ビジネスチャットツール比較10選|選定ポイントや導入後に定着させる方法も解説
ビジネスチャットは、社内の連絡をスムーズにする便利なツールです。しかし、料金や機能だけで選ぶと、導入後に「使いにくい」「情報が埋もれる」「現場に定着しない」といった課題が出ることもあります。大切なのは、ツールを比較する前に、自社が解決したい課題を明確にすることです。本記事では、ビジネスチャットを比較する前に知っておきたい基礎知識、選定ポイント、主要10ツールの特徴、導入後に社内へ定着させる方法まで解説します。
ツールを比較する前に知っておくべきこと
ビジネスチャットを選ぶ前に、まずはツールの役割やメールとの違いを整理しておきましょう。
「何となく便利そうだから」「他社が使っているから」という理由で導入すると、自社に必要な機能を見落としたり、現場に合わないツールを選んだりする可能性があります。比較を始める前に、基本を押さえておくことが大切です。
ビジネスチャットの役割を理解する
ビジネスチャットとは、業務上の連絡や情報共有をスムーズに行うためのメッセージツールです。個人同士のやりとりだけでなく、部署やプロジェクトごとのグループを作り、複数人で会話できます。
プライベートで使うLINEやSNSとの違いは、企業向けの管理機能やセキュリティ機能が備わっている点です。例えば、管理者がアカウントを管理できる、退職者の利用を停止できる、会話ログを一定期間保存できるといった機能があります。
近年では、チャットだけでなく、ファイル共有、タスク管理、音声通話、ビデオ会議などを備えたツールも増えています。単なる連絡手段ではなく、社内コミュニケーションの基盤として活用されるケースが多くなっています。
メールとの違いを押さえる
ビジネスチャットを導入する際は、メールとの違いを理解しておく必要があります。どちらか一方に置き換えるのではなく、用途に応じて使い分けることが大切です。
比較項目 | メール | ビジネスチャット |
リアルタイム性 | 低い | 高い |
宛先・件名の設定 | 毎回必要 | チャンネルやグループで管理できる |
複数人での会話 | やりとりが煩雑になりやすい | 会話の流れを追いやすい |
重要事項の伝達 | 向いている | 埋もれる場合がある |
ファイル共有 | 添付で送る | チャット上で簡単に共有できる |
過去情報の検索 | 探しにくい場合がある | キーワード検索しやすい |
メールは、社外との正式なやりとりや重要な決定事項の共有に向いています。一方、ビジネスチャットは、社内の日常連絡や素早い確認、チーム内の情報共有に向いています。
メールとチャットは置き換えるものではなく、用途で使い分けると混乱を防げます(具体的なルールの決め方は後述します)。
ビジネスチャットの主な機能
ビジネスチャットには様々な機能があります。ただし、全ての機能が自社に必要とは限りません。機能の多さではなく、自社の課題解決に必要な機能があるかを見極めましょう。
代表的な機能は、次の通りです。
- グループチャット:部署やプロジェクトごとに会話を分けられる
- ファイル共有:画像、PDF、Excelなどをチャット上で共有できる
- タスク管理:チャットの会話から担当者や期限を設定できる
- 音声・ビデオ通話:チャットから通話や会議に移れる
- 既読確認:相手がメッセージを確認したか分かる
- 外部連携:カレンダーやストレージ、業務システムと連携できる
ビジネスチャットツールの選定ポイント
ビジネスチャットを選ぶ際は、機能や料金だけで判断しないことが重要です。現場で使いやすいか、管理者が安全に運用できるか、既存ツールと連携できるかなど、複数の観点から比較しましょう。
ここでは、導入前に確認しておきたい選定ポイントを解説します。
導入目的に合う機能があるか
ビジネスチャットの選定において最優先すべきは、自社の導入目的に合致した機能の有無です。導入のねらいによって、求められる機能は自ずと決定されます。
例を挙げると、社内の情報共有を活性化させたいのであれば、掲示板機能や一斉通知、既読確認といった機能が不可欠です。一方で、プロジェクト運営の効率化を重視する場合は、タスク管理やファイル共有、他の業務ツールとの連携機能が鍵を握ります。
注意が必要なのは、多機能すぎるツールを選んでしまうことです。不要な機能が多いために操作が難解になり、かえって利便性を損なうケースも少なくありません。単に機能の数を追うのではなく、自社が抱える課題に対し、必要な機能が過不足なく揃っているかを厳密に見極めることが重要です。
現場社員が使いやすい操作性か
ビジネスチャットは、社員が日常的に使って初めて効果を発揮します。どれほど高機能でも、現場が使いにくいと感じれば定着しません。
特に、製造業、建設業、飲食業、小売業など、デスクを持たない従業員が多い企業では、スマートフォンアプリの使いやすさが重要です。PCでは使いやすくても、スマホ画面で操作しにくいツールは現場に浸透しにくいでしょう。
導入前には、管理部門だけで判断せず、実際に使う現場社員にも試してもらうことが大切です。無料トライアルやデモを活用し、マニュアルを読まなくても直感的に使えるか確認しましょう。
管理機能とセキュリティは十分か
企業で使う以上、管理機能とセキュリティは必ず確認すべきポイントです。チャット上では、顧客情報、社外秘の資料、人事情報などがやりとりされる可能性があります。
確認したい主な項目は、次の通りです。
- 通信の暗号化:メッセージやファイルが安全に送受信されるか
- アクセス制御:権限設定やアカウント停止ができるか
- 二段階認証:不正ログインを防げるか
- ログ保存:会話履歴や操作履歴を確認できるか
- データ保存場所:自社のセキュリティ方針に合っているか
特に、金融、医療、製造など機密情報を扱う業種では、セキュリティ要件を優先して確認する必要があります。退職者のアカウント停止や外部ユーザーの管理がしやすいかも、重要なチェックポイントです。
既存ツールと連携できるか
すでに社内で使っているツールと連携できるかも確認しましょう。連携性が高いツールを選ぶと、日々の業務を効率化しやすくなります。
例えば、Google Workspaceを使っている企業なら、GoogleカレンダーやGoogleドライブと連携しやすいツールが便利です。Microsoft 365を使っている企業なら、WordやExcel、Outlookと連携しやすいツールを選ぶとよいでしょう。
既存ツールとの連携を前提に選べば、社員の学習コストを抑えながら導入しやすくなります。
利用人数と予算に合っているか
ビジネスチャットの料金は、利用人数によって大きく変わります。料金は「1人あたり月額×利用人数」で算出される製品が多く、無料プランの有無・最低契約人数・上位プランの構成は製品ごとに異なります。現在の人数と将来の増員を見込み、各社の見積もりを同じ条件で比較しましょう。
比較時には、現在の人数だけでなく、将来的な利用拡大も見込んで費用を確認しましょう。初期費用、月額費用、サポート費用、オプション料金まで含めて検討することが大切です。
主要ビジネスチャットを比較する
ここからは、主要なビジネスチャットツールを紹介します。それぞれ強みや向いている企業が異なるため、自社の目的や利用シーンに合わせて比較しましょう。
TUNAG
TUNAGは、チャット機能だけでなく、社内報、掲示板、社内規定の共有、サンクスメッセージなどを備えた組織改善クラウドサービスです。単なる連絡ツールではなく、情報共有とエンゲージメント向上を一体的に支援できる点が特徴です。
特に、本社と現場をつなぐ情報基盤として活用しやすいサービスです。製造業、小売業、飲食業など、デスクを持たない現場スタッフが多い企業でも、スマートフォンから情報を確認しやすい設計になっています。
導入企業数は1,400社以上、継続率99%です(いずれも同社公表値・2026年5月末時点)。導入後の定着支援も強みとなっていて、チャットを導入するだけでなく、社内への情報浸透や組織改善まで進めたい企業に向いています。
Slack
Slackは、IT企業やスタートアップを中心に広く利用されているビジネスチャットです。チャンネルごとに会話を整理しやすく、外部ツールとの連携が豊富な点が特徴です。
Googleドライブ、Jira、Salesforceなど、多くのアプリと連携できるため、複数のSaaSを活用している企業や開発チームに向いています。会話の検索性も高く、プロジェクト単位で情報を整理しやすいツールです。
一方で、機能が豊富な分、初めて使う社員には複雑に感じられる場合があります。全社導入の前に、IT部門や特定のチームで試してから広げるとよいでしょう。
Slack | AI 活用型の仕事用プラットフォーム&生産性ツール
Chatwork
Chatworkは、国内の中小企業を中心に利用されているビジネスチャットです。シンプルな操作性と日本語サポートの分かりやすさが特徴で、初めてチャットツールを導入する企業でも使いやすいでしょう。
標準でタスク管理機能が備わっており、チャットのやりとりから担当者や期限を設定できます。会話とタスクを同じ画面で管理できるため、ちょっとした依頼や確認事項の抜け漏れを防ぎやすくなります。
社内だけでなく、外部の取引先や顧客とのやりとりにも使いやすい点もメリットです。営業や受発注業務など、社外との連絡が多い企業に向いています。
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Microsoft Teams
Microsoft Teamsは、Microsoft 365に含まれるコラボレーションツールです。すでにMicrosoft 365を利用している企業であれば、追加コストを抑えて導入しやすい点が大きなメリットです。
Word、Excel、PowerPoint、Outlook、OneDriveなどとの連携が強く、ファイル共有や共同編集をスムーズに行えます。ビデオ会議機能も充実しており、社内会議や社外との打ち合わせにも活用できます。
ただし、機能が多いため、導入時にはチームやチャンネルの設計ルールを決めておく必要があります。ルールがないまま使い始めると、情報が分散しやすくなる点に注意しましょう。
ビデオ会議、ミーティング、通話 | Microsoft Teams
LINE WORKS
LINE WORKSは、普段使いのLINEと同様の感覚で操作できるビジネス向けツールです。多くのユーザーにとって馴染みのあるインターフェースであるため、スマートフォンを主軸とする現場でもスムーズに導入できるのが大きな利点です。
単なるチャット機能に留まらず、掲示板やカレンダー、アンケートといった多彩な機能を搭載しています。これにより、社内のコミュニケーション手段としてだけでなく、簡易的なグループウェアとしても運用が可能です。
さらに、LINEとの連携が可能な点も大きな強みであり、外部のLINEユーザーとも容易に連絡を取り合うことができます。現場の従業員や取引先とのやり取りをより円滑にしたいと考えている企業に最適なツールと言えるでしょう。
LINE WORKS(ラインワークス)| LINEとつながる唯一のビジネスチャット
Google Chat
Google Workspaceに含まれるGoogle Chatは、Gmailやカレンダー、ドライブといった各種サービスとの親和性が非常に高いチャットツールです。普段からGoogleのサービスを基盤として業務を行っている企業にとっては、スムーズに導入できる選択肢となります。
具体的には、Googleドライブ内のファイル共有やカレンダーの予定管理が容易であるため、Googleエコシステムを中心としたワークフローの効率化に貢献します。
ただし、他の専用チャットツールと比較すると、通知の細かなカスタマイズ性やチャット特化の機能面ではシンプルに構成されている側面もあります。そのため、多機能を求めるよりも、Google Workspaceの一部として利便性やシンプルさを重視する企業に適しています。
Gemini を搭載した Google Chat でメッセージとチームのコラボレーションを実現 | Google Workspace
WowTalk
国産ビジネスチャットのWowTalkは、強固なセキュリティ環境下での円滑な社内コミュニケーションを可能にし、幅広い業界で活用されています。
許可されたユーザーのみがアクセスできるクローズドな運用が容易なため、外部への情報流出を徹底して防ぎたい組織に最適です。国内開発のツールであることから、日本語による充実したサポート体制が整っている点も大きなメリットです。
さらに、翻訳や安否確認といった現場の利便性を高める機能も豊富に搭載されています。安全性と使い勝手の良さを高い次元で両立させたい企業にとって、有力な選択肢となるでしょう。
【WowTalk】ビジネスチャット・社内SNSでコミュニケーション活性化
Talknote
Talknoteは、社内コミュニケーションだけでなく、組織状態の把握にも活用できるフィード型のツールです。社員の投稿量やアクセス時間を基に、コンディションの変化を可視化する機能を備えています。
単に連絡を取るだけでなく、社員のモチベーションや組織の状態を把握したい企業に向いています。飲食、小売、医療、建設など、様々な業種で利用されています。
料金はユーザー単位で設定されており、導入支援も用意されています。離職率の低減や組織文化づくりを目的に、コミュニケーションツールを活用したい企業に適しています。
elgana
NTT西日本が手掛ける「elgana」は、国内での運用を前提に開発された国産のビジネスチャットツールです。その最大の特徴は、誰でも直感的に扱えるシンプルな操作性にあります。
セキュリティ面では、端末にデータを保持せず、クラウド上で一元管理する仕組みを採用しているほか、充実した管理者機能も備えています。そのため、機密情報の取り扱いに厳しい企業でも安心して導入できる設計となっています。IT操作に不慣れな従業員が多い職場でもスムーズに馴染める画面構成も魅力です。
活用シーンは幅広く、特に医療・介護現場や建設業など、オフィス外で活動するスタッフと拠点間の迅速な情報共有が必要な場面で多く選ばれています。
【NTT西日本】ビジネスチャットelgana(エルガナ) - 法人・企業向けICTサービス・ソリューション
direct
directは、「現場のチャット」をコンセプトにした国産ビジネスチャットです。建設、医療、小売など、現場業務が多い業種での利用に向いています。
スマートフォンから簡単に報告・連絡・相談ができるため、現場スタッフが日常業務の中で使いやすい点が特徴です。写真の共有や位置情報の送信など、現場業務に役立つ機能も備えています。
本社と現場の情報格差を減らしたい、現場からの報告をスムーズにしたいという企業に向いています。現場主導で業務のデジタル化を進めたい場合に検討しやすいツールです。
【公式】現場のDXにビジネスチャット「direct(ダイレクト)」
導入後に社内定着させるポイント
ビジネスチャットは、導入しただけでは定着しません。使い方のルールが曖昧だったり、通知が多すぎたりすると、社員が使いづらさを感じ、次第に利用されなくなることもあります。
ここでは、導入後に社内へ定着させるためのポイントを解説します。
使い方のルールを整備する
ビジネスチャットを導入したら、まず使い方のルールを決めましょう。ルールがないまま使い始めると、人によって使い方がばらつき、かえってコミュニケーションが混乱する場合があります。
例えば、次の通りです。
- 用途の定義:日常連絡はチャット、正式な決定事項はメールなどと決める
- チャンネル設計:部署、プロジェクト、全社周知などの作成ルールを決める
- 返信の目安:緊急時以外は即返信を求めないなどの基準を設ける
- ファイル共有ルール:重要資料の保存場所や共有方法を決める
最初から完璧なルールを作る必要はありません。運用しながら改善し、社員が使いやすい形に整えていくことが大切です。
小規模部署から段階的に始める
全社一斉に導入するよりも、まずは小規模な部署やチームから始める方法がおすすめです。パイロット導入によって、自社に合う使い方や課題を事前に確認できます。
例えば、営業部の数名から始めて、1カ月後に使い勝手や課題を整理し、その後ほかの部署へ展開する方法があります。先に使ったメンバーが社内の相談役になれば、他部署への浸透も進めやすくなります。
段階的に広げることで、チャンネル設計や通知設定の失敗も修正しやすくなります。現場の声を取り入れながら展開することが、定着につながります。
社内利用時のマナーを決める
ビジネスチャットは、メールより気軽にやりとりできる半面、使い方によってはトラブルにつながることもあります。導入時には、社内利用時のマナーも決めておきましょう。
例えば、スタンプや絵文字の使い方、深夜や休日の連絡、返信が必要な場面、既読だけでよい場面などを整理しておくと安心です。
返信を強制しないことも大切です。チャットは即時性が高く、社員が常に返信を求められていると感じやすいため、緊急時以外は相手の業務時間や状況に配慮するルールを設けましょう。スタンプや絵文字の使い方、深夜・休日の連絡可否なども、あわせて決めておくと安心です。
自社課題に合うビジネスチャット比較が、情報共有と組織定着を進める
ビジネスチャットを選ぶ際に大切なのは、機能の多さや料金だけで判断しないことです。自社が解決したい課題に合っているか、現場社員が使いやすいか、安全に管理できるかを確認する必要があります。
特に、現場スタッフが多い企業では、スマートフォンで使いやすいことや、全社への情報共有がしやすいことが重要です。また、導入後に使い方のルールを整え、段階的に展開し、通知や検索の運用を決めることで、ツールは社内に定着しやすくなります。
ビジネスチャットを比較する際は、自社の課題を整理した上で、情報共有と組織づくりの両面から最適なツールを検討してみましょう。













