仕事のモチベーションが会社に与える影響や向上方法とは。

職場でのメンバーのモチベーションの管理は、どうされているでしょうか? 部下やメンバー、従業員の仕事に対するモチベーションが生産性や業績へ影響することは想像しやすいことだと思います。また、モチベーションが低い職場では人材の流出が芋づる式に起こることなどの課題もあり、モチベーション向上について企業は様々な取り組みをしていることでしょう。 今回は企業が行うモチベーションの管理についてご紹介いたします。 ⇒社内ポータル・SNS「TUNAG(ツナグ)」が3分で分かるサービス資料はこちら

モチベーションとは

積極性を持たせ、行動に移すための、個人の動機や意識

ビジネス用語でのモチベーションとは、仕事に対して自発的・意欲的に取り組むための動機や意識を指します。 数ある経営資源の中で一番管理が難しく、一番重要なのが「ヒト」だといわれています。ヒトは性格や感情、性別、利害など様々な欲求を持っており、複雑に絡み合っています。社員のパフォーマンスを最大限に発揮できるかで事業拡大にも大きく影響するため、従業員のモチベーションの把握や管理は上司にとって重要な仕事の一つです。
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モチベーション向上が会社に与える影響

・パフォーマンスの向上

モチベーションが上がると、従業員は仕事に対して前向きになり、情熱を持って仕事に取り組みます。結果として従業員のパフォーマンスが高くなり、会社への定着と組織全体の士気が高まります。

・サービスの品質の向上

モチベーションが下がると仕事に対して意欲がなくなるため、業務が雑になることがあります。結果として不良品などサービスの品質にも影響します。 また、改善意欲も湧かなくなるため、品質の維持だけでなく、新しいサービスを生み出す事も難しくなります。モチベーションが高い集団を作る事ができれば、サービスの品質や新しいイノベーションを生み出しやすい環境となります。

・職場の雰囲気が良くなる

1日のうち8時間近くを会社で過ごすため、社内・チームの雰囲気や人間関係は重要な要素となります。社員のモチベーションは声のトーンや話し方、表情、姿勢などにも現れ、集団に大きな影響を与えます。 当たり前のようなことですが、毎朝元気に挨拶し、はつらつと仕事を行う従業員が多い職場と、元気が無く会話も無い従業員が多い職場では、どちらがいい雰囲気の職場なのかは明らかです。

モチベーション低下が会社に与える影響

・成果が上がらない

与えられた目の前の作業だけをこなしていては、業績の向上には結びつきません。また、モチベーションが下がったまま業務を遂行するとミスにもつながります。一度ミスをするとリカバリーやクレーム処理などに時間を取られ、さらに生産性が低下します。

・職場の雰囲気が悪くなる

モチベーションが下がるとネガティブ思考につながります。ネガティブな言動や態度は、職場の空気にも影響し、雰囲気を悪くしてしまうこともあります。また、仕事に対して前向きに捉える事ができないため、クリエイティブな発想も生み出されません。

・離職してしまう

仕事へのモチベーションが下がり、面白みを感じなければ、退職を考えるようになることも。 「もっと良い条件の会社はないか」「もっとやりがいのある仕事はないか」など、今よりよい環境を探すようになるでしょう。特に優秀な人材ほどステップアップを考え、次の雇用先を見つける事も容易なため、モチベーション低下は離職にも悪影響を及ぼします。

従業員のモチベーションを向上するための要素

モチベーションを語る上でよく登場する理論、心理学者A.マズローによる欲求階層説が述べられます。マズローの理論を取り入れた取り組みや、他にも複数の研究者がモチベーションが会社に与える影響を研究しているのでここでも簡単にご紹介いたします。

マズローの自己実現理論

人間は食欲や住環境など生活に必要な低階層の欲求を満たすと、他人に認められたい承認欲求など高次の欲求を満たそうとします。
<マズローの5段階欲求> 第5階層:自己実現欲求(自己実現の欲求) 第4階層:自己尊厳欲求(自らが他よりも優れていたいと自尊する欲求) 第3階層:社会的欲求(所属や友人を求める社会的な欲求) 第2階層:安全の欲求(衣や住に関わる安全の欲求) 第1階層:生理的欲求(食欲や性欲、睡眠などの生理的欲求)
社員を褒める事は第4階層の自己尊厳欲求が満たされるようになります。また、社員が何かしらのやりがいや目標を持って、それを実現する場合は第5層の自己実現欲求を叶えようとする事になります。 これら高次の欲求を満たすことで、モチベーションの高い人材を育成し、また人材の流出を防ぐ事にもつながります。この理論を人事制度に反映している企業も多数でてきています。 ここからはマズローの論理を用いた事例を参考に記載いたします。

従業員モチベーション向上事例

・資生堂:育児しながらキャリアアップ

マズロー欲求の第2階層の安全欲求、第5階層の自己実現欲求を満たす施策です。 資生堂では時短ママが働きやすい環境を整備するために、夕方や土日の勤務を研修を積んだアルバイトなどで支援する体制を整備しました。結果として時短ママの就業率は向上したものの育児をしない人材が不満を抱くようになり、売上を落としてしまいました。 しかし、「育児しながら働きやすい環境を整える」から「育児しながらキャリアアップ」施策へ方向転換したところ、「育児社員への配慮がなくなった」と誤解を招き「資生堂ショック」とも呼ばれるようになりました。 「女性が働きやすい環境」である安全欲求の施策、「土日など繁忙期にも出勤することでキャリアアップができる」自己実現欲求の施策、両方の施策を明示し、社員に伝え理解を得ることが重要なのではないでしょうか。 参考:https://www.shiseidogroup.jp/recruit/kstaff/

・リッツ・カールトン:感謝を伝える

リッツ・カールトンでは第4層の自己尊厳欲求(承認欲求)を満たすための施策を取っています。 英語で最大限の感謝を伝えるカードという意味を持つ「ファーストクラスカード」と呼ばれる感謝を伝えるカードを全従業員に持たせ、部署の垣根を超えて感謝の意を伝える時に手渡しで使用します。 ファーストクラス・カードは「どのような状況で、どのように助けてもらい、どれだけ助かったか」などを明記します。感謝の念が形として残るだけでなく、コピーを人事に渡すことで人事考課に反映する仕組みを持っています。 人事考課では褒めた/褒められたの内容ではなく、渡した/渡された枚数が評価の対象となります。 また、コピーは社員食堂にも提示され「このシチュエーションではこういう対応が良い」など全員が学習することができマニュアル化されていきます。 この制度によって従業員同士が助け合い、一体感が増しホスピタリティの向上に結びつきます。

・google:社員の家族も大切にする制度

様々の福利厚生で有名なgoogle社では「社員の家族のための福利厚生」があります。 もし、社員が亡くなってしまった場合は、給与の半額を10年間支払う制度です。このような会社からの手厚いサポートは、社員のモチベーションがアップし、会社への貢献にもつながります。 参考:Googlers in San Francisco and Mountain View report being able to bring their pets to work.

・コストコ:繁忙期にも休日を

「家族と過ごせる時間」を大切にする欧米らしい発想です。コストコでは年末年始や感謝祭など売上が見込まれる繁忙期にあえて閉店します。この制度により、社員は家族との時間を過ごせるようになります。

大切なのは仲間意識であると結論づけた「ホーソン実験」

その他にも従業員へのモチベーション管理の例として「ホーソン実験」をご紹介します。 「人間はロボットではなく感情的な生き物だ」と訴えた産業心理学者ジョージ・エルトン・メイヨーの「ホーソン実験」では「生産性の決定は数値による管理でも、厳格な管理体制でもなく、職場にいる人同士の仲間意識」だと結論付けました。

従業員のモチベーション向上のために会社ができることとは

・人事評価制度の整備

公平に評価する事は重要ですが、最終的にはヒトが評価するため、完璧な人事評価制度を作り上げることは難しいでしょう。 目標に対する達成率や上司からの評価だけでなく、同僚や他部門からの評価など360度評価などを実施している企業もありますが、重要なのはその制度を会社の状況や課題に合わせて改善していくこと、そのステップや内容を従業員全体にオープンにしていくこと、そのような会社としての姿勢を伝えていくことなのかもしれません。

・会社のビジョンを明確にする

会社のビジョンや目標が明確になければ、社員も同じ方向を向いて働くことができません。 会社や事業の方向性が不透明な場合、従業員も「何のためにこの仕事をしているのか」が見えなくなり、モチベーション低下につながることも。 モチベーション向上のためには、会社、経営陣が会社のビジョンや方向性を示し、メッセージを伝えていくことが重要です。

・人間関係や職場の雰囲気の改善

セクハラやパワハラなどハラスメントが横行しないようにするなど、相談窓口を設ける企業もあります。 また、従業員の退職理由にあげられるものの中に「人間関係」があります。人間関係や職場の雰囲気はちょっとしたことで大きく変わってしまうため、常に現状を把握し、改善していくことが必要です。 上司と部下で1on1MTGなどで会話を行うなど、コミュニケーション施策を意識的に行いましょう。

・仕事にやりがいを見いだせる組織づくりを

本人が望む仕事に就業させてあげる事も大切ですが、新規事業の立ち上げ時や、組織の状況においては必ずしもうまくいかないケースもあるでしょう。 今の仕事から得られること、やりがい、好きだと思えるポイントを、上司とともに見出していくステップを踏むことで、モチベーションを高めることも可能です。 上司はむしろ、メンバーがそのような仕事で得られる価値や喜びを見つけられるように促していくことが重要な業務だといえます。 上司部下に限らず、メンターを配置するなど、周りに相談できる体制を整えるような施策も有効です。

・表彰や感謝を伝える

表彰制度や感謝を伝えることで、日頃の頑張りや成果が評価され、従業員の承認欲求を満たすことができます。 成果を讃えることは行いやすいですが、成果だけでなく行動においても感謝や評価をされる文化をつくることで、「自分が必要とされている」と強く感じることができます。

まとめ

部下や従業員のモチベーション管理は十人十色のため難しい側面がありますが、モチベーションの向上のきっかけづくりを行う方法は少なくありません。挨拶の仕方を変えたり、メンバーで話す機会を設けたり、少しずつ接点を持つことでも、大きく変化するものです。 今の環境での問題点を考察し、解決できる仕組みを検討してみてはいかがでしょうか。

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