従業員満足度調査とは?目的から実施方法、注意すべきポイントなどを解説

企業の成長には従業員の職場環境や、業務内容に対する満足度が大きく関係します。これを把握する手法が従業員満足度調査であり、多くの企業が実施しています。調査の概要と方法・注意点、さらに調査結果を生かすポイントまで理解しておきましょう。

従業員満足度調査とは?

従業員満足度調査は、従業員が職場環境や業務に対して、どの程度満足しているかを測るための手法です。まずは調査の概要や目的、他の調査との違いを理解しておきましょう。

従業員の職場への満足度を測る調査

従業員満足度調査では従業員が働く場や、業務内容への満足度を客観的に測定し、環境の改善や業務効率の向上につなげます。従業員の職場に対する満足度が高ければ、仕事へのモチベーションも維持されやすく、継続的なパフォーマンスの向上が期待できるでしょう。

一方、職場に不満を持つ従業員が多い場合、離職率の上昇や業務の停滞を招く恐れがあります。調査を通じて従業員の本音を把握し、きちんと改善点を見つける必要があります。

従業員満足度調査の目的や意義

従業員満足度調査の主な目的は、従業員のニーズや課題を特定し、働きやすい環境を整備することです。従業員の満足度を向上させることで、定着率がアップし、組織全体の競争力の強化につながります。

調査結果は具体的に、従業員の福利厚生や職場環境の改善、経営方針の見直しなどに活用するのが一般的です。また、満足度調査は従業員が会社に意見を伝える媒体としても機能するため、社内の透明性を高める役割も果たします。

他の調査やサーベイとの違い

企業の実施する調査には、従業員の満足度に関するもの以外にも、エンゲージメント調査やストレスチェックなどがあります。

エンゲージメント調査は従業員の業務への積極性や、やりがいに焦点を当てたもので、組織への愛着や働きがいの度合いを測るものです。測定により従業員がどの程度、主体的に業務に取り組んでいるかを把握できます。

ストレスチェックは、2025年4月から全事業所で義務化される重要な制度です。従業員の心理的負担やストレスの度合いを評価し、高ストレスと判定された場合は医師による面接指導が提供されます。この制度は従業員のメンタルヘルスの課題を早期に発見し、職場環境の改善につなげることを目的としています。

各調査を適切に組み合わせることで、従業員全体の状況を多角的に把握できるので、それぞれの特性を理解しておきましょう。

従業員満足度調査のやり方

従業員満足度調査では、適切な手法を用いることで、できる限り詳細に従業員の状態を把握する必要があります。以下のように、基本となる調査手法はアンケートなので、基本的な流れや質問項目、具体的な実施手順を押さえておきましょう。

アンケート調査が基本

従業員満足度調査では、アンケートが基本的な手法となります。従業員が率直な意見を述べやすく、幅広い視点から職場の実態を把握できるためです。

調査の目的を明確にした上で、適切な質問を設定し、回答しやすい形式にすることが重要です。また、自由記述欄を設けることで、数値データだけでは捉えにくい従業員の生の声を集めることができます。

アンケート調査の質問項目

質問項目は、従業員が回答しやすい内容にするのはもちろん、全体として満足度の実態を推し量れるものでなければいけません。例えば「職場環境に満足していますか?」といった質問は回答しやすい一方で、それだけでは従業員の実態を把握するのは困難です。

そこで「上司のサポートは適切ですか?」といったものや、「業務量は適切だと思いますか?」など、具体的な質問もするようにしましょう。

職場の物理的環境や業務内容、人間関係・給与や福利厚生に関するものなど、多岐にわたる質問をすることで、精度の高い調査が可能になります。また、上司や経営層に「改善してほしい点」などの自由記述欄も設けると、従業員の声をより深く聞けるのでおすすめです。

アンケート調査の実施手順

社内でアンケート調査を実施する場合、次の手順で進めるのが一般的です。

  1. 調査目的の明確化
  2. 質問内容を決定
  3. 調査の実施
  4. 調査結果の集計・分析
  5. フィードバックと改善

まずは、調査目的を明確にする必要があります。例えば、「職場環境の改善点を特定する」といったように、具体的な目標を設定しましょう。

目的を明確にしたら、次に質問内容を決定します。従業員の抱える問題や不満点を明らかにするために、職場環境や業務内容・人間関係など、多岐にわたる項目をバランス良く含めることが大事です。質問内容を決めたらアンケート調査を実施し、結果の集計・分析に入りましょう。

詳しくは後述しますが、クロス集計や比較分析などを通じて、全体の傾向や部署ごとの違いを把握します。最後に調査結果を従業員にフィードバックし、次の調査のための改善につなげましょう。精度を上げつつ繰り返し調査することで、従業員の実態をより深く理解できるようになります。

調査結果の分析方法

満足度調査の結果を得たら、適切な分析をすることで有効な改善策を導き出す必要があります。単純な集計にとどまらず、複数の視点から結果を深掘りすることで、課題や改善点を明確にしましょう。代表的な分析手法を紹介します。

単純集計やクロス集計

単純集計は質問の回答結果をそのまま数値化したもので、全体の傾向を把握するのに適しています。「職場環境に満足していますか?」といった質問について、満足・不満足の回答ごとに集計すれば、従業員の満足度の概況を把握できるでしょう。

さらに、クロス集計をすることで、属性ごとの違いを分析するのも効果的です。例えば、部署別や役職別に従業員の満足度を比較すれば、特にどの部門が課題を抱えているのかを特定できます。単純な数値だけでは把握しにくいパターンの発見に役立ちます。

満足度構造分析(相関係数)

複数の質問項目の関連性を調べるため、構造分析をするのも有効です。例えば、「職場環境への満足度」と「仕事で感じるストレス」に強い相関があるならば、環境の改善が従業員のストレスの軽減につながる可能性が高いといえます。

また、要因分析や因子分析なども活用すると、満足度に影響を与える要因を特定しやすくなるでしょう。こうした分析をうまく使いこなせば、組織として優先的に取り組むべき課題が明らかになります。

比較分析

比較分析は、過去の調査結果や他社のデータと比較する手法です。例えば、単純に昨年の従業員満足度の調査結果と、今年のものを比較することで、改善の成果や新たな課題を把握できます。

また、業界の平均的な従業員満足度や、競合他社のデータと比較することで、自社の現状を客観的に把握できるでしょう。自社の満足度が業界の平均を下回っている場合、労働条件や福利厚生などの改善が必要な可能性があります。

一方、特定の項目で業界平均を上回っている場合は、その強みを生かしつつ、他の分野の改善に注力するのがよいでしょう。比較分析をすることで、現状の強みや改善すべき点がより明確になり、戦略的に有効な施策を打ち出せるようになります。

従業員満足度調査を実施する際の注意点

従業員満足度調査を成功させるには、以下の点にも注意が必要です。調査の目的を明確にし、従業員が安心して回答できるようにしましょう。継続的な調査で、より深く従業員の満足度の変化や傾向を把握し、職場環境の改善に役立てることが大事です。

調査の目的は明確に

調査を実施する際に、目的が曖昧だと結果を有効に活用できません。調査そのものが目的化してしまっているケースは多いので、上記のように目的を明確にするところからスタートしましょう。

「離職率の高さに直結する要因を把握する」といったように、調査の目的を具体的に設定することが大切です。目的が明らかになれば、質問項目を適切に設計できるだけでなく、結果の分析や改善策の立案もスムーズになります。

無記名回答を原則とする

従業員が率直な意見を表明できるように、無記名形式での回答を基本にする必要があります。記名式では、正直に回答するのをためらう従業員もいるでしょう。特に、自由に回答を記述してもらう形式にするならば、無記名にした上で、回答の内容で不利にならない点も明確に伝える必要があります。

また、プライバシー保護を徹底する姿勢も示すことで、安心感を高めることも大事です。調査結果の取り扱いや公開範囲について事前に説明し、従業員が安心して回答できるようにしましょう。

継続的な調査が必要

調査は一度実施するだけでは不十分なケースがほとんどです。継続的に実施し、改善策の効果を評価した上で、必要に応じて新たな施策を講じることが大切です。

さらに、定期的な調査は従業員の声を反映する取り組みとして、企業への信頼感を向上させる効果も期待できます。結果をきちんと公開し、職場環境や業務内容の改善に反映させることで、従業員の満足度が向上し、調査にも積極的に協力してもらえるようになるでしょう。

従業員満足度だけでは足りない?社員のパフォーマンスを引き上げる施策とは?

従業員満足度は企業にとって重要な指標の一つですが、それだけでは業務への積極性や挑戦意欲が育たないことがあります。次に、満足度を超えた視点からパフォーマンスを高める方法を探ってみましょう。

パフォーマンスを引き上げるには「エンゲージメント」の向上が大切

従業員満足度が高い状態は従業員が働きやすさを感じていることを示しますが、それが業務への積極性や創造性に直結するわけではありません。

職場に満足しているだけの状態では現状維持に留まり、新たな挑戦や問題解決への積極的な行動が起こりにくくなります。さらに、満足度は短期的な成果や一時的な環境の改善に依存することが多く、長期的な組織の成長を支えるエネルギーとしては十分でない可能性があります。

一方、従業員のエンゲージメントは、業務や組織に対する主体的な関与を促し、個々のモチベーションとパフォーマンスを持続的に高める重要な要素です。

そのため、満足度向上だけに注力するのではなく、エンゲージメントを高めるための具体的な施策を講じることが求められています。エンゲージメントが高い従業員は、自らの役割を理解し、組織目標に向けて積極的に行動するため、結果的に業績向上やイノベーションの促進につながるのです。

エンゲージメントを図る調査「エンゲージメントサーベイ」

従業員のエンゲージメントを高めるためには、まず現状を把握することが不可欠です。そのために効果的なのが「エンゲージメントサーベイ」です。

この調査は、従業員が抱える課題や職場環境に対する本音を明らかにし、組織の弱点や改善ポイントを具体化するのに役立ちます。エンゲージメントサーベイの特徴は、従業員の心理的な状態や組織への関与度合いを測定できる点にあります。

サーベイを通じて、どのような要素が従業員のモチベーションやパフォーマンスを引き下げているのかを分析することで、的確な改善策を講じることが可能です。また、調査結果をもとに具体的なアクションプランを立て、従業員に対して迅速に対応を示すことで、会社が「従業員の意見を尊重している」というメッセージを伝えられます。

従業員は自分たちの声が反映されていると感じ、エンゲージメントの向上につながります。エンゲージメントサーベイは、単なる現状把握にとどまらず、組織の信頼関係を深め、長期的な成長基盤を築くための重要な手段として位置づけられるべきです。

エンゲージメントサーベイは「TERAS」がおすすめ

エンゲージメント向上を実現するためには、適切なツールを活用することが非常に効果的です。

中でも「TERAS」は基本無料で、組織の課題を可視化し、改善を加速させるための画期的なソリューションです。

TERASは、従業員アンケート機能を活用して、個々の従業員の意識や組織への関与度を深く把握することができます。

さらに、調査結果を直感的に理解できるダッシュボードで表示し、具体的な改善アクションを講じることが可能です。

特に注目すべきは、調査結果に基づいて推奨されるアクションアイテムの提案機能で、組織全体がより良い方向へ進むための道筋を示してくれます。

TERASは、従業員一人ひとりの声を大切にし、組織全体の成長をサポートするための強力なパートナーとなるでしょう。基本無料で実施できるので、まずはお手軽に試してみてください。

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調査結果を生かすための工夫が必要

従業員満足度調査は、職場環境や業務の改善に有効な手段です。実施に当たっては、まず調査の目的を明確にし、従業員が安心して回答できるようにしましょう。無記名での回答やプライバシー保護を徹底し、率直な意見を引き出す工夫が求められます。

それに加えて、調査結果はきちんと集計・分析し、得られた情報を基に、具体的な改善策に結び付ける必要があります。施策の効果を評価するため継続的に調査を実施し、従業員の声をきちんと反映させることで、信頼感を高めることが重要です。

特に、パフォーマンスを向上させるにはエンゲージメントについても計測し、向上試作を実施することが重要になります。

他の調査ともうまく組み合わせながら、従業員にとってより良い環境を目指しましょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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