務形態とは?主な種類やそれぞれの特徴、雇用形態との違いを解説

働き方改革の推進や多様性が求められる現代では、柔軟な勤務形態を提供することが重要です。具体的な取り組みを進めるに当たり、まずは勤務形態の種類や特徴についてしっかりと理解を深めておきましょう。勤務形態とは何か、代表的な種類を紹介します。

勤務形態とは

企業経営において、従業員の勤務形態を適切に設計することは、生産性向上や働きやすい職場環境の実現に直結します。近年、多様な働き方が求められる中で、企業としてどのような勤務形態を導入すべきかを理解することが重要です。

本項では、勤務形態の基本的な概念や雇用形態との違いについて解説します。

従業員の働き方を指す言葉

勤務形態とは、従業員がどのような時間帯や頻度で働くかを示すものであり、企業の運営方針や労働環境に大きく影響を与えます。

かつては固定時間制が一般的でしたが、ワークライフバランスの重視や生産性向上の観点から、フレックスタイム制やリモートワークなど、より柔軟な勤務形態を導入する企業が増えています。

適切な勤務形態の導入は、従業員の満足度を高めるだけでなく、離職率の低下や優秀な人材の確保にもつながります。企業の競争力を強化するためにも、自社に最適な勤務形態を選定することが求められます。

勤務形態と雇用形態の違い

勤務形態と混同されやすいものに「雇用形態」がありますが、両者は明確に異なります。勤務形態が「働く時間や勤務スタイル」を指すのに対し、雇用形態は「企業と従業員が結ぶ雇用契約の種別」を指します。

具体的な雇用形態として、以下のような種類があります。

  • 正社員:雇用期間の定めがなく、給与・福利厚生が充実している
  • 契約社員:一定の契約期間が設けられ、更新の有無がある
  • 派遣社員:派遣会社を通じて就業し、勤務先の企業とは直接契約を結ばない
  • 委託・請負社員:企業と業務委託契約を結び、成果物に応じて報酬を受け取る
  • アルバイト・パート:短時間勤務が基本で、給与体系や福利厚生が正社員とは異なる

雇用形態は、給与水準や雇用の安定性、企業の採用戦略に大きく関わるため、業務内容や組織のニーズに応じた適切な選択が必要です。

企業が多様な勤務形態を導入するメリット

政府が推進する働き方改革では、「長時間労働の解消」「正規・非正規間の格差是正」「多様かつ柔軟な働き方の実現」を三つの柱としています。多様な勤務形態を導入することで、自社でも働き方改革の推進につなげることが可能です。

また、勤務形態の選択肢を増やせば、さまざまな人材の採用を図れます。オフィスに通えない場所に住んでいる人や、育児や介護でフルタイム勤務が難しい人も、テレワークやフレックスタイム制を導入している企業なら働きやすいでしょう。

業務効率化を期待できることも、多様な勤務形態を導入するメリットの一つです。時間や場所を調整しながら働けば、仕事にメリハリが利いて集中力が上がりやすくなり、業務をより効率的に進められます。

出典:働き方改革 | 厚生労働省

労働時間に関する勤務形態の種類

勤務形態にはさまざまな種類があり、労働時間に関するタイプと働く場所に関するタイプに大きく分けられます。労働時間に関する勤務形態にはどのようなものがあるのか、主な種類を見ていきましょう。

固定時間制

固定時間制は、働く時間帯や曜日が決まっている勤務形態です。日本企業で古くから採用されている制度であり、現在もオフィスで働く事務職などに適用されています。

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、固定時間制を採用している企業の割合は約40%です。

固定時間制では定時が決められているため、労働力のリソースを配分しやすくなります。従業員の勤怠管理を行いやすい点もメリットです。ただし、法律で定められた1日8時間以内・週40時間以内の法定労働時間は、原則として守らなければなりません。

出典:令和5年就労条件総合調査 第8表 変形労働時間制の有無、種類別採用企業割合 | 厚生労働省

出典:労働基準法 第三十二条 | e-Gov 法令検索

変形労働時間制

労働時間を週・月・年単位で計算する勤務形態が変形労働時間制です。労働基準法第32条で規定されており、一定期間における労働時間の週平均が40時間を超えなければ、1日8時間や週40時間を超えてもよいとしています。

「令和5年就労条件総合調査」を見ると、変形労働時間制を採用している企業の割合は約60%です。

変形労働時間制では時期により労働時間を調整できるため、繁忙期や閑散期のある職種で広く取り入れられています。繁忙期の残業時間や閑散期の無駄な労働時間を減らせることがメリットです。

出典:労働基準法 第三十二条 | e-Gov 法令検索

出典:令和5年就労条件総合調査 第8表 変形労働時間制の有無、種類別採用企業割合 | 厚生労働省

フレックスタイム制

フレックスタイム制は変形労働時間制の一種であり、あらかじめ定めた労働時間の範囲内で日々の始業時刻・終業時刻・労働時間を決められる勤務形態です。

「令和5年就労条件総合調査」によると、フレックスタイム制を導入している企業の割合は約6.8%です。ただし、企業規模が1,000人以上の企業に限ると、導入割合は約30%まで増えます。

フレックスタイム制では、全従業員が必ず出勤しなければならない「コアタイム」を設定するのが一般的です。コアタイム以外の時間帯は「フレキシブルタイム」と呼ばれます。

出典:令和5年就労条件総合調査 第8表 変形労働時間制の有無、種類別採用企業割合 | 厚生労働省

裁量労働制

裁量労働制(みなし労働時間制)とは、あらかじめ設定された時間を労働したものとみなす制度です。労働基準法第38条で定められています。

例えば、外回りが多い営業については、実際の労働時間を把握するのが困難です。このようなケースでは裁量労働制を適用し、事前に決めた時間を「働いたとみなす」ことにします。


「令和5年就労条件総合調査」によると、裁量労働制を導入している企業の割合は約14%です。


出典:労働基準法 第三十八条 | e-Gov 法令検索

出典:令和5年就労条件総合調査 第10表 みなし労働時間制の有無、種類別採用企業割合 | 厚生労働省

時差出勤制

企業が決めたいくつかの出退勤時刻から選んで働く勤務形態が時差出勤制です。始業時間に時差を設けて通勤ラッシュを避けることを主な目的としています。

フレックスタイム制と似た制度ですが、フレックスタイム制では出退勤時刻を自由に決められるのに対し、時差出勤制ではいくつかの選択肢から選ばなければなりません。

朝早く出勤できない事情がある人や、夕方早く帰りたい人にとっては、時差出勤制によるメリットを受けやすいでしょう。ただし、企業にとっては勤怠管理が複雑になりやすいデメリットがあります。

働く場所に関する勤務形態の種類

働く時間以外に働く場所も選べると、働き方の自由度をより高められます。働く場所に関する勤務形態の代表例を二つ紹介します。

テレワーク

テレワークとは、オフィス以外の場所で働く勤務形態です。一般的には、自宅や社外のコワーキングスペースなどで業務を行います。

国土交通省の「令和5年度テレワーク人口実態調査」によると、直近1年間にテレワークをしたことがある人の割合は近年減少傾向にあります。ただし、コロナ禍以前に比べると高い水準です。

移動時間が減るため効率的に働けることや、より業務に集中できるようになることが、テレワークの主なメリットです。一方、社内外のコミュニケーションが取りにくいことや労務管理が難しくなることなどのデメリットもあります。

出典:令和5年度テレワーク人口実態調査 2-2.直近1年間のテレワーク実施率 |国土交通省

ABW

業務内容に合わせて働く場所を自由に選べる勤務形態がABWです。社内で働く場所を選べるフリーアドレスと違い、ABWでは働く場所をオフィス内に限定しません。

ABWを導入している企業は、複数人の従業員とコミュニケーションを取れるラウンジや、完全個人利用型のワーキングスペースなどを社内に取り入れています。

ABWを導入すれば、モチベーションアップや生産性向上を期待できます。一方、導入する目的を明確にしなければ、形ばかりのABWになってしまうでしょう。

多様な勤務形態を用意する際のポイント

多様な勤務形態の導入では、勤怠管理や評価に課題が生じがちです。導入前に意識しておきたい2つのポイントを押さえておきましょう。

労働時間の管理を徹底する

勤務形態の種類によっては、労働時間の管理が難しくなります。従業員がしっかりと働いているかどうかだけでなく、見えないところで働きすぎていないかにも注意しなければなりません。

長時間労働は従業員の体調不良やモチベーション低下を招きやすいほか、企業イメージを下げてしまう恐れもあります。勤怠管理システムを活用し、どのような勤務形態を導入してもきちんと勤怠管理を行える体制を構築しましょう。

公平な評価を行う

従業員の働き方が多様化すると、見えない部分を評価しにくくなります。また、個々の働き方が違うため、評価基準を一律にしにくい点もポイントです。

多様な勤務形態を導入する場合、成果を定量化し達成状況を管理すれば、公正な評価を行いやすくなります。評価制度を整えたら全社で情報を共有し、不満がある従業員には制度のポイントを説明できるようにしておきましょう。

勤務形態の種類や特徴を理解しよう

勤務形態にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴があります。多様な勤務形態の導入を検討するなら、自社に適したものを選択することが重要です。

働き方の選択肢が増えれば、業務効率化や多様な人材の確保を図れます。勤怠管理の仕組みや評価制度を整え、多様な勤務形態を取り入れてみましょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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