マイクロマネージメントとは?主な原因や職場への影響と、防止策について解説

マイクロマネージメントは上司が部下の業務に過剰に干渉し、管理しすぎる状態を指します。

  • 部下が提案したことを否定して、上司のやり方を押し付ける。
  • ちょっとした決定や変更でも、全部上司の許可がないとダメ。
  • 部下の仕事にずっと口を出して、指示を出し続ける。

こうしたマネジメントを無意識に行っていませんか?

このような管理方法が続くと、業務が属人化するだけでなく、部下のやる気を削ぎ、離職を招く可能性があります。

マイクロマネージメントは、社員の生産性や職場の雰囲気に悪影響を及ぼす可能性があるので、管理職の方は十分注意しなければいけません。本記事では、マイクロマネージメントが発生してしまう原因や防止策について解説します。

マイクロマネージメントとは?

マイクロマネージメントは、上司が部下の業務に過剰に干渉する管理スタイルです。部下の細かい行動や手順に口を出し、業務の自由度を奪ってしまうため、近年問題視されています。まずは、言葉の定義やマイクロマネージメントの具体例からみていきましょう。

マイクロマネージメントの定義

マイクロマネージメントとは、主に上司にあたる社員が部下の仕事に対して、細部にわたって管理している状態を指す言葉です。部下の業務に過度に干渉し、手順を逐一確認したり、些細なミスを厳しく指摘したりするのが特徴です。

この管理方法は、部下の業務の進捗をコントロールできることから短期的な成果につながる場合があります。一方で、長期的には社員のやる気を削いでしまい、職場の生産性を低下させるリスクがあります。

マイクロマネージメントの例

部下のメールの文面やプレゼン資料の細部に至るまで、細かく修正を指示するケースなどがマイクロマネージメントの典型例です。管理者によっては、電話での話し方や会議の進行、日常業務の進め方まで、過剰に口を出してしまうケースがあります。

また、近年増えているテレワークにおいて、頻繁に業務報告を要求したり、Webカメラをオンにさせて監視したりといった事例も少なくありません。このような行動は社員の自主性を奪い、ストレスを生む原因になりがちです。

マイクロマネージメントが注目されている背景

働き方改革やリモートワークの普及などにより、上司と部下の信頼関係の重要性が増している一方で、上司が部下を必要以上に管理しがちな状況も生まれがちです。部下がきちんと仕事をしているか不安になる管理者は多く、過度に業務に干渉してしまうケースも目立ちます。

さらに、労働者のワークライフバランスの向上が求められる中で、管理者の過度な干渉は、部下のストレスを増大させる一因となっています。こういった背景から、マイクロマネージメントの問題が表面化し、職場環境や生産性に与える影響が注目されるようになりました。

上司による過度な干渉の弊害が問題視されるようになり、従来のマネジメント手法の見直しを図る企業も増えています。

マイクロマネージメントが生まれる原因

マイクロマネージメントが生まれてしまう原因としては、主に以下の点が挙げられます。主に上司にあたる管理者の心理的な要因や、職場環境によって起こる場合がほとんどです。

上司の不安や信頼の欠如

上司が部下を信頼できず、不安感から細かい指示を出し続けるのは、マイクロマネージメントの大きな原因のひとつです。特に部下の能力や経験に疑念を抱いている場合、この傾向が強まることがあります。結果として、上司は部下の業務の全てを把握しようとして、必要以上に干渉してしまいます。

また、上司自身が仕事の責任に伴うプレッシャーを感じている場合も、部下への管理が厳しくなりがちです。仕事への過干渉により部下が萎縮してしまい、自主性を発揮しにくくなるケースは決して珍しくありません。

上司の自己顕示欲の強さ

自己顕示欲が強い上司は、自分の意見や指示が常に正しいと考えがちで、部下に細かく介入する傾向にあります。指示が的確であることを強調しようとするあまり、部下の自主性を尊重せず、思い通りに進めようとするのが特徴です。

これにより部下の成長機会を奪ってしまい、仕事へのモチベーションを下げる原因にもなります。さらに、部下が上司の評価を気にし過ぎてしまうようになり、コミュニケーションがぎこちなくなることも少なくありません。

マイクロマネージメントに陥りがちな人の特徴

マイクロマネージメントに陥りがちな管理者の特徴を確認していきましょう。以下のように、完璧主義の人や相手の考え方や価値観を認められない人などは、部下を細かく管理しがちなので注意しなければいけません。

完璧主義で細かいルールを設けてしまう

完璧主義の上司は、あらゆる業務が理想通りに進むことを求める傾向にあり、細かいルールや手順を設けがちです。部下の作業の仕方や結果に対しても厳しい基準を設定し、未達の場合には改善・修正の指示を繰り返してしまいます。

部下は細かい指示やルールが増えることで、部下は業務の全体像を見失い、作業も単調になってしまうでしょう。上司の期待に応えようとするあまり、自主性を発揮できなくなってしまう人も少なくありません。こういった状況が続けば、仕事へのモチベーションも低下し、離職につながる場合も考えられます。

部下の考え方や価値観を尊重できない

部下の考え方や価値観を尊重できない上司は、自分のやり方や基準を部下にも押し付ける傾向があります。提案や意見を否定したり、自分の考えに沿わない行動を問題視したりすることもあるでしょう。

こういった姿勢は、部下の自主性や創造性を抑え込んでしまう結果につながり、部下が上司に意見を言いにくくなる原因になりかねません。また、部下の価値観や視点を軽視することで、信頼関係が損なわれ、その後のコミュニケーションに問題が生じる可能性もあります。

相手を褒めるのが苦手

相手を褒めるのが苦手な上司は、部下の努力や成果を適切に評価できず、感謝や称賛を伝える機会を逃しがちです。部下がきちんと成果を上げても当たり前と考えたり、具体的なフィードバックを与えなかったりする場合もあり、部下のモチベーションが低下してしまいます。

些細なミスを指摘することには積極的でも、ポジティブな面を伝えない上司は、部下にとって厳しいだけの存在になってしまうでしょう。褒めることは部下のやる気を高めるだけではなく、信頼関係を築くためにも必要なスキルです。小さな成功でも積極的に認めることで、職場全体の雰囲気もよくなります。

自分のミスを認められない

自分のミスを認められない上司は、問題が発生した際に責任を部下に押し付けたり、ミスを隠そうとする傾向があります。

自分の非を認めない上司の下では、部下もミスを隠したり報告を避けたりするようになり、問題がさらに深刻化するリスクがあります。結果的に上司が細かく指示を出すようになるため、マイクロマネージメントにつながる場合もあるでしょう。

上司が率直に自分のミスを認め、改善策を示す姿勢を取ることで、部下が安心して問題を共有できる環境の構築が必要です。失敗を共有し、きちんと学ぶ文化を築くことが、事業の成長にも欠かせません。

マイクロマネージメントが職場に与える悪影響

マイクロマネージメントを防ぐには、上司自身の意識改革と組織全体の取り組みが必要です。以下のように、まずは上司としての役割を再認識し、指導に柔軟性を持たせるようにしましょう。積極的な権限委譲やルールの見直しも求められます。

部下の業務生産性が下がってしまう

マイクロマネージメントが起こる職場では、部下が自由に仕事を進める余地があまりなく、業務効率が低下してしまう可能性があります。さらに、上司の細かい干渉によって業務の進行が中断される場面が増えると、部下の集中力やモチベーションが削がれてしまい、生産性がさらに低下してしまうでしょう。

組織全体のパフォーマンスにも悪影響を及ぼすため、上司は適切な距離感を保ちながら、部下の自主性を尊重した指導を心掛ける必要があります。

部下が主体性を持たなくなる

マイクロマネージメントが常態化すると、部下は自ら考えて行動する機会を奪われてしまい、主体性を失う可能性があります。上司が細かい指示を出し続けたり、部下の判断を全て否定したりすると、部下は自分の意見は通らないと感じてしまい、受け身の姿勢になりがちです。

このような状態では、部下の問題解決能力や創造性が低下し、新たな提案やチャレンジが生まれにくい職場環境が形成されます。さらに、部下が主体性を持たなくなると、業務に対する責任感も薄れ、全体の士気が下がる可能性があります。

上司は部下に一定の裁量権を与え、自分で考え行動できる環境を整えることで、主体性の向上をサポートする必要があります。

離職率が上がってしまう

マイクロマネージメントが続く職場では、部下がストレスを感じ、仕事への意欲を失うことが多く、最終的には離職率の増加につながる可能性があります。上司からの過剰な干渉や批判にさらされると、部下は「この職場では成長できない」「尊重されていない」と感じるようになります。

特に、信頼関係が築けない状況や、上司との関係が悪化した場合、部下は他の職場を探す動機を強く持つようになります。

また、離職率が上がることで、残った社員への負担が増え、新たな離職を引き起こす悪循環に陥る可能性もあります。上司が部下の声に耳を傾け、適切なサポートを行うことで、社員の定着率向上と職場環境の改善を図ることが重要です。

マイクロマネージメントを防ぐためのアプローチ

マイクロマネージメントを防ぐには、上司自身の意識改革が必要です。以下のように、上司としての役割を再認識し、指導に柔軟性を持たせるようにしましょう。積極的な権限委譲やルールの見直しも求められます。

まずは上司としての役割を見直す

マイクロマネージメントを防ぐためには、上司自身が果たすべき役割を再確認することが重要です。上司の役割は、部下を細かく管理することではなく、一人一人が成長しやすい環境を整えることです。過度に干渉するのではなく、目標を明確に示し、必要に応じてサポートする姿勢が求められます。

また、部門・部署の進むべき道を明らかにすることで、部下が自律的に行動できる土台を築くことも大切な役割です。上司として、どの程度業務に関与するべきかを検討し、部下の自主性を尊重する姿勢を持つようにしましょう。

指導に柔軟性を持たせる

部下はそれぞれ性格や能力が異なるため、画一的な指導方法ではなく、柔軟なアプローチが必要です。ある部下には具体的な指示が有効でも、別の部下には、大まかなガイドラインを示せば十分な場合もあるでしょう。上司が柔軟に対応することで、部下のやる気やパフォーマンスが向上しやすくなります。

また、部下が状況に応じて自由に判断できる余地を与えることも重要です。必要以上に指導の幅を狭めず、適切なフィードバックを通じて部下の成長を支える姿勢が、マイクロマネージメントを防ぐ効果的な手段となります。

部下の考えをきちんと理解する

部下の考えや意見を尊重し、きちんと理解することは、マイクロマネージメントを防ぐ上で欠かせない要素です。部下の話に耳を傾け、適宜業務に対する意見や提案も受け入れることで、部下は自分の意見が大切にされていると感じられるでしょう。

それが信頼関係の構築につながり、部下のモチベーションの向上にも寄与します。さらに、部下が抱える課題や悩みを積極的に把握すれば、早期に必要な支援が可能になるので、問題が深刻化する前に対処できるようになります。

権限の範囲やルールを見直す

マイクロマネージメントを防ぐには、権限の範囲や職場のルールを見直すことも重要です。部下に対して過度に細かい指示を与えるのではなく、一定の裁量を持たせることで、主体的に業務を進める意識を持たせるようにしましょう。

また、ルールが厳格すぎる場合も、部下の創造性や自由な発想を妨げる要因となることもあります。現行のルールが実際の業務に適しているかも見直し、必要に応じて柔軟に運用を変えることも大事です。

マイクロマネージメントに陥っていないか確認しよう

マイクロマネージメントは、上司が部下の業務に過度に干渉してしまう状況であり、業務生産性や主体性の低下を招く恐れがあります。完璧主義な人や部下を褒めるのが苦手な人などが陥りやすいので、管理者は自分の行動を振り返り、必要に応じて改善するようにしましょう。

部下を信頼し、ある程度は自由に業務を進められる環境を整えることで、主体性や創造性が発揮されやすくなります。管理者自身も細かい指示や確認に追われるストレスから解放され、全体を見渡す余裕が生まれるでしょう。部下との間に深い信頼関係を築くことで、組織全体の成長を促進できます。

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TUNAG(ツナグ) | エンゲージメント向上で働きがいのある組織を作る

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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