インセンティブとは?種類や成功させるポイント、運用例を紹介
従業員のエンゲージメント向上や生産性向上を実現するために、多くの企業がインセンティブ制度の導入を検討しています。本記事では、インセンティブの基本から実践的な運用方法まで、経営者や人事担当者が知っておくべき情報を詳しく解説します。
インセンティブの基礎知識
従業員のモチベーション向上と組織活性化を実現するインセンティブ制度は、近年、その重要性を増しています。単なる報酬制度としてではなく、企業の持続的成長を支える戦略的な仕組みとして捉える必要があるでしょう。そこで、まずはインセンティブの基本的な概念から見ていきましょう。
インセンティブとは?
企業経営の現場において、インセンティブは「従業員の意欲を引き出し、組織の成長につなげる戦略的な動機づけの仕組み」を指します。
具体的なシーンとしては、営業部門での成果報酬や、全社的な表彰制度などが挙げられます。その本質は、企業と従業員双方にとって価値のある関係性を構築することです。
加えて、近年では従業員の価値観の多様化に対応し、金銭的な報酬にとどまらない幅広い形態が導入されています。そうした変化により、インセンティブ制度の設計には、より慎重な検討が必要となってきているのです。
歩合制・手当・賞与との違い
インセンティブは目標達成の都度発生する報酬です。一方の歩合制は、実績を上げるごとに報酬が発生します。歩合は成果や業績に応じて毎月支給されますが、インセンティブの支払いが発生するのは一般的に年数回です。
また、手当は業績に関係なく規定された金額が毎月支払われます。支給基準がインセンティブと違うため、制度としては別のものです。
インセンティブと似たものには賞与もあります。インセンティブは個人により内容に差が出ますが、賞与は会社の業績に応じて支払われるため、基本的には全ての従業員に一定の基準で支給されます。
インセンティブの種類
現代の企業経営において、インセンティブは単なる金銭的報酬を超えて、多様な形態で導入されています。以下、主要な種類とその特徴を解説します。
物質的インセンティブ
最も一般的な形態である物質的インセンティブには、以下のような選択肢があります:
- 金銭的報酬:
- 業績連動型賞与
- 目標達成報奨金
- 特別手当
- 非金銭的報酬:
- 商品券・ギフトカード
- 自社製品・サービスの利用権
- 福利厚生サービスの優待利用
実務上のポイントとして、支給基準と金額の設定が重要です。過度に高額な設定は組織の財務を圧迫し、逆に低すぎる設定はモチベーション効果が期待できません。業界標準や自社の財務状況を考慮した適切な水準設定が求められます。
評価的インセンティブ
従業員を評価することで承認欲求を刺激し、モチベーションアップを図るタイプが評価的インセンティブです。人事考課による昇進・昇格や社内表彰などが該当します。
特定の個人ではなく全従業員に対して働きぶりを称賛することも、評価的インセンティブといえるでしょう。正当な評価を受けていることに対して安心感を得る従業員が増えれば、離職率の改善にもつながります。
人的インセンティブ
人的インセンティブとは、人間関係が良好な状態で働ける環境を提供するタイプです。結果を出している従業員に対して希望する部署への異動機会の提供や、柔軟な勤務形態の選択など、働き方の自由度を高める施策が導入されています。
加えて、チーム編成や業務配分においても、個人の意向を反映させる仕組みを取り入れる企業が増えてきました。
その結果、従業員満足度の向上だけでなく、新たな価値創造につながるケースも見られます。このように、人的インセンティブは、従業員のウェルビーイングと組織の成長を両立させる重要な施策となっているのです。
理念的インセンティブ
理念的インセンティブは、企業の理念や価値観で従業員のモチベーションアップを図るタイプです。企業が考えるビジョンや将来像に従業員が共感できるかどうかがポイントになります。
人的インセンティブと同様に抽象度が高く、個人の生き方や価値観に訴えかけるインセンティブです。SDGsや社会貢献への取り組みを重視して企業を選ぶ求職者にもアプローチしやすくなります。
自己実現的インセンティブ
従業員が思い描くビジョンを実現しやすい環境を提供するタイプが自己実現的インセンティブです。「習得したいスキルがある」「いずれは海外で働きたい」といった従業員の希望を叶えるために、会社として応援します。
年齢や職歴にかかわらず成果を出せば昇進できる制度や、資格取得を金銭面でサポートする制度などが、自己実現的インセンティブの代表例です。向上心が強いタイプの従業員に効果を期待できるでしょう。
インセンティブ制度を成功させるポイント
インセンティブ制度をやみくもに導入すると、思うような効果が発揮されず無駄なコストが発生してしまいます。制度の運用をスムーズに進めるためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
導入の目的を明確化する
インセンティブ制度の成功には、その導入目的を明確に定義することが極めて重要です。実際の企業では、現状分析を通じて具体的な課題を特定し、それに基づいた制度設計を行っています。
一例を挙げると、離職率の改善を目指す企業では、従業員との対話を通じて不満要因を把握し、それに対応したインセンティブを導入しています。
加えて、制度の効果測定方法や見直し時期についても、事前に明確な計画を立てることが求められます。このように、綿密な準備と計画に基づく制度設計が、成功への近道となるでしょう。
全ての従業員を評価できる制度にする
全ての従業員に対して、評価できる制度であることが不可欠です。そのために重要なのが「公平性」と「透明性」です。
インセンティブ制度の公平性と透明性は、その効果を最大化する上で欠かせない要素です。実際の企業では、営業部門の成果だけでなく、バックオフィスの貢献度も適切に評価できる仕組みづくりに注力しています。
一例を挙げると、業務改善提案の採用件数や、社内コミュニケーションへの貢献度なども評価指標に加えるケースが見られます。
その結果、従業員間の不公平感が軽減され、組織全体のモチベーション向上につながっているのです。このように、包括的な評価制度の構築が、インセンティブ制度の持続的な成功を支える基盤となります。
TUNAGによるインセンティブ制度の運用例
手軽に始められるインセンティブ制度の代表例として、社内ポイントの導入が挙げられます。社内ポイント運用のコツやTUNAGによる運用例を見ていきましょう。
従業員の行動に対しポイントを付与
社内ポイント制度を導入する場合は、経営理念に沿った行動に対してポイントを付与するのがおすすめです。インセンティブを通じて全社的なビジョン浸透を図れます。
また、貯まったポイントを集計してランキングや表彰制度に活用すれば、従業員を称賛する機会を設けることも可能です。スキルアップにかかる費用の一部を獲得ポイントに応じて補助できるようにするのもよいでしょう。
エンゲージメント向上に活用できるプラットフォーム「TUNAG」では、サンクスメッセージの送受信や日報などの投稿にポイントを付与できます。ポイントの単位や値も自由に設定できるため、自社の状況に合わせた柔軟な運用が可能です。
TUNAGのポイント付与機能の活用事例
株式会社牛若丸は、美容室やネイルサロンの経営を手掛ける企業です。情報共有や業務効率化の課題解消を図るためにTUNAGを導入し、一定の効果を上げています。
「ウシポ」というポイント制度を構築し、サンクスカードの送受信時にポイントが貯まるようにしました。ポイントで交換できるものに要望が集まるなど、インセンティブとしても効果を発揮していることが分かります。
出典:社内ポイント制度の活用で従業員のコミュニケーションが活性化「ほめ合う」文化でエンゲージメント向上を実現 | TUNAG(ツナグ)
インセンティブ制度の導入で組織力を強化
インセンティブは金銭的な報酬だけではなく、金銭や物品以外のタイプもあります。代表的な種類の特徴を理解し、目的を達成しやすいインセンティブを導入することが重要です。
また、インセンティブ制度を特定の従業員のみに適用すると、他の従業員が不満を抱きかねません。成果に対する貢献度合いを考慮し、全従業員が納得できる評価制度を設計しましょう。